個人間の借金を債務整理の対象に含める場合の注意事項について

借金返済が苦しいのですが、この借金は消費者金融のような業者から借りているのではなく、知人からの借入なのですが、個人からの借金でも債務整理はできますか?


個人間の借金でも債務整理できます。自己破産・個人再生・任意整理の3つの手続きがあるので、状況に応じたものを選びましょう。
なるほど、知人からの借金でも債務整理できるのですね。その際、何か注意点などはありますか?


個人間の借金を債務整理するときには特有の注意点があります。例えば、任意整理に応じてくれない、裏で闇金業を営んでいた、執拗な取り立て被害にあっているなど、債務者の状況ごとに臨機応変に対応しなければいけません。
実績のある弁護士に相談すれば、債権者側の心情も考慮して柔軟に交渉を進めてくれることが期待できるので、まずはご相談ください。
知人や親族などの個人間の借金でも、債務整理で借金を減額できます。
自己破産・個人再生・任意整理の3つの手続きの中から、債務者の置かれている状況に合ったものを選択しましょう。
ただし、個人間の借金を債務整理する際には、消費者金融などの貸金業者・金融機関からの借金とは異なる配慮や問題点が生じるケースが多いです。
例えば、貸金業者に課される取り立て規制が及ばないので厳しい督促を受ける可能性がありますし、なかなか任意整理に応じてくれないので裁判所を利用せざるを得ないこともあるでしょう。
この点、債務整理に強い弁護士に相談すれば、個人間の借金問題特有のポイントを押さえながらスムーズに手続きを進めることが可能です。
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- 個人間の借金でも、自己破産・個人再生・任意整理といった債務整理が可能。
- 個人間の借金特有の注意点として、債務整理後も取り立てを受ける可能性がある・任意整理の交渉に応じてくれない・実は闇金だったというケースもあるので、ひとりで債務整理手続きを進めるのは簡単ではない。
- 養育費の支払い・損害賠償請求・特定債権者に対する弁済など、債務整理を進めるうえで丁寧な配慮が必要な事項もある。生活再建に実効性をもたせるには網羅的な法的知見が欠かせないので、弁護士に相談しよう。
個人間の借金でも違法な取引ならお金を返す必要はない
本来、借金をした以上は債権者にお金を返済しなければいけません。
なぜなら、債権者と債務者の間で”金銭消費貸借契約”という約束があるからです。
しかし、個人間の借金の中には、この約束自体が適切ではないと考えられる結果、金銭消費貸借契約自体が無効と扱われて、債務者に返済義務が課されないものがあります。
例えば、以下に該当する取引で貸付けを受けた場合がこれに該当します。
- ①闇金との取引
- ②ひととき融資(貸付けの見返りに性交渉などを要求すること)
- ③その他各種法規制を守らない取引
貸金業登録をせずに違法に貸金業を営む闇金からの借金は無効なので返済する必要がありません。
ただし、闇金との交渉にはリスクがつきものなので、弁護士に相談するのがおすすめです。
また、近年SNSを中心に社会問題化しているひととき融資性交渉を条件に行われる個人間融資。実態は売春であり、暴行・脅迫などの問題に発展しかねない危険性の高い取引。や、口座担保取引なども無効です。
これらの違法貸付けによって融資を受けた場合、そもそも返済義務がありません。
つまり、債務整理を利用しなくても借金問題を解決できるので、取引の合法的に疑いのある融資トラブルに巻き込まれて困っている方は弁護士までご相談ください。
個人間の借金でも債務整理できる
個人間の借金でも債務整理は可能です。
なぜなら、債務整理の対象とされる借金について「どこからの借入か」という形で主体要件は課されていないからです。
ただし、手続き上は貸金業者からの借金と同様に債務整理を進められる個人間の借金ですが、実際に利用する際の注意点や手続きの活用方法において特筆すべきポイントがあります。
したがって、個人間の借金について債務整理を検討する際は、まず以下2点を押さえることからはじめましょう。
- 個人間の借金に関する債務整理手続きとは?
