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2024年10月現在

熟年離婚して後悔しないためには?その後の生活が悲惨にならないための対処法

熟年離婚 後悔
南陽輔 弁護士
監修者
南 陽輔
大阪市出身。大阪大学法学部、関西大学法科大学院卒業。2008年に弁護士登録(大阪弁護士会所属)。大阪市の法律事務所に勤務し、離婚問題や債務整理などの一般民事事件のほか、刑事事件など幅広い法律業務を担当。2021年に一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成の支援、起業時の法的なアドバイスなどの予防法務を中心に業務提供をしております。皆さんが利用しやすく、かつ自由で発展的なビジネスが可能となるサービスを提供いたします。

熟年離婚とは、長年結婚生活を続けた夫婦が離婚することです。明確な定義はありませんが、一般的に婚姻歴20年以上の夫婦の離婚だと言われています。

熟年離婚の割合は離婚した夫婦のうちの全体の20%以上だと言われているものの、実際に熟年離婚する場合は、その後の生活や金銭面や老後が心配で熟年離婚に踏み切れない人も多いことでしょう。

熟年離婚は準備ができていないまま離婚してしまうと、経済的に困窮したり孤独を感じたりしてしまい、こんなはずじゃなかったと後悔するケースがあります。

一方、「自分の生活のお金だけ考えればいいから楽」「仮面夫婦を演じなくてよくなった」といった、熟年離婚したことに満足しているケースもあります。

熟年離婚で後悔しないためには、離婚前に仕事や住居などを決めて生活の見通しを立てたり、離婚時の条件を取り決めたりしておくといった対策が必要です。

もし熟年離婚をするときは、離婚方法や離婚にかかる費用などを確認し、スムーズに進められるようにしましょう。夫婦のお互いがセカンドライフが見える年齢だからこそ、余計な時間やわだかまりなどを避けてスムーズに離婚するために、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

弊社Clamppyは熟年離婚した男女202人にアンケートを実施し、熟年離婚の実態について調査しました。本記事ではアンケート結果を基に、熟年離婚のきっかけや原因、熟年離婚で後悔したことやよかったこと、熟年離婚を後悔しないための対処法などを解説します。

離婚時に受け取れるお金や、熟年離婚をする前にやるべきことも解説しますので、熟年離婚を検討する際にお役立てください。

後悔する前に知るべき熟年離婚の実態とは?アンケート結果で見る婚姻期間や原因・きっかけ

厚生労働省の「令和4年度 離婚に関する統計の概況」によると、令和2年度に離婚した夫婦のうち同居期間が20年以上だったのは21.5%となっていました。20年以上の同居期間を経たうえで離婚する夫婦は、上昇傾向にあります。

熟年離婚の割合は全体の21.5%

出典:厚生労働省「令和4年度 離婚に関する統計の概況

またClamppy実施のアンケート調査でも、熟年離婚に関するさまざまな実態や意見が見えてきました。今回実施したアンケートの対象者202人の年齢分布は次の通りです。

年齢層 実数
30代 7人
40代 60人
50代 90人
60代 39人
70代 6人

ここからはClamppyが独自に実施したアンケートを基に、熟年離婚の実態や熟年離婚の原因などを解説します。

熟年離婚までの婚姻期間は20~25年

今回実施したアンケート調査によると、熟年離婚だと判断している婚姻期間は20〜25年がボリュームゾーンとなっていました。

婚姻期間 全体%
1~19年 12%
20年 11%
21年 11%
22年 9%
23年 3%
24年 9%
25年 11%
26年 4%
27年 2%
28年 4%
29年 1%
30年 5%
31~55年 17%

世間一般でも、熟年離婚は婚姻期間20年以上だという認識が強いと言えるでしょう。とくに20代で結婚し、40~50代で離婚する夫婦が多く見られました。

また婚姻期間が20年未満で離婚した人でも、離婚したタイミングが40代以降だと熟年離婚だとする意見もあります。婚姻期間よりも、離婚したときの年齢で熟年離婚か否かを判断するケースも存在するようです。

実際に今回実施したアンケートでは、婚姻期間にかかわらず40代以降で離婚した人がほとんどでした。

熟年離婚したいと思った原因で多いのは「性格の不一致」

「離婚したいと思った原因は何ですか?」という質問に対し、もっとも多かった回答は「性格の不一致」でした。2位は「不倫された、不倫した」、3位は「相手もしくは自分の暴言」となっています。

離婚したいと思った原因 全体%
性格の不一致 25%
不倫された、不倫した 16%
相手もしくは自分の暴言 10%
相手もしくは自分の借金 7%
義両親との問題 6%
性的な不調和 6%
浪費癖 5%
相手もしくは自分のギャンブル 3%
両親との問題 3%
親の介護問題 3%
そのほか 3%
家庭を捨てた、捨てられた 2%
家事育児をしない 2%
生活費を渡さない 2%
別に好きな人ができた 2%
酒癖が悪い 2%
相手もしくは自分の暴力 1%

長年一緒の空間で生活しているなかで、性格の不一致によるすれ違いや言い合いなどが積み重なったことで熟年離婚に至るケースがあります。

また、不倫が原因の熟年離婚も16%と高めの数値が出ていました。若い頃と比較するとお金や時間に余裕がある、介護疲れが重なる、長年のすれ違いや暴力から逃げたい、親戚づきあいが辛いといった原因で、熟年不倫が発生する可能性があります。子育てなどが一段落していれば「わざわざ夫婦関係を続ける意味がない」と、離婚する夫婦も少なくないようです。

そのほかと回答した人からは、以下の意見が挙げられています。

子育てが終了し、夫婦でいる必要がなくなったから。(男性)
相手が元々、宗教家の娘でしたが私との結婚を機に宗教活動を辞め、普通の?女性として私の妻になってもらうのが条件で結婚しましたが、再び熱心で病的な宗教活動が始まったため。(男性)
第2の人生のため。(女性)

熟年離婚のきっかけで多いのは「子どもが自立した」

「熟年離婚のきっかけを教えてください」という質問への回答で、もっとも多かったのは「子どもが自立したから」でした。全体の回答のなかで56%と、過半数を占めています。

