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養育費に時効はある?未払いの養育費の時効を更新させる方法も解説

養育費 時効
南陽輔 弁護士
監修者
南 陽輔
大阪市出身。大阪大学法学部、関西大学法科大学院卒業。2008年に弁護士登録(大阪弁護士会所属)。大阪市の法律事務所に勤務し、離婚問題や債務整理などの一般民事事件のほか、刑事事件など幅広い法律業務を担当。2021年に一歩法律事務所を設立し、契約書のチェックや文書作成の支援、起業時の法的なアドバイスなどの予防法務を中心に業務提供をしております。皆さんが利用しやすく、かつ自由で発展的なビジネスが可能となるサービスを提供いたします。

「養育費が支払われなくなって何年か経ってしまったけど、時効はある?」
「時効によって請求できなくなりそうな場合はどうすればいいの?」

離婚の際に約束したにもかかわらず、元配偶者からの養育費が途絶え、困っている人もいるのではないでしょうか。

未払いの養育費を請求できる時効は、以下のように5年または10年です。

  • 夫婦で話し合って養育費について取り決めていた場合:5年
  • 調停や裁判で決定していた場合:10年

養育費の請求権は、時効が到来しただけでは消えません。
そのため、時効が過ぎたとしても、養育費の請求自体は可能です。
しかし、時効が完成し支払義務がなくなったことを主張する「時効の援用」という手続きを相手が行うと、時効が到来した期間の養育費については請求できなくなるため注意が必要です。

時効が間近に迫っている場合は、相手に養育費の支払い義務があることを認めさせたり、裁判上の請求をしたりすることで、時効をストップすることができます。
また、離婚協議書に基づいて請求したり、公正証書を用いて強制執行を行ったりなど、未払いの養育費を回収するための差押えをするのも有効です。

このような手続きは複雑で、子供を育てたり、働いたりしながら自分だけで行うのは難しいので、弁護士に相談して手助けしてもらうのがおすすめです。

本記事では、未払いの養育費が請求できる時効や時効の更新方法について解説します。
また、未払いの養育費の請求方法や、行うべき対応について無料で相談できる窓口についても詳しく解説しているので、「養育費の未払いに悩んでいる」という方は、ぜひ参考にしてください。

未払いの養育費が請求できる期限には5年または10年の時効がある

未払いの養育費を請求できる「請求権」には「消滅時効」という期限があります。

「消滅時効」とは、一定の間権利が行使されないときにその権利が消滅してしまうという決まりのことです。

未払いの養育費を請求できる期間は、以下のように養育費の取り決め方法によって異なります。

夫婦間の話し合いで取り決めた場合 5年
調停・裁判で取り決めた場合 10年
※ただし、調停・裁判の時点で未払いが発生していない将来の養育費については5年
取り決めなしの場合 時効の対象外

ここでは、養育費請求の時効について解説します。

  • 夫婦間で話し合って養育費について取り決めた場合、5年で時効にかかる
  • 調停・裁判で決めたときの時効は10年だが、調停・裁判の中で決定していなければ5年、将来発生する部分についても5年になる
  • 養育費についてそもそも何も決めていないなら、時効の対象にはならない。あとからでも請求可能だが、過去の分までさかのぼって請求できないケースが多い
  • 時効を過ぎてしまっても、相手が時効を援用しなければ請求権は消滅しない。そのため相手が支払ってくれるなら請求できる

夫婦の協議により決めた場合は5年で時効になる

夫婦間で話し合って養育費について取り決めをした場合、5年で時効にかかります。民法では、以下のうちどちらか早いタイミングで時効が完成するとされていますが、養育費に関しては、権利行使(養育費の請求)ができることを知らないとは考えにくいためです。

  • 養育費を請求できると知ったときから5年間
  • 養育費を請求できるときから10年間

たとえば2024年4月分の養育費なら、2029年4月30日が過ぎると時効が完成します。その後養育費を請求された側が時効を援用すれば請求権は消え、2024年4月分については請求できなくなります。

「時効の援用」とは時効が完成し、支払義務がなくなったことを請求されていた側が主張することです。時効を援用することで養育費の請求権は消滅し、請求されていた側は支払う必要がなくなります。

