リボ払いがなかなか終わらないときはまず原因を把握しておくべき
リボ払いの返済が終わらない原因としては、主に以下の3つが挙げられます。
- 返済額が少額になりやすくリボ残高が減りづらいため
- 金利による利息や手数料がかさんでしまいリボ残高が減りづらいため
- リボ残高の確認を怠っていたため
原因を正しく把握することで「どうすれば返済を早められるか」「今すぐにできる対処法はあるのか」といった具体的な対策が見えてきます。ここからは、それぞれの原因について1つずつ詳しく解説していきます。
返済額が少額になりやすくリボ残高が減りづらいため
リボ払いは一定の範囲内で返済額を自由に決められるため、毎月の返済負担を軽減するために返済額を少額に設定している方もいることでしょう。しかし、毎月の返済額を少額に設定していると、リボ残高も減りづらくなるため、返済期間が長期化するリスクがあります。
例えば、10万円を年15%の金利でリボ払いしている場合、毎月1万円と3万円を返済し続けた場合の返済期間や手数料、返済総額を比較すると、下記のような結果になります。
毎月の返済額 |
1万円 |
3万円 |
返済期間 |
11ヶ月 |
4ヶ月 |
手数料 |
7,241円 |
2,564円 |
月の返済額に占める
手数料の割合 |
6~7%程度 |
2%程度 |
返済総額 |
107,241円 |
102,564円 |
参照:「ショッピングリボ」のご返済シミュレーション | クレジットカードはセゾンカード
上表を見ると、毎月3万円返済した場合は、返済期間が半分以下になり、手数料も約1/3に抑えられることがわかります。
さらに注目すべきなのは、月の返済額に占める手数料の割合です。1万円返済する場合は6~7%程度が手数料として消えてしまうのに対し、3万円返済する場合は2%程度にとどまります。
つまり、少額返済を続けるほど、元本がなかなか減らず、手数料の割合が大きくなるため、返済期間も長期化しやすくなるということです。
リボ払いで採用されやすい返済方式
リボ払いには、カード会社によっていくつかの返済方式があります。代表的なものは以下の通りです。
元利定額方式 |
毎月の返済額(元金+利息)が一定で、毎月の返済のうち利息分を差し引いた残りが元金に充てられる。 |
元金定額方式 |
毎月決まった元金を返済し、その上に利息を加えた金額を支払う。利息が減るにつれて返済総額も減る。 |
残高スライド方式 |
利用残高に応じて、毎月の返済額が段階的に変動する。残高が多いほど返済額も高くなる。 |
この中でも、元利定額方式は多くのクレジットカードで標準的に採用されている方式です。月々の返済額が一定である反面、実は返済が終わりにくい仕組みになっているという落とし穴があります。
元利定額方式では、毎月支払う金額の中に利息(手数料)が含まれており、その利息を差し引いた金額しか元金の返済に充てられないという特徴があります。そのため、返済が長引き、手数料の支払いがかさむ状態に陥りやすいのです。
例えば、10万円を年15%の金利でリボ払いした場合、毎月1万円を元利定額方式と元金定額方式で返済し続けたときの違いは下記のとおりです。
毎月の返済額 |
元利定額方式 |
元金定額方式 |
返済期間 |
11回 |
10回 |
手数料 |
7,241円 |
5,662円 |
返済総額 |
107,241円 |
105,662円 |
参照:「ショッピングリボ」のご返済シミュレーション | クレジットカードはセゾンカード
リボ払いについて | 日本クレジットカード協会
上記の表から見て分かるように、借入金額も毎月の返済金額もほぼ同額ですが、返済期間も返済総額も元利定額方式の方が多くなるという結果になりました。元本が思ったほど減らないため、「返済を続けているのに終わらない」と感じる場合、この方式が採用されているケースも考えられます。
金利による利息や手数料がかさんでしまいリボ残高が減りづらいため
リボ払いは、月末時点の利用残高全体に応じて利息や手数料が発生します。リボ払いの金利は年率15~20%程度が一般的で、分割払いや銀行系のローンと比べて金利が高い傾向です。