熟年離婚のきっかけ 全体%
子どもが自立した 56%
自分で生きられる収入ができた 17%
そのほか 13%
生活拠点が変わった 11%
配偶者が定年退職した 3%

夫婦が離婚すると、子どもに大きな負担を強いることになります。夫婦の関係が冷え切っていても、子育てが一段落するまでは、子どものために別れずに夫婦生活を続けるケースは珍しくありません。

以下では、そのほかと回答した人の意見をご紹介します。

喧嘩が絶えなくなって、顔を見れば互いに罵倒し合うようになっていたから。(男性)
宗教活動が病的に深まる中で、会話にすべて神様と入るようになって・・・です。(男性)
リモートワークになり、常に家にいるようになって苦痛だった。このままずっといるのかと思うと無理だった(女性)
子どもの学資保険を解約されていた。子どもの貯金を解約されていた。私のカードローンが使われていた。以上が発覚したため。(女性)

熟年離婚をためらった理由は「子どもへの影響を配慮した」

熟年離婚をするときにためらった理由として、「子どもへの影響を配慮した」がもっとも多く挙げられていました。

熟年離婚をためらった理由 全体%
子どもへの影響を配慮した 32%
ためらっていない 24%
経済的な問題 13%
世間体が気になった 12%
相手への情があった 11%
別れた後の生活が不安だった 6%
そのほか 1%

なお意見のなかで1人だけ、「配偶者の遺産がほしかった」との回答もありました。

子どもが就職するまでは待った。(男性)
子ども等が離婚を止めさせようとしたこと。(男性)
子どもが大学を卒業するまで待つため。(女性)

アンケートからわかった熟年離婚をして後悔したことやデメリット

今回実施したアンケートからは、実際に熟年離婚を経験してから後悔したことやデメリットなどの傾向が見えてきました。

アンケートからわかった熟年離婚をして後悔したことやデメリットは、次の通りです。

熟年離婚で後悔したことやデメリット 全体%
デメリットはない 35%
家事が大変になった 17%
孤独を感じるようになった 17%
金銭面で不安が出てきた 14%
現在の家に住めなくなった 8%
働く必要が出た 6%
そのほか 4%

意外にも、「熟年離婚のデメリットはない」と回答した人が35%ともっとも多い比率でした。40代以降だとお金、時間、気持ちの面での余裕や、長年の不満からの開放など、熟年離婚にメリットを感じる人が多数いるようです。

とくに女性側は43%と半数近くが熟年離婚をデメリットと感じておらず、男性側の27%と比較して多いという結果になっています。

事前に数年間、様々な条件を話し合い、合意していたので、特にありません。(男性)
もともと家事は自分でやっていたし、主人と言う重しがなくなったのでデメリットはない。(女性)
私的にデメリットはありません。自由を手に入れられて幸せを感じています。(女性)
デメリットはない。いずれ、建て替えて息子と同居する予定なので、これと言って心配もない。(女性)

以下では、後悔したことやデメリットについてそれぞれ詳細を解説します。

家事が大変になった(介護や看護も含む)

熟年離婚すると、食事の準備や洗濯、そのほか身の回りのことをすべて自分でしなければならなくなります。パートナーに家事を任せていた人は、「家事が大変になった」と感じるケースがあります。とくに家事を妻にお願いしていた男性が、後悔することが多いようです。

熟年離婚をした男性の30%が、「家事が大変になったこと」をデメリットとして感じていました。対して女性は4%と、男性と比較して約7分の1に留まっています。

この部分はとくに性別差が出た結果となり、熟年の夫婦生活において家事を担うのは女性が多いことがわかります。しかし一方で、熟年離婚を後悔している理由として「金銭面で不安が出てきた」と回答したのは、女性28%に対して男性が4%と反対の結果でした。

熟年離婚する世代は、近年における男性の家事育児の参加、女性の社会進出が今よりも普及していなかったことを考えると、今後これらの割合は変化する可能性も考えられるでしょう。

また家事だけでなく親などの介護をしている夫婦は、介護の負担が増えることで熟年離婚によるデメリットを感じることがあります。病気やケガなどで看護が必要なときも、元パートナーに頼るのは難しいかもしれません。

子どもに協力をお願いするにも、離婚すると夫婦が別々の場所で暮らしていると、別々の箇所へ都度介護や看護に向かう可能性が出てきます。子どもへの負担を考えると、気軽に頼むのも考えものです。

老人ホームやデイサービスという手がありますが、高額の利用料金を支払えるほど財政的に余裕がないと利用は現実的とは言えないでしょう。

今まで家事をしてこなかったので、離婚してから大変です。食事は外食や惣菜を買ってくれば良いのですが、問題は洗濯です。干した後に畳む作業が大変で、部屋の中に洗濯物が干しっぱなしになっています。(男性)
元妻はギャンブルしても家事はしてくれていたのてかその家事を自分でやることになり少し家事に時間を取られて大変になった。(男性)
毎日家事をしなくてはならないので面倒なことが増えた。(女性)

孤独を感じるようになった

これまで一緒に暮らしてきたパートナーがいなくなると、急に孤独を感じて後悔する人もいます。

子どもが独立済みだと熟年離婚後は1人暮らしになるため、より孤独に苛まれる可能性が高くなります。すでに定年を迎えている人だと、自分から行動しなければ一切人と会わない生活になるかもしれません。

人間は社会的動物と言われるほど、社会とのつながりや親交を望む生物です。離婚前は「1人なって自由だ!」と一時的に思っていても、実際に体験すると一気に寂しさが襲ってきて耐えきれない人も出てきます。

熟年離婚後の孤独感に対応するには、趣味を見つける、知人と交流する機会を増やす、町内会のイベントに参加するなど、自分の居場所を見つけるのが有効です。

弊社が実施したアンケートでは、とくに男性側が孤独を感じている傾向にありました。女性がわずか5%であったのに対し、男性側は28%となっています。

気持ち的に余裕や張り詰めていた物が無くなったのと同時に、その分ふとした瞬間に寂しさや孤独感を感じるようになりました。(男性)
老後に支えあうパートナーがいないことで、徐々に孤独感や不安感が増してきた。(男性)
結局家でのストレスはなくなったけど、孤独を感じるようになり、このままだと寂しい老人になるなと思った。(男性)

