任意整理後はクレジットカードを使うのが難しくなる
任意整理をすると、既存・新規にかかわらず、すべてのクレジットカードを使うことが難しくなります。その理由は次の通りです。
- 任意整理の対象にしたクレジットカードは原則即日解約になるため
- 任意整理の対象にしていないクレジットカードも途上与信の際に更新されない可能性があるため
- ブラックリスト入りによって任意整理後はクレジットカードの新規契約が難しくなるため
それぞれの内容をみていきましょう。
任意整理の対象にしたクレジットカードは原則即日解約になるため
任意整理では整理する債務を選べますが、手持ちのクレジットカードを任意整理の対象にすると、原則としてそのクレジットカードは解約されます。そのため、任意整理の対象にしたクレジットカードを利用し続けるのは難しくなる可能性があるでしょう。
これは、多くのクレジットカード会社の会員規約に、以下のような「債務整理を行う場合は会員資格を取り消す」という旨の条項が盛り込まれているためです。
4.当社は、会員が、本規約第22条、第23条、第24条で定める、期限の利益の喪失、会員資格の取消し、退会に該当した場合、会員利用総枠を取消すことができるものとし、当社が貸与した全てのカードの利用枠も取消しされるものとします。
第22条(期限の利益の喪失)
1.本会員は、次のいずれかの事由に該当した場合、本規約に基づく一切の債務について当然に期限の利益を失い、直ちに債務の全額を支払うものとします。
(1)仮差押、差押、競売の申請、または破産もしくは再生手続開始の申立等の法的な債務整理手続の申立があったとき。
引用元 三井住友カード会員規約(個人会員用) |クレジットカードの三井住友VISAカード
任意整理をするということは、「規約通りの返済が難しくなった」ということです。クレジットカード会社側からすれば、申立人の支払能力がなくなったと判断できます。
そのため、これ以上負債を増やさないために、その人のクレジットカードの利用を停止するのが一般的です。
解約されるまでにはタイムラグがある
強制解約されるタイミングは、クレジットカード会社に受任通知が届いたときです。受任通知とは、弁護士や司法書士などの専門家が、債務者から正式に依頼を受けたことを、債権者に知らせるための書類のことを指します。
弁護士に依頼してから債権者に受任通知が届き、強制解約の手続きがされるまでタイムラグがあるため、実際に停止されるまで猶予期間ができる可能性があります。しかし、その間にクレジットカードを使用すると支払いトラブルの種になりやすいです。
そのため、基本的に任意整理をしたら、クレジットカードは一切利用せずに返還することをおすすめします。なお、任意整理を理由に強制解約されたクレジットカードは、借金の返済が完了した後も、再開できない可能性があることも覚えておきましょう。
任意整理の対象にしていないクレジットカードも途上与信の際に更新されない可能性があるため
任意整理の対象に含めなかったクレジットカードであっても、将来的に利用できなくなる可能性があります。これは、クレジットカード会社が更新時に「途上与信」という審査を行っていることが大きな理由です。
通常、クレジットカードには有効期限が設定されており、期限が近づくと自動的に新しいカードが発行される仕組みになっています。更新の際に、カード会社が利用者の信用情報を再チェックし、契約を継続するかどうかを判断しています。これが「途上与信」です。
途上与信では、以下のような情報が確認されます。
- 他社での借入状況
- 返済の遅延や延滞の有無
- 債務整理などの金融トラブルの有無
このとき、任意整理をした事実が信用情報に記録されていると、「支払能力に問題がある」と判断される可能性があります。その結果、たとえ任意整理の対象外のクレジットカードであっても、更新を見送られるケースがあるのです。
任意整理の対象にしていないクレジットカードの場合はすぐに解約になるわけではない
任意整理の対象外にしたクレジットカード会社には、任意整理した事実が直接通知されるわけではありません。任意整理をしたクレジットカードに比べると、利用停止されるまでの猶予期間が長くなる傾向にあります。
そのため、更新までの間は、支払遅延などがない限り、これまで通りクレジットカードを使い続けることが可能です。ただし、任意整理の最中にクレジットカードを使っていると申立人への心証が悪くなり、整理の対象にしたクレジットカード会社が任意整理に応じてくれない可能性があります。