- 個人間の借金について債務整理を利用するときの注意点とは?
それでは、各項目について見ていきましょう。
個人間の借金に関する債務整理手続きとは?
個人間の借金について利用できる債務整理手続きとは、自己破産・個人再生・任意整理の3種類です。
それぞれの債務整理手続きの特徴・メリットは、それぞれ以下の通りです。
- 自己破産を利用すれば個人間の借金が帳消しになる
- 個人再生を利用すれば個人間の借金を大幅に減額できる
- 任意整理を利用すれば個人間の借金の利息・遅延損害金をカットできる
それでは、個人間の借金に関する各債務整理手続きについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
自己破産を利用すれば個人間の借金が帳消しになる
自己破産とは、裁判所を利用して借金を帳消しにする債務整理手続きです。
借金の返済義務が帳消しになるという大きなメリットが得られる反面、債務者の財産を換価処分して債権者に配当しなければいけないので、自己破産を利用して債務整理をしたあとは生活に最低限必要な財産しか手元に残せないというデメリットが生じます。
自己破産には以下の表のようにメリット・デメリットがあるので、特徴を把握したうえで利用の是非を検討しましょう。
自己破産のメリット | ・ほとんどの借金が帳消しになる ・自由財産自由財産とは、自己破産の換価処分手続きを経ても債務者の手元に残せる財産のことです。自己破産ですべての財産が処分されると生活再建が困難になるので、一定範囲の財産を手元に残すことを許容しています。20万円までの預貯金や99万円以下の現金など、最低限度の財産が含まれます。は手元に残せる ・同時廃止事件同時廃止事件とは、自己破産を申し立てた債務者にほとんど処分すべき財産がない場合の事件類型です。換価処分が不要なので、管財事件と比べて短い期間で免責許可を獲得できるでしょう。なら2ヶ月から4ヶ月程度で免責される ・非正規雇用・フリーター・無職でも利用できる |
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自己破産のデメリット | ・ほとんどの財産が取り上げられる ・管財事件管財事件とは、破産管財人が選出されて慎重に破産手続きが進められる事件類型です。例えば、債務者の借金状況が複雑、免責不許可事由について調査が必要、換価処分が必要などの事情があるがこれにあたります。では破産手続きに半年以上かかることがある ・借金の原因次第では免責されない自己破産を申し立てても免責されない「免責不許可事由」が存在します。ギャンブルや株取引などが原因で借金を背負った場合や、財産隠匿などの不正行為が見られる場合には、自己破産後も借金返済義務が残ってしまいます。可能性あり ・手続き後も返済義務が残る借金自己破産を利用しても性質上免責されない非免責債権が存在します。税金や養育費などが含まれます。がある ・手続き中に仕事ができなくなる職業あり ・その他、自己破産手続き中の制限事項破産手続き中は、移動制限や郵便物の管理制限が生じます。もちろん、免責許可を獲得すれば復権するので、破産手続き中だけの辛抱です。あり ・ブラックリストに登録される ・官報に掲載される |
このように、いろいろな長所・短所がある自己破産手続きですが、個人間の借金を自己破産によって解決するにあたっては、自己破産による債務整理の向き不向きがあります。
例えば、個人間の借金について債権者が任意整理の交渉に応じてくれない場合があるでしょう。
このようなケースでは、債務整理手続きにすべての債権者を引き出せる自己破産は向いていると考えられます。
一方で、個人間の借金だけではなく、消費者金融などからの貸金業者からの借金も抱えている場合において「貸金業者からの借金については債務整理をしたいが個人債権者にだけは契約書通りに返済したい」というケースもあるはずです。
このようなケースでは、自己破産を利用すると個人間の借金も債務整理の対象になってしまうので、自己破産による債務整理は不向きだと考えられます。
