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2024年11月現在

特別送達とは?無視できない理由と差し押さえを回避する方法

借金を滞納していたのですが、裁判所から「特別送達」と印字された郵便物が届きました。裁判所からの通知など経験がないので怖いのですが、どうすれば良いですか?

裁判所からの特別送達郵便は決して無視せず中身を確認してください。なぜなら、債権者側が法的措置によって借金の回収に踏み出した段階になったからです。特別送達郵便を無視したままだと、数週間以内に債務者の財産・給与などが差し押さえられ、回復し難いデメリットが生じてしまうでしょう。

特別送達郵便で支払いを求められたとしても、払えないものは払えません。法的措置を取られた今からでも債務者側でできることはありますか?

債務者側が優先的に考えなければいけないのが、強制執行を回避すること・借金問題を解決することの2点です。借金問題で苦しむ債務者に与えられた債務整理を利用すれば、今からでも強制執行を回避できるでしょう。時間の猶予が限られているので、すみやかに弁護士までご相談ください。

特別送達とは、裁判所からの書面を届ける郵送方式のこと。借金を滞納している場合には、支払督促・訴状が入っている可能性が高いので、すみやかに開封して中身を確認してください。

特別送達で郵送された書面は、原則として受け取り拒否できません。また、手間・労力を割いて書面を受け取らなかったとしても、公示送達などの方法で「訴状・支払督促は届いた」と扱われるので、借金の回収プロセスをストップするのは不可能です。

特別送達郵便を無視すると、数週間以内に強制執行が実行されます。財産・給与が差し押さえられると、債務者本人だけではなく、家族・会社にも迷惑がかかってしまいます。

したがって、特別送達郵便を受け取った債務者は、すみやかに弁護士にご相談のうえ、債務整理に踏み出してください。強制執行を回避し、生活再建の改善も目指せるでしょう。

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この記事でわかること
  • 特別送達とは、裁判所からの郵送方式のひとつ。支払督促・訴状などが入っているので、今すぐ中身を確認すること。
  • 特別送達郵便の受け取り拒否はできない。差置送達・公示送達などの補完制度が整備されているので、借金回収に向けた法的措置はかならず進行する。
  • 特別送達郵便を無視すると、数週間以内に強制執行が実行される。財産・給与が差し押さえられると回復し難いデメリットが生じるので、今すぐに対処すべき。
  • 特別送達郵便が郵送される段階になったとしても、債務整理を利用すれば強制執行を回避できる。同時に、借金問題の解決・改善も目指せるので、すみやかに弁護士へ相談しよう。

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特別送達とは裁判所が重要な書類を届ける郵送方法のこと

特別送達とは、裁判所が重要な書類を届ける郵送方式のことです。

借金を滞納すると、延滞初期は債権者側から直接督促状・催告書などの書類や電話によって取り立てが行われます。

ただ、債権者からの度重なる取り立てに一切応じない債務者に対しては、法的措置によって債権回収が目指されます。そして、裁判所からの特別送達郵便は、法的手続きがスタートした初期段階です。

特別送達の特徴・受け取ったときの注意点は、次の5点です。

  • 特別送達で郵送されるのは訴状・支払督促の可能性が高い
  • 特別送達は書留と違い受け取り拒否できない
  • 特別送達は本人以外でも受け取り可能
  • 特別送達の不在票が入っていたらすみやかに受け取る
  • 転居届を出していれば特別送達は手元に転送される

それでは、特別送達の詳細について、それぞれ具体的に見ていきましょう。

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特別送達で郵送されるのは訴状・支払い督促の可能性が高い

特別送達とは、裁判所からの重要書面を届けるもので、送達したという事実を証明できる郵送方式のこと(民事訴訟法第103条~106条・109条郵便法第44条・49条)。訴状・期日呼出状・判決正本・支払督促正本などの民事裁判手続きにかんする書類、裁判員選定者に送られる期日呼出状、刑事裁判手続きにかんする召喚状などが届けられます。