申立人本人にとっても、借金をさらに増やすことにつながるため、任意整理を開始した段階で、すべてのクレジットカードの利用を控えるのが望ましいでしょう。
なお、クレジットカード会社によっては、支払遅延などがない限り、他の債務を任意整理しても引続きクレジットカードを利用できることもあります。ただし、実際の対応はケースバイケースです。
基本的には、任意整理をしていないクレジットカードであっても、そのうち使えなくなると認識しておくのがよいでしょう。
ブラックリスト入りによって任意整理後はクレジットカードの新規契約が難しくなるため
任意整理後は、手持ちのクレジットカードだけでなく、新しいクレジットカードの利用も難しくなります。これは、前述したように任意整理をした事実が信用情報機関に登録され、いわゆる「ブラックリスト入り」した状態になることが関係しています。
信用情報は更新時の途上与信だけでなく、クレジットカードを新たに作成する際の審査にも照会されるのが一般的です。その際に、任意整理の記録があると「支払いに不安がある」と判断されやすくなるため、クレジットカード審査に通りにくくなります。
任意整理の記録は、受任通知が届いてから完済するまでに加えて、完済後も最長5年間は登録されます。その間は、クレジットカード審査には通りにくくなると認識しておきましょう。
任意整理後にクレジットカードの申し込みをした人にアンケートをした結果
当サイトでは実際に任意整理をした経験がある人に対してアンケートを行っています。
任意整理をした人81人に対して、「任意整理の手続き後に、クレカや借入の申込をしたことがありますか?」「はいと答えた人は、申し込み結果はどうでしたか?」とアンケートを実施したところ、その結果は次の表のようになりました。
そもそも審査に申し込んでいない |
53 |
審査に落ちた |
18 |
審査に通った |
10 |
集計方法:インターネット
対象:任意整理をしたことがある男女
集計日:2025年5月
審査に申し込んだ人のうち、28人中10人がクレジットカードの審査に通っています。つまり、任意整理をしたからといって、絶対に新しいクレジットカードを作れない、ということではないといえるでしょう。
一方で、審査に通った人の約2倍にあたる18人が審査に落ちていることから、やはり任意整理をすると、していない場合に比べて、審査通過の難易度は高くなることがわかります。
また、今回のアンケートでは、任意整理をした81人のうち、実際にクレジットカードなどの審査に申し込んだのは28人と、全体の約3分の1にとどまりました。残りの53人はそもそも申し込みをしていません。
仮に全員が審査に申し込んでいたとすれば、審査に落ちた人数はさらに増えていた可能性もあります。そのため、安易に再取得を期待するのではなく、事前に代替手段を検討しておくことが現実的といえるでしょう。
「任意整理後にクレジットカードの審査に通った」という人がいる理由
任意整理後にクレジットカード審査を申し込んだ人のなかに審査通過した人がいる理由として、次が考えられます。
- ブラックリスト入り状態が解消されてから申し込んだ可能性があるから
- ブラックリスト入りしていても絶対に審査に落ちるわけではないから
まず、信用情報機関から任意整理の登録が抹消されてからクレジットカード審査を申し込んだことが考えられます。前述の通り、完済してからも任意整理の事実が登録される期間は最長5年間です。
完済から5年以上経過していれば、原則としてブラックリスト入り状態は解除された状態になります。解除後は、クレジットカード審査の際にクレジットカード会社が信用情報を閲覧しても任意整理の記録は載っていません。
このタイミングでクレジットカードを申し込めば、審査時に任意整理の履歴は確認されず、通常の審査として扱われます。結果として、審査に通過できた可能性があるといえるでしょう。
また、ブラックリスト入りしても必ず審査に落ちるわけではありません。審査の可否はクレジットカード会社に委ねられており、クレジットカード会社がOKと判断すれば、任意整理をした後でもクレジットカードの審査に通る可能性があります。
たとえば、任意整理前に取引歴があり、ある程度の信頼関係が築かれていたカード会社であれば、特例的に審査が通るケースも考えられます。
ただし、こうしたケースはあくまで少数であり、任意整理後はクレジットカードの審査に通りにくくなるのが一般的です。「任意整理をしてもクレカが作れた」という一部の成功例だけを過信するのではなく、基本的には審査に通るのは難しいと考えておくのがよいでしょう。
任意整理後はいつからクレジットカードを使えるようになる?
