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2024年11月現在

借金地獄とはどのような状態?典型的末路や抜け出す方法について

ギャンブル依存症や浪費癖のために、借金地獄に陥っている人は少なくありません。

また現代社会では、住宅ローンや車のローン、奨学金など、借金を抱えている人の割合は多く、借金地獄に陥る可能性は誰にでもあります。

借金地獄とは、完済の目途が立たないほど多額の借金を抱え、いくら返済しても借金が減らない状態をいいます。返済のために借金を重ね、複数社から借入をしている多重債務の状態の人や、借金を滞納している人などが該当します

借金地獄から抜け出すには、借金の把握と正しい家計の管理が重要です。しかし、すでに自力での解決が難しい人も多いでしょう。

その場合は、弁護士や司法書士へ債務整理を依頼するのがおすすめです。

債務整理とは、借金の利息や元金をカットまたは減額する手続きで、以下の3種類があります。

任意整理 将来利息をカットや減額し、残りを3〜5年で分割返済する手続き。
月々の返済額を1/2程度まで減らせる場合が多く、場合によっては返済額が1/3以下になる可能性もある。
自己破産 20万円以上価値のある財産を手放す代わりに、借金全額の支払義務が免除される手続き。
免責が下りれば借金がゼロになる。
個人再生 財産を手元に残したまま、借金を約1/5に圧縮し3〜5年で分割返済する手続き。
借金総額や資産状況にもよるが、月々の返済額は3〜8万円程度になる場合が多い。

債務整理をすれば、毎月の返済額を減額できます。また支払いを一時ストップすることができ、債権者からの督促もなくなります。

ただし債務整理を行うと、信用情報に事故情報が記載されます。事故情報は5~7年程度で消えますが、記載されている間はクレジットカードの申込や利用、ローン契約などができなくなります。

そのため債務整理を検討する際は、親族を頼ったり低金利の業者に借り換えたりといった対策を講じても返済ができない場合の最後の手段と考えるべきでしょう。

なお債務整理を検討する際は、弁護士や司法書士に相談するのがおすすめです。いきなり弁護士や司法書士はハードルが高いという人は、以下の減額チェッカーを利用してみてください。結果を見て、そのまま弁護士や司法書士へ無料相談もできます。

本記事では、借金地獄とはどんな状態なのかや借金地獄に陥る原因、抜け出す方法を解説します。借金地獄に陥った際に起こり得るリスクやデメリット、借金地獄に陥りやすい人の特徴、気をつけるべきこともまとめました。

借金地獄から抜け出すための参考にしてください。

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監修
ゆら総合法律事務所
阿部 由羅(弁護士)

「借金地獄」とは多額の借金を抱えいくら返済しても借金が減らない状態

「借金地獄」とは、完済の目処が立たないほど多額の借金を抱え、いくら返済しても借金が減らない状態を指します。

いくら返済しても借金が減らない原因はさまざまですが、以下の状態の場合は借金地獄であるといえるでしょう。

  • 借金を滞納している
  • 借金返済のために借入している
  • 長年返済しているのに元金が減らない
  • 3社以上の金融機関から借入している
  • 借金総額が100万円を超えている
  • 借金総額が年収の1/3を超えている
  • 闇金からお金を借りている
  • いつも借金のことで頭がいっぱいで精神的に辛い

それぞれ解説します。

借金を滞納している

借金を滞納していると、滞納1日ごとに遅延損害金と呼ばれる損害賠償金を請求されます。

遅延損害金の利率は、一般的に通常の利息より高く設定されているので、滞納せず借金をしている場合より早いスピードで借金額が増え、借金地獄に陥る恐れがあるでしょう。

そもそも、借金を滞納している時点で自力では返済できなくなっており、自分の支払能力を超える借金を抱えていると考えられます。

自分の支払能力を超える借金は、完済の目処を立てることが難しく、借金地獄に陥っている可能性が高いです。

借金返済のために借入している

返済資金の工面に困ると、新たな借入をして返済資金を用意する人がいます。しかし、借金返済のための借入は、借金地獄に陥る原因となる可能性が高いです。

たとえば、金融機関Aから借入をしており、毎月5万円ずつ返済しているとします。Aへの返済が苦しくなり、金融機関Bから5万円借りてAへ返済した場合について考えてみましょう。

このとき、Aに5万円を返済しても利息へ充当される部分があるため、実際に減るAの借金は5万円より少ないです。そして、Bから借りた5万円を返済する際には、利息を上乗せして返さなければならないため、実際に返済しなければならない金額は5万円より多くなります。

このように、返済のための借入を繰り返していると利息がかさみ、借金が雪だるま式に増えて借金地獄に陥ってしまうのです。

長年返済しているのに元金が減らない

何年も借金の返済を続けているにもかかわらず、元金が一向に減らない場合は、借金地獄の状態といえるでしょう。

元金の減りが悪い場合、毎月の返済額がほとんど利息の支払いに充てられている可能性が高いです。

たとえば、年率18%の金利で毎月2万円ずつ返済しており、借金残高が100万円の場合について考えてみましょう。この場合、次月に支払う利息額は以下のとおりです。

100万円×18%÷365日×30日=14,795円

つまり、次月に支払う返済額のうち、約3/4は利息の支払いに充てられることになります。

元金の返済に充てられる金額を増やし、早く借金を完済するには、毎月の返済額を増やす、または金利の低いローンへ借り換えるなどの対処が必要です。

3社以上の金融機関から借入している

3社以上の金融機関から借入をしている場合、複数社から借入をしている多重債務の状態であり、借金地獄に陥っている可能性が高いです。

複数社から借入をしている場合、借入の理由が「返済資金を用意するため」であるケースが多いです。新たな借入をしないと返済資金を工面できないということは、自力での返済が困難になっている証拠であり、支払能力を超える借金を抱えているといえるでしょう。

前述したように、自分の支払能力を超える借金は完済の目処を立てることが難しく、いくら返済しても借金が減らない借金地獄に陥っている可能性が高いといえます。

借金総額が100万円を超えている

一般社団法人 全国銀行協会が2020年1月に行った「銀行カードローンに関する消費者意識調査」では、銀行カードローンや貸金業者を利用している20歳から69歳の男女2,339人を対象に、現在の借入総額を調べました。

