息子の借金に対し、親に返済義務が生じる場合はあるのか?

息子が多額の借金をしていて悩んでいます。息子の借金を親である私が返済する義務があるのでしょうか?


親が子供の借金を返済する義務は基本的にありません。ただし、保証人や連帯保証人になっているケースは返済する義務があります。
そうなのですね。保証人や連帯保証人にはなっていないので安心しました。息子の借金問題を解決してあげたいのですが、何かよい方法がありますか?


借金を立て替えてあげる方法と債務整理をする方法があります。ただし、どちらの方法もデメリットや注意点があるため、よく理解して慎重に選ぶ必要があります。
息子が知らない間に多額の借金をしており、自分に返済義務があるのかと悩んでいる親は少なくありません。
結論からいうと、親に息子の借金を返済する義務はありません。
ただし、保証人や連帯保証人の場合や死亡した息子の借金を相続する場合は返済する義務が生じます。
また、任意で立替えをすることは可能です。その場合は、貸与にするのか贈与にするのかで税金の扱いが変わってくるので気をつけましょう。
もしも、息子が借金を返済できずに困っているのなら、債務整理での借金減額を勧めてみてはいかがでしょうか。当サイトでは無料相談可能な弁護士を紹介していますので、ぜひご利用ください。
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- 息子がした借金を親が返済する義務は基本的にない
- 連帯保証人や保証人になっている場合は子供の借金を返さなければならない
- 子供の借金を立て替える場合は贈与税が発生する可能性がある
- 子供が借金を返済出来る見通しがないなら債務整理を検討させる
息子の借金の返済義務は基本的にない
息子がした借金を親が返済する義務は基本的にありません。
借金は借金をした人のみに返済義務があるためです。
ただし、下記の場合には息子の借金を返済する必要があります。
- 連帯保証人や保証人になっている場合
- 息子が借金を残して死亡し相続によって借金を引き継ぐ場合
それぞれについて説明してきます。
連帯保証人や保証人になっている場合は借金を返済する必要がある
保証人や連帯保証人になっている場合は、親に借金を返済する義務があるため注意が必要です。
そのことは民法446条に「借金した本人が返済を延滞すると、保証人や連帯保証人が原則として本人の借金を立て替える義務が生じる」と定められています。
では、上記に記載されている連帯保証人と保証人には、どういった違いがあるのでしょうか?
保証人と連帯保証人の違いを以下の表でまとめているので、確認してください。
保証人 | 連帯保証人 | |
検索の抗弁権検索の抗弁権とは借金をした人に返済能力があると証明することで、先に借金した人から返済するように主張出来る権利のこと | 有 | 無 |
催告の抗弁権催告の抗弁権とは債権者から請求された際に、借金をした人に請求してほしいと主張出来る権利のこと | 有 | 無 |
分別の利益分別の利益とは保証人が複数いる場合に、人数で割った金額を返済するというもの | 有 | 無 |
上記3つの権利の有無から、連帯保証人のほうが保証人よりも責任が重いと言えます。
息子が借金を残して死亡した場合は相続によって借金を引き継ぐことになる
配偶者や子供がいない息子が借金を残して死亡した場合に、親が相続することを選択すれば借金を引き継ぐことになります。
相続する際は被相続人のプラスの資産とマイナスの資産の両方を、相続人である両親が引き継ぐためです。
一方で、親が相続放棄の手続きを行う場合は返済する必要はありません。
そのため、マイナスの資産が多い場合は相続をしないのもひとつぼ手段です。
ちなみに、親が相続を放棄すると子供の祖父母が相続人になり、祖父母全員が相続を放棄すると兄弟姉妹が相続人になります。
上記のように相続放棄すると相続の権利が移るため、息子に借金がある状況で死亡した場合で相続放棄する場合は事前に相続人になる可能性がある人全員に借金があることを説明するほうが無難です。
未成年者の借金の場合は親の同意がない借金は取り消すことが出来る
息子が未成年で親の同意がなく借金をした場合は、返済する必要がありません。
未成年者が親の同意を得ずに借金をした場合は民法第5条によって取り消すことが出来ると定められているためです。
民法第5条には、「未成年が法律行為を行うには親の同意が必要になり、未成年者にとって不利益とならない行為については同意が必要ない。また、未成年者が親の同意を得ずに行った法律行為は取り消すことが出来る。」という内容が記載されています。
ただし、親が少しでも返済してしまうとその借金を認める行為になりますので、注意が必要です。
未成年者ではないと偽った場合は取り消すことが出来ない
子供が未成年者ではないと偽って借金をした場合は取り消すことが出来ません。
例えば、生年月日を偽って成人のように装うことや子供が親の同意書を偽造している場合の契約は有効です。
そのため、子供に借金の返済の義務が残ってしまいます。