リボ払いの手数料は、以下の式で算出可能です。
支払残高×金利÷365(日)×利用日数
金利が高いほど返済総額が高くなるのが一般的であるため、リボ払い残高も減りづらく、完済までの期間も長期化しやすくなります。例えば、年15%の金利で50万円の支払残高に対して返済額が1万円の場合、1ヶ月の手数料は以下の金額となります。
50万×15%÷365×30=6,164
つまり、返済額1万円のうち約6,000円が手数料に充てられているのです。そのため、元金は約4,000円しか減っていません。
支払残高は常に把握し、返済額が適正か見極めることが大切です。
リボ残高の確認を怠っていたため
前述のとおり、リボ払いはどれだけ利用しても返済額は毎月一定なので、クレジットカードの1回払いや現金払いと比べて使いすぎに気付きにくく、その後も無計画な利用を繰り返してリボ残高が膨らんでしまうケースも少なくありません。
また、リボ払いの返済は基本的に口座からの自動引き落としで行われるため、返済を続けていればリボ残高も順調に減少していると錯覚しやすいです。しかし、リボ残高が多かったり毎月の返済額が少額だったりする場合は、毎月の返済額を占める利息の割合が大きくなります。
結果、返済を続けていても思ったほどリボ残高が減っていないというケースも珍しくありません。このように、リボ残高は定期的に確認しないと、リボ払いの使いすぎやリボ残高がほとんど減っていないことに気付きにくいため、返済を続けていてもなかなか終わらないという事態が起こりやすいです。
リボ払いが払えない場合はどうなる?支払いに遅れてしまった場合のリスク
リボ払いが払えないまま滞納してしまうと、以下のようなリスクが生じます。
- クレジットカードが一時的に利用停止になる
- 滞納が解消されるまで遅延損害金が発生し続ける
- クレジットカード会社から督促が行われる
- いわゆる「ブラックリスト入り」になる
- クレジットカードが強制解約になり利用金額の一括請求がくる
- 最終的には強制執行となり財産が差し押さえられる
ここからは、それぞれのリスクについて1つずつ詳しく解説していきます。
クレジットカードが一時的に利用停止になる
支払いが遅れてから利用停止になるまでの期間はクレジットカード会社によって異なりますが、早ければ支払い期日の翌日から利用停止になる可能性もあります。
下記のようなサービスをクレジットカードで支払っている場合、クレジットカードが利用停止されてしまうと、支払いができずに滞納となってしまいます。
- 毎月の家賃
- 水道光熱費
- 携帯料金
- サブスクリプション
滞納が続いてクレジットカードが一時的に停止となれば、支払先のサービスも使えなくなるため、日常生活にも悪影響を及ぼすでしょう。
滞納が解消されるまで遅延損害金が発生し続ける
リボ払いを滞納すると、支払い期日の翌日から滞納分を完済した日まで遅延損害金が発生し続けます。遅延損害金とは、支払いが約束の期日より遅れたときに、遅れたことにより債権者が被った損害を補うために請求される金銭のことです。
リボ払いを滞納した場合の遅延損害金の金額は以下の計算式で求められます。
支払いが遅れているリボ払い残高×遅延損害金の年率×滞納日数÷365日
遅延損害金の年率はクレジットカード会社によって異なりますが、リボ払いで適用される消費者契約法では上限年率が14.6%と定められています。リボ払いの滞納日数が長引くほど遅延損害金も高額になり、総支払い額もどんどん膨らんでしまうため、ますますリボ払いの支払いが難しくなるでしょう。
クレジットカード会社から督促が行われる
リボ払いを滞納してからしばらくすると、当該クレジットカード会社からの督促が行われます。督促は電話や郵送で行われるのが一般的です。
同居家族にリボ払いの滞納を内緒にしている場合は、クレジットカード会社からの督促をきっかけにバレてしまう可能性があります。
いわゆる「ブラックリスト入り」になる
リボ払いの支払いを2~3ヶ月以上滞納した場合は、いわゆる「ブラックリスト入り」の状態になります。ブラックリスト入りとは、支払いの滞納や債務整理などの金融トラブルを起こしたという履歴が、信用情報機関に登録されることをいいます。
