国民健康保険の滞納で差し押さえに!払えないときの対処法3つを紹介

病気が原因で退職後、社会保険から国民健康保険に切り替えたのですが、思うように収入を得られずに滞納がつづいています。自治体から督促状が届いたのですが、お金を用意できずに困っています。このままだとどうなるのでしょうか?


社会保険に加入していない場合、国民健康保険への加入は義務です。つまり、国民健康保険料の支払いも義務付けられているので、このまま滞納がつづくと、消費者金融からの借金を滞納した場合と同じように、滞納処分として未納者の財産・給与などが差し押さえられてしまいます。
財産が差し押さえられるのは困ります。今からでも滞納処分を回避する対処法はありますか?


まずは自治体の窓口で滞納分の扱いについて相談しましょう。分割払いや支払いの猶予をしてくれる可能性があります。また、今後の国民健康保険料の支払いについても、軽減制度・減免制度の活用についてご検討ください。

さらに、もし現在抱えている借金が家計を圧迫するのが原因で国民健康保険料を滞納しているのなら、借金について債務整理を利用するのがおすすめです。金融機関への返済状況を改善できれば、国民健康保険料を払いやすくなるでしょう。弁護士に相談すれば家計状況をチェックして適切な方策を提案してくれるので、すみやかにお問い合わせください。
国民健康保険料の支払いは国民の義務です。どのような事情を抱えていたとしても、黙ったまま滞納をつづけてしまうと督促状・催告書などの方法で取り立てが繰り返され、最終的には滞納処分という形で未納者の財産・給与等に対する差し押さえが実行されてしまいます。
つまり、国民健康保険料を滞納している人が最優先に考えなければいけないのは、差し押さえを回避するための対処法について。すみやかに自治体の窓口まで足を運んで、分割払い・支払い期限の猶予・延滞金の免除などについて具体的に交渉してください。ケースバイケースですが、払いやすい条件での支払い方法を認めてくれる可能性があります。
同時に、消費者金融などへの借金返済が原因で国民年金保険料の支払いを滞納している場合には、”債務整理”という選択肢についても検討するのがポイント。債務整理では国民年金保険料の滞納分を直接的に改善することはできませんが、「債務整理で借金問題が改善されると国民年金保険料を払いやすい家計状況が生まれる」というメリットが得られます。
借金問題・債務整理に強い弁護士に相談をすれば、国民年金保険料の支払いへの対処法もアドバイスしてもらえます。滞納処分までは日数が限られているので、すみやかにご相談ください。
>>【国民健康保険を滞納している人へ】当サイトおすすめ弁護士への相談はこちら

- 国民健康保険料の支払いは義務。滞納すると、督促状・催告書による取り立てが繰り返され、延滞金の発生後、滞納処分で財産などが差し押さえられる。消費者金融などからの借り入れを滞納した場合と同様のペナルティを免れられない状況。
- 国民健康保険料を滞納している場合には、すみやかに自治体の窓口まで相談を。具体的な基準は自治体ごとに異なるが、分割払いや猶予などの交渉に応じてくれる可能性がある。また、家計状況次第では、減免制度などの活用もあわせて検討しよう。
- 借金が原因で国民健康保険料を払えない場合には、弁護士に債務整理を相談するのも選択肢のひとつ。借金問題を改善できれば、国民健康保険料の支払いが楽になるはず。
国民健康保険料を滞納すると差し押さえが実行される
社会保険に加入していない国民すべてに支払いが義務付けられている国民健康保険料を滞納したままの状態がつづくと、最終的には滞納処分が実行されて、未納者に対する差し押さえが行われます。
差し押さえが実行されると、未納者の生活はさらに厳しい状況に追いこまれるだけです。
そこで、まずは国民健康保険料滞納が原因で差し押さえが実行された場合のリスク・滞納処分までの流れなどについて詳しく見ていきましょう。