任意整理をすると、信用情報に任意整理の記録が残るため、クレジットカードの審査に通りにくい状態が続きます。この状態が解消されるのは、信用情報機関から「ブラックリスト情報」が抹消されたタイミングです。
一般的に、ブラック情報は完済から最長で5年間記録されるため、クレジットカードの審査に通りやすくなるのは、その期間が経過したあとが目安となります。
日本には以下の3つの信用情報機関があり、それぞれで登録される内容や情報の保有期間に違いがあります。
上記の通り、任意整理の事実が登録されるのはJICCのみです。CIC・KSCについては、任意整理の事実を登録する仕組みそのものがありません。ただし、この2つの機関では、延滞やクレジットカードの強制解約など、任意整理に付随する金融トラブルがあった場合に登録されます。
これがいわゆるブラックリスト入りの状態にあたり、登録抹消されるのは、CIC・KSCともに完済から5年後です。重要なのは、任意整理によるブラックリスト状態は「返済期間中」も続いているという点です。
さらに、完済してからも情報が残るため、たとえば返済に4年かかった場合は、返済期間4年 + 完済後5年 = 最大で9年間は信用情報に影響が残る可能性があります。
したがって、任意整理後にクレジットカードを作れるようになるのは、「完済から最長5年が経過した後」が基本的な目安です。
ワンポイント解説
任意整理の事実が消えたとしても、クレジットカードの審査に絶対に通るわけではありません。下記のように、任意整理以外にも返済能力を疑われるような事実があれば、審査に通るのは難しくなる可能性があります。
・収入が不安定である
・携帯料金の支払い遅延がある
・他社で複数の債務がある
このように、クレジットカード審査では任意整理の有無だけでなく、現在の経済状況や支払い履歴も総合的に判断されます。そのため、審査に通るためには信用情報が回復していることはもちろん、日頃の金銭管理や返済履歴にも注意を払うことが大切です。
任意整理の対象にしたクレジットカードは5年以上が経っても利用できない可能性がある
クレジットカードの債務を任意整理の対象にした場合は、たとえ完済して5年が経過しても、そのクレジットカードを再び使えない可能性があります。これは、「社内ブラック」が関係します。
社内ブラックとは、そのクレジットカード会社やグループ会社が独自に管理する信用情報の通称です。本当に存在するのかは明らかではありませんが、債務整理による免責や、規約違反、クレジットカードの強制解約の事実が記録されている可能性があるとされています。
クレジットカード審査の際は、信用情報機関に加えて、このような独自の情報網も参照されることがあります。そのため、信用情報機関のブラックリストから名前が消えても、社内ブラックとして名前が残っていると、その会社のクレジットカード審査に通るのは難しくなる可能性があるのです。
また、社内独自の記録であることから登録抹消の期間は定められておらず、半永久的に登録される可能性もあります。そのため、信用情報機関のブラックリスト入りが解消されており、ほかに落ちる理由が思い当たらないにもかかわらず、クレジットカード審査に通らない場合は、この社内ブラックに名前が載っている可能性が疑われます。
なお、社内ブラックの情報は、グループ会社にまで共有される可能性があります。したがって、任意整理から5年経過してもそのクレジットカード会社で審査に落ちる場合は、他の系列会社でもクレジットカードを作るのは難しい可能性があるといえるでしょう。
任意整理後にクレジットカードを使いたいときの代替案
任意整理後でもクレジットカードを使いたい場合は、次のような代替案を検討するのもおすすめです。
家族に家族クレジットカードを発行してもらう
家族クレジットカードとは、クレジットカードの本会員と生計を同一にする家族が利用できる追加のクレジットカードです。「任意整理をしたら家族クレジットカードも使えないのでは」と誤解されがちですが、下記の理由から、任意整理をしている人でも家族クレジットカードは発行できます。
- 任意整理の事実は申立人の家族には影響しない
- 家族クレジットカードの審査で重視されるのは本会員の信用情報