ブラックリスト入りの状態だと、支払い能力や信用力が乏しいと判断される可能性があるため、ブラックリスト期間中はクレジットカードやローンなど以下のような審査に通づらくなります。
- クレジットカード
- 新たな借入や各種ローン
- スマホの機種代の割賦払い(分割払い)
- 保証会社と通した賃貸契約
- 他人の借金の保証人・連帯保証人
リボ払いの滞納によってブラックリスト入りした場合は、リボ払いを完済してから最長5年は履歴が残ります。日常的にクレジットカードを利用している方や、住宅や車などの高額な買い物を予定している方などは、ブラックリスト入りによって大きな影響を受ける可能性があるので注意が必要です。
クレジットカードが強制解約になり利用金額の一括請求がくる
リボ払いの滞納が2~3ヶ月以上続くと、当該クレジットカードが強制解約される可能性があり、その場合にはクレジットカード会社から一括請求がきます。一括請求された場合は、その時点で抱えているリボ払い残高・未払い利息・遅延損害金の全額を一括で返済しなければなりません。
リボ払いの毎月の支払いさえも難しい状況の中で一括請求されれば、さらに苦しい状況に追い込まれてしまうでしょう。他社から借入をして返済しようと思っても、一括請求がきた時点ではブラックリスト入りになっている可能性が高いです。
そのため、すでに新たな借り入れができない状況にある可能性があります。
最終的には強制執行となり財産が差し押さえられる
クレジットカード会社から一括請求された後も滞納が続いた場合は、支払督促や訴訟などの法的手続きに移行します。裁判所からの支払い命令や判決が下された後も滞納を続けた場合は、最終的に強制執行となって財産を差し押さえられます。
差し押さえの対象となるのは、法律で差し押さえが禁止されている財産は除き、下記のように経済的価値がある財産全般です。
特に預貯金や給与は現金化や回収が容易なので、優先的に差し押さえられるケースが多いです。また、給与を差し押さえられた場合は、支払い元である勤務先に差し押さえ通知が送られるため、リボ払いの滞納が勤務先にバレてしまうことになります。
リボ払いが終わらない状況から抜け出すための対策
リボ払いの返済を続けているのになかなか終わらない場合は、以下の対策を講じて返済が終わらない根本的な原因を改善しましょう。
- お金に余裕があるときだけでも繰り上げ返済をする
- 毎月の支払い金額を高く設定して返済期間を短縮する
- 金利が低いローンに借り換えをする
ここからは、それぞれの対策について1つずつ詳しく解説していきます。
お金に余裕があるときだけでも繰り上げ返済をする
ボーナスなどの臨時収入などでお金に余裕ができた場合は、余裕資金を繰り上げ返済に充てるようにしましょう。繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に自分の好きなタイミングで利用残高の一部を返済する方法です。
繰り上げ返済をすれば、その分だけリボ残高が減少します。繰り上げ返済をすれば、その分だけリボ残高が減少します。実際に、手数料15%で50万円リボ払いした場合、下記2つのケースで手数料や返済総額を比較してみます。
・繰り上げ返済なし:1回分支払い後も毎月約1万円ずつ返済
・繰り上げ返済あり:1回分支払い後、途中で20万円繰り上げ返済
参照:【しっかり】繰り上げ返済シミュレーション ─ 今すぐシミュレーションしてみよう! ─ 資金プランシミュレーション|知るぽると
繰り上げ返済後は、月の返済額を変更せずに返済期間を短縮したり、返済期間は変更せず月の返済額を減額したりなど調整可能です。今回のシミュレーションにおいて、総返済額は10万円〜18万円と大幅に減額できた結果でした。
また、繰り上げ返済で利用残高が減少することで、利用可能枠にも余裕ができるため、想定外の支出に備えられます。
2.毎月の支払い金額を高く設定して、返済期間を短縮する
リボ払いの毎月の返済額は、最低返済額こそ決められていますが、それ以上の金額であれば自分で設定できます。