国民健康保険には、保険料・保険税という2つのルールが存在します。国民健康保険料・国民健康保険税のどちらのルールを採用するかは自治体次第。どちらであったとしても、被保険者側に課される内容に大きな違いはありません。ただし、国民健康保険税として扱われる場合は、地方税法のルールが厳格に適用されるため、厳しい徴収などが行われる可能性があります。
国民健康保険滞納で督促状が届くといつ差し押さえられてもおかしくない
国民健康保険料を滞納している場合、「いつ差し押さえが実行されるか分からない不安定な状況に置かれている」ということを理解しましょう。
これについては、消費者金融などからの借り入れを滞納した場合の強制執行までの流れと比較すると分かりやすいはず。というのも、借金を滞納した場合よりも、国民健康保険料を滞納したケースの方が差し押さえという事態が切迫しているからです。
借金滞納時の流れ | 【滞納2ヶ月頃まで】督促状・催告書の送付 →【滞納3ヶ月頃】債権者からの差し押さえ予告通知送付 →【滞納4ヶ月頃】裁判所から支払督促・訴状の送付 →【滞納5ヶ月~それ以降】強制執行の実行 |
---|---|
国民健康保険料滞納時の流れ | 【納付期限後20日以内】督促状の発送(国民健康保険法第79条2項) →【督促状の発送後10日】滞納処分の実行(国民健康保険法第80条) |
※具体的な取り立て時期・督促状送付時期については、滞納者の延滞状況等を総合的に考慮した債権者・自治体側が決定するため変動あり。
※国民健康保険料の賦課額、保険料率、納期、減額賦課その他保険料の賦課及び徴収等に関する事項については、別途自治体ごとに条例で定められているので、詳しくはお住まいの自治体までご確認ください(国民健康保険法第81条)
国民健康保険の場合、差し押さえが実行されるまでに裁判所の手続きは必要ありません。つまり、自治体側の判断次第では、督促状を送付してから10日後に滞納処分が実行される危険性があるということです。
したがって、国民健康保険を滞納した場合には、すみやかに差し押さえを回避するための対処法に踏み出す必要があるということ。「自治体が経済的に困っている人から無理矢理お金を取るわけがない」と勘違いしてはいけません。

国民健康保険料滞納時のルールは未納者にとって厳しい制度設計がされていますが、実際には督促状送付から10日経過後すぐに滞納処分が実行されるわけではありません。督促状・催告書・差し押さえ予告書の送付、電話連絡によって取り立てがつづけられ、それでも無視する悪質な未納者に対して滞納処分が実行されるという流れです。したがって、滞納処分が実行される前に自治体側とコンタクトを取る機会はあるので、その際に支払い状況などについて具体的な相談をすることをおすすめします。
国民健康保険料を滞納すると完納まで差し押さえは解除されない
国民健康保険料滞納が原因で滞納処分が実行されると、原則として未払い分を完納するまでは差し押さえは解除されません。
つまり、差し押さえが実行される前に、滞納処分回避に向けた対処法を取ることが重要だと考えられます。
ただし、次のような事情が存在する場合には、例外的に差し押さえが解除される可能性があります。
- 未納者本人・家族の病気・怪我などが原因で高額の治療費を要する場合
- 前年に比べて大幅に年収が減少・退職・廃業した場合
- 災害などの不可抗力事象によって損害を被った場合
- 滞納処分が実行されると生活自体が成立しない場合
自治体側の判断次第にはなりますが、交渉してみる価値はあるでしょう。
国民健康保険料滞納による差し押さえを時効で回避するのは現実的ではない
国民健康保険料は、支払い期日から2年が経過したタイミングで消滅時効が完成します(国民健康保険法第100条1項)。つまり、2年間逃げつづけることができれば、滞納分の国民健康保険料の支払い義務から逃れられるということです。
ただし、消滅時効の完成によって国民健康保険料から逃れるのは現実的ではありません。なぜなら、自治体が発送する督促状等には”時効の更新”の効力が存在するからです((国民健康保険法第100条2項))。
(時効)
第百十条 保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したときは、時効によつて消滅する。