なお、たとえ離婚協議書や公正証書を交わしていても、話し合いで内容を決めたのであれば時効期間は5年です。「調停や裁判以外の方法で決めたときは5年」と思っておくとよいでしょう。

ただし話し合ったうえで取り決めをしたケースでも、書面を交わしていなければ請求が難しくなる可能性がある点には注意が必要です。

養育費の支払いに関する合意は口約束でも成立します。しかし、相手が結局支払わず、合意したことを否定した場合、合意があったことを立証できません。

メモ書きやメール、LINEなどで相手が支払いに同意したと判断できるものがあれば残しておき、専門家に相談することをおすすめします。

参照:民法第166条|e-Gov法令検索

ワンポイント解説

【養育費を取り決めたら必ず公正証書を作成しておく】
養育費について、夫婦間の話し合いで合意できた場合は、必ず「公正証書」を作成しておきましょう。

公正証書は、法的な効力を持っている書類で、もしも養育費が未払いになった場合に、裁判をしなくても強制執行ができます。

養育費が未払いとなった場合の切り札にもなる書類なので、合意内容は公正証書に残しておくのがおすすめです。

調停・裁判で決めた場合は10年で時効になる

話し合いではなく、離婚調停や裁判を経て養育費が決定した場合、「権利の確定から10年」で時効が完成します。民法上、調停での合意内容を記した「調停調書」や、審判での内容が記載された「審判書」によって確定した権利の時効は、10年であると定められているためです。

注意点は、「調停や裁判の中で決定していること」が条件である点です。

調停や裁判になったケースで、養育費に関して何も決めないことはあまり考えられませんが、たとえば離婚調停や裁判で慰謝料や親権などについては決定しても、養育費について何も決定しなかったときは10年ではなく5年で請求権が時効にかかります。

また、対象になるのは、裁判所での手続きをした時点ですでに未払いが発生している分のみであることにも注意が必要です。将来発生する予定の請求分に関しては、通常のケースと同様に5年で時効を迎えます。

参照:民法第169条|e-Gov法令検索

養育費の取り決めをしていない場合は時効が発生しないが、過去の分の請求が難しい場合も

養育費について何も決めていなければ、時効が発生しません。時効にかかるべき請求権がそもそも存在しないと考えられるためです。

養育費について何も決めずに離婚したケースでも、養育費はあとから請求できます。

ただし、過去の分も含めてすべて請求できるパターンは少ないため注意が必要です。時効にならないからといって、「離婚のときまでさかのぼって請求できる」とはかぎらないのです。

基本的に、養育費を受ける権利は請求したときに発生するものであると考えられます。中には過去の分について請求が認められることもありますが、多くの場合は認められないと考えておいたほうがよいでしょう。少しでも多く請求するために、できるだけ早めに請求することをおすすめします。

ワンポイント解説

【2020年4月1日に行われた民法改正後も時効は変わっていない】
2020年4月1日に、民法の改正が実施されましたが、未払いの養育費を請求できる期限についての変更はありませんでした。

しかし、時効の延長方法については、「協議を行う旨の合意」が追加されました。

これは、裁判所での手続きがなくても、当事者間で「これから養育費について話し合う」という合意をすることで、時効の完成を先延ばしにできるということです。

時効を迎えた後でも養育費を請求することはできる

時効を迎えたあとでも、相手が任意に養育費を支払ってくれるなら請求しても構いません。時効期間を過ぎたからといって「養育費を請求してはいけない」という決まりはなく、相手が時効を援用しなければ請求権は消えないためです。

離婚の際には、とにかく相手と別れたい一心で「とりあえず離婚できたら養育費はいらない」と養育費について決めずに離婚するケースもあります。また、当初は収入に余裕があり養育費は必要ないと判断した場合でも、その後状況が変わることはよくあります。

養育費をもらっていないために生活が苦しいときは、相手に事情を話して交渉しましょう。

ただし調停や裁判になると、相手が時効を援用するおそれがあります。その場合、相手に支払義務がなくなり養育費を請求できなくなってしまうため、できれば時効を迎える前に時効を更新させ、相手に時効を援用させないようにしたほうがよいでしょう。時効の更新については、ここから詳しく解説します。

