職場を知られていないなら給料差し押さえは行われることはないのか?

給料差し押さえ 職場 わからない

ずっと滞納していた借金、ついに債権者から給料差し押さえの予告が届いてしまいました。
でも、債権者は私の職場なんてわかるはずないですよね?

債権者があなたの職場を知るのはそれほど難しくないでしょう。
最初の借り入れの時、契約書に職場を記入しませんでしたか?

それが・・・よく覚えていません。
契約書ももう手元にないし・・・。でも、数年前に転職しているので、もしかしたら契約書に書いたのは前の職場かもしれません。
職場が変わっていれば、調査できませんよね?

昔は強制執行をしても、債務者の財産がどこにあるかわからなければ空振りに終わることもありました。
しかし、2020年に民事執行法が改正され、債務者の逃げ得に対して厳しい処置がとられるようになっています。
差し押さえ予告は放置せず、早急に弁護士や司法書士に相談してください。

借金を滞納して債権者から給料差し押さえの予告通知が届いても、職場がわからないから大丈夫、とタカをくくって放置すると、本当に給料を差し押さえられてしまいます。

2020年に民事執行法が改正され、逃げ得を狙う債務者に対する罰則が強化されています。債権者から予告通知が届いたら放置は厳禁、すぐに回避のための行動に移らなければなりません。

実際に給料が差し押さえられると、以下を例とする厳しい状況に追い込まれてしまいます。

  • 毎月の手取り給与額が4分の3になって生活に困窮する
  • 会社に滞納がバレて信用を失う
  • 住宅ローンやその他の債務の返済計画が破綻する
  • ボーナスや退職金にも影響する

この記事では、給料差し押さえの厳しさを伝えるだけでなく、給料差し押さえを避けるためにできる最善の手段までしっかり導きます。

差し押さえ予告の段階であればまだ間に合いますので、この記事を参考に行動してみてください。

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この記事でわかること
  • 給料差し押さえから逃げるのは難しいということ
  • 給料差し押さえを受けた場合どのくらい受け取る給料が減るか
  • 給料差し押さえを受けても会社から解雇されることはない
  • 弁護士に相談すれば給料差し押さえを免れることが可能
  • 給料差し押さえを受けてしまったら債務整理で解決

給料差し押さえからは逃げられない理由

職場が分からなければ債権者から給料を差し押さえられることはないと思っていませんか?

借金を滞納しても、裁判で判決を取られても、債務者の財産がどこにあるかわからなければ差し押さえができないはずです。

しかし、以下のような理由で、給料差し押さえから逃げられません。

  • 契約書に勤務先を記載している
  • 会社側に拒否権がない
  • 民事執行法の改正により、逃げ得が許されなくなった

以下で、一つずつ解説します。

借入時の契約書に勤務先を記載しているから

一番最初に債権者から借り入れを開始する際に、契約書に勤務先と年収を記載していませんか?勤務先や年収を記載して、借り入れの審査を受けたはずです。

そのときから転職していなければ、債権者はあなたの職場を把握しているため、給料差し押さえを簡単にすることができます。

職場は差し押さえを拒否できないから

給料差し押さえに対して、会社は拒否できません。

債権者が強制執行の申し立てをすると、会社は「第三債務者」という立場になります。差し押さえに従わずにあなたに給与全額を支払ってしまうと、会社自身に返済義務が発生してしまうからです。

強制執行の申し立ては、以下のような流れで進みます。

  1. 債権者が裁判所に強制執行の申し立てをする
  2. 裁判所が確認し、問題がなければ給料差し押さえ命令を出す
  3. 給料差し押さえ命令が第三債務者である会社に届く
  4. 職場に命令が届いた約一週間後、債務者に差し押さえ命令が届く