このように詐術にあたる行為をした場合は未成年者ではなく、騙された方を保護する必要があるとされるため、注意が必要です。
結婚している場合も取り消すことが出来ない
未成年が結婚をすると成年擬制にあたるため、借金を取り消すことが出来ません。
成年擬制とは20歳に満たない人が結婚することにより、成年に達したものとみなす民法上の制度です。
そのため、結婚している未成年の方が借金をした場合は本人が借金を返済する必要があります。
なお、成年擬制の制度は2022年4月1日から民法改正によって成年年齢が18歳に引き下げられるため、成年擬制はなくなります。
息子の借金を解決するための方法
息子の借金の解決方法は以下の2つです。
- 親が立て替えて借金を返済する
- 債務整理の手続きを勧める
それぞれについて説明していきます。
親が子供の借金を立て替えて返済する
親がある程度の資金力を持っている場合、子供の借金を立て替えて借金を完済することで借金問題を解決することが出来ます。
ただし、親が立て替える場合には以下の2 つのポイントについて注意することが重要です。
- 親が立て替えることで簡単に解決出来るので借金を繰り返す可能性がある
- 借金を立て替えた場合は贈与税が発生する
それぞれについて説明していきます。
親が立て替えることで簡単に解決出来るので借金を繰り返す可能性が高い
親が子供の借金を立て替えて返済することは子供にデメリットがなく、簡単に解決出来るため子供が借金を繰り返す可能性が高いです。
例えば、子供がギャンブルで作った借金を親に肩代わりしてもらう場合、親に怒られる以外に特にデメリットがありません。
そのため、次も親に返済してもらえるとあまい考えを持ってギャンブルをやめずに借金を繰り返す可能性があります。
したがって、立て替えて返済する場合には、借金をした原因を協力して解決することが必要です。
借金を立て替えた場合は贈与税が発生する
借金の立て替えた場合は「みなし贈与」とみなされて、贈与税が発生するケースがあります。
みなし贈与とは、贈与の意図がなく贈与を行ったとみなされる行為です。
ただし、みなし贈与には明確な基準がないため、税務署がみなし贈与か判断します。
そのため、借金を立て替えてもみなし贈与に必ずしも該当するわけではありません。
ちなみに、贈与税とは110万円(基礎控除)を超えた財産を譲った際に課税されるものです。
税率は基礎控除後の課税価格によって異なります。
以下の表で税率を確認してください。
課税価格(基礎控除後) | 特例税率 | 一般税率 | 特例控除額 | 一般控除額 |
200万円以下 | 10% | 10% | − | − |
400万円以下 | 15% | 15% | 10万円 | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 20% | 30万円 | 25万円 |
1,000万円以下 | 30% | 30% | 90万円 | 65万円 |
1,500万円以下 | 40% | 40% | 190万円 | 125万円 |
3,000万円以下 | 45% | 45% | 265万円 | 175万円 |
4,500万円以下 | 50% | 50% | 415万円 | 250万円 |
4,500万円以上 | 55% | 55% | 640万円 | 400万円 |
課税価格に贈与税率を掛けて控除額を差し引いた金額が、贈与税です。
子供が借金を繰り返している場合は財布や通帳を確認する
子供の借金を立て替えたのちに、まだ借金をしていそうな場合は財布や通帳を確認することで借金が残っているかどうかが分かることがあります。
借金をしている場合には、通帳に借入と返済の履歴や貸金業者の名称が記載されている可能性や財布に取引明細が入っている可能性があるためです。
一方で、子供が通帳などを見せてくれない場合は、他に自身で借金の有無を確かめる方法は基本的にありません。
そのため、どうしても心配な場合は探偵などに調査を依頼する必要があります。
借金の返済が出来ないなら債務整理を検討させる
親が子供の借金を立て替えることが出来ない場合や立て替える気がない場合は債務整理をさせるようにしてください。
債務整理をすることで子供の借金問題を解決することが可能です。
ただし、債務整理は3つの手続きがあり、手続きによって特徴が違うためよく理解して自身に最適な方法を行う必要があります。
カードローンなどで借金をした場合は任意整理がおすすめ
カードローンや消費者金融など利息の高い借金の返済に苦しんでいるなら任意整理がおすすめです。
任意整理は債務者との交渉によって返済条件を変更する手続きになります。
そのため、債権者と和解出来れば利息をカットすることなどが可能です。
以下の表に任意整理のメリット・デメリットをまとめたので確認してみてください。
メリット | デメリット |
整理する債権を選択出来る | 借金がゼロになるわけではないので安定した収入が必要 |
返済期間の延長や利息のカット、元金の減額が可能 | 債権者が返済計画に合意しないと利用出来ない |