その結果は以下のとおりです。

現在の借入総額 銀行&貸金業 銀行のみ 貸金業のみ
1~10万円 11.9% 21.9% 27.8%
11~30万円 15.4% 19.0% 21.4%
31~50万円 16.2% 12.7% 15.3%
51~100万円 17.6% 13.2% 17.6%
101~200万円 16.5% 13.6% 9.3%
201~300万円 8.3% 6.2% 2.8%
301~400万円 4.0% 3.8% 2.5%
401~500万円 2.9% 0.7% 0.8%
501~600万円 2.0% 0.5% 0.2%
601~800万円 1.9% 0.2% 0.4%
801~1000万円 1.0% 0.4% 0.6%
1000万円超 2.5% 7.8% 1.1%
平均借入総額 156.2万円 165.5万円 80.2万円

※銀行&貸金業・・・銀行カードローンも貸金業者も利用している人
※銀行のみ・・・銀行カードローンのみ利用している人
※貸金業のみ・・・貸金業者のみ利用している人

上表をもとに、100万円を超える借入がある人の割合を計算すると、下表のようになります。

銀行&貸金業 銀行のみ 貸金業のみ
39.1% 33.2% 17.7%

この調査結果から、借入先に関わらず100万円を超える借入がある人は全体の40%以下であることがわかりました。

つまり、全体の60%以上は借入総額が100万円以下となっています。したがって借金総額が100万円を超えている場合は、他の人より多額の借金を抱えた借金地獄の状態に陥っている可能性があるでしょう。

参照:「銀行カードローンに関する消費者意識調査」の調査結果について | 2020年 | 一般社団法人 全国銀行協会

借金総額が年収の1/3を超えている

たとえ借金総額が100万円以下だったとしても、年収の1/3を超える借入がある場合は、自分の支払能力を超える借金を抱えた借金地獄の状態に陥っている可能性があります。

総量規制という法律により、個人が借入できる金額は年収の1/3までと定められています。

総量規制・・・貸金業者から借りられるお金の総額が本人の年収の1/3を超えてはならないとする法律。貸金業法第13条の2第2項が総量規制を定めた条文に該当する。

銀行からの借入やクレジットカードのショッピング枠など、総量規制の対象外となる借入もあるため、実際には年収の1/3を超える金額を借りられることもあります。

ただし、総量規制で定められた借入額の上限は、一般的にその人が返済可能な金額の目安にもなっています。そのため年収の1/3を超える借金は、自分の支払能力を超えていると考えたほうがよいでしょう。

参照:貸金業法第13条の2第2項 | e-Gov法令検索

闇金からお金を借りている

闇金からお金を借りている人は、借金を滞納してブラックリストに載っているなど、何らかの理由で正規の貸金業者から借入ができなくなり、闇金に手を出してしまったケースがほとんどです。

つまり「闇金から借りている=すでに借金を返済できない状況になっている」というケースがほとんどなので、自分の支払能力を超える借金を抱えた借金地獄の状態に陥っているといえます。

また、闇金の手口で、返済方法をわざと債務者に伝えず返済できないようにしておいて、返済期日を過ぎてからとても払えないような高額な利息を請求するというものがあります。

そうして、いつまでも借金を完済できないようにしておいて、高い利息だけを永遠に搾り取ろうとするのです。

このように、闇金からお金を借りてしまうと、返済を妨害されたり高額な利息を請求されたりする恐れがあります。いくら返済しても借金が減らない借金地獄に陥ってしまう可能性が高いです。

いつも借金のことで頭がいっぱいで精神的に辛い

借金は、金銭的な余裕だけでなく精神的余裕も奪います。

いつも返済のことを考えていて、栄養の少ない安い食事でお腹を満たしたり、精神を安定させるためにお酒に頼って体を壊したりする人も少なくありません。

また、常にイライラして家族や友人にあたってしまい、大切な人との人間関係を壊してしまう恐れもあります。

ここまで紹介した項目に当てはまらなくても、借金の返済によって精神的に追い詰められていると感じているなら、借金地獄に陥っている可能性が高いでしょう。

精神的に追い詰められてしまうと、うつ病などになって働けなくなり、さらに生活が困窮するリスクもあります。そうなれば、借金地獄から抜け出すことがさらに難しくなるため、弁護士や司法書士など、借金問題解決の専門家に相談してください。

借金地獄に陥る原因

ここまで「借金地獄とはどのような状態か?」について解説してきましたが、そもそも借金地獄に陥ってしまうのはなぜなのでしょうか?

現代社会では、住宅ローンや車のローン、奨学金など、借金を抱えている人の割合は多く、借金地獄に陥る可能性は誰にでもあります。

実際に借金地獄に陥ってしまう原因は人それぞれですが、代表的なものには以下があります。

  • ギャンブル依存症や浪費癖
  • クレジットカードの支払管理ができていない
  • 生活環境の変化
  • 投資や起業の失敗
  • 医療費や介護費用による家計の圧迫
  • 住宅ローンや奨学金の返済
  • 結婚式などの冠婚葬祭費用
  • 借金の肩代わり

詳しく解説します。

ギャンブル依存症や浪費癖

  • パチンコ
  • パチスロ
  • 競馬
  • 競輪
  • 競艇
  • オンラインカジノ
  • オートレース
  • 麻雀

これらのギャンブルは、お小遣いの範囲内で楽しむ分にはまったく問題ありません。しかし、自分の意志で制御できなくなっているなら、生活費を使い込み借金をしてもなおギャンブルがやめられない依存症の状態になっている恐れがあります。

この場合、早めに対処しないと自力で返済できないほど借金が膨れ上がり、借金地獄に陥ってしまう恐れがあるでしょう。

また「新発売や流行り物が大好きでつい買ってしまう」「手持ちのお金はないけどカード払いですぐ高額な買い物をする」といった、いわゆる浪費癖のある人も借金地獄に陥りやすい傾向にあります。

このような人は、クレジットカードのショッピング枠の残高が借金であることに気づいておらず、知らない間に借金が膨れ上がってしまうのです。

ストレスを買い物や風俗、キャバクラなどにお金をつぎ込むことで発散させている人も危険です。

浪費することで一時的に欲求は満たされるでしょう。しかし根本的な原因が改善されない限り、浪費を繰り返してしまうため、手持ちのお金がなくなっても浪費がやめられない恐れがあるのです。