また、以下のように、個人間の借金を自己破産で債務整理するのに向いているケース・向いていないケースもあります。
自己破産が向いているケースの具体例 | ・個人債権者が直接交渉に応じてくれない ・返済を継続するだけの金銭的な余裕がない ・処分される財産を所有していない |
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自己破産が向いていないケースの具体例 | ・知人などに最低限返済は続けたい ・所有する自宅がなくなると困る ・ギャンブルなどが原因で個人からお金を借りている ・養育費の支払いが多い |
個人間の借金を自己破産で債務整理すべきかは、借金の内容や経緯、現在の経済状況を踏まえて総合的に検討する必要があります。
どの方法で債務整理をおこなうかを債務者自身で判断することは難しいので、専門家である弁護士に相談するようんにしましょう。
個人再生を利用すれば個人間の借金を大幅に減額できる
個人再生とは、裁判所を利用して借金を大幅に減額する債務整理手続きです。
借金総額に応じて減額率は異なりますが、借金の元本にまで踏み込んで返済総額を約1/5程度にまで圧縮できるというメリットが得られます。
他方、個人再生計画が認可されるための要件・手続きは厳しく、また、すべての借金が債務整理手続きの対象になるので、柔軟かつ細やかに借金状況を整理できないというデメリットを避けられません。
個人再生にも、以下のようなメリット・デメリットがあるのでご確認ください。
個人再生のメリット | ・借金総額を最大1/10に圧縮できる ・自宅を手元に残せる ・ギャンブルや浪費が原因で借金をした場合にも利用できる ・手続き中の職業制限はない |
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個人再生のデメリット | ・借金の返済継続を要する ・借金を100万円未満に減らすことはできない ・一定の安定的な収入が求められる ・すべての借金が対象にされる ・手続き、要件が厳格 ・官報に掲載される ・ブラックリストに登録される |
そして、自己破産と同じように、個人間の借金を個人再生で債務整理することについて向き不向きがある点に注意する必要があります。
例えば、私情が絡んだ結果、個人間の借金について債権者が任意整理の交渉に一切応じないような場合には、すべての債権者を交渉のテーブルに引き出せる個人再生は適しています。
他方、個人再生では再生計画が認可されたあと約3年で完済するのが原則ですが、個人間の借金問題が原因で個人債権者との関係がもつれた結果、早期に借金問題を解消してしまいたいと希望する場合には、個人再生は不向きなので自己破産が適していると考えられます。
また、以下のように、他にも個人間の借金を個人再生という手段で債務整理するのに向いているケース・向いていないケースがあります。
個人再生が向いているケースの具体例 | ・個人債権者が直接交渉に応じてくれない ・マイホームを手元に残したい ・会社員のように安定的な収入が見込める |
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個人再生が向いていないケースの具体例 | ・個人間の借金だけは債務整理したくない ・連帯保証人に迷惑をかけたくない ・個人債権者との関係継続を望まない |
個人間の借金を個人再生で解決する場合には、債務者の収入や住宅ローンの有無などの事情を総合的に考慮する必要があります。
裁判所から求められる要件や手続きが難しいので、個人再生の実績がある弁護士に相談しましょう。
任意整理を利用すれば個人間の借金の利息・遅延損害金をカットできる
任意整理とは、裁判所を利用せずに債権者と直接交渉して利息・遅延損害金をカットする債務整理手続きです。
自己破産や個人再生とは異なり裁判所とは無関係に手続きを進められるので、柔軟な解決を目指せるというメリットがある反面、債権者が交渉に応じてくれなければ借金問題を解決できないというデメリットがあります。