そして、借金を滞納している債務者に届く特別送達郵便の場合、封筒の中身は訴状・支払督促の可能性が高いです。

特別送達郵便が届く場合、重要書類が入っていることがすぐに分かるように、表面に「特別送達」と印字されています。普通郵便で届くことはないので、受け取ったときにかならず中身を確認してください。

(送達場所)
第百三条 送達は、送達を受けるべき者の住所、居所、営業所又は事務所(以下この節において「住所等」という。)においてする。ただし、法定代理人に対する送達は、本人の営業所又は事務所においてもすることができる。
2 前項に定める場所が知れないとき、又はその場所において送達をするのに支障があるときは、送達は、送達を受けるべき者が雇用、委任その他の法律上の行為に基づき就業する他人の住所等(以下「就業場所」という。)においてすることができる。送達を受けるべき者(次条第一項に規定する者を除く。)が就業場所において送達を受ける旨の申述をしたときも、同様とする。

引用元:民事訴訟法第103条

(特殊取扱)
第四十四条 会社は、この節に定めるところによるほか、郵便約款の定めるところにより、書留、引受時刻証明、配達証明、内容証明及び特別送達の郵便物の特殊取扱を実施する。
② 会社は、前項の規定によるほか、郵便約款の定めるところにより、郵便物の代金引換(差出人が指定した額の金銭と引換えに名あて人に交付し、その額に相当する金額を当該差出人に支払う取扱いをいう。第五十条第一項第二号及び第二項第四号において同じ。)その他の郵便物の特殊取扱を実施することができる。
③ 引受時刻証明、配達証明、内容証明及び特別送達の取扱いは、書留とする郵便物につき、これをするものとする。
(特別送達)
第四十九条 特別送達の取扱いにおいては、会社において、当該郵便物を民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第百三条から第百六条まで及び第百九条に掲げる方法により、送達し、その送達の事実を証明する。
② 前項の取扱いにおいては、郵便認証司による第五十八条第二号の認証を受けるものとする。
③ 特別送達の取扱いは、法律の規定に基づいて民事訴訟法第百三条から第百六条まで及び第百九条に掲げる方法により送達すべき書類を内容とする郵便物につき、これをするものとする。

引用元:郵便法第44条・49条

※裁判所から届いた特別送達の内容については、「借金後に裁判所から「支払督促」と「訴状」などの通知が届いたら弁護士に相談し対処!債務整理の手続きも早めにしよう!」でも詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。

特別送達は書留と違い受け取り拒否できない

特別送達郵便は、原則として債務者本人に直接交付する方法によって行われます(「交付送達」と呼びます)(民事訴訟法第101条・第103条1項)。

そして、名宛人(債務者)の住所・居所・職場のどこに郵便物を届けることも認められており、正当な理由なく受領を拒絶することはできません

たとえ名宛人が受け取り拒否をしたとしても、郵便配達員等が住所等に郵便物を差し置くことによって、送達は完了したとみなされます(「差置送達」と呼びます)(民事訴訟法第106条3項)。

郵便局員から手渡しされるので、受け取りの際には署名・サインが必要です。

(補充送達及び差置送達)第百六条
3 送達を受けるべき者又は第一項前段の規定により書類の交付を受けるべき者が正当な理由なくこれを受けることを拒んだときは、送達をすべき場所に書類を差し置くことができる。

引用元:民事訴訟法第106条3項

つまり、配送後未開封の状態なら受け取り拒否ができる普通郵便とは異なり、特別送達で書面が郵送された時点で、債権者の求める法的手続きの開始を止めることはできないということ。

状況次第(正当な理由なく受け取り拒否をした場合など)では、職場に訴状が郵送される可能性もあるので、自宅に届いた段階で受け取り拒否をせずに素直に対応することをおすすめします。

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特別送達は本人以外でも受け取り可能

原則として本人が受け取るべき特別送達ですが、郵便物が配達されたタイミングで債務者本人が自宅などにいないということも少なくはないでしょう。

そのような場合でも、名宛人の同居人・使用人・その他従業員など、特別送達が重要な書類であることを判断できる人物が受け取った場合には、名宛人の元に書類が届けられたとみなされます(「補充送達)」と呼びます)(民事訴訟法第106条1項)。