未払いの養育費の請求権の時効が迫っている場合の対処法

未払いの養育費の請求権の時効が迫っている場合、以下のように対処することができます。

  • 相手に債務承認させる
  • 裁判をして請求する
  • 差し押さえや仮差し押さえをする
  • 「催告」をして時効の完成を6ヶ月猶予させる

それぞれの対処法について、詳しく解説します。

相手に債務承認させる

相手に養育費の支払義務があることを認めさせると時効が更新されます。

相手が自分に債務があると認めることを「債務承認」といいます。債務承認にあたるのは以下のような行為・言動です。

  • 支払い義務があることを認める念書を作成し、署名・押印してもらう
  • 相手が支払期間の延長や減額を申し出る
  • 相手が養育費の一部を支払う

上記のような行為や言動を行った場合は、相手が自らの支払義務を認めたことになります。そのため時効が更新されます。

ただし言動だけでは立証が難しいため、できれば念書や養育費が振り込まれた履歴など、かたちに残る方法が望ましいです。そのほか、メールやLINEでのやりとりがあれば、証拠として残しておきましょう。

裁判をして請求する

裁判によって養育費を請求することでも時効の更新が可能です。

裁判を提起すると、まずその時点から6カ月間は時効の完成が「猶予」されます。その後判決が確定すると、確定の日から時効が更新されます。

「時効の完成の猶予」とは、一定期間時効のカウントをストップさせることです。つまり、裁判を提起してから6カ月間は時効が進行しません。調停の申立てや支払督促でも同様です。

裁判後はまた時効が進行しますが、時効の更新によって時効期間はリセットされるため、カウントはまた1からです。また、もともとの時効が5年だった場合でも、裁判後は時効期間が10年間になります。

差し押さえや仮差し押さえをする

「差し押さえ」や「仮差し押さえ」によっても時効を更新できます。差し押さえも仮差し押さえも、相手が財産の隠ぺいや処分をできなくするための手続きですが、以下のとおり行うタイミングが異なります。

  • 差し押さえ:勝訴判決後
  • 仮差し押さえ:裁判を提起する前や裁判中

まず仮差し押さえをすることで、勝訴判決を待たずに権利を行使できます。判決が出るまでは、あくまでも「仮」差し押さえであり正式に差し押さえたわけではありませんが、勝訴すれば差し押さえ対象になった給与や預貯金から強制的に支払いを受けられます。

注目すべきは、差し押さえできる割合です。たとえば給料債権の差し押さえは、債権者の生活を保護する目的から、通常3分の1を超えては行えません。

しかし、未払い養育費の回収を目的とした差し押さえであれば、2分の1まで差し押さえられるとされています。それだけ養育費の優先度は高いと考えられているのです。

また、差し押さえの効果は一度だけでなく、相手が勤務先を辞めるか養育費を払い終えるまで継続します。そのため、以後は相手が退職しないかぎり養育費の心配をせずに済みます。

なお、公正証書がない場合に差し押さえを行うなら裁判を経る必要がありますが、差し押さえ(強制執行)ができる旨の文言を記載した「強制執行認諾文言付公正証書」を作成していたときは、裁判を経ることなく差し押さえが可能です。公正証書を用いて差し押さえを行ったときも、時効は更新されます。

「催告」をして時効の完成を6ヶ月猶予させる

時効が完成しそうな場合は「催告」をしましょう。催告とは、相手に対して養育費を請求する行為です。裁判外で相手に請求の意思を伝えることで、その時点から6カ月間は時効期間を延ばせます。

たとえばあと数日で養育費請求権の消滅時効が完成してしまうなど、時効が間近に迫っているときは裁判を起こしたり強制執行を行ったりする時間がありません。そのような場合でも、催告をしておけばそこから時効成立までの6カ月の間に調停や裁判の準備ができます。

ただし、「6カ月間延ばせる」といっても、催告を連続して行えばその分期間が上乗せされ、1年も2年も延長できるというわけではありません。また、催告をしてから6カ月後には時効が完成してしまうことも、念頭に入れておきましょう。

なお、催告の方法にはとくに決まりはないため口頭でもできますが、「いつ・誰が・誰に向けて何を送ったか」が郵便局に記録される「内容証明郵便」での郵送がおすすめです。内容証明郵便を送ることで、「届いていない」「知らない」などと言って相手に逃げられるのを防げます。

未払いになっている養育費を請求するには?