リボ地獄に陥る人の多くが、毎月の返済額を最低返済額のままに設定しています。これではなかなか残高がなかなか減らず、利用残高が積み上がってしまいやすいです。
毎月の返済額を高く設定すれば、それだけ元金部分に充当される金額は大きくなります。一括返済や繰り上げ返済と同じく、利用残高が減るペースを早められるでしょう。
リボ払いの返済額は、クレジットカード会社の会員ページなどで変更できるケースが大半ですので、無理のない範囲で設定金額を高めに設定しておきましょう。
例えば、オリコカードの場合、会員ページ内にリボ返済額変更メニューが有り、ショッピング枠とキャッシング枠それぞれで、「毎月返済額」「ボーナス加算額」の変更、「ボーナス加算月」の指定が可能です。
(引用:オリコカード)
オリコカードの場合は、以下のように借入額により最低返済額が指定されていますが、それ以上であれば千円単位で自由に設定が可能です。
利用残高 |
2011年10月31日までに会員登録されたカード毎月の最低返済額 |
2011年11月1日以降に会員登録されたカード毎月の最低返済額 |
100,000円以下 |
5,000円 |
3,000円 |
100,001円~200,000円 |
10,000円 |
6,000円 |
200,001円~300,000円 |
20,000円 |
9,000円 |
300,001円~500,000円 |
30,000円 |
15,000円 |
500,001円~1,000,000円 |
30,000円 |
20,000円 |
1,000,001円~2,000,000円 |
50,000円 |
50,000円 |
2,000,001円~3,000,000円 |
70,000円 |
70,000円 |
3.金利の低い他のローンへ借り換えする
金利の低い他のローンへの借り換えも効果的です。
リボ払いの金利は、前述の通り15~20%前後と高く設定されています。
銀行カードローンなど、リボ払いよりも金利の低いローンへ借り換えできれば、支払総額を大きく抑えることが可能です。下記の表は、オリコカードのリボ払い手数料率と主要な銀行系カードローンの年金利をまとめていますので参考にしてください。
借入金額 |
オリコカードリボ払い手数料 |
三菱UFJ銀行カードローン(バンクイック) |
みずほ銀行カードローン |
三井住友銀行カードローン |
500万円以下400万円超 |
【14.52%】
・JEWEL-G
・LOVE THE EARTH
・Premium Gold
・i Gold
【13.2%】
・Orico Card THE PLATINUM
・Orico Card THE GOLD PRIME
・The Gold
【18%】
その他カード |
4.6%~6.1% |
6.0% |
6.0%~7.0% |
400万円以下300万円超 |
6.1%~7.6% |
7.0% |
7.0%~8.0% |
300万円以下200万円超 |
7.6%~10.6% |
9.0% |
8.0%~10.0% |
200万円以下100万円超 |
10.6%~13.6% |
12.0% |
10.0%~12.0% |
100万円以下10万円以上 |
13.6%~14.6% |
14.0% |
12.0%~14.5% |
ただし、カードローンの契約には審査があります。返済を既に滞納している場合など、審査に通づらい可能性がある点には、注意が必要です。
また、これは借金を借り換えているだけですので、根本的な問題は解決していません。カードローンを申し込むとリボ払いの残高以上の利用可能額が示されるケースもありますが、負担が減ったからと、更に借金を増やしてしまうことのないように、気をつけましょう。
リボ払いが払えないときに検討するべき対処法
リボ払いを支払日までにどうしても支払えない場合は、以下の対処法を検討してみましょう。
- 利用しているクレジットカードのアプリなどから支払金額を変更する
- クレジットカード会社に連絡をして支払日や支払金額の調整を依頼する
- リボ払いを複数利用している場合にはおまとめローンを検討する
ここからは、それぞれの対処法について1つずつ詳しく解説していきます。