(補充送達及び差置送達)
第百六条 就業場所以外の送達をすべき場所において送達を受けるべき者に出会わないときは、使用人その他の従業者又は同居者であって、書類の受領について相当のわきまえのあるものに書類を交付することができる。郵便の業務に従事する者が日本郵便株式会社の営業所において書類を交付すべきときも、同様とする。

引用元:民事訴訟法第106条1項

ただし、補充送達による重要書類の郵送が成立するためには、「相当のわきまえのある者」に対して書類を引き渡す必要があります。なぜなら、特別送達で届けられる書類は、名宛人の裁判手続きにかかわる権利・その後の法律関係に重要な意味をもつものであることから、確実に名宛人の手元に引き渡される必要があるからです。

したがって、郵便物の配達員に対応した人物が、子ども・幼児・痴呆のおそれがある高齢者などの場合には、補充送達による方法は成立しないと考えらえます。

もっとも、補充送達以外にも差置送達や職場への交付送達などの補完制度が認められていることからも、名宛人が自宅を居留守にして補充送達を回避することに意味があるとは考えられません

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特別送達の不在票が入っていたらすみやかに受け取る

特別送達の不在票が入っている場合には、債務者側から率先して受け取りをすることをおすすめします。

なぜなら、特別送達を無理矢理受け取らないように試行錯誤したところで、債権者・裁判所側からの書類が届いたと取り扱われる2つの仕組みが存在するからです。

  • ①公示送達
  • ②付郵便送達

余計な労力をかけて債権者・裁判所側からの特別送達を無視したところで、①②の方法で訴状・支払督促は届いたと取り扱われるだけです。

それならば、最初から素直に受け取って、審理のなかで異議申し立てなどの主張をするか、すみやかに弁護士に債務整理を依頼して借金問題に真正面から向き合うべきでしょう。

公示送達

公示送達とは、書類を届ける相手の住所・居所が分からない場合に実行される送達方法のことです(民事訴訟法第110条~113条)。裁判所において二週間書類を掲示することによって、送達の効力が認められることになります。実際の書類の受領の有無は問いません。

公示送達制度がなければ、所在不明の債務者に対する法的措置等が実行できず、債権者が一方的な不利益を被ってしまいます。公示送達は、このような債権者側の不利益を回避する目的で用意されている制度です。

(公示送達の要件)
第百十条 次に掲げる場合には、裁判所書記官は、申立てにより、公示送達をすることができる。
一 当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合
二 第百七条第一項の規定により送達をすることができない場合
三 外国においてすべき送達について、第百八条の規定によることができず、又はこれによっても送達をすることができないと認めるべき場合
四 第百八条の規定により外国の管轄官庁に嘱託を発した後六月を経過してもその送達を証する書面の送付がない場合
2 前項の場合において、裁判所は、訴訟の遅滞を避けるため必要があると認めるときは、申立てがないときであっても、裁判所書記官に公示送達をすべきことを命ずることができる。
3 同一の当事者に対する二回目以降の公示送達は、職権でする。ただし、第一項第四号に掲げる場合は、この限りでない。
(公示送達の方法)
第百十一条 公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。
(公示送達の効力発生の時期)
第百十二条 公示送達は、前条の規定による掲示を始めた日から二週間を経過することによって、その効力を生ずる。ただし、第百十条第三項の公示送達は、掲示を始めた日の翌日にその効力を生ずる。
2 外国においてすべき送達についてした公示送達にあっては、前項の期間は、六週間とする。
3 前二項の期間は、短縮することができない。
(公示送達による意思表示の到達)
第百十三条 訴訟の当事者が相手方の所在を知ることができない場合において、相手方に対する公示送達がされた書類に、その相手方に対しその訴訟の目的である請求又は防御の方法に関する意思表示をする旨の記載があるときは、その意思表示は、第百十一条の規定による掲示を始めた日から二週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。この場合においては、民法第九十八条第三項ただし書の規定を準用する。

