闇金の借金を借り逃げすることは違法行為となるのか?
闇金からの借金は返済義務がないと聞いたことがあるかもしれませんが、実際「借り逃げ」のような行為をした場合、違法性はあるのでしょうか?
闇金からの借金を返済しなくても違法とはならない
闇金業者の貸付は、出資法の上限金利(20%)を超えており、それは犯罪行為です。
この違法貸付については、支払い義務がないと最高裁で判決が出ています(参考:最高裁判所平成20年6月10日判決の概要)。
闇金は押し貸しという手口で無理やり貸付をしたり、理由をつけて返済を認めずに遅延損害金を請求することが多いです。
このように違法に貸し付けられた金銭については、元金を含めて返済義務はなく、闇金の支払い要求に応じる必要はありません。
また、これまで支払った分に関しての返金や損害賠償を求めることができます。
要するに、「借り逃げ」に該当すると思われる、「闇金から借りたお金を返済しない」という行為事態は違法ではありません。
ただし、最初から返す気がなければ詐欺罪になる可能性あり
相手が闇金とはいえ、借り逃げ目的の借入は犯罪行為です。借り逃げをすれば、闇金から詐欺行為として訴えられる可能性があります。
闇金の貸付は不法原因給付にあたり、返済義務がなくなるのが一般的です。
しかし、借り逃げという詐欺行為を意図した借金は、この不法原因給付から除外されるため、利息はともかく元本については返済しなければならなくなります。
詐欺罪が認められると、懲役10年以下の懲役が課せられます。
闇金から借り逃げは専門家の介入なしでは難しい
弁護士等の法律の専門家の介入を挟まず闇金からの借入を借り逃げするのは、現実的には非常に困難といえます。
なぜなら、闇金は周到な借り逃げ対策を講じているからです。そうでなければ闇金ははじめから高額な貸付はしません。数万円を貸付けて、高額な利息を請求するのが闇金の常套手段です。
まず、闇金から借り逃げをするのが困難な理由として「闇金は借り逃げ対策を周到にしている」ことが挙げられます。
そもそも、闇金は違法な金利で貸付をし、その場合債務者には元金も返済義務がないことをわかったうえで貸付をしています。
そのため、借り逃げをしようとする、もしくは返済義務がないと主張されることも想定した上で貸し付けを行っています。
要するに、闇金側としても「回収する自信がある」ということです。
引っ越しても住民票の移動などでバレる可能性あり
「夜逃げ」という方法を聞いたことがある人は多いと思いますが、実際に引っ越しを行えば所在がわからなくなるかといえば、そう簡単にはいきません。
引っ越しに伴う「転出届」「転入届」の手続きを行うことで、所在がバレ、再度督促が及ぶ可能性は十分考えられます。
住民票の移動を行わなければ所在はバレないかもしれませんが、公的サービスを受けられない、子供の学校の手続きができない、など、かなり制限を受けることになります。
このように引っ越しで闇金から逃げ切ることは現実的にはかなり難しいのです。
借り逃げしようとすることで追い込み行為を受ける可能性あり
仮に借り逃げをしようとしていることが闇金にバレた場合、以下のような追い込み行為が行われる可能性があります。
- 執拗な嫌がらせ
- 過度の回数の督促電話がかかってくる
- 家族や職場にも取り立てがおよぶ
執拗な嫌がらせ
全ての闇金が違法な取り立てを行なっているわけではありませんが、しかし、執拗な督促電話や家族や友人、職場への取立てなど債務者が精神的に参って支払ってしまうような悪質な取り立て行為はなくなっていないのが現状です。
具体的には以下のような行為が考えられます。
- 督促の電話が頻繁にかかってくる
- 頼んでないデリバリーを頼まれる
- 実家や友人など周囲の人に督促される
- 家の近くで待ち伏せされる
過度の回数の督促電話がかかってくる
闇金の取り立てにおける常套手段として、異常な数の電話で返済を督促してきます。
人によっては、1日100件以上の督促電話を受けることもあります。
また、時間も昼夜問わずにかけてくることが多く、安心して眠ることもままならなくなってしまうのです。
闇金も、借り入れた側が電話に出ることを期待してかけているわけではなく、返済が終わるまでずっと電話がくることを印象付けて精神的なストレスを与えることが目的です。
闇金からの電話に出ると、脅迫めいた督促やさらなる返済を迫られる可能性があるので危険です。
昼夜を問わない督促は、貸金業法で禁止されていますので着信履歴などの証拠は消さずに、弁護士や司法書士へ相談するとよいでしょう。
家族や職場にも取り立てがおよぶ
闇金がお金を貸し付けるときは、実家や勤務先の電話番号や住所も聞いてくるのが一般的です。
借りた本人が返済できなかったり電話を無視すると、そういった関係者に取り立てをおこない債務者を精神的に追い詰めます。
親や兄弟、親戚に執拗な督促電話をされては家族との関係も壊れてしまいかねません。
また、会社にも「そちらで働いている〇〇さんがお金を返してくれないんですよ」といった内容の電話がかかってくるようになります。
そのような電話が毎日のようにかかってきたら会社での信用も失いますし、職場にいづらくなってしまうでしょう。
職場にいづらくなり、退職に追い込まれてしまうケースも少なくありません。
闇金問題は専門家に依頼して早期解決をしよう
前の項目でも触れたように、闇金の貸付は違法であるため元金に関しても返済義務はありません。
しかし、自身で返済義務がないことを闇金へ主張するのは困難でしょう。
そのため、法律の専門家である弁護士や司法書士に相談するのがおすすめです。相談することで闇金以外の借金問題の解決も期待できます。
専門家に相談して闇金と完全に手を切ろう
闇金の借金や返済の苦しみから逃れるには闇金との関係を断つことが唯一の方法であり、最善策です。
そのためにもまずは闇金からの督促を一刻も早くとめ、精神的に追い詰められた状態から脱出することが重要です。