自己破産・個人再生と比べると借金の減額効果は小さいのは事実ですが、借金の返済継続が難しい主な理由な高利率で算出される利息にあるケースも多いので、将来発生する利息・遅延損害金がカットされるだけでも大きな意味があると言えるでしょう。
任意整理にも以下のようなメリット・デメリットがあります。ご参照ください。
任意整理のメリット |
・利息、遅延損害金をカットできる ・債務者と柔軟に交渉できる ・整理する借金を債務者側で選択できる ・家族や会社に知られずに手続きを進めやすい ・官報には掲載されない |
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任意整理のデメリット | ・借金減額効果が比較的弱い ・債権者の合意を前提にしている ・借金の返済継続を要する ・ブラックリストに登録される |
そして、個人間の借金について任意整理を利用するかについては、状況に応じて適否を判断する必要があります。
例えば、債権者側が積極的に交渉に応じてくれる場合には、任意整理は適しています。
消費者金融などの貸金業者からの借金については利息・遅延損害金しかカットできないのに対して、個人間の借金では個人債権者の合意が得られる範囲で減額を目指せるので、交渉内容や進め方次第では大幅な減額も可能です。
他方、個人間の借金では、個人債権者が頑として交渉に応じてくれないケースも少なくはありません。
任意整理に応じるかどうかは債権者の判断次第で、個人債権者の前向きな姿勢が見受けられない場合には任意整理の交渉に時間を割くのが無駄になるので、速やかに自己破産・個人再生を検討しましょう。
また、以下のように、他にも個人間の借金を任意整理という手段で債務整理するのに向いているケース・向いていないケースがあります。
任意整理が向いているケースの具体例 | ・個人債権者が積極的に交渉に向き合ってくれる ・今後の返済計画について柔軟な理解を得られる見込みあり ・できるだけ穏便に借金状況を改善したい |
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任意整理が向いていないケースの具体例 | ・私情がもつれて債権者が交渉に応じてくれない ・返済の継続が難しい状況にある |
任意整理で個人間の借金を解決するためには”いかに個人債権者とスムーズに交渉を進められるか”が鍵となります。
知人や親族などから借金をしている場合には、どうしても感情がもつれて当事者同士ではうまく話がまとまらないということもあるでしょう。
任意整理を弁護士に任せれば、債務者自身が交渉を行うよりも冷静な対応が期待できますし、債権者側の事情に配慮しつつも有利な条件で合意を引き出す可能性も高まります。
したがって、交渉ベースの任意整理の利用を検討するのなら、弁護士に任せるのが適切だと考えられます。
個人間の借金の利息は高すぎる可能性がある
個人間の借金では、金銭消費貸借契約において高い利率条件が定められることがあります。
しかし、貸金業者からの借入れと同じように、個人間の借金についても利息制限法の上限利息ルール利息制限法では、借金元本額に応じて上限金利が定められています。10万円未満なら年利20%、100万円未満なら年利18%、100万円以上なら年利15%です。この上限金利を超える部分の利息は無効なので、すでに支払っている場合には債権者に返還請求ができます。・出資法の規制出資法では、個人間の借金における上限利息を年利109.5%と定めています。出資法の規制を超える条件で貸付けが行われた場合には、債権者に5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金が科されるので、適宜専門機関にご相談ください。が適用されるので、これらの規制に反する利息条件は無効なものと取り扱われます。
高い利息が原因で個人間の借金を契約通りに返済できていない可能性があるので、現在の返済状況の適法性を判断してもらうためにも、弁護士に相談しましょう。
個人間の借金について債務整理を利用するときの注意点とは?