債権者が強制執行の申し立てをすると、裁判所の給料差し押さえ決定は、あなたに通知される前に会社に通知されます。

同時に決定を送付して先に債務者に届いてしまうと、差し押さえを回避するために逃げられてしまう可能性があるからです。

あなたが知らないうちにあなたの給料が差し押さえられることが決まります。

第三債務者である会社は、拒否すれば自分自身が債務者となるため、給料差し押さえに対する拒否権はありません。

財産開示制度があるから

債務者の財産がどこにあるのかわからないことで、強制執行が申し立てられない、もしくは空振りに終わることを防ぐため、「財産開示制度」に対する罰則が強化されました。

今までの財産開示請求は、裁判所からの呼び出しを債務者が無視して出頭しなかった場合でも、最悪でも30万円の過料で済んでいたため、債務者の逃げ得がまかり通っていました。

しかし、令和元年の民事執行法改正(令和2年4月1日施行)により、財産開示制度が強化されました。

財産開示制度を無視すると、6ヶ月以上の懲役刑または50万円以下の罰金と、懲役刑に処せられる可能性もあります。

財産開示制度の罰則強化により、債務者の逃げ得が許されなくなったのです。

【財産開示制度とは】
債権者の申し立てにより、債務者が指定された期日に裁判所に出廷し、自分の財産を陳述しなければならない。裁判で判決をとるなど、債務名義を取得した債権者が確実に債権を回収できるように設けられた制度。財産開示手続 | 裁判所

給料差し押さえを回避する方法

裁判所から給料差し押さえの決定が届いたら、債務を完済するまで給料の中から一定額を自動的に差し引かれてしまいます。

受け取る給料が減ってしまったら、生活が厳しくなり、他の債務の返済も滞ってしまうでしょう。

給料差し押さえを回避するためには、以下の2つの選択肢しかありません。

  • 完済する
  • 債権者に解除してもらう

自力返済する

債務を自力で返済することにより、差し押さえを解除できます。債権者の目的は債務の回収なので、完済すれば給料差し押さえは当然解除されます。

自力で返済するには、以下のような方法があります。

  • ボーナスや退職金など、一時的な収入を利用する
  • 親族などから融資を受ける
  • 持っているブランド品や高額な電化製品などを売却して原資をつくる

逆にやってはいけないことは、利息の高い消費者金融や闇金などからお金を借りることです。

高い利息は、借金の返済に詰まる大きな原因です。給料差し押さえ回避のために新たに高利息の借り入れをしてしまうと、いずれその返済ができなくなって再び給料差し押さえを受けることになりかねません。

自力で返済するには、自分の財産から返済原資を作るか、もしくは低利息でお金を借りるようにしましょう。

弁護士などに債務整理を依頼するのが最善策

給料差し押さえを受けた、または受けそうで困ったら、弁護士や司法書士に相談するのが最もよい方法です。

専門家に依頼することで、給料差し押さえ解除に向けて債権者と有利な条件で交渉できる可能性もあります。

以下のボタンから、債務整理に強い弁護士・司法書士に繋がることができます。どの事務所も無料で相談を受け付けていますので、ぜひ利用してみてください。

差し押さえ前なら「任意整理」も可能

判決をとられていても、差し押さえ前なら弁護士が任意整理の交渉をして分割で返していくこともできます。

給料差し押さえの申し立ては債権者にとっても面倒な手続きなので、できれば任意で返済を受けたいと考えています。弁護士が介入して返済の交渉ができれば任意で債権回収ができるため、話し合いには応じてくれるでしょう。

ただし、差し押さえ後に任意整理を開始しても、自動的に給料差し押さえは解除できません。既に差し押さえをしている債権者からしたら、任意整理の交渉に応じなくても、完済まで自動的に返済を受けられるからです。