そして、ギャンブル依存症と同様、生活費を使い込み借金にまで手を出してしまう可能性が高くなります。

ギャンブル依存症や浪費癖が原因で借金地獄に陥っている場合、借金がなくなってもまた同じことを繰り返すケースが多いです。そのため借金問題について弁護士・司法書士などの専門家に相談しつつ、依存症治療の専門機関へ相談するとよいでしょう。

クレジットカードの支払管理ができていない

クレジットカードは上手に使えばポイントが貯まりますし、クレジットカード払いを選択することでお得に利用できるサービスもあります。

ただし、お金が減っていることを認識しづらく、ついつい使いすぎてしまう人も多いです。

利用明細をこまめに確認し、支払管理がきちんとできているのであれば問題ありません。しかし自分がいくら使ったのか把握していない人は、支払日までカードを使いすぎたことに気づかない恐れもあります。

また、クレジットカードを利用するうえで、とくに注意したいのが「リボ払い」です。

リボ払い・・・クレジットカードの利用残高にかかわらず、毎月一定の金額で返済する支払方法。

リボ払いは月々の返済額が変わらないので、家計管理がしやすいというメリットがあります。一方で、どれだけ高額な買い物をしても翌月の引き落とし額は変わりません。そのため一括払いで利用しているときよりも、利用残高が高額となっていることに気づきにくいデメリットもあるのです。

くわえて、リボ払いを利用すると、一般的に年率15%程度の高額なリボ払い手数料を支払わなければなりません。月々の返済額によっては、返済した金額のほとんどが手数料の支払いに充てられ、思ったほど元金が減らない状況に陥りやすいです。

結果、知らない間に借金が膨れ上がり、自分の支払能力を超えた借金を抱える借金地獄の状態に陥ってしまいます。

生活環境の変化

  • リストラや派遣切りにあった
  • 体調を崩し働けなくなった
  • 結婚・出産を期に仕事を退職した
  • 子供の進学に伴い教育費の負担が大きくなった
  • 親元を離れて一人暮らしを始めた

このような生活環境の変化が起こると、収入が下がる、または必要な生活費が増えるため、生活費が不足してしまいます。そのため借金せざるを得ない状況に追い込まれてしまう人も多いです。

環境の変化が一時的なものであれば、すぐに借金を完済できるでしょう。しかし、生活費の不足した状態が長く続いてしまうと、生活費と借金の返済資金を確保するために、新たな借金を重ねてしまう可能性が高いです。

とくに、近年では不況や新型コロナウイルスの影響により、収入が減ったり失業したりするケースも多くあります。すでに借金があった人の中には、返済が厳しくなったり、借入額が増えて借金地獄に陥ってしまったりする人も少なくありません。

投資や起業の失敗

FXや不動産、仮想通貨などへの投資に失敗して借金を抱えてしまう人もいます。

とくに、FXはレバレッジという仕組みを利用して手持ち金以上の取引ができるため、借金を作ってしまいがちです。手持ち金の何倍もの利益が狙える代わりに、損失が出る場合も手持ち金以上となる恐れがあり、借金地獄に陥る原因になりやすいです。

また、起業したものの思うようにいかず、借金を背負ってしまう人も多いです。

事業が軌道に乗らないと、資本金の準備や諸経費のために借りたお金を返済できる見込みが立たず、また脱サラしたために生活費も工面できなくなり借金地獄に陥ってしまうのです。

医療費や介護費用による家計の圧迫

自分や家族が病気を患ってしまったり、介護が必要になったりすると、高額な医療費や介護費用が必要になるケースもあります。

医療費や介護費用の負担が大きい場合、収入だけでは費用を賄えず、借金に手を出してしまう人も少なくありません。

また、つきっきりで世話をするために自分や家族が仕事を退職した場合は、収入が減ってさらに借金地獄に陥ってしまう可能性が高くなるでしょう。

住宅ローンや奨学金の返済

住宅ローンや奨学金は、長期返済が必要な借金の代表例です。

完済するためには継続して安定した収入を得る必要がありますが、長い返済期間中に病気や転職などの人生の転機があれば、一定以上の収入を維持するのが難しい場合も多いでしょう。

収入が減った場合、とくに住宅ローンに関しては家族との思い出が詰まった住宅を手放したくない人が多く、借金をしてでも返済資金を工面しようとする人が少なくありません。

返済資金を工面するために新たな借金をしてしまうと借入先が増え、さらに月々の返済負担は大きくなります。その結果、借入額が徐々に増えて、いくら返済しても借金が減らない借金地獄に陥ってしまうのです。

結婚式などの冠婚葬祭費用

結婚式などの冠婚葬祭は、急にまとまったお金が必要になるため、借金に手を出すきっかけとなりやすいです。

1度だけなら、ボーナスなどの臨時収入があった時点ですぐに返済すれば問題ありません。しかし、同じ時期に何度も重なると、借金が膨れ上がる原因となる恐れがあります。

また、冠婚葬祭をきっかけに借金をすることへの心理的ハードルが下がり、借金癖がついて借金地獄に陥ってしまう人も多いです。

借金の肩代わり

親族や友人がした借金の保証人になっていた場合、何らかの理由で債務者(実際にお金を借りた人)が返済できなくなると、借金を抱えてしまいます。

保証人を必要とする借金は、住宅ローンや事業性ローン、奨学金など、高額な借金である場合が多いです。

また、保証人であれば複数の保証人が設定されていた場合、借金を保証人の頭数で割った分のみ返済すればよいですが、連帯保証人の場合は他に何人保証人や連帯保証人がいても、借金全額について返済義務を負わなければなりません。

そのため、ある日突然高額な借金を抱え、借金地獄に陥ってしまう可能性が高いのです。

借金地獄から抜け出す方法

もし、あなたがすでに借金地獄に陥っているなら、早めに対処しないと抜け出すのはどんどん困難になっていきます。

とはいえ、クレジットカードの現金化や闇金の利用など、間違った対処をしてしまうと、状況を悪化させてしまう恐れもあります。

借金地獄から抜け出すための正しい方法は以下のとおりです。

  • 生活費を見直す
  • 副業をして収入を増やす
  • 金利の低いローンへの借り換えやおまとめローンを利用する
  • 債務整理で借金を減額・免除する

それぞれ解説します。

生活費を見直す

最も簡単にできる方法は、生活費の見直しです。

とくに、毎月一定の金額を支払っている固定費を見直すと、格段に返済資金の捻出が楽になる可能性があります。

見直すべき固定費は、主に以下のものがあげられます。

  • 家賃
  • 電気やガスなどの光熱費
  • 携帯電話代や光回線料金などの通信費
  • 生命保険・損害保険・自動車保険などの保険料
  • 動画や音楽配信サービスなどのサブスクリプション利用代金