引用元:民事訴訟法

付郵便送達

付郵便送達とは、裁判所書記官の裁量によって実施される郵送方法です(民事訴訟法第107条)。債務者の居所は判明しているが居留守を使っていて送達を完了できない場合などに例外的に実施される方法です。

債務者側に郵送できない場合に実施されるという点で公示送達と似ている制度ではありますが、公示送達は「債務者の居所が分からない場合」に利用される送達方法であるのに対して、付郵便送達は「債務者の居所は分かるが受け取り拒絶されている場合」に実施される方法です。

そして、付郵便送達による送達が実施された場合には、書類を発送した段階で送達の効力が発生したとみなされるため、どれだけ居留守を使っても意味がありません

(書留郵便等に付する送達)
第百七条 前条の規定により送達をすることができない場合には、裁判所書記官は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場所にあてて、書類を書留郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして最高裁判所規則で定めるもの(次項及び第三項において「書留郵便等」という。)に付して発送することができる。
2 前項第二号又は第三号の規定により書類を書留郵便等に付して発送した場合には、その後に送達すべき書類は、同項第二号又は第三号に定める場所にあてて、書留郵便等に付して発送することができる。
3 前二項の規定により書類を書留郵便等に付して発送した場合には、その発送の時に、送達があったものとみなす。

引用元:民事訴訟法第107条

転居届を出していれば特別送達は手元に転送される

転居届・転送届が受理されている場合には、特別送達は現在の住所に転送されます。その一方で、転居届が受理されていない場合には、交付送達による郵送方法は不可能なため、特別送達はいちど裁判所に差し戻されることになります。

借金問題を抱えたまま、しかも、訴訟を提起される段階に至るまで深刻な滞納状況であるにもかかわらず、転居届も出さずに引越しをしてしまうと、夜逃げをしたとみなされる危険性もあります

この場合、職場に特別送達が郵送されたり、また、公示送達によって手続きが進められるということにもなりかねません。

職場に特別送達が届くと、会社の人にトラブルを抱えていることが知られるでしょう。また、公示送達によって手続きが進められると、知らない間に敗訴が確定して、強制執行を回避できなくなってしまいます。

したがって、借金問題に心当たりがある債務者が引越しをする場合には、かならず転居届を出しておくことをおすすめします。

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特別送達を無視すると強制執行が実行される

裁判所から届いた特別送達形式の書類を無視すると、強制執行が実行されて財産などが差し押さえられてしまいます

ここからは、どのような流れ・期間で強制執行が実行されるのか、どのような範囲の財産などが差し押さえられるのかについて詳しく見ていきましょう。

※裁判所からの通知を無視するリスクについては、「借金を放置して裁判所も無視するのはリスク大!財産が差し押さえられる前に早期に弁護士を頼ろう」でも詳しく解説しています。あわせてご確認ください。

特別送達が届いてから数週間で強制執行が実行される

特別送達形式で届く郵便物の内容は、支払督促・訴状のいずれかである可能性が高いです。

支払い督促の場合、同封されている督促異議申し立て書を2週間以内に提出しなければ、数週間以内に仮執行宣言付支払督促が手元に届きます。そして、強制執行が実行されるという流れです。

訴状(答弁書催告状・口頭弁論期日呼出状)の場合、指定期日に出廷・答弁書の提出を怠ると、債権者側の主張通りの請求内容が確定。そして、同じく数週間以内に強制執行が実行されてしまいます。

訴状の場合の方が強制執行までに時間がかかるのが一般的ですが、いずれにしても、債務者側が無視をしてしまうと、強制執行に至るのは確実です。

債権者から直接督促が繰り返されていた段階とは深刻度が異なるので、すみやかに弁護士までご相談ください。なお、弁護士に相談する際には、手元に届いた支払督促・訴状などを持参すれば話がスムーズです。

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強制執行が実行されると債務者本人以外にも迷惑がかかる可能性が高い