金銭面で不安が出てきた

熟年離婚をすると、経済的に困窮し後悔する可能性があります。金銭面で不安が出てくる理由は次の通りです。

  • 長年専業主婦(主夫)やパートだった人は離婚資金が十分でない可能性があるから
  • 財産分与で財産の半分を配偶者へ渡すことになるから
  • 慰謝料や養育費などの支払いが発生するケースがあるから
  • 慰謝料や養育費を思ったよりもらえないケースがあるから
  • 年金分割の金額だと生活費が十分でない可能性があるから

金銭面を子どもの仕送りで補おうすると、親子関係が悪化するリスクがあります。熟年離婚前には、離婚後の収入見込みや離婚時に得られる財産を計算し、今後の計画を立てておきましょう。

近年では、金融庁の金融審議会で浮上した2,000万円問題や年金問題といった、老後資金に関する課題が浮き彫りになっています。そうした社会の背景も、金銭面での負担につながっていると考えられます。

弊社が実施したアンケートでは、金銭面のデメリットを感じるのが男性4%に対し、女性は24%と女性の方がデメリットに感じていることがわかりました。

節約しないといけない状況になった。(女性)
自分の収入と相手の収入があったが、自分の収入だけで生活していかないといけなくなったこと。(女性)
金銭面。(男性)

参考:金融庁「金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書 の公表について

現在の家に住めなくなった

マイホームを購入している夫婦でも、熟年離婚すると一方が家から出ていくのが一般的です。現在の家に住めなくなったことが、熟年離婚で後悔する点として挙げられます。

とくに長年仕事をしていなかった人や、パートしかしていなかった人などは、収入や信用面で賃貸契約の審査ハードルが高くなっています。

一旦子どもの家に住まわせてもらおうとしても、物理的に難しかったり親子関係が悪くなったりなどのリスクに注意しなければなりません。

家に住めなくなったのでそのことで面倒だった。(女性)
私が離婚を切り出したので、私が家から出ることになった。(女性)
私が住んでいる自宅を出て行くことになり実家へ戻ることになったから。(女性)

働く必要が出た

熟年離婚をした後は、配偶者の収入に頼ることなく自分の収入を中心に生活しなければなりません。配偶者の収入で生活していた人、一人暮らしするほどの収入を得ていなかった人は、生活できるレベルの収入を得るために働きに出る必要が出てきます。

また、キャリアやスキルなどの不足で就職や転職が難しいケースもあります。熟年離婚だと離婚時の年齢が高いことが多く、就職活動に苦労することもあるでしょう。

1人で稼がなくては行かないしスキルも何も無いし年齢的にも高齢なのでそれなりの稼ぎにしかならなく金銭面で不安ではある。(女性)
熟年離婚して実家に帰ってきてから夜勤やタイミーしか雇ってくれる会社がなかったことです
家事全てを1人でするようになり収入面でも働く必要ができたことです。(女性)

アンケートからわかった熟年離婚をしてよかったことやメリット

今回実施したアンケートからは、後悔したことやデメリットのほかにも、熟年離婚してよかったことやメリットの傾向も見えてきました。

アンケートからわかった熟年離婚をしてよかったことやメリットは、次の通りです。

熟年離婚でよかったことやメリット 全体%
金銭面で楽になった 24%
親戚付き合いがなくなった 22%
仮面夫婦を演じる必要がなくなった 21%
DVやモラハラから解放された 13%
子どもへの悪影響がなくなった 12%
そのほか 6%
メリットはない 4%

「熟年離婚のメリットはない」と回答した人は4%に留まっており、熟年離婚した人のほとんどがメリットを感じていました。

アンケートからわかった熟年離婚をして後悔したことやデメリット」の結果は「デメリットはない」が1位であるため、「熟年離婚にデメリットはなく、逆にメリットは多い」と感じる人が少なくないことがわかります。そのため、今回実施したアンケートだと熟年離婚を経験した人で後悔しているのは思ったよりも少ない可能性があります。

「すでに子どもが独立していたから問題なかった」「好きでなくなった人と離れると気持ちが穏やかになった」と、子どもへの影響のなさや気持ちの面で熟年離婚のメリットを感じる人が多く見られました。

以下では、よかったことメリットについてそれぞれ詳細を解説します。

金銭面で楽になった

後悔したことやデメリットとして金銭面を挙げる人もいた反面、メリットとして金銭面が楽になったと回答する人が4人に1人となっていました。

たとえば配偶者が専業主婦(主夫)の場合だと、同じ収入で配偶者+子どもを養う必要があります。子どもが自立した後でも、配偶者の生活費分を考えなければなりません。

しかし、熟年離婚した後なら配偶者の生活費分のお金が浮くので、金銭面で楽だと感じるケースがあります。また、配偶者の浪費癖やギャンブル趣味がひどいときは、無駄な支出がなくなる分だけ楽になる可能性があります。

今回実施したアンケートでは、男性30%、女性18%と男性がやや高い割合でメリットであると感じていました。

将来的なお金の所で不安がありましたが自分のみが生きるだけのお金があれば良いので離婚後は趣味等に使えるお金が増えました。(男性)
金銭面での価値観の違いも離婚原因で、離婚する前も何度も揉めていたので、その事が無くなっただけでも余裕を持てるようになりましたし、自分で管理が出来るだけで全く違います。(男性)
自分で働いて得た収入を自分の収入として使えること。(女性)
借金の返済の事について気にしなくて良くなった。連絡がない時にギャンブルかと考えたりイライラしなくて良くなった。子どもの前で喧嘩をしなくてよくなった。(女性)

仮面夫婦を演じる必要がなくなった

夫婦のなかには、子育てや周囲からの評価などを踏まえて、冷え切った関係を隠した仮面夫婦として生活する人たちもいます。熟年離婚は長年の仮面夫婦を止めることになるため、よかったことやメリットとして捉える人も少なくありません。