利用しているクレジットカードのアプリなどから支払金額を変更する
直近のリボ払いの支払いがどうしても難しい場合は、利用しているクレジットカードのアプリやWebなどから、毎月の支払金額を支払い可能な金額に変更しましょう。期日までに支払えれば、支払いの遅れによるクレジットカードの一時停止や遅延損害金発生のリスクを回避できます。
変更締切日や最低支払額はクレジットカード会社やリボ残高などによって異なるため、詳細については利用しているクレジットカード会社の公式サイトでご確認ください。
クレジットカード会社に連絡をして支払日や支払金額の調整を依頼する
変更締切日を過ぎていて支払金額を変更できない場合は、クレジットカード会社に直接連絡しましょう。クレジットカード会社にどうしても支払えない事情を説明し、誠意を持ってきちんと対応すれば、支払日の延長や支払金額の調整に応じてもらえる可能性があります。
ただし、連絡が遅れてしまうと対応してくれない恐れがあるため、支払いができないと分かった時点で早めに連絡するようにしてください。支払日や支払金額の変更に応じてもらえた場合は、指定された支払日までに確実に支払いを済ませましょう。
リボ払いを複数利用している場合にはおまとめローンを検討する
おまとめローンとは、複数社の借り入れを1つにまとめるためのローン商品のことで、下記のような金融機関で取り扱いがあります。
現在利用しているリボ払いよりも低金利のおまとめローンに乗り換えれば、金利が下がった分だけ利息・手数料額が抑えられるため、毎月の返済負担を軽減できます。実際に、下記条件で複数のリボ払いをまとめローンとにまとめた場合、どのくらい減額できるか比較してみました。
利息や手数料抜きで毎月計1万円の返済
・手数料15%のA社で20万円のリボ払い
・手数料18%のB社で15万円のリボ払い
・利息13%のおまとめローンで35万円契約
参照:【イー・ローン】おまとめローンシミュレーション|おまとめローンの検索・比較・申込みならイー・ローン
「ショッピングリボ」のご返済シミュレーション | クレジットカードはセゾンカード
上記を見ると、金利が低いおまとめローンにまとめるだけで返済総額も6万円以上減額できています。また、B社とおまとめローンを比べてみると、返済総額や10万円以上差がありますが、返済期間は3ヶ月しか変わりません。
毎月ほぼ同じ金額の返済ですが、まとめることで返済期間も大幅に短縮できることがわかります。
また、借入先を一本化することによって、残債や返済日、引き落とし口座などの管理が容易になるというメリットもあります。
リボ払いが払えない・終わらないときには最終手段として債務整理を検討する
これまでご紹介してきた対処法を試してもリボ払いが払えない・終わらない状況から抜け出せない場合は、最終手段として債務整理の手続きを検討してみてください。債務整理とは、債権者との交渉や裁判所での手続きによって借金を減額・免除してもらえる可能性のある、借金の解決を目指すための手段です。
債務整理の方法には、主に以下の3種類があります。
債務整理の種類 |
概要 |
任意整理 |
毎月の返済額や返済期間を見直してもらうために、裁判所を介さず債権者と直接交渉する手続きで、利息や遅延損害金がカットされるのが一般的 |
個人再生 |
裁判所への申立てによって、借金1/5~1/10程度まで減額してもらう手続き |
自己破産 |
裁判所への申立てによって、原則すべての借金を帳消しにしてもらう手続き |
ただし、債務整理には以下のようなデメリットもあるため、これらも考慮した上で慎重に検討しましょう。
- クレジットカードの利用・新規作成が困難になる
- 新たな借入やローン、スマホの割賦払いの審査に通りにくくなる
- 賃貸契約で不利になる場合がある
- 第三者の保証人・連帯保証人になれない可能性が高い
- 保証人・連帯保証人がついている借金を債務整理すると、その人に返済義務を負わせてしまう
- 官報に氏名や住所が掲載される(個人再生・自己破産)
ここからは、それぞれの手続きの概要について1つずつ詳しく解説していきます。
任意整理:リボ残高を完済できるように毎月の支払額を調整してもらいたい場合