未払いになっている養育費を請求するための方法は、以下のようなものがあります。

  • まずは個人的にLINEやメールで請求する
  • 内容証明を利用して請求する
  • 離婚協議書がある場合は、内容通りに請求する
  • 公正証書や調停証書があれば強制執行する
  • 請求相手の行方がわからない場合は裁判所で手続きをして請求してみる

それぞれの請求方法について、詳しく解説します。

まずは個人的にLINEやメールで請求する

養育費を支払う義務がある相手と、お互いに連絡が取れる場合は、まずは個人的に連絡してみるのがおすすめです。

養育費の未払いが1ヶ月のみであれば、「単に忘れてしまっていただけ」という場合もあります。

「今月の養育費が振り込まれていない!」と思ったら、一旦、穏便に個人的に確認してみましょう。

内容証明を利用して請求する

個人的に連絡をして確認しても、無視されてしまう場合は、内容証明を利用するのがおすすめです。

内容証明自体には、法的な拘束力はありませんが、養育費を支払う義務のある元配偶者に心理的なプレッシャーを与えることができるでしょう。

内容証明は自分で作成することもできますが、弁護士が差出人になることで、より効果を期待できるので、内容証明を出したい場合は弁護士に相談してみるのがおすすめです。

離婚協議書がある場合は、内容通りに請求する

離婚協議書を交わしている場合、記載されている内容どおりの請求が可能です。支払う側は離婚協議書に記載されている金額を支払う義務を負い、受け取る側も記載どおりの金額を受け取る権利があるためです。

養育費の支払いが滞ったら、泣き寝入りせず相手に対して未払い分を請求しましょう。電話やメールなどでもよいですが、それよりも効果があるのは内容証明郵便で請求することです。

内容証明郵便であれば請求をした証拠が残るうえ、相手に「何かかしこまった郵便物が届いた!」というプレッシャーをかけられます。また、相手に会う必要も直接話す必要もないため、ストレスを感じにくいでしょう。

ただし公正証書のように、離婚協議書自体に強制執行を行う効果までは備わっていない点には注意が必要です。そのため、請求しても相手が支払いに応じない場合や無視を決め込んでいるようなケースでは、裁判を提起するしかありません。

公正証書や調停証書があれば強制執行する

「強制執行認諾文言」付きの公正証書や調停証書がある場合は強制執行が可能です。裁判所に強制執行を申立てると、裁判所から相手とその勤務先に差押命令が出されます。

強制執行は不動産や動産を対象にすることも可能ですが、養育費の強制執行で主に行われるのは、給与や預貯金といった債権に対する強制執行である「債権執行」です。給与を対象に債権執行を行う場合の流れは以下のとおりです。

  1. 地方裁判所に申立てを行う
  2. 裁判所から相手・勤務先に差押命令が出される
  3. 勤務先から相手への給与の支払いがストップする
  4. 養育費請求権の範囲内で勤務先から支払いを受けられる

債権執行の申立て先は、家庭裁判所ではなく「相手の住所地を管轄する地方裁判所」です。申立ての際には、以下のような書類を裁判所に提出します。

必要書類など 詳細・注意点
申立書 記載方法は管轄裁判所に要確認
債務名義
(公正証書や調停調書)
正本が必要
送達証明書 公正証書・調停調書を取得した機関で相手方への送達申請を行い、送達したことの証明として交付してもらう
申立手数料 4,000円分の収入印紙
(申立人1人+相手方1人+債務名義1通の場合)
郵便切手 勤務先1カ所あたり3,000円分程度
(切手の種類・金額は管轄裁判所に確認)
勤務先の登記事項証明書など ※相手方の勤務先が法人の場合に必要
申立人・相手の住民票など ※公正証書や調停調書と申立人・相手の住所・氏名が異なる場合に必要(証明書の種類は管轄裁判所に要確認)

以上のような書類を求められることが一般的ですが、申立書の記載方法や細かいルールは裁判所によって異なります。申立てを行う前に、管轄の地方裁判所に確認しておきましょう。