他にも「自炊中心の生活に変えたりマイボトルを持参して食費を下げられないか?」「一駅歩いて交通費を浮かせられないか?」など、健康やダイエット目的で楽しみながら節約できるところを探してみましょう。

副業をして収入を増やす

収入が低く返済資金を確保できない場合は、副業をして収入を増やすことも検討してみてください。

現在ではさまざまな方法でお金を稼げるようになっており、本業に影響を与えず隙間時間を有効活用して稼げる副業がたくさんあります。

借金返済におすすめの副業は、以下のとおりです。

  • クラウドソーシング
  • せどり
  • アフィリエイト
  • アンケートモニター
  • アルバイト

なお、単発バイトアプリを利用すれば「できるだけ高時給のバイトがいい」「1日だけ働きたい」などといった希望に沿ったバイトを簡単に探せます。履歴書なし・面接なしで簡単に応募できるので、積極的に活用しましょう。

また、イラストやネイルチップ、ハンドメイド品などは、サイトを立ち上げ販売することで利益を得られる可能性もあります。

以下の記事では、上記で紹介した借金返済におすすめの副業について、それぞれの特徴や取り組む際の注意点を詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。

金利の低いローンへの借り換えやおまとめローンを利用する

金利の低いローンへの借り換えや、おまとめローンの利用により、借金地獄から抜け出せる可能性もあります。

たとえば、100万円を年率17%で返済している場合、年率15%の商品に借り換えて返済した場合と比べて支払う利息総額には以下のような違いが生じます。

返済期間 利息総額(年率17%の場合) 利息総額(年率15%の場合)
2年 186,608円 163,664円
3年 283,472円 247,940円
4年 385,040円 335,840円
5年 491,120円 427,340円
6年 601,712円 522,440円
10年 1,085,480円 935,960円

上表からわかるとおり、金利が下がることで借金の返済負担は大幅に軽減することが可能です。

複数社から借入をしている場合は、おまとめローンで借金を一本化することにより、返済日や返済方法が統一され、支払いの管理がしやすくなります。また、借金をまとめて元金が大きくなることにより、適用される金利が下げられる効果も期待できます。

ただし、金利の低いローンへ借り換えたりおまとめローンを利用しても、月々の返済額によっては返済期間が長期化し、結果的に多額の利息を支払うことになるケースもあります。申込む前に詳細な返済シミュレーションを行い、慎重に検討するようにしてください。

債務整理で借金を減額・免除する

ここまで紹介した方法でも借金地獄から抜け出せない場合、すでに自力で借金問題を解決することは難しい状況に陥っていると考えられます。

これ以上状況が悪化する前に借金地獄から抜け出したいなら、一刻も早く借金問題解決の専門家である弁護士や司法書士に相談しましょう。債務整理という手続きによって借金を減額または免除してもらえるので、借金地獄から確実に抜け出せます。

債務整理とは、借金の利息や元金をカットまたは減額する手続きで、単なる節約法とは違い、借金自体の負担を減らせるのが特徴です。

ただし債務整理を行うと、信用情報に事故情報が記載されます。事故情報は5~7年程度で消えますが、記載されている間はクレジットカードの利用やローン契約、スマホ本体の分割払いなどができなくなります

そのため債務整理を検討する際は、親族を頼ったり低金利の業者に借り換えたりといった対策を講じても返済ができない場合の最後の手段と考えるべきでしょう。

次の項目から、債務整理の具体的な手続き内容や債務整理を行うメリット、債務整理を検討すべきタイミングなどについて詳しく解説します。

債務整理を行うことで毎月の返済額を減額可能

債務整理には主に3つの種類がありますが、すべての手続きに共通しているメリットは、毎月の返済額を減額できるという点です。

各手続きについて、その特徴や「毎月の返済額がどれくらい減るのか?」についてまとめると、以下のとおりです。

任意整理 将来利息をカットや減額し、残りを3〜5年で分割返済する手続き。月々の返済額を1/2程度まで減らせる場合が多く、場合によっては返済額が1/3以下になる可能性もある。 手続きの詳細はコチラ
自己破産 20万円以上価値のある財産を手放す代わりに、借金全額の支払義務が免除される手続き。免責が下りれば借金がゼロになるので、月々の返済額もゼロになる 手続きの詳細はコチラ
個人再生 財産を手元に残したまま、借金を約1/5に圧縮し3〜5年で分割返済する手続き。借金総額や資産状況にもよるが、月々の返済額は3〜8万円程度になることが多い。 手続きの詳細はコチラ

どの方法を選択するかによって「毎月の返済額がいくら減るのか?」や、メリット・デメリットなどは異なります。自分にとって最適な方法を知りたい場合は、弁護士や司法書士に借入状況や資産状況を詳しく説明し、アドバイスをもらうとよいでしょう。

当サイトでは、無料相談を受け付けている弁護士事務所・司法書士事務所を多数紹介しているので、ぜひ気軽に利用してください。

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債務整理を行えば支払いを一時ストップ可能

債務整理を依頼すると、弁護士や司法書士が債務者の代わりに、債権者と交渉したり必要な手続きを行ってくれたりします。

債務整理の手続きは一般的に半年〜1年かけて行われますが、この期間は債権者への支払いを一時的にストップしてよいことになっているのです。

また、債務整理を依頼すると、弁護士や司法書士は債権者に対して受任通知を送ります。

債権者が受任通知を受け取ると、債権者から債務者に対する督促はストップします。これは、受任通知を受け取った後の債務者に対する直接の取り立て行為が、貸金業法第21条で禁止されているからです。

債務者は、債務整理を依頼してすぐに、精神的負担となっていた支払いや督促から解放してもらえるのです。

参照:e-Govポータル「貸金業法第21条」

債務整理を検討すべきタイミング

ここまで、債務整理によって借金地獄から抜け出すメリットについてお伝えしましたが、それでも「自分は債務整理をするべき状況なのか」判断がつかないという人もいるかもしれません。