任意整理では、必ずしも債権者が差し押さえ解除に応じてくれるとは限りませんが、弁護士等の交渉次第では対応してくれる可能性もあります。

差し押さえ開始後は「個人再生」か「自己破産」

差し押さえ開始後でも、個人再生もしくは自己破産の手続きをとることで、給料差し押さえを解除することができます。

個人再生または自己破産の目的は債務の減額もしくは免除です。そのため、差し押さえにより回収されている債務もまた、手続きにのっとって減額・免除の対象となるからです。

個人再生では、裁判所に上申書を提出すると、第三債務者である会社が債権者への返済を中止します。会社は手続きが終わるまで返済予定額を内部で保管します。

債権者への返済分が債務者に入ってくるのは、個人再生計画認可決定が確定した後です(民事再生法第184条)。

すぐに全額受け取らなければ生活できない場合には「強制執行の取消命令の申立て」によって給料差し押さえを解除することもできます(民事再生法第39条2項)。

ただし、取り消し命令には厳しい要件が課せられています。手続きが数か月で終結することを考えると、上申書の提出の方が現実的かもしれません。

自己破産の場合は、破産手続き開始決定が出た時点(管財事件)もしくは免責許可決定が確定した時点(同時廃止事件)で給料差し押さえが解除されます。

<個人再生>
・「執行停止の上申書」により一時停止、再生計画の認可が決まったら解除
※一時停止中も債務者の受け取り額は4分の3、手続き終了後受け取れる
※「取り消し命令」ですぐに解除することも可能、ただし要件が厳しい。<自己破産>
・同時廃止事件:免責許可決定確定時に解除
・破産管財事件:破産手続開始決定時に解除

給料差し押さえで発生する3つの不利益

債権者に給料を差し押さえられると、以下のような不利益が生じます。

  • 給料の4分の1が減って生活が苦しくなる
  • ボーナスや退職金も減額される
  • 会社に借金滞納がバレて居づらくなる

以下で具体的に説明します。

①給料の4分の1が完済まで差し引かれる

給料差し押さえを受けると、債務を完済するまで毎月の給料から強制的に一定額が差し引かれます。しかし、毎月全額を持っていかれるわけではありません。

一般的に差し押さえられる金額は、手取り額の4分の1までです。ただし、手取り月収が44万円以上の場合、受け取る給与額は33万円となり、それ以上は全額差し引かれます。

給料差し押さえは、債務者の手取り額によって割合が決まりますので、税金や保険料には影響はなく、今までどおり差し押さえ前の金額に対して賦課されます。

ワンポイント解説

【給料差し押さえの額】
・手取り給料44万円以下の場合:手取り額の4分の1まで
・手取り給料44万円以上の場合:手取り給与額から33万円を差し引いた額

差し押さえの例
手取り給料20万円の場合:差し押さえ5万円、手取り給料15万円
手取り給料50万円の場合:差し押さえ17万円、手取り給料33万円

給料の差し押さえを受けると、毎月の生活が厳しくなるでしょう。他に債務を抱えている場合は特に、返済計画が破綻してしまいます。

生活費が足りず窮地に追い込まれる前に、弁護士・司法書士に相談しましょう。

②ボーナスや退職金も差し押さえ対象となる

給料差し押さえの対象は、給料だけでなくボーナスや退職金にも及びます。

ボーナスと給料が両方支給される月には、両方から差し押さえ分が引かれます。ボーナスからの差し押さえ額も、給与の差し押さえ額と同じです。

さらに、退職金も給料に準じたものとして差し押さえの対象となります。

すぐに退職する予定がなくても、「退職金を受領する権利」を押さえられるので、差し押さえ時を基準としたときの見込み額に対して4分の1を差し押さえられます。

退職金まで差し押さえられると、住宅ローンの返済計画や、次の会社に移るまでの生活費に窮することもあるでしょう。

③会社に借金の滞納がバレる

給料を差し押さえられると、当然会社に借金を滞納していたことがバレてしまいます。

差し押さえから債務者が逃げないように、差し押さえ命令は債務者に届く前に会社に通知されます。

会社は毎月の給料支給の際に差し押さえ金額を計算し、4分の1を直接債権者に送金、残りを債務者に支給しなければなりません。

給料差し押さえを原因に解雇はされない

給料差し押さえを受けて会社に迷惑をかけたからといって、会社を解雇されることはありません。

解雇は労働基準法により厳しい規制を受けているため、差し押さえを受けたからという理由で会社は従業員を解雇することはできません。

ただし、会社に借金滞納がバレることでうわさが広がって信用を失い、今後の査定にも影響するかもしれません。

状況によっては会社に居づらくなり、退職を余儀なくされる可能性すらあるのです。

給料差し押さえ中に転職するとどうなる?