個人間の借金についても債務整理は利用可能ですが、実際に債務整理を行う際には、債務者が抱えている借金の状況や個人間の借金という特殊性を考慮して手続きを選択しなければいけません。
個人間の借金について債務整理する際の具体的な注意点は以下の7点です。
- 個人間の借入れは契約書がなくても返済義務がある
- 闇金からの借金は返済義務がないので債務整理をする必要がない
- 個人間の借金では相手方と丁寧に交渉する必要がある
- 個人間の借金で債務整理を利用しても返済督促が止まらない可能性がある
- 個人間の借金だけ先に返済すると債務整理が認められない可能性がある
- 養育費の支払いが難しい場合でも債務整理では減免できない
- 慰謝料や損害賠償は債務整理で減免できる可能性がある
それでは、個人間の借金を債務整理するときの注意点について、それぞれ見ていきましょう。
個人間の借入れは契約書がなくても返済義務がある
貸金業者からの借入れだけではなく、個人間でお金の貸し借りをする際にも、法的には金銭消費貸借契約金銭消費貸借契約については、2020年4月施行の改正民法で「諾成的金銭消費貸借契約」という類型が新設されました。書面が交付される場合に限って当事者間の合意だけで法的拘束力が生じるので、従来よりも当事者の意思が尊重される傾向が強くなっています。が締結されたと捉えられます。(民法587条)
したがって、個人間の借金では契約書がないことも少なくはありませんが、契約書を交わさなくても借金の返済義務はあるのでご注意ください。
闇金からの借金は返済義務がないので債務整理をする必要がない
知人、兄弟、家族、親族からの借金なら特に疑う必要はありませんが、近年インターネットやSNSなどを利用して個人間融資を募るケースが多く、安易に手を出してしまうと闇金から借金をするという事態に陥りかねないので注意が必要です。
一般の個人からお金を借りていると勘違いしていたのに、実は闇金だったという場合には、次のようなリスクが生じるおそれがあります。
- 異常に高い利息の支払いを求められる
- 厳しい取り立てを受ける
- 個人情報が漏洩する
貸金業登録をせずに融資を業としている場合や、利息制限法・貸金業法を守らない場合には、当該個人債権者は闇金の可能性があります。
そもそも、闇金との間で結んだ金銭消費貸借契約は無効です。
したがって、闇金からの借金返済で困っているとしても、わざわざ債務整理を利用する必要がないということになります。
闇金に対して借金の返済を継続する必要はありませんし、すでに闇金に支払ったお金も取り戻せます。
ただし、法律の素人である債務者が悪質な闇金と直接交渉するのは危険なので、法律の専門家である弁護士に交渉を任せましょう。
個人間の借金では相手方と丁寧に交渉する必要がある
個人間の借金について債務整理をする場合には、個人債権者と丁寧に交渉を進める必要があります。
なぜなら、消費者金融などの貸金業者との間には配慮すべき人間関係はありませんが、個人間の借金では簡単には切れないような人間関係があることも多いので、債務者側の一方的な事情だけではなく、債権者側の事情や心情もポイントになるからです。
例えば、各債務整理のデメリットの大きさや手続きの手間を考慮すると、自己破産・個人再生に比べて任意整理の方が”やりやすい”債務整理ですが、任意整理は債権者の合意のもとでしか交渉を進められない以上、個人債権者に対して慎重な配慮を要します。
したがって、貸金業者相手よりも丁寧な手続き進行が求められるので、任意整理の経験が豊富な弁護士に任せるべきだと考えられます。
個人間の借金で債務整理を利用しても返済督促が止まらない可能性がある
個人間の借金について債務整理を利用しても、個人債権者からの返済督促が止まらない可能性があります。
なぜなら、消費者金融などの貸金業者に対しては貸金業法の取り立て規制があるので弁護士による債務整理受任後の督促はすべて禁止されているのに対して、個人債権者には貸金業法が適用されない以上、取り立て規制も及ばないからです。
例えば、個人債権者との折り合いがうまくつかないと、債務整理を利用したことに納得してもらえない可能性があります。
債務整理を開始したにもかかわらず、電話・自宅訪問・職場への取り立てなどが継続すると、債務者本人の負担になるだけではなく、家族や職場にも迷惑がかかるでしょう。
そこで、個人債権者からの取り立てに悩まされている場合には、以下の対応方法が考えられます。