また仮面夫婦を演じる必要がなくなれば、堂々と新しい恋を始められます。

2022年の人口動態調査によると、結婚する夫婦のうち、夫婦の両方が再婚またはどちらか一方が再婚の割合は25.2%となっています

※参照:2022年|人口動態調査

再婚同士のカップルは決して少なくなく、新たなパートナーとのより充実した生活の実現も可能です。

若い頃にはなかった心の余裕ができるため、熟年での交際はゆったりと平穏な気持ちで過ごせるでしょう。

仮面夫婦だとバレている部分があったので、子どもたちには悲しい思いをさせたかもしれないけれど、それ以上にもう気苦労から解放させてあげられたという思いがあります。(女性)
子供も独立し二人きりとなった時に夫と過ごす時間を作らなくて良くなり気持ちが穏やかになったこと。(女性)
好きでもない人といつまでも一緒にいるより、同じ価値観を持つ人と新しい出会いが出来たこと。(女性)

DVやモラハラから解放された

長年夫婦生活を営んでいる人のなかには、配偶者からのDVやモラハラに悩まされ続けているケースがあります。熟年離婚によって、長年苦しんでいたDVやモラハラから解放されるメリットがあります。

DVやモラハラの期間が長く程度がひどいときは、離婚時に高額の慰謝料を請求可能です。離婚前には、DVやモラハラの証拠となる映像、写真、音源、メール文、診断書などを集めておくことをおすすめします。

また、配偶者だけでなく相手側の親や親戚から嫌がらせを受けていた人にとっても、熟年離婚はメリットになると言えるでしょう。

DVやモラハラから解放されることをメリットとして挙げていたのは、男性13%、女性16%となっていました。

離婚原因がモラハラと相手の借金でした。モラハラからの解放は、凄く楽になりました。また、相手が隠れて借金していたので、金銭面でも楽になりお金の事も考えないでよくなりよかったです。(男性)
暴言を繰り返すいわゆるモラハラ夫だったため、離婚したことによって精神的に非常に健康になれた。(女性)
夫の暴言やモラハラによるストレスから解放された。安心して生活できるようになった。夫の顔色を伺う生活から解放された。(女性)

子どもへの悪影響がなくなった

家庭内でのDV・モラハラ、高額の借金やギャンブル癖などの配偶者の行為は、子どもにも悪影響を与えるリスクが高いです。配偶者の悪の部分を見続けることは、子どもにとっても大きなストレスとなり、結婚観や進路にも影響するかもしれません。

熟年離婚によって、配偶者が子どもへ与える悪影響がなくなったことをメリットとして挙げる人もいます。

子供が遠慮しなくなった。(女性)
父親の私が親権になり、子供達3人との触れ合いが既婚時より、はるかに多くなり、親子の信頼関係は確固たるものになった。(男性)
精神的なストレスから解放されました。妻のわがまま、暴言、浪費については子どももよく理解していて、子ども自身も被害を受けていたこともあったので、自分のためにも、子どものためにも、相手と距離を取ることができて良かった。(女性)

熟年離婚で後悔しない、その後の生活が悲惨にならないための対処法

熟年離婚で後悔しない、その後の生活が悲惨にならないための対処法は、以下のとおりです。

  • 離婚後の資金や生活の見通しを立てておく
  • 住居費を減らすことを考える
  • 離婚時の条件を取り決めておく
  • できるだけ早い段階で仕事を見つけておく
  • 夢中になれることを見つける
  • 新しい出会いを見つける
  • 心身の健康を保つ
  • 弁護士に相談して離婚する

それぞれについて、解説します。

離婚後の資金や生活の見通しを立てておく

1つ目の対処法は、離婚後の資金や生活の見通しを立てておくことです。

離婚後の生活設計の際には、住む場所や生活費などをしっかりと用意できるか考える必要があります。

住む場所については離婚後の生活の質にも大きく影響するため、状況に合わせて決める必要があるでしょう。

また、離婚後の生活費についても考えておく必要があります。

統計をもとに例として一般的な離婚後の生活費を計算してみましょう。

女性が55歳で離婚して65歳で退職するケースを見てみます。

統計を見てみると、65歳以上の単身無職世帯の平均月額消費支出は約15.5万円となっています。(※1)

※1)参照:2022年(令和4年) 家計の概要(P18)

ここから、国民年金約6.6万円(※2)と年金分割による年金額の約3.2万円(※3)を差し引いても、毎月約5.7万円足りず、平均寿命の87歳までには合計で約1,500万円が不足することになります。

※2)参照:令和5年4月分からの年金額等について|日本年金機構

※3)参照:令和4年度|厚生年金保険・国民年金事業の概況(P29)

ただし以上の試算は、65歳以降の生活費については、基本的に最低限必要な費用しか計算に含まれていません。

余裕のある人生を考えるなら、2,000~3,000万円程度の経済的準備が必要でしょう。

そのためには、次のような対策をして足りない分を補填できるよう収入を確保する必要があります。

  • 財産分与を最大限受け取る
  • 年金分割を適切に行う
  • 離婚原因が相手のDVや不倫などであれば慰謝料を請求する
  • 月々の支出を減らす
  • 就職する

なお、上記は統計をもとにした例なので、離婚を検討する際は自分の必要な生活費と収入を計算しておきましょう。

離婚後は離れて暮らす事になるので、自分のアパートなどの資金や家電製品などの準備金など生活に必要なものを、買い揃える為の、資金は最低限貯めていました。(男性)

住居費を減らすことを考える

2つ目の対処法は、住居費を減らすことを考えることです。

賃貸住宅であれば、自分のライフスタイルに合っている物件を選択できますが、初期費用が発生します。

また家賃は、生活費の中でも大きな固定費のため、毎月の生活に負担がかかります

自分の年金や収入、財産分与では生活できないと感じたときは、別居や卒婚など離婚以外の選択肢を検討するのもよいでしょう。

別居や卒婚であれば戸籍は残したままのため、配偶者に対して生活費(婚姻費用)が請求できます。

なお、熟年離婚をする年代は50〜60代が多いですが、賃貸物件は60歳頃から借りにくくなる傾向にあります

とくに連帯保証人が立てられない場合は、家賃滞納や突発的な事故のリスクもあるため、入居を断られることが多いです。

連帯保証人を立てず、家賃保証会社を利用している場合もありますが、無職だったり収入が少なかったりする高齢者は審査が通りにくくなります。

持ち家がある場合は、財産分与時に自宅をもらえるように交渉するのも1つの方法です。

生活費については、実家にいることにしたので困らないがあると安心と思い準備した。(女性)