「給料が差し押さえられてしまったら、最悪転職してしまえばいい」

今の会社に思い入れがなければ、そのように思うかもしれません。実際、給与差し押さえ中に会社を辞めて転職すると、どうなるのでしょうか。

退職金が差し押さえられる

当然退職金の差し押さえを受けます。

退職金は次の職場を見つけるまでの重要な収入となるはずですが、それも差し押さえられることになります。

差し押さえられる額は給料と同じく、手取りの4分の1までです。

ただし、会社ではなく中小企業退職金共済によって支給される退職金や、確定拠出年金というかたちで支給される退職金には差し押さえの効果は及びません。

給料差し押さえがとまる

第三債務者であった会社を退職すれば、給料差し押さえは止まります。

その後別の会社に就職すれば、その会社が債権者に判明しない限り差し押さえからは逃れられます。

ただし、残債務は消えないうえに遅延損害金がついていくので、残債務額はどんどん膨らむことになります。債務が膨らめば、結局返済につまり、自己破産でしか解決ができなくなってしまう可能性もあります。

偽装退職は通じない

給料差し押さえに、「偽装退職」は通用しません。

実際にあった事例として、給料差し押さえを回避するために、会社と組んで一度退職した形をとり、給料差し押さえを止めてから、その後同じ会社に再就職したというケースがありました。

この事例では、従来の給料差し押さえ命令は、再雇用後の給料にも効果が及ぶと判示されました(最判昭和55.1.18)。

まとめ

給料差し押さえが開始される前に、弁護士や司法書士に相談してください。差し押さえを回避するよう債権者と交渉し、生活再建をサポートしてもらえます。

債権者に職場がわからないなら給料差し押さえは逃れることができます。しかし、以下の理由により給与差し押さえを逃れ続けるのは難しいでしょう。

  • 借り入れの申し込み時に勤務先を記載しているため
  • 法改正により「財産開示制度」の罰則が強化され、逃げ得が許されにくくなったため
  • 会社は給与差し押さえを拒否できないため

給料差し押さえを受けると、毎月の手取り給料が4分の3になってしまいます。債権者は4分の1の額を完済まで毎月自動的に受け取ることができます。

ボーナスや退職金からも、4分の1が引かれてしまいます。

給料差し押さえが開始されると、たちまち生活が困窮します。他にも借金がある場合は、返済計画が破綻してしまうでしょう。

給料を差し押さえられた、または差し押さえの危機が迫っている場合は、弁護士や司法書士に早急に債務整理の相談をしましょう。

給料差し押さえに対するQ&A

自分の職場は債権者にバレてしまうでしょうか?

貸金業者と契約した時に勤務先の情報は必ず記入しているはずです。そこから変わっていなければ債権者はすぐに給料差し押さえをかけることができます。

最近民事執行法が改正され、債務者の逃げ得が許されにくくなりました。職場が変わっていても基本的には逃げられないため、早急に弁護士に相談をしてください。

給料を差し押さえられたら、転職してしまえば逃げられますよね?

差し押さえる前に転職してしまえば、債権者は債務者がどこの会社に転職したかわからないでしょう。

ただし、退職金が差し押さえられたり、財産開示制度によって勤務先の情報を出さなければならないこともあるため、逃げ切れるとは限りません。

給料差し押さえを受けたら、どのくらい給料が持っていかれますか?

給料の差し押さえの限度は、手取り月収が44万円以下であれば手取り額の4分の1まで、手取り月収が44万円以上なら、手取り月収から33万円を差し引いた金額が差し押さえの対象となります。
差し押さえは毎月の給料だけでなく、ボーナスや退職金も対象です。

給料差し押さえをされたら、会社に解雇されてしまいますか?

給料差し押さえを原因に会社が従業員を解雇することはありません。従業員の権利は強く、労働基準法で解雇は制限されているからです。

しかし、給料差し押さえが知られたことで信用を失うことや、人事査定に影響が出る可能性は否定できません。

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