基本的に、任意整理をはじめとする債務整理の履歴が信用情報に記録されるのは、債務整理を行った本人のみです。家族に任意整理をした人がいても、他の家族の信用情報には影響はありません。
つまり、任意整理をした本人の名義でなく、家族名義のクレジットカードであれば、これまで通り問題なく使い続けられます。そして、家族クレジットカードの審査で重視されるのは、原則として本会員の信用情報です。
家族クレジットカードの支払い分は本会員がまとめて返済するため、追加発行者の信用情報はさほど重視されない傾向にあります。もし家族がまだクレジットカードを持っていない場合でも、新たに本会員としてカードを作成すれば、家族カードを発行してもらえる可能性があるでしょう。
ただし、クレジットカード会社によっては、任意整理をした家族への家族クレジットカードの発行を敬遠する可能性もあります。対応はクレジットカード会社によって異なり、実際にどのような結果になるかは審査を申し込むまで分かりません。
上記のことを踏まえると、下記のような人におすすめな方法といえるでしょう。
- 信頼できる家族と同居していて、家計を共有している人
- 審査を通過できないがクレジットカードの機能を使いたい人
デビットカードを利用する
デビットカードとは、銀行口座と直結しており、カードで支払いをするとその場で口座から即時にお金が引き落とされるカードのことです。デビットカードは滞納の恐れがないことから、クレジットカードのように信用情報を照会する審査は行われないのが一般的です。
任意整理をした人であってもデビットカードを持つのは難しくないため、現金以外の支払い方法を持ちたい場合は、デビットカードの利用を検討するのもおすすめです。例えば、オンライン決済の利用頻度が高い場合は、デビットカードがあると便利でしょう。
また、クレジットカードの使い過ぎを防止したい場合も、デビットカードがおすすめです。例えば、任意整理をした夫に妻名義の家族クレジットカードを発行する場合、夫の利用分は妻が返済しなくてはなりません。
うっかり夫がクレジットカードを使いすぎれば、結果として家計が圧迫される恐れがあります。その点、銀行口座の残高内でしか利用できないデビットカードであれば、予算以上の金額をを使い込む心配がありません。
また、後日の返済もないため、誰にも負担をかけずに使用できます。上記のことを踏まえると、下記のような人におすすめな方法といえるでしょう。
- 銀行口座の範囲内で支出を管理したい人
- 使いすぎを防ぎたい人
- 現金以外の支払い方法を持ちたい人
- オンライン決済を使用したい人
デポジット型のクレジットカードを利用する
デポジット型のクレジットカードとは、事前にクレジットカード会社へ保証金を預けることで発行されるクレジットカードです。預けた保証金の金額がそのまま利用限度額となり、使った分の金額は、通常のクレジットカードと同様に後払い方式で支払い日に口座から引き落とされます。
デポジット型のクレジットカードは、あらかじめ保証金が担保されているため、カード会社にとって損失リスクが少なく、審査も比較的やさしい傾向にあります。そのため、任意整理中や信用情報に不安がある人でも、発行される可能性があるでしょう。
さらに、デポジット型クレジットカードは、利用実績が信用情報機関に記録されるため、クレジットヒストリーを積み重ねられます。クレジットヒストリーとは、クレジットカードやローンなどの支払い履歴や契約状況を記録した信用情報のことです。
そのため、毎月きちんと返済を続けていけば、将来的な信用情報の回復につながり、通常のクレジットカードの審査通過にも良い影響を与える可能性があるのです。
上記のことを踏まえると、下記のような人におすすめな方法といえます。
- クレジットカードと同等の機能を使いたい人
- 今後の信用回復に役立てたい人
電子マネーやスマートフォン決済を利用する
電子マネーやスマートフォン決済は、電子クレジットカードやスマートフォンを使って、かざす・タップする・QRコードを読み取るといった方法でスムーズに支払いができる決済手段です。
コンビニや飲食店だけでなく、ネットショッピングやサブスクリプションサービスなど、さまざまな場面で利用できます。そのため、下記のような人におすすめな方法です。