- 弁護士に取り立てを止めるように交渉してもらう
- 各種仮処分を申し立てる
多くの個人債権者は弁護士からの打診があれば債務整理後の取り立てをストップしてくれるはずです。
ただし、逆上してさらに過激な取り立てをする可能性もあるので、執拗な自宅訪問に対しては面会強要禁止の仮処分、繰り返される電話督促に対しては架電禁止の仮処分といった民事保全法上の裁判手続きを実行しましょう。
個人間の借金だけ先に返済すると債務整理が認められない可能性がある
個人間の借金を含め、複数の債権者から借入れをしている場合、個人債権者にだけ優先的に弁済すると債務整理が認められない可能性があります。
自己破産・個人再生では、裁判所を利用してすべての借金について各種手続きを進めなければいけません。
「せめて個人間の借金だけは返済したい」という債務者の心情は理解できるものではありますが、このような”偏頗弁済”をすると他の債権者の利益を害することになってしまいます。
したがって、債権者平等の原則に反する行為があったと判断され、”免責許可を得られない”、”再生計画が不認可になる”といったデメリットが生じるので、債務整理手続きの利用を検討している場合には、まずは弁護士に相談をしてから債権者への対応をご検討ください。
なお、任意整理は当事者間の合意を前提にして行うものなので、原則として一部の個人債権者への弁済が問題になることはありません。
養育費の支払いが難しい場合でも債務整理では減免できない
個人債権者への借金返済と似た問題として、養育費の支払いがあります。
離婚後に養育費の支払い義務を負担する債務者の中には、収入減や他の借金が原因で、当初約束した通りには養育費の支払いを継続するのが難しいという人もいるでしょう。
ただし、養育費の支払いについては債務整理を利用することはできません。
なぜなら、養育費を減免すると子どもの権利が制約される可能性があるからです。
したがって、養育費の支払い条件を変更したいのなら、債務整理を利用するのではなく、当事者間の話し合い、養育費減額請求調停、審判という手段をご検討ください。
養育費支払いの問題は借金問題とは異なりますが、弁護士であれば充分に対応可能なので、どうぞお気軽にご相談ください。
慰謝料や損害賠償は債務整理で減免できる可能性がある
養育費は債務整理で減免することはできませんが、慰謝料や損害賠償請求については債務整理で減免できるケースがあります。
債務整理で減免できない慰謝料・損害賠償請求権は以下の通りです。
- ①悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
- ②故意・重過失によって加えた生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
「債務整理の対象にならない損害賠償請求権」に含まれるかどうかは個別事案ごとに判断されるものです。
あくまでもおおまかな類型化ではありますが、債務整理で減免できるもの・減免できないものは以下のように分類できます。
債務整理の対象になる 損害賠償請求権 |
・過失の程度が軽い交通事故の損害賠償請求 ・悪質性の低い離婚の慰謝料 |
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債務整理の対象にならない 損害賠償請求権 |
・過失の程度が重い交通事故の損害賠償請求 ・DV、不倫などの悪質な離婚の慰謝料 ・傷害事件などにおける損害賠償請求 |
過失の程度や悪意の判断には高度な専門性が求められます。
したがって、慰謝料や損害賠償請求の支払いが行き詰っている場合には、弁護士に相談したうえで債務整理の対象になりうるかを検討してもらいましょう。
個人間の借金の返済で困っているなら弁護士に相談しよう
個人間の借金の返済で困っているなら弁護士に相談するのがおすすめです。
なぜなら、弁護士に相談すれば以下のメリットが得られるからです。
- 弁護士に相談すれば個人債権者と丁寧に交渉してくれる
- 弁護士に相談すれば闇金からの借金を帳消しにしてくれる
- 弁護士に相談すれば適切な債務整理手続きを選択してくれる
- 相談料などの費用面についても弁護士は柔軟に対応してくれる
それでは、それぞれのメリットについて見ていきましょう。
弁護士に相談すれば個人債権者と丁寧に交渉してくれる