2 保険料その他この法律の規定による徴収金の徴収の告知又は督促は、時効の更新の効力を生ずる。引用元:国民健康保険法
ほとんどのケースにおいて、自治体側は住民の国民健康保険料の支払い状況を適切に管理しています。つまり、2年の消滅時効期間が完成するまでに、かならず督促状が送付され、消滅時効の完成が妨げられることになります。
したがって、国民健康保険料の支払いが難しい場合でも、消滅時効の完成を期待するのではなく、分割払い・猶予の交渉や、各種減免制度の利用を検討することをおすすめします。
国民健康保険滞納で財産が差し押さえられると生活に支障が出る
国民健康保険料を払えるだけの収入があるのに滞納している人・度重なる督促を無視して延滞をつづける人などに対しては、最終的に滞納処分が実行されて財産などが差し押さえられることになります。
差し押さえの対象になるのは以下のものです。
- 給与
- 銀行口座の預金残高
- 不動産(住宅・土地・自動車など)
- 生命保険の解約返戻金
- 年金
- その他未納者の財産(差し押さえ禁止財産滞納処分によって無制限な差し押さえを許してしまうと、未納者が生活を維持することさえ難しくなります。そこで、一定の”差し押さえ禁止財産”を定めることによって、滞納処分後の生活維持が可能とされます。たとえば、生活に必要な最低限の家具・仕事に必要な物品・子どもの教育に必要なものなどは、滞納処分後も所有が認められるのでご安心ください。を除く)
注意が必要なのは、国民健康保険料の滞納のケースでは、納付義務を課されている世帯主名義の財産が差し押さえの対象になるということ。つまり、配偶者や子ども名義の財産は原則として滞納処分の対象外とされます。
もっとも、滞納処分を回避する目的で名義変更をしていたり、実質的には世帯主の支出によって形成された資産であると考えられる場合には、世帯主名義以外の財産も差し押さえられる可能性はあります。国民健康保険料の滞納処分は、あくまでも実質的な中身で対象が決められるということを覚えておきましょう。
国民年金保険料の滞納がつづいており、滞納処分が実行されると生活面にどのような不安が生じるか不安がある人は、法律問題に詳しい弁護士までご相談ください。
国民健康保険料を滞納すると差し押さえ以外にもデメリットが発生する
国民健康保険料を滞納した場合、最終的には滞納処分という大きなデメリットが発生しますが、差し押さえが実行されるまでにも数々のデメリットが発生する点に注意が必要です。
国民健康保険料滞納によって生じるデメリットは次の3点です。
- ①延滞金が発生する
- ②保険証が期限切れになって医療費控除を受けられない
- ③公的サービスを受けられなくなる
国民皆保険制度において、保険料を滞納してデメリットが課されると、加入者の生活自体に大きなリスクが発生することになります。
各デメリットの詳細を理解することによって、これ以上デメリットが拡大するのを防ぐための意識作りをしてください。
①延滞金が発生する
国民健康保険料を滞納すると、納付期限の翌日から完納日まで延滞金が発生します。これは、借金を滞納した場合の遅延損害金と同じ意味合いをもつペナルティです。
自治体によって延滞金の徴収方法・端数の取り扱いについて違いが生じますし、年度ごとに延滞金特例基準割合が異なるために一律に延滞金を算出することはできませんが、以下のような高い延滞金が発生するため、さらに深刻な経済状況に追いこまれる可能性があります。
【延滞金の計算式】
滞納期間 | 具体的な計算式 |
---|---|
納期限の翌日から3ヶ月を経過する日までに納付された場合 | 延滞金額 = 滞納保険料額 × 延滞金の割合(年利率2.5%)× 日数 ÷ 365日 |
納期限の翌日から3ヶ月を経過する日の翌日以降に納付された場合 | 延滞金額 = 3ヶ月までの延滞金額+(滞納保険料額 × 延滞金の割合(年利率8.8%)× 3ヶ月経過後の日数 ÷ 365日) |