裁判所からの特別送達形式の支払督促・訴状等を無視すると、最終的には強制執行が実行されて財産などが差し押さえられます

もちろん、「ある日いきなり自宅に入れなくなって生活さえできなくなる」というテレビドラマのような事態にはおちいりませんが、以下のものが処分されることによって債務者側には一定の不利益が発生することになります。

強制執行の対象 注意点・デメリットなど
債務者名義の財産 ・不動産、動産にかかわらず、現金化できるものはすべて対象になる
・一定の差し押さえ禁止財産(日用品などの生活必需品)は残せる
・家族名義の財産は残せるが、債務者本人の支出によるものは対象になる
給与 ・手取り44万円以下なら給与所得の1/4が差し押さえ
・手取り44万円を超えるなら給与所得の33万円以上が差し押さえ
・会社から債権者に直接振り込まれる
・ボーナスや退職金も差し押さえ対象になる
預金口座 ・口座残高から強制的に債権者に振り込まれる
・他の支払いに影響が出るリスクがある
・銀行との間のローン契約の期限の利益喪失条項に抵触する
・強制執行後の預金残高に満たないと口座が凍結する

たとえば、強制執行が実行されると、マイホームが処分されます。生活拠点を奪われるため、債務者の家族にも影響が出るでしょう。場合によっては、引越しや転校を強いられることもあり得ます。

また、給与が強制執行の対象になると、会社が差し押さえ手続きに巻き込まれます。つまり、借金のこと・借金を滞納していることが職場にバレるため、社会的信用が失墜するでしょう(解雇されることはありません)。

以上のように、強制執行が実行されてしまうと、債務者を取り巻く環境すべてに弊害が生じます。強制執行によって奪われた財産・お金は取り戻すことができないので、強制執行が実行される前に弁護士に債務整理などについて相談することを強くおすすめします。

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裁判所から特別送達が届いたときは弁護士に相談しよう

裁判所から特別送達の方式で訴状・支払督促が届いた場合には、すみやかに弁護士に相談することを強くおすすめします。

なぜなら、裁判所からの特別送達が届いたということは、すでに法的措置がスタートしたことを示すものだから。今までの取り立てを無視しているなかで、これ以上不誠実な対応を取りつづけてしまうと、債務者には甚大なデメリットが生じることになってしまいます。

弁護士に相談することによって、次の6つのメリットを手にすることができます。

  • ①弁護士は身に覚えがない特別送達の原因を探ってくれる
  • ②弁護士に相談すれば適切な債務整理を提案してくれる
  • ③弁護士に相談すれば強制執行を回避できる
  • ④弁護士なら訴訟等を通じて適切な反論を示してくれる
  • ⑤弁護士に債務整理を依頼すれば債権者からの取り立てを止められる
  • ⑥借金問題は無料で弁護士に相談できる

それでは、弁護士に相談する各メリットについて、それぞれ具体的に見ていきましょう。

※弁護士の力を頼らずに裁判所からの出頭命令を無視した場合にどうなるかについては、「借金問題に関する出頭命令を無視すると財産を差押えられる!出頭すれば裁判上で和解できる可能性もある」でも詳しく解説しています。あわせてご確認ください。

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弁護士は身に覚えがない特別送達の原因を探ってくれる

裁判所の特別送達方式の郵便を受け取ったという人のなかには、そのような書類を受け取ることについてまったく身に覚えがないという場合もあるでしょう。

その場合には、次の2つの可能性があるため、念のために弁護士まで相談することを強くおすすめします。裁判所からの身に覚えがない特別送達が郵送された原因を探ってくれるでしょう。

  • ①昔の借金について債権者が裁判を起こした
  • ②簡易裁判所の手続きを悪用した架空請求詐欺

それぞれの状況について、詳しく見ていきましょう。

昔の借金について債権者が裁判を起こした

債権者のなかには、延滞初期の段階では定期的に取り立てを行うものの、音沙汰のない債務者には一切連絡しないというケースも散見されます。債権者側の狙いは、長期延滞によって発生した遅延損害金も合わせて請求することによって、高額の利益を獲得することです。