なお、公正証書がある場合、このまま滞納が続けば強制執行をするしかないことを相手に伝えるだけでも相手によっては効果を発揮できる可能性もあります。試してみる価値はあるでしょう。

そのほか、相手方の現住所がわかっているなら、家庭裁判所の「履行勧告」というシステムを利用するのもひとつです。

履行勧告とは、調停や審判といった裁判所の手続きによって決定した養育費の支払義務を相手が果たさない場合に、家庭裁判所から支払いを行うよう勧告してくれる手続きです。以下の書類を提出すれば無料で利用できます。

  • 申出書
  • 調停調書や審判書の写し
  • 支払いが滞っていることがわかる預金通帳の写しなど

参照:養育費に関する手続き|裁判所
参照:履行勧告の申出について|裁判所

請求相手の行方がわからない場合は裁判所で手続きをして請求してみる

養育費を請求する相手が逃げてしまって、行方がわからなくて困っている場合は、裁判所を介した手続きで養育費を請求してみましょう。

裁判所を介した手続きによって、行方がわからない元排風者の勤務先や住所、口座などの調査をすることが可能です。

ただし、この調査を行うための手続きは複雑かつ専門的な知識が必要。
そのため、「養育費を請求したいのに、相手がどこにいるかわからない」「請求しようにも、どこに請求すればいいのかわからない」という場合は、弁護士に相談して手続きを代行してもらいましょう。

養育費の未払いは弁護士に依頼して請求するのがおすすめ

未払いの養育費の請求の手続きや、時効を延ばしたり止めたりする手続きは準備だけでも時間がかかってしまいます。

子供を育てたり、働いたりしながら自分で手続きや請求を行うのは簡単なことではありません。

未払いの養育費の回収や時効を延ばす手続き等は、弁護士に依頼することで、よりスムーズかつ迅速に手続きを進めることができます。

あなたの状況に合った手続きや請求・回収方法も提案してくれるので、「養育費が支払われなくて困っている」「養育費の請求時効が迫っているのに、どうしたらいいかわからない」という場合は、弁護士に相談して養育費を請求するのがおすすめです。

養育費について無料で相談できる窓口

養育費について無料で相談できる窓口はいくつかあります。それぞれ特徴や相談できることが異なるため、目的や自分の状況に合わせて相談先を選ぶとよいでしょう。

  • 法律相談を希望するなら、「法律事務所の弁護士無料相談窓口」を利用する
  • 法的なことよりも養育費に関する基本的なことが知りたい場合は「養育費等相談支援センター」に相談する
  • 養育費について専門カウンセラーに相談したいときは、養育費の相談を受け付けている「NPO法人」のカウンセリングを受ける。ただし有料のところもあるため要注意
  • 仕事に関することなど、養育費以外のこともあわせて相談したいなら、「母子家庭等就業・自立支援センター」に相談する
  • 弁護士への相談後、依頼することになった場合の費用が心配なら「法テラス」を利用するのもひとつだが、利用には条件があるため事前確認が必要

法律事務所の弁護士無料相談窓口

法律事務所の弁護士無料相談窓口を利用するのもひとつです。法律事務所の中には、弁護士による無料相談を受け付けているところもよくあります。

まずは無料相談で解決できるかどうか確認するのもよいでしょう。ケースによっては、無料相談で得たアドバイスで問題が解決する場合や、今後どうすべきかがわかり、自分で解決できることもあります。

また、無料相談を受けることでその弁護士の人となりや仕事ぶりがある程度わかります。無料相談を受けた結果、ほかの弁護士に相談したいと思ったら、別の弁護士を探せばよいでしょう。

反対に、もう少しこの弁護士に相談したいと思ったら、次回は有料相談や依頼を検討すればよいため、そういった判断をする意味でも無料相談は有効です。

なお、無料相談を受けたからといって、必ずそのまま依頼しなければならないわけではありません。あまり身構えず、気軽に申し込んでみましょう。

養育費等相談支援センター

養育費等相談支援センターでも無料相談が可能です。

養育費等相談支援センターとは、養育費に関する無料相談を受け付けている窓口のことで、厚生労働省から委託された団体が運営しています。電話やメールで相談できるほか、各地方自治体の「ひとり親家庭支援窓口」には相談員が配置されています。