知人や親族からの借入れについて一定の関係性がある債務者本人が対応するとしても冷静に交渉を進められない可能性が高いので、法的な交渉に慣れた弁護士に任せるのが適切と考えられます。
個人間の借金について債務整理するときには、個人債権者への細やかな対応が必須です。
対応を誤ってしまうと、まったく交渉に応じてくれない、逆上して厳しい督促を繰り返すというような事態にもなりかねませんし、債務整理後の関係性にも留意する必要があります。
したがって、弁護士に依頼をして、できるだけ穏便に債務整理手続きを進めるようにしましょう。
弁護士に相談すれば闇金からの借金を帳消しにしてくれる
弁護士に相談すれば、闇金からの借金を帳消しにしてくれます。
不用心に個人間融資に手を出してしまうと、知らないうちに闇金からお金を借りてしまうこともあります。
ただ、闇金からの借入れは無効なので、債務者には返済義務自体がありません。
つまり、今後返済を継続する必要もないですし、支払ったお金を取り戻すこともできます。
弁護士に任せれば闇金へも厳しく対応してくれるので、事態が深刻化する前にご相談ください。
弁護士に相談すれば適切な債務整理手続きを選択してくれる
弁護士に債務整理を依頼すれば、債務者の借金状況や生活再建に関する希望を考慮したうえで、自己破産・個人再生・任意整理の中から適切な手続きを選択してくれます。
例えば、個人間の借金だけは完済を目指したいのなら、他の借金について任意整理を利用したうえで、個人債権者に返済を継続できるような家計状況を作り出す方法が考えられます。
また、個人債権者が任意整理の交渉にまったく応じてくれないようなケースでは、早期の借金問題解決を目指すために自己破産・個人再生に迅速に切り替えてくれます。
貸金業者からの借金を債務整理する場合とは違って、個人間の借金を債務整理するには制度上の長所・短所だけではなく、債務者と個人債権者の関係性なども考慮して手続きを選択しなければいけません。
ノウハウのある弁護士になら細やかな対応を期待できるので、どうぞお気軽にご相談ください。
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相談料などの費用面についても弁護士は柔軟に対応してくれる
弁護士は費用面の不安にも丁寧に対応してくれます。
相談料無料、弁護士費用の分割払いなど、弁護士費用の支払いに不安がある方も躊躇なく相談しましょう。
まとめ
個人間の借金について債務整理をする際には、各手続きの特徴を押さえて個人間融資における最善の解決策を検討しなければいけません。
親族・知人からの借金ならば、債権者側の事情・心情も酌みして交渉を進める必要があります。
個人債権者が闇金の場合には、強気な姿勢で返済義務がないことを前提とした対応が必須です。
このように、個人間の借金の債務整理については、債務者本人では処理が難しい場合が少なくないので、債務整理全般の実績がある弁護士に任せて生活再建を目指してください。
個人間の借金でよくある質問
はい、できます。
自己破産・個人再生・任意整理を検討することになりますが、親族や知人などからの借入れであるという特殊性を考慮して手続きを選択しましょう。
個人間融資には、プロの貸金業者からではなく、素人の個人から借りているという点に特殊性があります。
例えば、口約束で契約書を作っていない、利息の額が高すぎる、取り立てが執拗、感情のもつれから交渉に応じてくれないということが考えられるので、債務整理に力を入れる弁護士に任せるのが適切です。
STEP債務整理「債務整理に力を入れるおすすめの弁護士を紹介」
SNSをきっかけに個人間融資を利用した場合には、相手が闇金の可能性があります。
闇金からの借金は無効なので、債務整理を利用するまでもなく返済する必要はありません。
ただし、闇金相手に債務者本人が交渉をするのはリスクが高いので、闇金相手にも強気に対応できる弁護士にご相談ください。
養育費は「非免責権」とされており、債務整理をしても支払義務がなくなりません。
そのため、離婚時と状況が変わって返済の継続が難しいのなら、元配偶者との交渉・調停・審判という流れで対応しましょう。
個人間の借金を含め、複数の債権者から借入れをしている場合、個人にだけ優先的に返済すると自己破産が認められない可能性があります。
そのため、自己破産後に任意で返済していくのがよいでしょう。

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