この場合も、遅延損害金も含めた残債総額を支払わなければ強制執行が実行されてしまいます。

「昔の借金で、今はもう取り立てがされていないのになぜ?」と思われるかもしれませんが、借金の返済義務は消滅時効が完成しない限りは免れることができないもの。できるだけ早くに債務整理に着手して、返済負担がこれ以上重くなるのを防ぎましょう

ワンポイント解説
消滅時効で借金問題の解決を狙うのは現実的ではない

消費者金融などの貸金業者からの借り入れの場合、返済期限から5年が経過すれば消滅時効が完成するので、援用手続きを適切に行えば、返済義務を帳消しにすることができます。ただし、貸金業者は各債務者の取引状況を正確に把握しているのが通常です。したがって、時効期間である5年が経過する前に法的措置などに踏み出してくることが想定されるので、消滅時効の完成を過度に期待するべきではありません。債務整理は、債務者側が主導権を握って借金問題を改善できるもの。まずは弁護士に状況を確認してもらいましょう。

※消滅時効で借金の返済義務から逃れられるケースについては、「借金は時効の援用によって返済義務がなくなる!時効成立の条件とは?」でも詳しく解説しています。あわせてご確認ください。

裁判所の手続きを悪用した架空請求詐欺

近年増えているケースが、簡易裁判所の手続きを悪用した架空請求詐欺です。

詐欺業者側が契約書等を偽造することによって支払督促・少額訴訟制度を悪用し、本当の裁判手続きで架空請求を行う可能性があります。

本来、一切取引関係がないのですから返答をする必要もないのですが、裁判手続きを利用されている以上、訴えられた側が異議申し立てや口頭弁論に出廷しない限りは、債権者側に有利な判決内容が確定してしまいます。つまり、放置したままだと詐欺業者が債務名義を取得するため、いつ強制執行をかけられてもおかしくない状態になるということです。

したがって、裁判所からの特別送達の方式を悪用した架空請求詐欺の場合には、かならず訴えられた側でも何かしらの対応をする必要が生じるため、弁護士に相談をして適切な対応を求めましょう

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弁護士に相談すれば適切な債務整理を提案してくれる

弁護士に借金問題を相談すれば、債務者の生活再建に役立つ債務整理手続きを提案してくれます。

そもそも、債務整理とは契約通りに返済できない債務者に許された救済措置のことです。ただし、債務整理に踏み出す際には、自己破産・個人再生・任意整理の三種類の手続きから自分に適したものを選択しなければいけません。

債務整理に強い弁護士なら、各債務整理手続きの特徴を踏まえて、債務者の生活再建にぴったりの手続きを選択してくれるでしょう。

債務整理手続き 特徴
自己破産 ・裁判所を利用して借金返済義務から免責される
・収入要件を問われないので無職でも利用できる
財産処分という大きなデメリットが生じる
免責不許可事由非免責債権、職業制限などの注意事項あり
個人再生 ・裁判所を利用して借金総額を減額できる(最大1/10)
・住宅ローン特則を利用すればマイホームを残せる
・手続きが複雑なので債務者個人だけでは難しい
・一定の安定した給与所得が必要
任意整理 ・裁判所を利用せずに返済計画を作り直せる
・将来利息をカットできるので元本のみを3年程度で完済できる
・連帯保証人への迷惑を回避できる
・残債総額次第では毎月の返済額が増える可能性がある