そこで、この項目では「債務整理を検討すべき10個のタイミング」についてお伝えします。

もし、以下の項目のうちどれか一つでも当てはまるなら、債務整理を検討すべきタイミングが来ていると考えてください。

  • 借金返済を滞納しはじめている
  • 月々の返済が負担に感じはじめて1年経つ
  • 何度も借金を繰り返して「借金癖」がついている
  • 「借金返済のための借金」をしていて完済できる見込みがない
  • 月々の返済額が月収の1/3以上になっている
  • 休職や退職で収入が減ったorなくなった
  • 借金をしている会社が3社以上ある【多重債務】
  • 利息分の支払いしかできず元本が減らない
  • 利息が高すぎると感じた
  • 結婚を機に借金を清算したいと感じた

なお、当サイトでは無料相談を受け付けている弁護士・司法書士を多数紹介しているので、借金問題に関するアドバイスを受けることをおすすめします。

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債務整理を検討すべきタイミングについてさらに詳しく知りたい人は、以下の記事も併せて参考にしてください。

借金地獄に陥った際に起こり得るリスクやデメリット

借金地獄に陥った場合、具体的にどんなリスクやデメリットがあるのか、気になっている人も多いでしょう。

起こり得るリスクやデメリットは、主に以下のとおりです。

  • 借入を繰り返しどの金融機関からも借りられなくなる
  • 闇金から借入をして執拗な取り立てや嫌がらせを受ける
  • 生活費が不足し家族の生活に悪影響が出る恐れもある
  • 借金を滞納しさまざまなリスクやデメリットを被る
  • 借金が原因で離婚や自殺に至る恐れもある

順番に解説します。

借入を繰り返しどの金融機関からも借りられなくなる

借金地獄に陥り、返済資金を用意するために借入を繰り返していると、やがて借入額が年収の1/3に達してしまうでしょう。

前述したように、総量規制という法律によって、個人が借入できる金額は年収の1/3までと定められています。

総量規制に違反すると厳しい行政処分の対象となるため、正規の貸金業者が年収の1/3を超える貸付を行うことはありません。

そのため、借入額が年収の1/3に達した時点で、どの金融機関からも借りられなくなると考えられます。

闇金から借入をして執拗な取り立てや嫌がらせを受ける

正規の貸金業者から借りられなくなった場合、多くの人が闇金に手を出してしまいます。

闇金とは、法律を無視して営業している違法な貸金業者で、法外な高金利で貸付を行う業者です。

闇金から借入をした場合、その金利は正規の貸金業者とは比べ物にならないほど高いため、さらに返済が厳しくなりいつまでも利息を搾り取られてしまいます。

もし、闇金の請求どおりに返済できなければ、法律を無視した執拗な取り立てや嫌がらせを受け、精神的に追い詰められてしまうでしょう。

生活費が不足し家族の生活に悪影響が出る恐れもある

借金地獄に陥ってしまうと、自分だけでなく家族の生活にも悪影響を及ぼす恐れがあります。

生活費が不足すると家計のやりくりが大変になりますし、住宅ローンを払えなくなった場合は、引っ越しを余儀なくされるでしょう。

また、塾や習い事をやめなければならなかったり、希望する学校への進学を諦めなければならなかったりするかもしれません。

もし、闇金からも借入があるなら、家族が闇金から借金の肩代わりを要求される恐れもあるのです。

借金を滞納しさまざまなリスクやデメリットを被る

借金地獄に陥ると、次第に返済するのが厳しくなり、いずれ滞納してしまいます。

借金の滞納には以下のようにさまざまなリスクやデメリットがあり、借金地獄に陥ることで、それらを被ることになるのです。

  • 1.遅延損害金が発生する
  • 2.金融機関から繰り返し督促を受ける
  • 3.家族や勤務先、近所に借金をしていることが知られる恐れもある
  • 4.ブラックリストに載る
  • 5.裁判を起こされ給料や財産を差し押さえられる

次の項目から、それぞれのリスクやデメリットについて、詳しく解説します。

1.遅延損害金が発生する

返済が遅れると、返済日の翌日から遅延損害金が発生します。滞納分を返済する際には、通常の利息とは別に遅延損害金を支払わなければなりません。

遅延損害金の金額は、次の式で求められます。

遅延損害金=元金×遅延損害金利率÷365(日)×滞納日数

仮に、100万円の借金を30日間滞納した場合、遅延損害金がいくらになるのか計算すると、以下のとおりです。(遅延損害金利率は20%とします)

100万×0.2÷365×30(日)=約16,438(円)

上記の式からわかるとおり、遅延損害金の金額は滞納期間が長くなるほど大きくなります。しかも、遅延損害金の利率は通常の利息より高く設定されている場合がほとんどなので、早いスピードで借金が増えていくことが予想できるでしょう。

そのため、できるだけ早く滞納を解消することが大切です。

2.金融機関から繰り返し督促を受ける

返済期日から数日が経過すると、債権者から電話メールで連絡が来ます。連絡が来るのは通常、本人の携帯電話のみで、その内容は滞納状況の共有や返済可能日の確認など、事務的な連絡である場合がほとんどです。

債権者からの電話やメールを無視してしまうと、次に郵便で督促状が送られてきます。督促状は、最初「入金をお忘れではありませんか?」と優しく返済を促す内容から始まり、2通目、3通目と回数が増えるごとに文面が厳しくなっていくことが一般的です。

最終的には、借金残高の一括返済を要求する一括請求通知が届きます。この通知が届いた場合、金融機関の要求どおり一括返済できなければ、裁判を起こされる恐れがあります。

そのため、債権者から連絡があった場合、無視せずに誠実に対応することが大切です。

3.家族や勤務先、近所に借金をしていることが知られる恐れもある

金融機関からの督促状を無視し続けていると、自宅の固定電話や実家、勤務先にも督促の連絡が来ることがあります。

このとき、債務者以外が電話口に出ても、債権者が社名や借金について口にすることはありません。しかし、何度も身元や要件が曖昧な電話がかかって来たら、家族や同僚に怪しまれる恐れはあるでしょう。

また、電話やメール、郵便での督促をすべて無視し続けると、金融機関の担当者が自宅を訪問することがあります。担当者が訪問した際、同居している家族が対応した場合は、家族に借金の事実を知られてしまう恐れがあります