任意整理とは、毎月の返済額や返済期間を見直してもらうために、債権者と直接交渉する手続きです。借金の減額幅や返済期間については債権者との交渉次第ですが、和解が成立した場合は利息や遅延損害金がカットされ、元金を3~5年かけて完済できるように調整してもらえるのが一般的です。
元金のカットは基本的に認められないため、借金の大幅な減額は見込めませんが、手続きが容易で費用も安く、財産の処分も原則ありません。リボ払いは金利が高く、毎月の利息・手数料負担が大きいため、任意整理で利息や手数料をカットしてもらうだけでも状況が大幅に改善する可能性があります。
他の債務整理よりもデメリットが小さいため、リボ払いの支払いができない・終わらない場合に債務整理を検討するなら、まずは任意整理の利用から視野に入れてみてください。
個人再生:リボ残高を減額しなければ完済が難しい場合
個人再生とは、裁判所に借金の返済が難しいことを認めてもらい、借金を1/5~1/10程度まで圧縮してもらう手続きです。減額後の借金は3~5年かけて返済していくことになります。
裁判所を介した手続きなので、任意整理と比べると手続きが複雑で費用もかかりますが、元金もカットの対象になるため、借金の大幅な減額が見込めます。財産も基本的には手元に残したまま手続きが行えますが、ローンが残っている財産は処分される可能性があります。
ただし、住宅ローンは「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」を利用すれば手続きから除外できるため、住宅の処分や保証人・連帯保証人への影響を回避可能です。リボ残高が膨れ上がってしまい、利息や遅延損害金のカットだけでは完済が見込めない場合は、元金のカットが可能な個人再生の利用を検討してみましょう。
自己破産:リボ払いやローンなどの借金の返済が難しい場合
自己破産とは、裁判所に支払い不能な状態であることを認めてもらい、すべての借金を帳消しにしてもらう手続きです。自己破産が認められれば、リボ払いやローンなどの借金を返済する必要がなくなるため、無職や専業主婦(主夫)などの収入がない人や生活保護受給者でも手続きが可能です。
しかし、自己破産は強力な効果がある一方で、下記のように他の債務整理と比べて多くのデメリットが存在します。
- 差し押さえが禁じられている財産を除き、破産者名義の20万円以上の価値がある財産を目安に処分される
- 手続き中は一部の職業や引越し、旅行が制限される
- 保証人・連帯保証人への影響を避けられない
破産後の生活や同居家族に大きな影響を及ぼす場合もあるため、自己破産は任意整理や個人再生でも借金問題が解決できない場合の最終手段として検討しましょう。
今後もリボ払いを利用する場合にはリボ地獄に陥らないための対策を講じておく<
これまで、リボ払いの危険性などについて、詳しく解説してきましたが、一方でリボ払いは月々の支払額を抑え、クレジットカードをうまく活用できる便利な仕組みでもあります。
リボ地獄に陥らず、うまく活用するためには、以下の点に注意していく必要があるでしょう。
- リボ払いの仕組みを理解して利用する
- 利用は必要最低限にする
- 毎月の返済額と残高のバランスを把握する
- いつ支払いを終えるのかを決めておく
リボ払いの仕組みを理解して利用する
リボ払いを利用する際は、これまで解説した内容を含め、仕組みを理解した上で、利用するようにしましょう。
リボ払いはクレジットカードによって、「返済金額の設定方式」や「リボ払いにする設定」などに、各社違いがあります。
例えば「返済金額の設定方式」には、定額方式と残高スライド方式があり、それぞれ利用残高の減り方や毎月の支払負担が異なります。
定額方式は、毎月の返済額が一定で、利用残高に関わらず、あらかじめ決められた金額を毎月支払います。管理しやすい一方で、利用額が多くなると返済期間が長くなりやすいのがデメリットです。
一方で残高スライド方式は、毎月の返済額が利用残高に応じて変動するのが特徴です。利用額が増えると返済額も上がるため、定額方式よりも返済スピードが速くなりやすいメリットがあります。