離婚時の条件を取り決めておく

3つ目の対処法は、離婚時の条件を取り決めておくことです。

離婚時には、以下のお金を請求できる可能性があります。

離婚時に請求できる金員 概要
財産分与 婚姻中に夫婦で協力して貯めた財産を離婚時、公平に分配する手続き
年金分割 離婚した夫婦が婚姻期間中に支払った年金を夫と妻で分配する制度
養育費 子どもの監護や教育などに必要な費用
慰謝料 配偶者の不法行為によって肉体的・精神的苦痛を受けた場合に受け取れる損害賠償

これらのお金を受け取れるかどうかで経済的な負担が変わってくるため、しっかり取り決めておきましょう。

それぞれについて、解説します。

財産分与

離婚時の財産分与については、今後を考えるとできる限り受け取れるように交渉することが大切です。

財産分与とは、婚姻中に夫婦で協力して貯めた財産を離婚時、公平に分配する手続きを指します。

財産を分配する際の割合は夫婦間で自由に決められますが、1/2ずつ分けるのが一般的です。

専業主婦(主夫)の場合でも、配偶者が働ける環境を作り、家庭に貢献しているため、財産分与を受けとれます。

財産には財産分与の対象となるものとならないものがあり、次のように分類されます。

財産分与の対象となるもの 財産分与の対象とならないもの
・預貯金
・不動産
・有価証券(株式・手形・小切手・商品券など)
・車
・退職金
・保険会社の個人年金やイデコなど、公的年金ではない私的年金
・保険解約返戻金
・へそくり
・結婚前から貯蓄していた自分の貯金
・相続で取得した預貯金や不動産など
・別居期間中に取得した財産
・婚姻中に個人で作った借金

また婚姻中にできた債務は、財産分与で一定の考慮をされる場合があるため、注意が必要です。

共同財産にプラスの財産とマイナスの財産があった場合、プラスの財産からマイナスの財産を控除した残額を分与します。

たとえば住宅ローンが残っている場合は、住宅の価値からローン分を控除して計算します。

なお、総務省の統計によると、熟年離婚時の夫の財産は1,800〜2,450万円です。

参照:2022年度|世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況

財産分与ではその半分を受け取れるので、900〜1,200万円程度が受け取れる見込みです。

ただし、熟年離婚のすべてのケースで1,000万円ほどの財産分与を取得できるわけではありません。

夫婦の共有財産がほとんどなかったり、貯蓄があっても債務が超過したりしている場合は、財産分与はほとんどもらえないことが多いです。

財産分与は離婚を急ぐあまりないがしろにはせず、適切に協議を行うことが大切です。

離婚する数年前から、別居を開始し、離婚条件(財産分与・子供の戸籍)について協議し、子供達が独立後(社会人)に離婚する事で、合意していた。

年金分割

年金分割に関してもしっかりと手続きを行えば、将来受け取る年金額を増やせます

年金分割とは、離婚した夫婦が婚姻期間中に支払った年金を夫と妻で分配する制度です。

婚姻期間が長いほど分割対象になる年金も多くなるため、熟年離婚をする女性にとっては年金分割が重要といえます。

年金分割には、次の2種類があります。

種類 内容
合意分割 ・結婚期間中、夫婦共に厚生年金保険料を支払った記録がある場合が対象
・夫婦の合意または裁判によって分割割合を決定する
・多い方の厚生年金額の1/2が上限
3号分割 ・専業主婦(主夫)など配偶者の扶養になっていた人で、2008年4月以降に積み立てた年金が対象
・2008年4月以降に結婚した夫婦や、厚生年金に加入した夫婦が対象
・夫婦の合意は不要
・第3号被保険者であった期間の標準報酬を1/2ずつ按分する

年金分割で受け取れる年金額は最大1/2となりますが、これは夫婦の対象となる年金額の差額の1/2です

もし、妻の年金額が夫より多い場合、その差額の最大1/2を夫に分け与えることになります。

必ずしも財産が多い人から分与されるわけではないため、注意しましょう

支払われる年金は、厚生年金を支払った期間ではなく、婚姻期間中から離婚までに支払われた分が対象です。

年金分割の対象となる年金は、厚生年金と共済年金に限られます。

配偶者が自営業者や経営者、専業主婦(主夫)で国民年金のみ加入している場合には、年金分割による年金は受け取れないため注意してください。

なお、厚生労働省が発表したデータによると、年金分割が発生する場合の目安は約3.2万円となっています。

参照:令和4年度|厚生年金保険・国民年金事業の概況(P29)