借金を長く滞納していると、裁判を起こされ自宅に裁判所から通知が届くこともあります。通知の表には「◯◯簡易裁判所」などと記載されているので、同居している家族に見られたら裁判を起こされていることがすぐにわかってしまうでしょう。

4.ブラックリストに載る

滞納期間が2ヶ月を超えると、滞納の事実が信用情報に事故情報として登録されます。いわゆる「ブラックリストに載る」という状態です。

ブラックリストに載ってしまうと、以下のようにさまざまな影響が生じます。

  • 新規借入やキャッシングの利用、ローンを組むことができなくなる
  • クレジットカードの新規発行やすでにあるカードの使用ができなくなる
  • スマホや携帯電話の分割払いができなくなる
  • 奨学金などの保証人になれなくなる
  • 賃貸物件の審査に通らない場合がある

事故情報は一生残るわけではなく、債務整理や借金を完済すると5~7年程度で削除されることが一般的です。

ただし、借金を返済できないまま放置してしまうと、いつまでも滞納が解消されず事故情報が残ってしまうので注意してください。

5.裁判を起こされ給料や財産を差し押さえられる

借金を長く滞納していると、債権者から裁判を起こされ裁判所から通知が届くこともあります。

裁判所から通知が届いても返済せず放置してしまうと、最終的に「借金を一括で支払え」という内容の判決が下りてしまいます。判決どおり一括で支払えない場合、債権者は裁判所から債務者の財産を差し押さえる権利を与えられることが一般的です。

債権者が差し押さえる財産には、主に以下のようなものがあります。

  • 給料
  • 銀行口座
  • 生命保険の解約返戻金
  • 不動産(自宅を含む)

優先的に差押えられるのは、給料と銀行口座内の預貯金です。とくに給料は、1度差し押さえると手取り額の1/4※を毎月回収できるため、多くの債権者が最優先で差し押さえようとします。
※手取り額が44万円を超える場合は、33万円を超えた金額すべてが差押えの対象

もし、給料の差押えを受けてしまったら、勤務先にも裁判所から通知が届き、勤務先に借金の事実を知られるだけでなく迷惑をかけることにもなってしまうでしょう。

借金が原因で離婚や自殺に至る恐れもある

借金地獄に陥り、家族に内緒の借金がバレることで夫婦関係に亀裂が生じ、離婚に至るケースは珍しくありません。

また、いくら返済しても減らない借金や闇金からの取り立てに耐えきれなくなり、自殺をしてしまう人もいます。

厚生労働省が公表したデータによると、2022年における自殺原因のうち「経済・生活問題」は3番目に多いことがわかっています。

参照:自殺の統計:各年の状況 |自殺対策|厚生労働省
令和4年>令和4年中における自殺の状況>第1章 令和4年中における自殺の概況>自殺の原因・動機別自殺者数の年次推移

借金地獄に陥りやすい人の特徴

前項では、借金地獄に陥った場合、起こり得るリスクやデメリットについて紹介しました。

借金地獄に陥りやすい人には、いくつか特徴があります。

前述したようなリスクやデメリットを避けるためにも「自分が借金地獄に陥りやすいタイプかどうか」を把握したうえで、しっかりと予防対策をしておくことが重要です。

以下の特徴がある人は、借金地獄に陥りやすいといえます。

  • 物事を計画的に考えることが苦手
  • お金のことについてあまり深く考えたくない
  • 見栄っ張り
  • 借金問題について相談できる相手がいない
  • 借金地獄に陥りやすい年代は40代

それぞれ解説します。

物事を計画的に考えることが苦手

借金に頼らず生活するには、自分の収入や生活に必要な金額を把握し、支出が収入を上回らないよう家計を管理することが大切です。また、急な出費に備えてコツコツ計画的に貯金することも重要でしょう。

しかし、物事を計画的に考えることが苦手な人は、自分の収入や何にいくら使ったかを把握しておらず、気づけば給料日前に財布が空っぽになっているケースも少なくありません。そのような人は、お金があるとあるだけ使ってしまうため、貯金もしていないことが多いです。

そのため、生活費が足りなくなると、借金に手を出してしまいます。

また、物事を計画的に考えることが苦手な人は、借金をしてからも借金残高を把握せず「なんとかなる」と考えて借金を重ねてしまい、借金地獄に陥る可能性が高いといえます。

お金のことについてあまり深く考えたくない

お金のことについて細かく考えるのは「ケチ臭い」「がめつい」と感じて嫌がる人もいます。このような人は、お金について無頓着であり、細かく使い道を決めて計画的に使おうとは考えていないことが多いです。

お金について深く考えていなくても、自然と節約ができており、収入が支出を上回っているなら何の問題もありません。しかし、無計画なお金の使い方をして支出が収入を上回っているなら、やはり借金に手を出してしまうリスクがあるといえます。

見栄っ張り

見栄っ張りな性格の人も、借金地獄に陥りやすい傾向があるといえます。

  • 全身ブランド服や高級腕時計などで着飾っていないと気がすまない
  • 飲食店などですぐに奢ろうとする

上記のような傾向がある人は、見栄を張ろうとして収入と支出のバランスが崩れていないか1度確認する必要があるでしょう。

十分な収入を得ており、豪遊しているように見えてじつは家計の管理をしっかりできている、という人なら問題ありません。

しかし、財布にお金がないのにクレジットカードで高額な買い物を繰り返しているような人は、注意が必要です。借金をしてまで自分の欲求を満たそうとし、借金地獄に陥ってしまう可能性が高いといえます。

借金問題について相談できる相手がいない

借金問題について相談できる相手がおらず、一人で抱え込んでいる人も注意が必要です。

借金問題を自力で解決しようとした結果、給料ファクタリングやクレジットカードの現金化などのグレーな取引に手を出してしまい、さらに解決が難しくなる恐れがあります。

また、ねずみ講や悪質なマルチ商法などに手を出し、相手側の思うように誘導されて借金がむしろ増えてしまうリスクもあります。

借金問題は身近な人に相談しづらい問題ですが、無料で借金の相談ができる窓口もたくさんあるので、勇気を出して専門機関へ相談しましょう。借金問題解決のプロに任せることが、早期解決への近道です。

借金地獄に陥りやすい年代は40代

日本弁護士連合会が行った 「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」によると、破産申立件数は40歳代が最も多く26.94%、続いて50歳代が21.45%を占める一方、20歳代は9.92%、30歳代は15.89%と相対的に少なく、40~50歳代がボリュームゾーンとなっています。