- スマホでキャッシュレス決済をスムーズに使いたい人
- 日常的な買い物や公共交通の支払いが多い人
ただし、電子マネーやスマートフォン決済の方法にはいくつかの種類があり、支払いの仕組みによって「任意整理後に使えるかどうか」が大きく異なります。以下では、それぞれの支払い方式と利用可否の傾向を表にまとめてみました。
電子マネー |
支払い方法 |
任意整理をしても使える可能性 |
デビット型 |
口座から即自引き落とし |
〇 |
プリペイド型 |
事前に入金 |
〇 |
ポストペイ型 |
後払い |
△ |
スマートフォン |
支払い方法 |
任意整理をしても使える可能性 |
非接触型決済(非接触IC決済) |
クレジットカード・電子マネー・口座などから引き落とし |
△ |
QRコード決済 |
クレジットカード・電子マネー・口座などから引き落とし |
△ |
キャリア決済 |
スマホ料金と一緒に引き落とし |
△ |
リアルタイムペイメント |
口座から即自引き落とし |
〇 |
ポストペイ型 |
後払い |
△ |
表からわかるとおり、任意整理後でも比較的利用しやすいのは、支払い方法が「プリペイド型」や「デビット型」「リアルタイム引き落とし型」となっている電子マネーやスマートフォン決済です。
これらは、あらかじめチャージして使ったり、口座から即時に引き落とされたりする仕組みのため、クレジットカードのような与信審査が不要です。そのため、ブラックリスト入りの状態でも、審査なしで使えるケースがほとんどです。
一方で、ポストペイ型の決済方法は、クレジットカードと連携して後日まとめて引き落とす形式です。これは実質的にクレジットカードと同じ仕組みのため、任意整理後のように信用情報に不安がある状態では、審査に通りにくくなる可能性があるでしょう。
また、スマホ決済のなかには、PayPayや楽天ペイのように、チャージ方法を「クレジットカード」「銀行口座」「残高(電子マネー)」などから選べるものもあります。この場合、どの支払い手段を紐づけるかによって、任意整理後でも利用できるかが決まります。
たとえば、クレジットカードを登録していると使えなくなる可能性がありますが、銀行口座チャージや現金チャージに設定していれば問題なく使えるケースもあります。
したがって、任意整理後でも電子マネーやスマホ決済を使いたい場合は、どの支払い方式を使っているのか、クレジットカードと紐づいていないかを事前に確認することが重要です。支払い方式を適切に選べば、ブラックリスト入りの期間中でもスムーズにキャッシュレス決済を利用できます。
プリペイドカードを利用する
前述のようにプリペイドカードは、事前にチャージをして、その金額内で決済する仕組みになっています。ほとんどのプリペイドカードは、クレジットカードで行われるような審査なしで発行できるため、任意整理が原因で発行できないことはありません。
また、プリペイドカードの中には、店頭ですぐに買えるものも多く、ネットショッピングでも使用できます。上記のことを踏まえると、下記のような人におすすめな方法です。
- あらかじめ決めた範囲で支出を管理したい人
- クレジット機能なしでもネットショッピングなどを使いたい人
デビットカードよりも簡単に入手したい場合は、プリペイドカードを検討してみましょう。
任意整理後にクレジットカードを契約したいときのポイント
前述の通り、任意整理をすると、していない場合に比べて新規のクレジットカードの発行がしにくくなる可能性があります。できる限り審査通過の確率を高めるには、次のポイントを押さえることが大切です。
- 信用情報から任意整理の履歴が消えているかどうかを確認しておく
- クレジットカード会社は1社に絞って申し込みをする
- 利用限度額は必要最低限にして申請する
- クレジットカードのキャッシング機能は設定しない
それぞれの内容をみていきましょう。
信用情報から任意整理の履歴が消えているかどうかを確認しておく
基本的には、信用情報機関に任意整理の事実が記載されている間は、クレジットカードの審査には通りにくくなります。そのため、クレジットカード審査の申し込みは、任意整理の履歴が消えるまで待つのが最も確実でしょう。