家族にバレる可能性が低い | ブラックリスト(信用情報機関)に5年間登録されるためクレジットカードなどが利用出来ない |
このような特徴があるため、息子が任意整理で借金を返済出来そうな場合は任意整理を利用することをおすすめします。
なお、任意整理については【任意整理のメリット・デメリット】手軽な費用で財産を処分されずに減額可能!元本が残ることには注意で詳しく解説しています。
借金が高額で任意整理で解決できない場合は個人再生を利用する
任意整理をしても元金は減らないため、借金の返済が見込めない場合は個人再生をおすすめします。
ただし、個人再生は任意整理よりも多くのデメリットがあるため、任意整理との違いを把握しておくことが必要です。
以下の表に個人再生のメリット・デメリットをまとめたので確認してみてください。
メリット | デメリット |
借金を5分の1から最大10分の1程度に減額出来る | ブラックリストに事故情報が5〜10年登録される(登録する信用情報機関で異なる) |
住宅ローン特則を利用することで自宅を債務整理する必要がない | 清算価値保障の原則清算価値保障の原則は借金よりも財産が少ない場合、一部の財産を残して全額弁済する必要があるという決まりのことによって一定以上の財産が持てない |
資格制限がない | 官報に載る |
個人再生は任意整理以上に借金を大きく減額することが出来ますが、返済が免除されるわけではありません。
そのため、安定した収入がない場合には利用出来ない可能性が高いです。
したがって、個人再生を利用する場合には、自身の返済能力についても確認しておくことが重要になります。
なお、個人再生については借金を1/5に減額し住宅も残せる個人再生とは?メリット・デメリットや詳しい手続きについて解説でも分かりやすく説明してあるので、あわせて参照ください。
どの方法でも返済出来る見込みがないなら自己破産を行う
個人再生と任意整理を利用しても返済出来る可能性がないなら、返済が免除される自己破産を行ってください。
だだし、自己破産は債務整理の中で最も重いデメリットがあるため注意が必要です。
以下の表に自己破産のメリット・デメリットをまとめたので確認してみてください。
メリット | デメリット |
借金の返済が免除される | 信用情報機関に事故情報が5〜10年登録される |
官報に載る | |
自由財産を除いた財産が処分される | |
職業制限のあるため定められた職業につけない(宅建士や警備員など) | |
自己破産の手続き中は移動制限がある |
このように自己破産は他の手続きよりも重いデメリットがあります。
特に職業制限に該当する職業の場合は働くことが出来なくなる可能性があるため、個人再生などの他の方法を選ぶようにしてください。
なお、自己破産については自己破産とは?借金がゼロになる代わりに失う財産や制限は?手続きの前に覚えておきたいことで詳しく解説しています。
債務整理を行うなら弁護士に相談する
自身で最適な債務整理の方法を判断することは容易ではありません。
そのため、債務整理を行う場合には、法律事務所に相談をすることをおすすめします。
弁護士に依頼することで手続きを代行してくれるだけでなく、債務整理をする際の最適な方法や返済方法などを親身になってアドバイスしてもらうことが可能です。
無料の相談サービスを行っている弁護士事務所もあるため、一度相談するようにしてください。
まとめ
基本的に親が子供の借金を返済する必要はありません。
ただし、保証人や連帯保証人に設定されているケースや子供が死亡した場合に相続したケースなど、場合によっては返済する必要があります。
そのため、親が借金を返済する必要があるケースとそういった事態にならないための対処法を理解しておくことが重要です。
理解しておくことで、不意に子供の借金を請求されるような事態になることを防ぐことが出来ます。
一方で、子供の借金を立て替えて返済する場合は贈与税が掛かるケースや子供のためにならないケースなど、多くの気をつけるべきポイントがあるため注意が必要です。
立て替えずに解決できる方法もあるので、よく考えて選択するようにしてください。
この記事では子供の借金を親が立て替える必要があるケースや立て替えた場合の注意点、立て替えずに解決する方法などについて解説しています。
子供の借金で悩んでいる方はこの記事を参考にしてみてください。
子供の借金問題についてよくある質問
基本的に親が子供の借金を返済する必要はありません。
親が子供の借金を返済しないといけない場合は、保証人や連帯保証人に設定されているケースや子供が死亡して借金を相続放棄せずに相続した場合です。
親が子供の借金を立て替えて返済するときは贈与税が課税される可能性があります。
ただし、借用書を作り貸与とする場合は課税されません。
解決するためには債務整理の手続きをおすすめします。
債務整理の手続きには任意整理と個人再生、自己破産の3つの手続きがあるため、自身にあった方法を選ぶことが重要です。
ぜひ一度法律事務所の無料相談を利用してみてください。
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