この調査結果から、最も借金地獄に陥りやすい年代は40代であると考えられます。

40代が借金地獄に陥りやすい理由は以下のとおりです。

  • 収入が安定していて借入審査に通りやすい
  • 住宅ローンを組んでいる人が多い
  • 子どもの教育費が増える時期である
  • 医療費・介護費用がかかり始める時期である
  • 転職やリストラなどで収入が大きく減る恐れがある

それぞれ詳しく解説します。

参照:日本弁護士連合会「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」

収入が安定していて借入審査に通りやすい

収入が少なかったり安定していなかったりする20代・30代に比べ、勤続年数も長く役職者も多い40代の人は、収入が安定しているとみなされる場合が多いです。

収入の安定は借入審査において重要視される項目の1つであり、安定収入のある40代は社会的信用度が高く借入審査に通りやすい傾向にあります。

また、50代・60代とは違い、この先も20年近く働けることから、長期間安定して返済できると考えられるため、高額な借金をしやすいという特徴もあります。

簡単にお金を借りられる状況にある40代は、軽い気持ちで借金をした結果、借金地獄に陥ってしまう可能性が高いのです。

住宅ローンを組んでいる人が多い

住宅を購入する場合、30代の間に住宅ローンを組んで購入する人がほとんどでしょう。

そのため、40代は住宅ローン返済の真っ最中という人も多いです。

住宅ローンは通常、20〜30年程度の長い時間をかけて返済するものなので、ローンを組んだ当初は先々のことを考えて綿密な返済計画を立てるでしょう。

ところが、病気やリストラなどでローンを組んだ当初と経済状況が大きく変わってしまったり、そもそも無理な返済計画でローンを組んでいたりした場合、返済に行き詰まる恐れがあります。

この場合、家族との思い出が詰まった我が家を手放したくないと考えて、新たな借金をしてでも住宅ローンを払い続ける人が多いです。

しかし、住宅ローンの返済は何十年も続くものなので、借金がどんどん増えてしまい気づけば借金地獄に陥ってしまうケースも珍しくありません。

子どもの教育費が増える時期である

20代で第1子が生まれた家庭の場合、40代は子どもの中学・高校・大学進学がある時期で、子どもの教育費が増える時期です。

  • 習い事代
  • 塾代
  • 部活動の活動費
  • 入学準備品を揃える費用
  • 受験料
  • 入学金
  • 授業料

このように、ざっと挙げただけでも多くのお金が必要となります。

1度に多額のお金を支払わなければならない機会も多く、借金をして賄う人も少なくありません。

医療費・介護費用がかかり始める時期である

40代になると、若い頃からの不摂生、飲酒・喫煙、ストレスなどが原因となり、生活習慣病の症状があらわれる人も増えてきます。

公的医療保険なら原則3割負担で済みますが、保険診療以外の医療サービスはサポートされません。事前にがん保険・医療保険へ加入していない場合、医療費の負担はかなりのものとなる恐れがあります。

また、40代は自身の体調の変化だけでなく、親の病気や介護で思いがけず医療費や介護費用がかかってしまう可能性の高い時期でもあります。

医療費や介護費用は生涯にわたって増加するのが通常のため、月々の収入で賄えなくなれば、借金をしてしまう人もいるでしょう。

転職やリストラなどで収入が大きく減る恐れがある

日本では、終身雇用や年功序列が当たり前だった時代は終わり、いつリストラされるかわからない状況となっています。企業によっては、人件費の高い40代を対象に自主的な早期退職を募る場合もあります。
また、近年の新型コロナウイルスにより、残業代やシフトを減らされてしまうケースもあります。リストラや残業代カットなどにあえば、今までどおりの収入は期待できないでしょう。

しかし、1度上がってしまった生活レベルは、収入が減ってもなかなか下げられない人がほとんどです。生活費が不足すれば、借金をしてでも今の生活レベルを維持しようとしてしまう人も多いです。

40代は転職や起業をするタイムリミットと考えて、現在の勤務先を辞めるケースもあります。この場合、必ずしも理想の転職先で活躍できたり、自営業者として成功できたりするとは限らず、失敗して借金を背負うことになる可能性も考えられます。

借金地獄に陥らないために気をつけるべきこと

借金地獄に陥ってしまうと、前述したように自分だけでなく家族の生活にも悪影響が出る恐れがあります。

自分と家族の生活を守るためにも、借金地獄に陥る前から予防対策を徹底することが重要です。

借金地獄に陥らないために気をつけるべきことは、以下のとおりです。

  • 返済のために新たな借入をしない
  • 借金の目的を明確にする
  • 借入前に完済までの返済計画を立てる
  • 返済に困ったらすぐに相談や返済計画の見直しを行う

順番に解説します。

返済のために新たな借入をしない

前述したように、返済資金を工面するために新たな借入をしてしまうと、借金が雪だるま式に増えて借金地獄に陥る原因となります。

新たな借入をすることで一時的に滞納の危機を免れるかもしれませんが、その借入にも利息が加算されるため、借金総額は増えてしまいます。

返済のための借入を重ねれば、より深刻な多重債務状態に陥り、借金地獄に陥る可能性が高まってしまうため絶対にやめましょう。

借金の目的を明確にする

とくに、カードローンなどを利用して借入をする人は、借金の目的を明確にしておくことも重要です。

お金の使い道を自由に決められるカードローンは、気軽にお金を借りられる反面、目的別ローンより金利が高く設定されているというデメリットがあります。

借金の目的を明確にすることで、お金の使い道によっては、より金利の低いローン商品を契約できる可能性があります。

また、借金の目的を明確にする過程で「借金してまで用意すべきお金ではないかも」と気づける可能性もあるため、無駄な借入を防止する効果も期待できるでしょう。

借入前に完済までの返済計画を立てる

借金地獄に陥らないために何よりも重要なのは、借金をする際に「無理なく返済できる範囲で借りること」です。

消費者金融や銀行の運営するサイトの中には、返済シミュレーションができるものも多いので、月々の返済額や返済期間を確認して具体的な返済計画を立ててみましょう。

事前に完済までの返済計画を立てることで「いくらまでなら借りても無理なく返済できるか」がわかりやすくなり、無理な借金を重ねるリスクを減らせます。

また、返済計画を立てる際に、支出を見直すと無駄な出費が判明し、節約すれば借金をせずに済むと気づく可能性もあるでしょう。

返済に困ったらすぐに相談や返済計画の見直しを行う

長い返済期間の中で「今月は返済が厳しい」という場面は誰にでも起こり得るものです。

このような状況に陥ったら、一刻も早く金融機関に相談し、返済計画の見直しを行うことが大切です。返済する意志を見せれば、長く取引を続けている金融機関ほど、返済計画の見直しに快く応じてくれる可能性があります。