ただし年金受給を受ける本人が、保険料納付済期間や保険料免除期間、および合算対象期間の合計が25年以上に満たない場合は年金受給資格が発生しません

そのため、年金分割をしても年金が受け取れないため注意が必要です。

年金分割の請求期限は離婚をした日の翌日から2年です。

結婚期間が長く専業主婦(主夫)をしていた場合、年金分割を適切に行わないと将来の年金額が大きく減少してしまう可能性があるため、忘れずに手続きを行いましょう。

やはり、離婚となれば、慰謝料の支払いをしなければならないし、入籍した期間の年金も均等に分割しなければならなかったことです。

子どもが未成年の場合の養育費

子どもがまだ幼い場合は、親権をどちらが持つか決める必要があります。

親権とは、子どもの利益のために面倒をみたり教育を行ったり、子どもの財産を管理したりする権限や義務のことです。

親権を父母のどちらにするかは、協議離婚や調停離婚であれば合意によって決定可能です。

離婚訴訟や審判を起こして離婚する場合は、裁判所が親権帰属について判断します。

親権を持たない側は、親権者に養育費を支払わなければなりません

養育費とは、子どもの監護や教育などに必要な費用のことで、以下のようなものが含まれます。

  • 衣食住に関する費用
  • 学費
  • 医療費
  • 交通費
  • 習い事や塾などの費用
  • 留学費用
  • 小遣い

養育費は、いつまで支払うといった明確な時期が法的に決まっているわけではありません。

そのため、いつまで支払うかは個々のケースで決めますが、20歳前後まで支払うケースが一般的です。

子どもが大学に進学した場合は、20歳を過ぎても支払いが続く場合もあります。

一方、高校卒業後に就職して自立すれば、20歳になる前に支払いが終わることもあるでしょう。

なお2022年4月より、成人年齢が18歳に下げられましたが、養育費の支払いとは無関係です。

養育費は子どもが経済的に自立するまで支払われるものなので、法律で成人年齢が引き下げられても、自立をするまでは支払う必要があります。

成人年齢が引き下げられる前に養育費の支払いを「成人まで」と取り決めた場合でも、20歳まで支払い義務はあるものとみなされます。

また、養育費の額についても明確な決まりはないため、次のように決定する場合が多いです。

  • 相手と交渉し、子どもの年齢・人数・健康状態・両親の収入などで総合的に判断する
  • 裁判所が公表している「養育費算定表」に基づいて決定する

養育費は月々支払いが多いですが、収入が減ったり再婚したりして支払いが滞る場合もあります。

トラブルを回避するためにも支払いが滞った場合、どのような法的措置を行うか取り決めて書面化しておくことが重要です。

子供3人の大学・専門学校の学費や親権などの話し合いを子供を交えて数多く実施しました。(女性)

配偶者に有責行為があった場合の慰謝料

慰謝料とは、配偶者の不法行為によって肉体的・精神的苦痛を受けた場合に受け取れる損害賠償です。

慰謝料がもらえるのは、相手方に不倫やDV、モラハラなどの不法行為があった場合です。

したがって、次のような場合は慰謝料がもらえません。

  • 性格の不一致で離婚する場合
  • 自分にも非がある場合
  • 配偶者が重度の精神障害の場合
  • 信仰・宗教の違いが原因の場合

ただし、肉体的・精神的な苦痛があったことを証明できる場合は、慰謝料を受け取れる可能性があります。

なお、離婚の原因が以下のような有責行為が理由だった場合、慰謝料の請求が可能です。

離婚の原因 目安となる相場
不貞行為 100万円~300万円程度
DV・モラハラ 数十万円~300万円程度
悪意の遺棄(配偶者に生活費を渡さない・無断で別居するなど) 数十万円~300万円程度
セックスレス 0万~100万円程度

慰謝料の相場は、50~300万円が多いですが、原因となった不法行為が行われた回数や期間・悪質性などによって金額が変動します。

また、離婚時に慰謝料を獲得するためには、証拠が重要です。

配偶者が慰謝料の支払いを拒んだ際は、客観的に有責行為の事実を立証しないと慰謝料を支払ってもらえないため、有利な証拠を集めておきましょう

有効な証拠の例は、次のとおりです。

離婚原因 証拠の例
不貞行為 ・肉体関係があったと推測できる内容のメールやLINE、通話記録など
・ホテルに出入りしている動画や写真
・配偶者や不貞相手が浮気や不倫を認めた録音
DV ・暴力によりケガをした際に病院でもらった診断書
・暴力が原因でできたあざや傷の写真
・警察や公的機関への相談の記録
・DVを受けたときの記録
モラハラ ・モラハラが原因の精神疾患に対する医師の診断書
・心療内科や精神科などへの通院歴
・モラハラを受けている場面の動画や音声
・相手の言動の具体的な記録(日記やメモなど)
悪意の遺棄(配偶者に生活費を渡さない・無断で別居するなど) ・生活費が振り込まれなくなったことが証明できる通帳の入金記録
・相手が別のところに居住していることが証明できる資料
セックスレス ・夫婦間の言い争いを録音したもの
・夫婦関係を書き留めたメモや日記

なお、慰謝料請求の時効は3年です。

離婚が成立してから3年経ってしまうと、慰謝料請求ができなくなるため注意しましょう。

相手の不倫が原因だったのです、弁護士に相談して調停離婚しました。嫁とは一切話をしたくなかったので、実家へ帰ってもらい慰謝料や親権などすべて弁護士を通じて条件を決めました。そのため、家庭裁判所では条件の確認だけでスムーズに離婚が成立しました。(男性)
当時、住んでいた家は売却し、慰謝料に上乗せする形にしてもらいました。仕事は、パートだったので正社員の雇用先を探し、新しく見つけた雇用先の近くで新しい賃貸物件を探しました。慰謝料や財産分与など金銭的なことに関しては、義理の両親達が口を挟んできたおかげで分割ではなく義理の両親が一括で支払ってくれました。親権に関しては、子供達の自立を機に離婚したので、大きく揉めることもありませんでした。(女性)

できるだけ早い段階で仕事を見つけておく

4つ目の対処法は、できるだけ早い段階で仕事を見つけておくことです。

熟年離婚を考えるなら、自分に経済力をつけるために早期から仕事に就くことが理想的です。

財産分与や年金分割を適切に行った場合でも、高齢になれば医療費や介護費が増える可能性が高くなります。

そのため、収入が足りない場合は、65歳を超えても働くことを視野にいれておきましょう。

ただし、職歴に自信がなかったりブランクが空いていたりすると、仕事に対して不安を感じるかもしれません。

そのような場合は、簡単なパートから始めて少しずつ出勤日数を増やしていったり、自分の経験を活かした仕事をしたりするとよいでしょう。

仕事で人と関わりを持てば、生活の安定だけでなく気持ちの安定にも繋がります。

勉強をして販売士の資格を取った。宣伝販売などの単発で少しだけお金を貯めた。(女性)