※延滞金算定基準となる年利率は滞納年度によって異なります。詳しくは、お住まいの自治体HPなどをご参照ください。
このように、延滞金は滞納期間が伸びるにつれて毎日加算されるものです。また、延滞期間が3ヶ月を超えた段階で延滞金算定年利率も増加するため、すみやかに延滞状況改善に動き出さなければいけません。
②保険証が期限切れになって医療費控除を受けられない
国民健康保険料を期限までに納付している場合には、有効期限2年の通常の保険証が交付されます。
これに対して、国民健康保険料を滞納している場合には、通常の保険証から以下のものに切り替えが行われます。
短期被保険者証 | ・有効期間は長くても6ヶ月程度(自治体による) ・滞納期間半年~1年経過を目安に切り替えられる |
---|---|
被保険者資格証明書 | ・保険証としての効力なし(医療費全額自己負担) ・滞納期間1年以上を目安に切り替えられる |
特に、被保険者資格証明書の交付段階にまで至ると、病院にかかったときの医療費は全額自己負担になってしまいます。また、本来的自己負担分(3割)以外の部分(7割部分)は、滞納している国民健康保険料の支払いに充てられるため、手元に戻ってくることはありません。
医療費全額自己負担になると、病院に行きたくても通院することができなくなることもあるでしょう。適切なタイミングで医療を受けられないと、生活・生命自体に支障が生じることになるので、今すぐに滞納分解消に向けて動き出しましょう。
③公的サービスを受けられなくなる
国民健康保険料の滞納は、その他公的サービスなどにも波及的な影響を生じます。
たとえば、国民健康保険を支払っていると受けられる以下のものもサービスの対象外とされるおそれがあるので注意が必要です。
国民健康保険制度は、しっかりと期限までに支払っておけば幅広い側面において国民の生活環境を補償してくれるものです。
医療費などにかかわる重要な制度であることからも、滞納が生じた場合には、かならずデメリット拡大を回避するために、早期に対処法に踏み出しましょう。
国民健康保険料滞納による差し押さえを回避する3つの方法
国民健康保険料を滞納すると多くのデメリットが課される以上、滞納処分によって差し押さえが実行される前に、対処法に向けて動き出す必要があります。
国民健康保険料滞納による差し押さえを回避するための方法は、次の3つです。
- ①国民健康保険料の滞納分を一括で支払う
- ②自治体窓口で減免・分納などの相談をする
- ③借金が原因で国民年金保険料を払えないなら弁護士に債務整理を相談しよう
それでは、それぞれの対処法について、具体的に見ていきましょう。

保険料の支払いは国民の義務です。国民皆保険制度のなかでは、何かしらの保険制度に加入していなければいけません。そこで、今後国民健康保険料を支払うのが難しい場合には、社会保険完備の企業に転職する・国民健康保険組合に加入するなどの方法をご検討ください。仕事の状況次第では、毎月の支払いを抑えられる可能性があります。
①国民健康保険料の滞納分を一括で支払う
国民健康保険料の滞納分を一括で支払えば、滞納処分による差し押さえを回避できます。
たとえば、次の方法のなかから実践できそうなものを見つけて、滞納分のお金を用意できるかを考えてみましょう。
- ①生命保険の解約返戻金
- ②自宅にある不用品・高価ブランド品などを売却処分
- ③短期アルバイト・日雇いなどの収入
ただし、ここで注意を要するのが、たとえ「滞納している国民健康保険料の支払いに充てるため」という正当な目的があったとしても、消費者金融などからの借金を頼ってはいけないということです。
なぜなら、未払い保険料の支払いのために他社からの借り入れを頼ったところで、支払い先が代わるだけで負債は一切減っていないからです。
また、国民健康保険料の延滞金年利率(現在は2.5%~8.8%)に比べて、貸金業者などの融資条件はかなり高利率です(年利率15%~20%になることも)。つまり、貸金業者を頼ることによって今よりも深刻な返済状況に追いこまれるリスクさえ発生しかねません。