ただし弁護士などの専門家ではないため、相談できることがかぎられている点に注意が必要です。相談できるのは、たとえば以下のようなことです。

  • 養育費の相場
  • 養育費の取り決めを行う際の流れ
  • 養育費の金額を決める方法
  • 養育費の支払方法

上記のように、養育費に関する基本的なことや一般的な質問には答えてもらえますが、たとえば未払いの養育費を自分に代わって請求をしてほしい、相手と話してほしいというようなことは頼めません。そのようなケースでは、弁護士の無料相談をおすすめします。

参照:養育費等相談支援センター|公益社団法人家庭問題情報センター

NPO法人

離婚問題の相談を扱っているNPO法人に助けを求める方法もあります。

NPO法人とは、世の中のためになることを行う非営利法人のことです。中には養育費について相談可能な団体もあり、専門のカウンセラーが何度でも無料で相談に乗ってくれるところもあります。さまざまな団体があるため、自分の要望に合いそうな団体を探してみるとよいでしょう。

相談できる内容は養育費等相談支援センターと同様に、養育費に関する基本的な知識や取り決めの際の流れなどです。法的な相談をしたいなら、やはり弁護士の無料相談のほうがよいでしょう。

なお、NPO法人の中には、たとえば60分7,000円など、電話相談でも料金が発生するところがあります。相談の際は無料で相談できるかどうかをよく確認することをおすすめします。

母子家庭等就業・自立支援センター

母子家庭等就業・自立支援センターに相談するのもよいでしょう。母子家庭等就業・自立支援センターとは、こども家庭庁から委託された団体が運営する公的施設です。

「母子家庭」と謳っていますが、父子家庭も対象です。また、養育費に関することから就業相談まで、幅広い内容で対応してもらえます。仕事と育児の両立が難しい、現在の職場が母子家庭・父子家庭に理解がないなど、養育費以外にも悩みがある場合はまとめて相談してみるとよいかもしれません。

なお、母子家庭等就業・自立支援センター事業は各自治体で実施されています。気になる場合は最寄りのセンターを探し、活用するとよいでしょう。

参照:各自治体の母子家庭等就業・自立支援センター事業実施場所一覧|こども家庭庁

法テラス

弁護士に相談・依頼したくても金銭的に厳しい人は、法テラス(日本司法支援センター)を利用するのがおすすめです。

法テラスとは、法的トラブルを解決するための公的機関です。法的トラブルを抱えていても、経済的な理由から弁護士に依頼できない人のために、無料の法律相談や弁護士・司法書士費用の立替えなどを行っています。

無料相談のあと、そのまま正式に依頼したいと思っても弁護士費用が支払えないかもしれない、といった不安がある人にはもってこいでしょう。

ただし、法テラスはすべての人が利用できるわけではなく、利用には以下のような条件があります。

  • 収入・資産が一定額以下
  • 勝訴の見込みがある
  • 報復的感情を満たす・権利濫用などが目的ではない

また、無料相談にはかぎりがあります。1回の相談時間は30分程度、1つの問題につき3回までと決まっているため利用の際は事前に質問をまとめておく必要があります。

利用の際は、まず条件に該当するかどうかをホームページで確認してみましょう。

参照:無料の法律相談を受けたい|日本司法支援センター法テラス

まとめ

養育費の時効や時効の更新などについて解説しました。

記事の中でも解説したとおり、養育費の請求権には5年または10年という時効期間があります。そのため、元配偶者からの養育費が途絶えて5年または10年過ぎ、相手が時効を援用すると、時効にかかった部分については請求できなくなってしまいます。

離婚によって親権を持たなくなった親であっても、子どもの親であることに変わりはありません。親には子どもが成人するまで養育する義務があります。子どもがこの先も養育費をきちんと受け取れるよう、時効が完成しないように注意しながら元配偶者にしっかり請求するようにしましょう。

自分ひとりでは対応が難しい、どうすればよいのか知恵がほしいという場合は無料相談を積極的に利用し、早めに対処することをおすすめします。