ただし、月によって返済額が変わるため、家計の管理が少し複雑になるのがデメリットとして挙げられます。では、15%の手数料で15万円をリボ払いした場合、それぞれの支払方法で返済期間や毎月の支払額について比較してみましょう。
参照:ショッピングリボ払いの返済シミュレーション(手数料、お支払い合計金額)|ショッピングリボ払い|クレジットカードなら、JCBカード
上記を見ると、同じ借入額でも残高スライド方式の場合は、返済期間が約半分になっていることがわかります。ただし、月の支払額は1~2回目までは残高スライド方式の方が2倍以上と高額になっています。
クレジットカード会社によってスライドの基準や最低支払額の設定は異なっており、残高スライド方式を選んだ場合でも、常に返済期間が短くなるとは限りません。また、標準コースや長期コースなど返済コースによっても、毎月の支払額が変動することがあります。
そのため、リボ払いを利用する際には、自身の返済能力や生活費とのバランスをよく考慮したうえで、返済方式を選択することが大切です。
また、クレジットカードによっては、利用分が自動的にリボ払いに設定されたり、一定金額を超えた部分がリボ払いに設定されたりする場合もあります。
クレジットカードを利用する際には、リボ払いのルールがどのように規定されているかを規約などで確認し、不明点があれば相談窓口に問い合わせるなど、理解を深めてから利用するようにしてください。
利用は必要最低限にする
リボ払いは、月々の返済負担は軽いので利用したくなりますが、意識せず使ってしまうとあっという間に支払総額が膨らんでしまいます。
できるだけ一括払いや分割払いを活用して、どうしても急な出費で対応できない場合など、最低限の利用としておきましょう。
毎月の返済額と残高のバランスを把握する
リボ払いを利用する場合は、現時点での利用残高や返済金額を必ず確認するようにしてください。毎月の支払額を自由に設定できますが、何も設定していなければ、基本的には最低返済額が適用されます。
最低返済額は、低い金額で設定されているの一般的ため、そのままにしておくと、なかなか残高は減りません。支払残高と返済額のバランスを確認し、適切に返済額を設定するようにしてください。
いつ支払いを終えるのかを決めておく
リボ払いは、いつリボ払いの支払いを終えるのかをしっかり決めておくことがポイントです。
リボ払いは、返済金額が少ないため負担が少なく感じるような仕組みです。はじめは少しだけのつもりでも、毎月のようにリボ払いを利用してしまい、いつになったら払い終えるのかもわからなくなってしまうことも少なくありません。
リボ払いを利用する際には、一括返済も含めてどんな資金でいつ払い終わるのかをしっかりとシミュレーションした上で利用するのがポイントです。
まとめ
リボ払いは、毎月の返済額を一定にできる利便性の高い仕組みであり、計画的に利用すれば家計のバランスをとるための手段としても活用できます。しかしその一方で、返済額を低く設定しすぎると、元本がなかなか減らず、利息や手数料ばかりを支払い続ける結果となり、返済が終わらない状態に陥るリスクがあります。
特に、リボ払いの仕組みをよく理解せずに利用を続けてしまうと、支払残高が増えても気づかず、返済が長期化してしまいがちです。滞納が続けば、遅延損害金が発生したり、カードの利用が停止したりなど、深刻な問題に発展することもあります。
このような事態を防ぐには、まず現在の利用状況と返済計画を見直し、余裕のあるときに繰り上げ返済を行ったり、毎月の返済額を可能な範囲で引き上げることが有効です。また、支払いが困難になった場合には、金利の低いローンへの借り換えを検討することも、返済負担の軽減につながります。
それでも返済が難しい場合は、専門家への相談を早めに行うことが、解決への第一歩となります。
今後もリボ払いを利用する場合には、必ず仕組みを理解したうえで、自分にとって無理のない範囲で計画的に活用することが大切です。返済のゴールを明確にし、使いすぎを防ぐ意識を持つことで、リボ払いのメリットを最大限に活かすことができるでしょう。
リボ払いに関してよくある質問
リボ払いを利用し続けることにはどのような危険がありますか?