前述の通り、任意整理の場合は完済日から最長5年で登録が抹消されますが、実際に抹消されるまでには信用情報機関ごとにタイムラグがあります。そのため、確実に抹消されているか確かめたい場合は、申し込みたいクレジットカード会社が加入している機関に開示請求を行って、任意整理の履歴が消されているかを自身で確認することをおすすめします。
開示方法には、その場ですぐ結果が分かる「インターネット請求」と、後日結果が郵送される「郵送請求」があります。それぞれ開示方法・料金が異なるため、自分に合った方法を選びましょう。
クレジットカード会社は1社に絞って申し込みをする
クレジットカード会社への申し込みは、1社ずつ行いましょう。同時に複数のクレジットカード会社に申し込みをすると、「金銭的に困っている」とクレジットカード会社に判断されて、審査に不利に働く可能性があるためです。
クレジットカード会社は、信用情報機関などを通じて他社への申し込み状況を把握しているため、同時に複数社に申し込みしたことはすぐに発覚します。特に任意整理後は、たとえその事実が信用情報機関から抹消された後だとしても、怪しまれるような行為は慎むべきでしょう。
利用限度額は必要最低限にして申請する
一般的に、利用限度額が低いほどクレジットカード審査に通りやすい傾向があります。そのため、確実にクレジットカードを発行したいなら、利用限度額を必要最小限にすることをおすすめします。
任意整理の履歴は信用情報に最長5年間記録されるため、その間はクレジットカードを使用しないケースも多いでしょう。その場合、完済から5年以上が経過して信用情報が「回復」していたとしても、クレジットヒストリーがしばらく空白になっている状態では、カード会社としても返済能力の判断材料が乏しくなります。
そのため、高額な限度額を希望すると慎重な審査対象となり、結果として審査に通りにくくなる可能性があるのです。こうしたリスクを避けるためにも、任意整理後に初めてクレジットカードを申し込む際は、まずは低めの限度額で申請し、少額から信用を積み重ねていく姿勢が重要です。
なお、クレジットカードを発行できた後は、毎月の支払いを確実に行い、遅延なく返済を続けることで、良好なクレジットヒストリーを形成できます。こうした積み重ねが信用情報にポジティブに反映され、将来的には利用限度額の引き上げや、より条件の良いカードへの切り替えなどが可能になるケースもあります。
任意整理後は、まず「通るかどうか」よりも、「信用を一から積み直す」意識を持つことが、長期的に見て最も大切だといえるでしょう。
クレジットカードのキャッシング機能は設定しない
キャッシングとは、クレジットカードに付帯する限度額内で現金を引き出せる機能で、いわゆる貸付の1種です。任意整理をしてブラックリストに載った人がキャッシング付きのクレジットカード審査を申し込むと、再び借金の恐れがあるとして、クレジットカード会社に警戒される可能性があります。
審査への影響を可能な限り抑えるためにも、新規クレジットカードの審査を申し込む際は、キャッシング枠を0円に設定することが望ましいです。
任意整理後にクレジットカードを申し込む際のNG行為
任意整理後にクレジットカードを申し込むとき、次のような行為は審査に不利に働く可能性が高いため、控えましょう。
- クレジットカードに短期間で何社にも申し込む
- 「審査が甘い」などの情報を鵜呑みにする
- 本人情報の虚偽申告をする
それぞれの内容を解説します。
クレジットカードに短期間で何社にも申し込む
クレジットカードを短期間に複数社へ申し込むのは、審査で不利になる可能性が高い行動です。前述の通り、カード会社は審査時に信用情報機関を通じて他社への申し込み履歴や審査結果を確認します。
そのため、立て続けに申し込みを行っていると、前述したように「急な資金不足に陥っているのでは」と判断され、返済能力に不安を持たれるおそれがあるのです。また、申し込み履歴は信用情報に6ヶ月間残ります。
次々と別の会社に申し込むと、そのたびに情報が更新され、履歴が消えるタイミングも後ろ倒しになります。結果的に、いつ審査しても「直近に複数の申し込みがある状態」と見なされてしまい、審査に通りにくい状況が長引いてしまうのです。