したがって、自分の努力で滞納分の国民健康保険料を用意できない場合には、次の項目で紹介するように、すみやかに自治体窓口まで交渉に行くことをおすすめします。
※なお、国民健康保険料滞納分の支払いのためにお金を用意する手法については、「借金返済のために借金はやってはいけない!自力完済のコツと債務整理の道のりを解説」が参考になります。あわせてご一読ください。
②自治体窓口で減免・分納などの相談をする
国民健康保険料を滞納している場合には、滞納処分が実行される前に、すみやかに自治体窓口まで減免・分納などの交渉に行くことをおすすめします。
実は、国民健康保険料滞納者への対応は、自治体・担当者ごとに異なるもの。画一的な基準が設けられているわけではなく、行政側の裁量で今後の流れが大きく変わることもあるため、自治体側と交渉を進めることにはかなり大きな意義があるというのが実情です。
たとえば、次のような形で交渉を進めることができます。
- 滞納分を一括で支払うのが難しいので分納を希望する
- 滞納分を一部まとめて支払う代わりに、残りは分割返済に切り替える
- 収入の減少等の不可抗力事情を理由に保険料の減額・延滞金の免除を求める
- 自己や災害などを理由に保険料の免除自体を求める
- 滞納処分による差し押さえを待ってもらうように交渉する
このように、自治体の窓口との交渉内容はいろいろなバリエーションで進めることができます。
もちろん、未納者の滞納期間・支払い状況・家計状況などを総合的に考慮して、分納・減免などが一切認められない可能性もありますが、交渉によって差し押さえを回避できる可能性がある以上、試してみる価値はあるはずです。

国民健康保険の滞納分について交渉で行く末が決まる以上、入念な準備をしてから自治体との交渉に向き合うべきです。滞納した理由・滞納に対する謝罪の意・今後の支払い意思があること・現在の正確な家計状況・毎月の支払い状況・具体的な返済可能性など、自治体の担当者からの合意を引き出せるだけの材料を整えましょう。
③借金が原因で国民健康保険料を払えないなら弁護士に債務整理を相談しよう
国民健康保険料を滞納している人のなかには、消費者金融などへの借金返済も負担に感じているというケースもあるはず。この場合には、「債務整理を利用して現在抱えている借金の返済状況を改善して、国民健康保険料を支払いやすい家計状況を整える」という救済措置がおすすめです。
債務整理とは、借金問題で苦しむ債務者に与えられた最終手段のこと。合法的に借金返済状況を改善できるため、生活再建に役立てることができます。
ただし、国民健康保険料の滞納分について直接債務整理を活用することはできません。あくまでも、「借金問題を債務整理で片づけたうえで、反射的効果として国民健康保険料滞納分への対策ができる」という構造であることにご注意ください。
そして、債務整理を利用するときには、弁護士への相談が不可欠です。なぜなら、弁護士の力を頼ることによって、次の4つのメリットが得られるからです。
- 債務者の状況に応じた債務整理手続きを提案してくれる
- 債務整理後の生活維持に向けた具体的なアドバイスを期待できる
- 債務整理の依頼によって債権者からの取り立てがストップする
- 借金問題は無料で弁護士に相談できる
それでは、債務整理を弁護士に依頼するメリットについて、それぞれ具体的に見ていきましょう。
債務者の状況に応じた債務整理手続きを提案してくれる
借金問題で苦しむ債務者にとっての救済措置である債務整理には、自己破産・個人再生・任意整理の三種類の手続きが用意されています。つまり、債務者側でどの手続きを利用して生活再建を目指すのかを決めなければいけないということです。
ところが、各債務整理手続きにはそれぞれ特有のメリット・デメリットがあるので、素人である債務者本人には自分に適した手続きを選択するのが容易ではありません。
したがって、借金問題のノウハウ豊富な弁護士に依頼をして、自分の状況に合った債務整理手続きを選択してもらいましょう。
債務整理手続き | メリット・デメリット |
---|---|