自己破産なら借金生活自体を終わらせることができますが、財産処分などの大きなデメリットを避けられません。

その一方で、個人再生・任意整理なら比較的デメリットを軽減しながら返済状況を改善できますが、手続き終了後も減額された範囲で3年~5年程度借金返済生活はつづきます。

債務者によって状況・希望が異なるので、借金問題解決に強い弁護士にアドバイスを求めて、今後進むべき方向性を決定してもらいましょう。

なお、各債務整理の特徴については、以下のリンク先でも詳しく解説しています。ご参照のうえ、手続き選択にお役立てください。

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弁護士に相談すれば強制執行を回避できる

裁判所における手続きがスタートした場合でも、弁護士に相談すれば強制執行を回避できます。

貸金返還請求訴訟(民事訴訟)・支払督促という法的手続きが開始した以上、債務者側が一切反論しなければ、債権者側の主張が全面的に認められてしまいます。

すると、債権者側の勝訴(債務者側の敗訴)が確定し、債権者が債務名義を獲得することに。最終的には、債務者の財産・給与などへの強制執行が実行されるかたちで、債権の回収が目指されます。

法的措置がスタートした場合でも、自己破産・個人再生に踏み出せば、強制執行への流れを止めることができます。また、任意整理には強制執行を停止する効力はありませんが、債権者側との和解案のなかに「強制執行はしない」旨を盛り込めれば手続きの進行を取り下げさせることは可能です。

ただし、裁判所から特別送達が届いたということは、数週間もすれば強制執行が現実的に起こってしまいます

したがって、強制執行を回避したいのであれば、できるだけすみやかに弁護士に相談をして、今の状況に適した債務整理手続きを選択してもらい、手続き開始に向けて動き出さなければいけません。

弁護士なら訴訟等を通じて適切な反論をしてくれる

裁判所から特別送達の方式によって訴状等が届いたということは、正式な法的プロセスがスタートしたということです。

もちろん、債務整理によって裁判手続き等を終わらせることも正しい方法のひとつではありますが、当然、裁判手続きのなかで債務者側が適切に反論することも可能です。

たとえば、借金問題について次のような事情が存在する場合には、弁護士に依頼をして適切な反論を行ってもらいましょう。

  • ①借金をした記憶自体がない
  • ②契約書を偽造された
  • ③請求額(元本・利息など)に誤りがある
  • ④消滅時効を援用できる可能性がある

ただし、ここで注意しなければいけないのは、裁判手続きのなかで債務者の反論に意味が生まれるのは①~④のような極めて限定的なケースだけだということです。多くの債務者が利用しているような大手消費者金融・銀行などの金融機関からの借金について、①~④に類する事情を主張できる可能性はかなり低いでしょう。

また、「請求されてもお金がないから払えない」という主張は、ただの言い訳でしかなく、法的な反論とは認められません。債権者・債務者間で合意に基づいて契約をした以上は、どのような事情があったとしても返済義務から逃れられないのが原則です。

したがって、裁判所からの特別送達に対して弁護士に真正面から反論を依頼できるケースも確かに存在しますが、通常はこのような方法ではなく、例外的措置として返済状況を改善できる債務整理に踏み出すのが適切だと考えられます。

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弁護士に債務整理を依頼すれば債権者からの取り立てを止められる

弁護士に債務整理を依頼すれば、債権者からの取り立てがストップします。なぜなら、依頼を受けた弁護士が送付する受任通知に、債権者からの取り立てを止める効力があるからです。

もちろん、今回特別送達形式で書面を発送した借金問題については、今後取り立てが行われることはないため(強制執行を控えているから)、取り立ての心配をする必要はありません。その一方で、債務者のなかには「多重債務状態におちいっているため、他社からの返済督促に今もなお悩まされている」という人も少なくはないでしょう。

債務整理の対象になった借金については、原則すべて今後の取り立てが停止します(例外的に、任意整理の対象から外れた借金については取り立てがつづく点に注意が必要です)。

取り立てから解放されると、ストレスのない環境で生活再建・家計安定を目指せるはず。弁護士に債務整理を依頼した段階から安定した環境が手に入るので、「早期の解決を目指したい」という債務者は、ぜひ弁護士の力を頼ってください。

ワンポイント解説
弁護士に債務整理を依頼した時点から「返済」もストップする

弁護士に債務整理を依頼すれば、「依頼した時~手続きが終了するまで」の期間、借金の返済をする必要がなくなります。つまり、自己破産なら半年~1年程度、個人再生なら半年程度、任意整理でも数ヶ月は、借金返済生活のことを忘れて家計安定に注力できます。たとえば、今まで払えなかった国民年金保険料・住民税の支払いもしやすくなるはず。いち早く生活再建のステップを歩み始めたいのなら、専門家への依頼は不可欠です。