このようなリスクを避けるためには、クレジットカードの申し込みは1社ずつ、慎重に進めることが大切です。万が一審査に落ちてしまった場合も、信用情報にその記録が残っている6ヶ月間は、できるだけ新たな申し込みを控えるのが無難でしょう。
焦って申し込みを繰り返すよりも、確実に通る可能性を高めることを優先し、タイミングを見極めながら対応することが望ましいといえます。
「審査が甘い」などの情報を鵜呑みにする
任意整理をしたあとは、「審査が甘いクレジットカード会社があるなら申し込みたい」と思うのは自然なことです。インターネット上では「審査がゆるいカード」や「ブラックでも作れた」といった情報が出回っていますが、これらは信頼できる根拠がないものが多く、安易に信じるのは非常に危険です。
実際には、そういったカードが他社よりも厳しい審査基準を採用している可能性もあり、申し込んだ結果、落ちてしまうことも珍しくありません。
審査が甘いと思って安易に申し込んだ挙句に落ちたとなれば、審査落ちの情報が信用情報機関に約6カ月間登録されて、他社でのクレジットカード審査にも悪い影響を与えます。
つまり、正誤性の分からない情報を鵜呑みにして次々にクレジットカード審査を申し込む行為は、結果として自分の首を絞めることになりかねません。
さらに注意すべきなのが、いわゆる闇金業者の存在です。「ブラックでもOK」「任意整理中でも作れる」などの広告を掲げている業者のなかには、違法な高金利や強引な取り立てを行う悪質な業者が紛れていることがあります。
このような業者を利用してしまうと、法外な利息や強引な返済を迫られる可能性があります。生活を立て直すどころか、さらに深刻なトラブルに巻き込まれる可能性があるため、絶対に利用してはいけません。
基本的には、「審査が甘いクレジットカード会社はない」と認識しておきましょう。ただし、前述のように、利用限度額が低い・キャッシング機能を付けない場合は、審査基準が緩やかになる可能性があります。
まずは、これらの手段を活用しながら審査のハードルを下げていくことが大切です。
本人情報の虚偽申告をする
任意整理の事実を隠したいあまりに、本人情報について虚偽の申告をするのはやめましょう。クレジットカード会社はあらゆる情報網をもって信用調査を行うため、虚偽の申告をしても発覚する場合がほとんどです。
そして、虚偽申告が発覚した場合は、そのこと自体が問題視され、審査に落ちる可能性が高くなります。最悪の場合は、詐欺罪に問われることもあるため、任意整理をしていた事実を含めて、本人情報の申告は正確に行いましょう。
クレジットカードを任意整理する場合に注意しておくべきこと
クレジットカードを任意整理の対象にする場合は、事前に下記の対策を行っておくことをおすすめします。
- 月々の支払いをクレジットカード払いからほかの支払方法に変更しておく
- クレジットカードで貯めたポイントやマイルを移行しておく
それぞれの内容をみていきましょう。
月々の支払いをクレジットカード払いからほかの支払方法に変更しておく
月々の固定費をクレジットカードで支払っている場合は、任意整理前に支払方法の変更を済ませておきましょう。原則、任意整理をした時点でクレジットカードは強制解約されるため、それらの支払いも強制的に滞納することになります。
例えば、次のような料金の支払い方法について、任意整理前に今一度確認しましょう。
特に公共料金を滞納すると、遅延損害金が発生するうえ、生活に支障が出る可能性が高いです。さらに、今後の信用情報にも悪い影響を与えかねません。
これらの料金をクレジットカードで支払っている場合は、任意整理の前に他の支払い方法に変更しておくことが大切です。
クレジットカードで貯めたポイントやマイルを移行しておく
任意整理をしてクレジットカードが強制解約されると、クレジットカードで貯めたポイントやマイルもその時点で失効します。相当額のポイントやマイルを貯めていた場合は、任意整理の前に使い切っておきましょう。
クレジットカード会社によっては、電子マネーなどにポイントを移行できることもあります。任意整理の前に、ポイント・マイルの状況を確認して、失効を回避するための対策を講じておきましょう。
まとめ