夢中になれることを見つける

5つ目の対処法は、夢中になれることを見つけることです。

趣味でも仕事でも、熱中できるものを見つけることは人生を豊かにする秘訣です。

結婚中、相手のために我慢していたことがあれば、思い切って始めてみるのもよいでしょう。

たとえば旅行をしたり、美味しいものを食べてリフレッシュしたり、仕事上の資格取得のために勉強したりするのもおすすめです。

1人で楽しむのはもちろん、サークルやボランティアなどのコミュニティに在籍して人間関係を築いておくことも大切です。

新しい出会いを見つける

6つ目の対処法は、新しい出会いを見つけることです。

近年では、離婚歴がある人を対象とした出会いのチャンスが沢山あります。

パートナーを探す方法には次のものがあげられます。

  • 友人・知人の紹介
  • 趣味や習い事での出会い
  • 出会い系アプリの利用
  • 婚活パーティーへ参加する
  • 結婚相談所へ入会する

定年を迎えると自由な時間が増えるため、趣味や習い事を始める方が増えています。

趣味や習い事の場を通じて新しい出会いを見つける人も多いです。

出会い系アプリや婚活パーティは気軽に利用できますが、真剣に出会いを求めていない人や結婚詐欺にあう可能性もあるため、注意する必要があります。

再婚を考えているのであれば、結婚相談所を利用するのもおすすめです。

結婚相談所は出会う前に相手のプロフィールが確認でき、アドバイザーからのサポートも受けられます

また、プライバシーも守られるため、安心して利用できるでしょう。

ただし、無理に恋人を作ったり再婚したりする必要はありません。

一人で過ごしたいのであればそれも立派な選択肢といえます。

心身の健康を保つ

7つ目の対処法は、心身の健康を保つことです。

仕事や趣味、恋愛など何を楽しむにしても心身の健康が大切です。

夫婦関係が原因の悩みから解放されても、生活習慣が乱れたり引きこもりになったりすると体調を崩してしまい、離婚後の生活を楽しめません。

よって、離婚前にやりがいを見つけたり、食事や運動など生活習慣を見直したりすることは大切といえます。

とくに男性は、離婚後に家事ができず生活が乱れてしまう人もいるため、家事代行サービスを調べておくのもおすすめです。

また体調に異常を感じたら、医療機関を早めに受診するようにしましょう。

離婚後に引っ越す際は、病院が通院しやすい場所にあるか確認しておくことも大切です。

なお、老後に身体が不自由になり外出できなくなる場合や、介護が必要になることも考えられます。

そういう場合に備え、介護サービスを探しておいたり子どもと定期的に連絡を取り合ったりなど、周囲のサポートを受けられるようにしておくことも重要だといえるでしょう。

弁護士に相談して離婚する

8つ目の対処法は、弁護士に相談して離婚することです。

今後の生活を見据えた離婚協議を行うには、自分だけの力では難しいです。

協議離婚は夫婦間での話し合いによるため、自身にとって不利な条件だと気付かずに、熟年離婚を成立させてしまうリスクもあります

弁護士に依頼すれば、各離婚条件の適正水準がわかるため、不利な離婚条件を受け入れてしまう心配がなくなります

離婚条件の交渉も代わりに行ってもらえるため、相手とやりとりする必要がありません。

また、配偶者との交渉に不安がある場合や調停・裁判を検討している人も弁護士に対応を一任できるため安心です。

離婚後の生活についても、状況に合わせて具体的なアドバイスを受けられます。

弁護士を間に入れることで、離婚に伴う時間や労力、精神的負担を減らすことにもつながるため、一度相談してみるとよいでしょう。

配偶者との熟年離婚を検討する前にやるべきこと

配偶者との熟年離婚を検討する前にやるべきことは、以下のとおりです。

  • 配偶者とは適度な距離感を保つ
  • 関係修復を試みる

それぞれについて、解説します。

配偶者とは適度な距離感を保つ

1つ目のやるべきことは、配偶者と適度な距離感を保つことです。

いきなり離婚を切り出すのではなく、別居や家庭内別居をするのも1つの方法です。

配偶者と距離感を保つとお互いの良い部分がみえるようになり、夫婦関係が修復するケースも期待できます。

また、長期間(3〜5年)の別居状態が続くと、離婚事由に該当して離婚が求められやすくなる可能性もあります。

その他の方法として、卒婚を検討するのもよいでしょう。

卒婚とは、戸籍上の婚姻関係は維持したまま、夫婦お互いが自由に生活を送るという生活形態です。

離婚の場合、相手に反論され同意されにくいですが、別居や卒婚であれば比較的応じてもらいやすいでしょう。

別居や卒婚は、法律上の婚姻関係は残ったままなので、婚姻費用(生活費)がもらえるという利点もあります。

関係修復を試みる

2つ目のやるべきことは、関係修復を試みることです。

長年一緒に過ごしてきた夫婦であれば、もう一度歩み寄れる可能性もあります。

とくに性格の不一致が原因の場合は、どちらかが一方的に悪いということはありません。

「相手は変わらない」と決めつけるのではなく、お互いが譲歩できる点がないか向き合ってみたり自分を省みてみたりすることも重要です。

また、夫婦関係を修復するために、次のことを実践してみるとよいでしょう。

  • 相手のよいところを褒める
  • 日常生活の何か1つだけでも夫婦で同じ行動を取る
  • 1日の出来事を聞いたり話したりする
  • 夫婦関係を修復したいと思っていることを伝える
  • ささいなことでも感謝の気持ちを伝える

ただし、夫婦関係の悪化が進んでいると、自力での修復は困難な場合もあります。

そのような場合は、自分でなんとかしようとせず専門家に相談するとよいでしょう。

夫婦で話すと感情的になってしまう場合は、夫婦カウンセラーに相談するのもおすすめです。

問題を解決するためのアドバイスがもらえるのはもちろん、夫婦関係の悪化が原因で精神的に疲れてしまっているような場合は、メンタルフォローもしてもらえます

弁護士に夫婦関係修復の相談をするのもよいでしょう。

離婚を検討している場合も、したくない場合も、法律的な観点から一緒に解決策を考えてもらえます。

夫婦関係を改善するための話し合いを行える、円満調停という法的手続きもあるため、気になる方は相談してみるとよいでしょう。

後悔しない熟年離婚のために知っておきたい法的手続きと費用

熟年離婚をする際には、当事者同士の話し合いだけでは解決できず、弁護士を通した話し合いや裁判所での調停・裁判が必要なケースがあります。熟年離婚の法的手続きにかかる費用を事前に把握しておき、「思ったよりお金がかかるのを知って後悔した」と後から思わないようにしておきましょう。