自己破産 | ・借金返済義務が免責される ・収入とは無関係に手続きを利用できる(無職でも可) ・自由財産自己破産後の債務者の生活維持に配慮する目的で、一定の財産は自由財産として手元に残せる。たとえば、差し押さえ禁止財産・20万円までの預貯金・財産などがこれに該当する。また、債務者の個別事情を考慮して自由財産の範囲を拡張することも可能。以外の債務者名義の財産が処分される ・免責不許可事由一定の事情が存在する債務者については、借金の免責が認められない(裁量免責は可能)。たとえば、ギャンブル・浪費癖で借金を抱えた場合、破産手続きの進行を妨げる事情が存在する場合、ショッピング枠の現金化などの不正取引の履歴が確認される場合などがこれに該当する。・非免責債権自己破産を利用しても免責されない支払いがある。国民健康保険料・税金・罰金・養育費・一部の損害賠償義務などがこれに該当する。つまり、非免責債権の占める比重が多い場合には自己破産を利用するメリットは少ないと考えられるので、手続き選択に影響する。・職業制限サラリーマンなどには関係のない注意点ではあるが、一部の職業・資格については破産手続き中に仕事ができなくなるおそれがある。警備員や司法書士などが代表事例だが、かなり多くのケースで職業制限の可能性があるため、自己破産申し立て前にかならず確認しておくこと。など、手続き進行上の注意点が多い |
個人再生 | ・借金総額が最大1/10にまで減額される(原則3年の完済計画) ・返済中の住宅ローンのための特則が用意されている ・裁判所から認可を受けるための安定した収入が必要 |
任意整理 | ・将来利息を免除して元本のみの返済に切り替えられる ・3年~5年で完済を目指せる ・裁判所を利用しないのでスムーズに手続きを進められる ・返済計画次第では毎月の返済額が増えるリスクがある |
なお、各債務整理手続きの詳細については、以下のリンク先でも詳しく解説しています。手続き選択の際にお役立てください。
債務整理後の生活維持に向けた具体的なアドバイスを期待できる
借金問題・国民健康保険料の滞納問題について弁護士に相談をすれば、今後の生活再建に向けた具体的なアドバイスを期待できます。
たとえば、債務整理手続きを利用するためには、その準備段階として、債務者の毎月の収支状況を分析する作業が行われます。つまり、債務整理手続きの準備を通して、弁護士から家計改善に向けた具体的なアドバイス(固定費の削減や不要な生命保険の解約など)をもらえるので、手続き後の生活再建がスムーズに進むことになります。
また、債務者のなかには、ほとんど収入がないために自立した生活を送るのが難しいという人もいるはず。このような人たちのために、以下のような行政の福祉支援制度などが幅広く用意されているため、弁護士から具体的な制度・申請方法などを教えてもらいましょう。
福祉支援制度 | 内容 |
---|---|
生活福祉資金貸付制度 | 所得要件・家族構成などの条件次第で、総合支援資金・福祉資金・教育支援資金などの貸付けを受けられる。 |
緊急小口資金 | 病気、盗難被害、被災、失業、公共料金の滞納などの緊急性が高い場合に無利子・無担保で20万円を上限に融資。新型コロナウイルスの影響で融資範囲が拡大されている。 |
母子父子寡婦福祉資金貸付 | ひとり親世帯向けの貸付制度。生活資金・修学資金などについて幅広く用意されている。 |
求職者支援資金融資制度 | 失業中・求職中の人のための訓練制度・給付金制度。スキル獲得を目指しながら一定の収入も得られるので効率的に自立を目指せる。 |
他にも、生活保護制度など、多数の公的支援制度が用意されています。
弁護士からアドバイスをもらっても良いですし、国民健康保険料の支払い交渉のために自治体に足を運んだ際にこれらの制度について相談するのも選択肢のひとつです。
※なお、生活再建を目指す債務者が利用できる公的サービスについては、「借金まみれで生活できないとどうなる?返済地獄から復活する方法と債務整理について解説」において詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。