任意整理をすると、既存・新規にかかわらず、すべてのクレジットカードを利用するのは難しくなります。既存のクレジットカードは任意整理と同時に強制解約されるのが原則なうえ、新規のクレジットカード審査にも通りにくくなるためです。
なお、任意整理の事実が信用情報機関から抹消されるのは、完済日から最長5年後です。したがって、完済から5年経過すれば審査の通りにくさが解消される可能性はあります。一方で、クレジットカード会社独自の「社内ブラック」が存在する場合は、記録が半永久的に残る可能性もあります。
そのため、任意整理をしたクレジットカード会社では新しいクレジットカードは作れない可能性があることも認識しておくべきでしょう。クレジットカードを作れない場合は、家族に家族カードの発行をお願いしたり、そのほかのキャッシュレス決済を検討したりするのもおすすめです。
また、任意整理から5年が経過して新規クレジットカードを申し込む際は、1社ずつ申し込む・利用限度額を下げる・キャッシング機能をつけないなど、審査のハードルを下げるための工夫を最大限に行いましょう。
任意整理をすると、していない場合に比べて、クレジットカードを持つのが難しくなるのは仕方ありません。そのため、「借金の返済が本当に困難なのか」「ほかの方法では対応できないのか」を今一度見直したうえで、慎重に判断することが大切です。
任意整理のよくある質問
任意整理をすると、クレジットカードが使えなくなってしまうのですか?
はい、使えなくなります。
信用情報から事故情報が抹消されるまでは、新規でのクレジットカード作成も基本的にできません。
利用したいクレジットカードを任意整理しなければ、任意整理後も利用し続けられますか?
クレジットカード会社は定期的に途上与信といって、利用者の信用情報をチェックしています。
そのため、任意整理から外したクレジットカードでもいずれ利用停止となります。
任意整理前後のクレジットカードの扱いには注意が必要なので、弁護士の指示をよく聞くとよいでしょう。
STEP債務整理「債務整理に力を入れるおすすめの弁護士を紹介」
任意整理後、いつからクレジットカードが作れますか?
一般的に、信用情報から事故情報が抹消されるのは任意整理の場合、完済から5~10年後なので、最短で8年後です。
しかし、カード会社の基準にもよるので、任意整理から数年でクレジットカードが作れた事例もあります。
任意整理をしてブラックリストに載ると、どのような影響があるのですか?
主に「新規でのローンや借入ができない」「クレジットカードが使えない」「連帯保証人になれない」といったことが挙げられます。
任意整理は弁護士と司法書士どちらに依頼するべきですか?
借金の金額が絶対に140万円を超えないのなら、司法書士の方が費用は安く済む可能性があります。
しかし、140万円を超える可能性があるなら最初から弁護士へ依頼するのがよいでしょう。
また、債務整理に関しては、弁護士の方が経験が豊富である場合が多いです。
自分が任意整理をした後でも、家族が持つ家族クレジットカードは使えますか
申立人名義の家族クレジットカードの場合は、任意整理後の本クレジットカードが強制解約されると、同時に使えなくなります。
なお、ETC機能が付帯している場合は、ETCも利用できなくなる点に留意してください。
過去に任意整理をしたクレジットカードは絶対に作ることはできませんか
絶対に作れないかどうかは分からない、というのが実情です。
クレジットカード会社ごとの審査基準や社内ブラックの取り扱い方は、一般ユーザーには分からないためです。
過去に任意整理をしたクレジットカードでも再発行できる可能性はゼロではないものの、難しい可能性はあるとはいえるでしょう。
クレジットカードをキャッシングとショッピングの両方で利用している場合、キャッシングだけの任意整理はできますか
同一のクレジットカードでキャッシングとショッピングを利用している場合、まとめて債務整理の対象になるのが一般的です。
そのため、どちらかだけを任意整理の対象にすることはできない可能性があります。
最短即日取立STOP!
一人で悩まずに士業にご相談を
- 北海道・東北
-
- 関東
-
- 東海
-
- 関西
-
- 北陸・甲信越
-
- 中国・四国
-
- 九州・沖縄
-