くわえて、できるだけ早い段階で返済計画を見直せば、遅延損害金の発生や担保の引き上げなど、さまざまなリスクを最小限に抑えられるでしょう。

もし、金融機関に相談して返済計画を見直しても返済が厳しい場合は、速やかに弁護士や司法書士に相談してください。借金問題解決の専門家が、無理なく返済可能な返済計画を立て直してくれます。

借金地獄に陥ったら相談できる専門機関

借金問題は身近な人に相談しづらい悩みであり、1人で抱え込んだ結果、対処が遅れて「借金が膨らむ」「差押えを受ける」などのデメリットを被ってしまう人も多くいます。

無料で借金の相談ができる窓口はたくさんあるので、自分の状況や目的に合わせて適切な機関へ相談するとよいでしょう。

主な窓口は、以下のとおりです。

窓口 相談内容・特徴
法テラス 借金の他、離婚、労働問題、刑事事件など幅広い相談に対応。無料相談を利用するには資力基準を満たす必要あり。
日本弁護士連合会 借金と離婚、借金と労働問題など、複合的な問題を抱える人でもワンストップで相談できる。相談後、担当した弁護士に継続して依頼することも可能。
日本司法書士会連合会 1社140万円までの債権、または債務の交渉、和解締結、訴訟提起などに対応。
公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会 多重債務者の家計管理や生活再建についての相談が可能。希望すれば、任意整理手続きを無料でサポートしてもらえる。
国民生活センター 商品やサービスに対する苦情や問い合わせなど、消費者トラブルについての相談が可能。相談方法は原則電話のみ。
金融庁の窓口(財務事務所) 借金問題についての相談が可能で、希望に応じて債務整理後の家計管理支援も受けられる。債務整理をする場合は、弁護士や司法書士を紹介してくれる。
日本貸金業協会 多重債務者に関する相談が可能。ギャンブル依存や浪費癖により多重債務となった人へのさまざまな支援が受けられる。
市町村の窓口 借金相談だけでなく、相続や離婚、交通事故など、さまざまな法律相談が可能。無料相談の対象は市内在住・在勤の人に限られることが多い。

ただし、上記のような公的窓口は相談時間が平日の昼間のみである場合も多く、会社員の人などは相談しづらいかもしれません。

また、どの窓口に相談しても、問題を根本的に解決するにはその団体が連携している弁護士や司法書士に依頼する必要があります。公的窓口を経由する場合、自分で担当の弁護士・司法書士を選べないため、借金問題が専門でない人が担当になってしまう可能性もあるのです。

実績や相性を確認したうえで信頼できる弁護士・司法書士を自分で選びたい場合は、最初から弁護士・司法書士事務所へ相談したほうがよいでしょう。借金問題を積極的に扱っている事務所は、相談料を無料としている場合も多く、お金の工面が難しい債務者でも相談しやすい環境が整っています。

当サイトでも、借金問題を積極的に扱う弁護士・司法書士を多数紹介しているので、まずは気軽に無料相談を利用してみてください。

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まとめ

現代社会では、住宅ローンや車のローン、奨学金など、借金を抱えている人の割合は多く、借金地獄に陥る可能性は誰にでもあります。

とくに、自分の欲求を抑えることが難しい人や、物事を計画的に考えることが苦手な人は1度借金をしてしまうと借金地獄へ陥りやすいです。

借金地獄から抜け出すためには、生活費を見直したり副業をして収入を増やしたりすることが大切です。金利の低いローンへの借り換えやおまとめローンを利用するのもよいでしょう。

なお借金が膨らみすぎて、どうしても返済ができない場合は、債務整理を検討するのも1つの方法です。債務整理をすれば、借金を減額または免除してもらえるので、借金地獄から確実に抜け出せます

ただし、債務整理をすると信用情報に事故情報が記載されます。事故情報は整理後5~7年ほどで消えますが、クレジットカードの申込や利用、ローン契約などができなくなるデメリットがあります

そのため債務整理をする際は、メリットとデメリットを把握して、弁護士や司法書士に相談しながら慎重にすすめるようにしてください。

借金返済に関するよくある質問

もう借金がいくらあるのかもわからず、自分ではどうしたらよいのかわかりません。何かいい方法はありますか?

まずは弁護士や司法書士へ相談してみましょう。
債務整理も含め、あなたの状況に合わせた解決方法のアドバイスをもらえます。
STEP債務整理「債務整理に力を入れるおすすめの弁護士・司法書士を紹介」

借金返済のために借金してはいけないのならどうすればよいですか?

まずは状況を正確に把握したうえで、自力返済が可能か判断しましょう。
完済を目指すのが難しい状況であれば、速やかに弁護士や司法書士にご相談ください。
弁護士や司法書士が提案してくれる債務整理を利用すれば、借金問題を解決できます。

借金返済のために借金するとどんなデメリットがありますか?

返済窓口が増える・融資条件が厳しくなる可能性が高い・闇金被害のリスクが高まるなど、多くのデメリットがあります。
完済が遠のくだけなので、他社からの借入れで返済を補填するのはやめましょう。

すでに3社から借入をしていて、返済が難しい状況なのですが債務整理できますか?

はい、可能です。
3社以上から借入をして滞納している状態なら、今すぐにでも債務整理をするべきでしょう。
債務整理に力を入れる弁護士や司法書士へ相談することをおすすめします。
STEP債務整理「債務整理に力を入れるおすすめの弁護士・司法書士を紹介」

パチンコで借金返済していこうと思うのですが、できますか?

パチンコで借金の返済を続けるのは無謀です。逆に借金を増やす原因になりかねません。
借金返済に困っているのであれば、弁護士や司法書士の無料相談を利用して、適切な借金解消方法のアドバイスをもらうことをおすすめします。

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更新日 : 2024年11月18日
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