債務整理の依頼によって債権者からの取り立てがストップする
債務整理を弁護士に依頼すれば、債権者からの取り立てがストップするというメリットが得られます。
国民健康保険料や借金の返済で苦しむなか、債権者から取り立てがつづくのはストレスになるもの。弁護士が送付する”受任通知”には取り立てを止める効力があるため、これ以上債権者からプレッシャーをかけられることはなくなります。
ただし、国民健康保険料は債務整理の対象に含めることができないため、自治体からの督促が止まることはありません。自治体側からの連絡を止めるためには、自ら自治体の窓口まで交渉に行くしかないため、すみやかに分割交渉などを行いましょう。
※受任通知については、「債務整理をすると借金の督促が止まるって本当?受任通知の効力について解説」で詳しく解説しています。あわせてご参考ください。
借金問題は無料で弁護士に相談できる
生活費さえ苦しい状況では、弁護士などの専門家への相談料を不安に感じるはずです。
ただ、弁護士へ相談する段階でお金のことを心配する必要はありません。なぜなら、借金問題に強い弁護士は債務者の窮状を理解しているため、次のような体制で債務者が相談しやすい環境を作っているからです。
- 相談料無料
- 弁護士費用の分割払い対応可
- 法テラスの民事法律扶助制度の利用可
したがって、債務者はお金の心配をすることなく、弁護士の高いレベルのサービスを受けることができます。
「費用が不安だから債務整理に踏み出せない」と躊躇している間にも、借金問題等は深刻になるばかりです。借金問題解決に向けて動き出すのがはやいほどスムーズに解決に至ることができるので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
※債務整理費用に対する不安を抱える債務者は、「お金がなくても債務整理は可能!費用が払えないと心配する前にまずは弁護士に相談すべき理由とは」をご参照ください。手続きにかかる費用・利用できる制度について詳しく解説しています。
まとめ
国民健康保険料を滞納すると、最終的には滞納処分が実行されて債務者名義の財産・給与などが差し押さえられてしまいます。また、滞納処分が実行される前の段階でも、すでに延滞金や医療費全額自己負担のリスクに晒されている状態です。
つまり、国民健康保険料を滞納しているのなら、今すぐにデメリット軽減に向けて対策を打ち出す必要があるということ。できるだけすみやかに自治体の窓口まで足を運んで、国民健康保険料滞納分の分割払い・減免などについて交渉をしてください。
また、貸金業者などへの借金返済でも苦しんでいるという債務者は、弁護士に債務整理を依頼するという選択肢についても同時に検討を進めましょう。借金問題を改善できれば、国民健康保険料の支払いも楽になるはずです。
国民健康保険料を滞納すると、いつ差し押さえが実行されるか分からないという不安定な状態に置かれます。適切な交渉を進めれば差し押さえを回避できるので、生活再建に向けて動き出しましょう。
国民健康保険料の滞納についてよくある質問
滞納すると延滞金の発生・医療費の全額自己負担、最終的には財産の差し押さえが実行されます。また、医療控除を受けられない、延滞金が発生するなどのデメリットもあります。
生活に必要な最低限の資産を除き、未納者名義の財産・給与・預金口座・生命保険の解約返戻金などが差し押さえの対象になります。
自治体の窓口で、分割払いや支払猶予の相談をしましょう。やむをえない理由の滞納であれば、柔軟に対応してもらえます。
国民健康保険は借金とは違うため、債務整理による減額・免除はできません。保険料の減額については、役所の窓口で相談しましょう。
借金は債務整理で減額・免除ができるので、弁護士に相談してみましょう。弁護士に相談することで、支払督促を止めることもできます。→【相談無料】厳選された「債務整理に力を入れる弁護士」はこちら

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