リボ払いは金利が高いうえに支払った気になりやすいため危険です。何も考えずに利用し続けると、利息だけを払い続けいつまでも完済できない状況に陥ってしまいます。
なぜ毎月返済しているのにリボ払いが終わらないのでしょうか?
リボ払いは金利が高いため、支払総額に対して返済額が低いと、返済額に占める利息の割合が多くなってしまいます。
そうなるとなかなか支払残高が減らずに、リボ払いが終わらないのです。
リボ払いを一刻も早く終わらせるにはどうすればよいですか?
リボ払いを終わらせたいのなら、残高を完済する必要があります。一括返済や繰り上げ返済を利用して早期完済を目指しましょう。
リボ払いを終わらせたいのですが、一括返済や繰り上げ返済は難しいです。どうすればよいですか?
一括払いや繰り上げ返済が難しい場合は、毎月の返済額を増やすことをおすすめします。
それでも返済が終わらないときは、弁護士へ債務整理の相談をしてみるとよいでしょう。
債務整理をしてリボ払いを終わらせたいのですが、債務整理は自分でおこなうことも可能なのですか?
債務整理の手続きは複雑で、専門知識を要するため自身でおこなうのは極めて難しいです。そのため、法律事務所に相談することをおすすめします。専門家である弁護士が早く確実に債務整理の手続きをおこなってくれます。
リボ払いが払えないときに相談はどこへしたらよいでしょうか?
まずは、クレジットカード会社に連絡し、支払日の延長や返済額の調整が可能か相談することが大切です。事情を説明すれば、柔軟に対応してもらえる場合があります。
また、返済に不安がある場合は、弁護士に相談してアドバイスを受けるのも有効です。債務整理はあくまで最終手段ですが、専門家に相談することで、状況に応じた適切な対応を検討できます。
リボ払いが終わらないときの返済のコツがあると聞きました。どのような方法でしょうか?
リボ払いを早く終わらせるには、毎月の返済額を増やしたり、繰り上げ返済を活用したりするのが効果的です。これにより、元金の減りが早くなり、利息の負担も軽減されます。
また、金利の低いローンへ借り換える方法もあります。ただし、借り換えは一時的な対処にすぎないため、計画的な返済を意識することが大切です。
クレジットカードの一括請求が払えない時はどうすればいいでしょうか?
一括請求が困難な場合は、早めにクレジットカード会社へ連絡し、分割払いへの変更が可能か相談することが重要です。事情を正直に伝えることで、支払方法の見直しに応じてもらえる可能性があります。
放置すると遅延損害金が発生し、信用情報にも影響を与える可能性があるため、支払えないと分かった時点で速やかに対応しましょう。
リボ払いを延滞するとすぐにブラックリスト入りになるのでしょうか?
一度の延滞でただちにブラックリスト入りとなるわけではありません。ただし、延滞が2~3ヶ月以上続いた場合は、金融機関に「長期延滞」として記録される可能性があります。
クレジットカードの自動リボ設定を解除するにはどうすればいいですか?
自動リボ設定の解除は、各クレジットカード会社の会員サイトや専用アプリ、またはカスタマーサポートへの連絡で手続きが可能です。カード会社によって解除手続きの方法や反映までの期間が異なる場合があるため、事前に公式サイトで確認することをおすすめします。
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