離婚手続きにかかる費用は、以下のとおりです。

  • 協議離婚の場合:0円~数万円
  • 調停離婚の場合:3,000~5,000円程度
  • 裁判離婚の場合:20,000円~
  • 弁護士に依頼した場合:着手金と報酬が必要

それぞれについて、解説します。

協議離婚の場合:0~数万円

協議離婚とは、夫婦の話し合いで離婚する方法です。

協議離婚はお互いの話し合いの末、納得したうえで市町村役場に離婚届を提出するため、費用はかかりません

ただし、次の場合は別途費用が発生します。

項目 金額
離婚届を本籍地以外の市町村役場に提出する場合の戸籍謄本取得費用 450円
配偶者に離婚に関わるお金を請求する際の内容証明郵便や配達証明代 1,300円
公正証書作成代 5,000~数万円(取り決めの金額に応じて変動)

公正証書は、離婚後のトラブルを防ぐために作成しておく場合があります。

強制執行認諾文言付き公正証書を作成しておけば、金銭が支払われない場合は調停や裁判をしなくても財産や給与を差し押さえられます

調停離婚の場合:3,000~5,000円程度

協議離婚が成立しなかった場合、離婚調停に進みます。

離婚調停とは、家庭裁判所の調停委員が仲介役となり、夫婦が離婚条件について話し合う制度です。

離婚調停は3,000~5,000円程度で手続き可能で、内訳は次のとおりです。

項目 金額
収入印紙代 1,200円
戸籍謄本取得費 450円
切手代 1,000円程度
その他必要な書類の取得費 資料により異なる

調停では1つの調停につき、収入印紙代が1,200円必要です。

たとえば、離婚調停と財産分与請求調停を同時に申し立てる場合は2,400円の収入印紙代がかかります。

切手代は申し立てをする家庭裁判所によって異なるため、管轄の家庭裁判所のホームページで確認しましょう。

なお、離婚調停で決定したことは強制力を持つため、相手が決定事項を守らなかった場合は、強制執行を行なえます

離婚裁判の場合:20,000円~

離婚調停でも話し合いがまとまらなかった場合は、離婚裁判の申し立てができます。

離婚裁判とは、離婚協議や離婚調停で離婚が成立しなかった場合に、裁判所の判決により強制的に離婚を目指す手続きです。

離婚裁判にかかる費用は20,000円〜となっており、内訳は次のとおりです。

項目 金額
収入印紙代 13,000円
戸籍謄本取得費 450円
切手代 5,000~6,000円ほど
その他必要な書類の取得費 資料により異なる

収入印紙代は、争う内容や金額が高くなるごとに加算されていきます。

請求内容 金額
離婚のみ 13,000円
養育費・財産分与・面会交流 1件ごとに1,200円加算
離婚慰謝料 5,000~3万円ほど(請求する金額によって変動)

たとえば、離婚と合わせて子ども2人の親権者の指定と養育費と財産分与、慰謝料300万円を求める裁判を起こしたとします。

その場合の収入印紙代は、以下のとおりです。

13,000円(離婚のみ)+2,400円(子ども2人の養育費)+1,200円(財産分与)+20,000円(慰謝料300万円)=36,600円

離婚裁判の申し立て時にも郵便切手を納めますが、必要な切手の金額は裁判所により異なります。

また、裁判で鑑定や証人が必要となった場合は、鑑定費用や証人の日当が必要です。

弁護士に依頼した場合:着手金と報酬が必要

弁護士に依頼した場合は、着手金と報酬などが必要です。

内訳は以下のとおりです。

項目 相場
相談料 1時間5,000~1万円(無料相談を受け付けている場合もある)
着手金(依頼時に支払う費用) ・協議離婚の場合:20~40万円
・調停離婚の場合:20~50万円
・裁判離婚の場合:30~60万円
成功報酬 ・協議離婚の場合:20~40万円
・調停離婚の場合:30~50万円
・裁判離婚の場合:40~60万円
財産分与や慰謝料など 合意金額または回収金額の10~20%
日当 3~5万円ほど
実費 印紙代・切手代・交通費など

弁護士費用は、依頼した内容によって金額が変わります。

たとえば、財産分与や慰謝料を獲得できた場合は、その成果に対する報酬として合意金額、または回収金額の10~20%を支払うことが多いです。

また、親権や面会交流について争いがある際は、親権を獲得したり面会交流を実現したりした場合に対しても、成功報酬が発生する場合もあります。

弁護士事務所によって金額も異なるため、不明点は確認するとよいでしょう。

まとめ

熟年離婚で後悔しないためには、さまざまな準備が必要です。離婚後の1人での生活は、自由な反面孤独を感じることも多くなります。孤独を感じないためにも、趣味や仕事など夢中になれるものを見つけたり、社会と交流する機会を増やしたりしておきましょう

また、離婚時の金銭面の取り決めは、離婚後の生活に大きな影響を及ぼすため、適切な協議を行うことが大切です。

しかし、今後の生活を見据えた離婚協議を行うには、自分だけの力では難しいです。

協議離婚は夫婦間での話し合いによるため、自身にとって不利な条件だと気付かずに、離婚を成立させてしまうリスクもあります

弁護士を間に入れることで、離婚に伴う時間や労力、精神的負担を減らすことにもつながります。また弁護士の専門知識や交渉術によって、適切な養育費、財産分与、慰謝料を設定できれば、熟年離婚後の生活を安定させることが可能です。

熟年離婚を考えている人は、一度弁護士の利用も検討してみてください。「ツナグ離婚弁護士」を利用すれば、離婚問題に強い弁護士と無料でマッチングできます。

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更新日 : 2024年10月09日
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