借金問題は無料で弁護士に相談できる

弁護士に相談するとなると、費用について不安を抱える債務者も少なくはないでしょう。

確かに、債務整理を利用するには債務整理費用・弁護士費用などが発生します。債務者個人だけで手続きを進めれば弁護士費用だけは節約できますが、おすすめはできません

なぜなら、借金問題に強い弁護士は、費用面についても次のような体制・配慮を整えているからです。

つまり、「今お金がないから」という理由で弁護士を頼ることさえ諦める必要はないということ。費用面についてのサポートは受けられますし、専門家に依頼した方がスムーズに適切な生活再建の道を歩めるはずです。

※債務整理の費用については、「お金がなくても債務整理は可能!費用が払えないと心配する前にまずは弁護士に相談すべき理由とは」でも詳しく解説しています。経済的に余裕がない債務者が活用できる制度も紹介しているので、ぜひご参照ください。

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まとめ

特別送達郵便では、訴状・支払督促が届けられている可能性が高いです。深刻な返済状況におちいったことが原因で債権者が法的措置に踏み出したことがうかがえるため、かならず真正面から対応する必要があります。

「借金をしただけなのに裁判所から通知が届く意味が分からない」「お金を払えない以上はどうしようもないのに」と不満を覚えるのも当然でしょう。しかし、契約通りの返済義務を果たしていない以上、裁判所からの通知を無視すると財産・給与などへの強制執行を免れられません

すでに裁判所が介入してきた段階。今まで債権者からの取り立てをかわしつづけてきたような中途半端な対応は不可能な状態です。

強制執行を回避して、確実な生活再建を目指すためにも、すみやかに弁護士へ相談をして債務整理に踏み出しましょう

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特別送達に関するよくある質問

特別送達とはどのようなものですか?

特別送達とは、裁判所が重要書類等を届ける場合の郵便方式のことです。
借金問題に心当たりがある債務者に届く特別送達郵便は、おおむね訴状・支払督促が内容である可能性が高いでしょう。

特別送達郵便を受け取り拒否することは可能ですか?

普通郵便とは異なり、特別送達は受け取り拒否することができません。
また、居留守を使って郵便の受け取りを事実上拒んだとしても、職場に特別送達郵便が送付されたり、付郵便送達・公示送達などの補完制度によって送達が完了したと扱われることになります。
つまり、特別送達郵便が発送された以上、債権回収に向けた法的手続きの進行を止めることはできません。逃げ続けるのではなく、債務整理によって真正面から向き合う必要があります。

特別送達郵便を無視するとどうなりますか?

手元に届いた特別送達郵便を無視すると、債務者の知らないところで手続きが進みます。
支払督促の場には異議申し立てを、訴状の場合には答弁書の提出をしなければ、債権者側の主張が全面的に認められて強制執行が実行されます。
債権者からの取り立てを無視する場合とはペナルティの発生レベルが異なるので、かならず前向きにご対応ください。

特別送達で取り立てをされたところでお金がないので払えません。諦めて強制執行を待つしかありませんか?

今からでも債務整理に踏み出せば強制執行を回避できます。
自己破産・個人再生なら強制執行への手続き移行をストップできますし、任意整理なら「強制執行に踏み出さない旨」を和解案に取り込むことも可能です。
弁護士に相談すれば強制執行回避・借金問題改善に適切な手続きを提案してくれるので、お早めのご相談をお勧めします。
STEP債務整理「債務整理に力を入れるおすすめの弁護士を紹介」

昔の借金について特別送達が来たのですが、今から時効を成立させられますか?

特別送達が届いたということは、債権者が裁判を起こしたことを指します。
そのため、時効を成立させるのは難しいでしょう。
早急に弁護士へ相談することをおすすめします。

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更新日 : 2024年11月18日
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