弁護士や司法書士であれば依頼した当日に闇金と交渉し、督促を止めることも可能で、闇金の高圧的な交渉にもひるまず毅然とした態度で対応してくれます。
また、闇金も弁護士や司法書士が介入すると、交渉がもつれた場合に警察が介入してくる可能性があるとわかっているので、交渉に応じる可能性も非常に高くなります。
なお、弁護士や司法書士に依頼する際は、闇金問題に強い事務所へ相談しましょう。
弁護士や司法書士にも得意な分野があるので、闇金問題に強い事務所へ相談するのが確実な解決への近道です。
警察に相談しても闇金問題の解決は難しいケースが多い
闇金からの執拗な督促電話をはじめとする違法な取立て行為は、警察に助けを求めたくなりますが、警察では闇金問題の解決は難しいのが現実です。
そもそも警察は「民事不介入」が原則となっているため、借金問題については介入できません。
取立てにおいて器物損壊や暴力行為などがあれば、摘発に向けて動いてくれる可能性もあります。
しかし、闇金も警察の介入を避けるため、うかつに暴力をふるうなどの行動は取りません。
また警察の場合、闇金の取立て行為に違法性がある場合に摘発を目的に動くことになるため、捜査してもらうには証拠を提示する必要があります。
もしも、暴力行為などの証拠がある場合は、警察へ相談ではなく「被害届の提出」をするとよいでしょう。
専門家に相談をして闇金以外の借金問題も解決しよう
闇金との関係を完全に断つには督促を止めるだけでなく、闇金に頼らざるを得ない状況を改善する必要があります。
闇金を利用した人の多くが、借金の返済が滞っており、一般の貸金業者から借金をすることができないなど闇金に頼らざるを得ない状況にあります。
この根本的な原因である借金問題を解決しなければ、例え督促が止まったとしても再度闇金に手を出してしまう可能性もあるでしょう。
すでに返済できない状態まで追い詰められていても、借金問題は債務整理という方法で解決できる可能性があります。
手続の種類 |
得られる効果 |
任意整理 |
・月々の返済額を1/2程度まで減らせる
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自己破産 |
借金の返済義務をなくせる(借金をゼロにできる)
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個人再生 |
借金総額が概ね1/5程度になる(最大1/10にすることも可能)
|
もちろん、信用情報にキズがつくというデメリットもありますが、この点に関してはすでに信用情報にキズがついていれば実質的なデメリットにはなりません。
手続きを迷う必要はありませんので、できるだけ早めに解決に向け動きましょう。
まとめ
闇金の執拗な督促から一般人が逃げ切ることは現実的に不可能です。逃げようとしても闇金はどこまでも必ず追いかけてきます。
また、仮に自分がうまく逃げられたとしても闇金は職場や家族、友人の元まで督促先を広げ、周囲を巻き込んで追い込んできます。
闇金からの借入は、法的に返済不要であるからといって最初から借り逃げするつもりで闇金を利用するのは犯罪行為です。
警察から追われることになりますし、闇金もメンツがあるのでありとあらゆる手を使って追いかけてきます。また借り逃げをした場合、弁護士・司法書士であってもトラブルになることから依頼を断るケースも増えています。
闇金の督促から逃れる唯一の方法は闇金と関係を断ち、根本となる借金問題を解決することです。
弁護士や司法書士であれば相談したその日に闇金と交渉し、督促を止められる可能性があります。まずは督促を止め落ち着いた状態で根本的な借金問題の解決を検討するとよいでしょう。
借金問題についても弁護士や司法書士であれば、債務整理という方法で解決できる可能性があり、債務者の状況に合わせた最も有効な方法をアドバイスしてもらえます。
現在、闇金問題で悩んでいる方はすぐに相談し、闇金との関係を断ち根本的な借金問題の解決に向け動き出すことをおすすめします。
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闇金からの借り逃げについてよくある質問
闇金からの借入に返済義務はありますか?
闇金業者の貸付は出資法などの法律に違反しているケースが多く、違法に貸し付けられた金銭については元金を含めて返済義務はありません。よって闇金の支払い要求に応じる必要はありません。
闇金から借り逃げすることは可能ですか?
弁護士等のプロの介入を挟まず闇金からの借入を借り逃げするのは、現実的には非常に困難といえます。
闇金からの借り逃げが困難なのはなぜですか?
闇金は、以下のように周到な借り逃げ対策を講じているからです。
・借入をする本人だけでなく家族や職場の情報を聞き出す
・警察が介入できないギリギリのラインで嫌がらせ、プレッシャーをかけてくる
・引っ越し先などを特定できる裏のネットワークを持っている
・はじめは数万円しか貸付をしない
闇金から借り逃げする場合リスクはありますか?
昼夜問わず異常な回数の督促電話をかけてきたり、家族や職場にも取り立てするなど、闇金業者から執拗な嫌がらせを受ける恐れがあります。闇金から借り逃げをした場合、犯罪行為となり弁護士や司法書士から依頼を断られるケースもあります。
借り逃げ以外に闇金問題を解決する方法はありますか?
警察に相談しても闇金問題の解決は難しいケースが多く、闇金問題に対応できる弁護士や司法書士に依頼して対処してもらうのがおすすめです。弁護士・司法書士に依頼すれば、早ければ即日督促をストップし、闇金と手を切ることができます。また、闇金以外にも借金を抱えている場合も同時に解決してくれます。
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