任意整理に失敗する主な原因8つ
任意整理はその名のとおり「任意の交渉事」であり、必ず成功するという保証があるものではありません。
任意整理に失敗してしまう、または交渉に応じてもらえない場合、以下のような原因が考えられます。
- 3〜5年で返済できる見通しが立たない
- 高齢である
- 借入をしてからほとんど返済してない
- 任意整理の手続き費用を滞納してしまった
- 和解後に滞納してしまった
- 2回目の任意整理である
- 債権者が和解交渉に応じない業者である
- 債権者との間で和解条件がまとまらない
1.3〜5年で返済できる見通しが立たない
任意整理をしたとしても返済をずっと先延ばしできるわけではありません。
おおむね3年から5年で返済を完了しなければいけません。
最初は返済可能だと思っても返済計画にズレが生じてしまうことはよくあります。
また、5年以内に完済するために無理な返済計画を立ててしまうこともままあります。
月々の返済額を決めるときは、本当に払える額に設定しましょう。
もし3年から5年で返済できないようなら任意整理で借金を完済することは難しいので、他の債務整理を検討する必要があります。
特に収入が少ない方は月々の返済金を捻出するのが難しいため自己破産を検討するべきでしょう。
自己破産をすれば借金をゼロにすることができます。
2.高齢である
高齢者の場合は、仕事による収入がなく年金だけであったりするため完済するのが難しくなります。
また、年齢によってはなくなるまでに完済できない場合もあります。
もし子どもがいる場合は負の財産を子どもに残すことになります。
負の遺産は子どもが相続放棄をすれば引き継がれることはありませんが、他にプラスの財産がある場合は非常にややこしいことになります。
子どもに負の遺産を残さないためにも、任意整理では借金完済が不可能とお思いの場合は、自己破産などの債務整理を検討しましょう。
子孫に負の遺産を継承させないというのも大切な親の役目です。
残債を完済できるか分からない場合は弁護士にご相談ください。
3.借入してからほとんど返済してない
借金をしてからほとんど返済をしていない場合は、利息や遅延損害金が膨大になりすぎて、たとえ任意整理をしても残債が大きすぎて3年から5年では完済できないこともあります。
任意整理に向く方は、残債が少なく、収入がある程度ある人です。
収入がない、または少なく、残債が多い人は任意整理に向かないので注意してください。
収入がない、または少なく、残債が多い方は、自己破産一択しかありません。
自己破産するとマイナス面も多いですが、借金をなくすためには致し方ありません。
借金をほとんど返していない方は、このような状況に必然的になりますので返済できるような方は返済日までにきちんと納金しましょう。
4.任意整理の手続き費用を滞納してしまった
任意整理の手続き費用を滞納すると弁護士が契約をキャンセルし振り出しに戻ってしまいます。
きちんと弁護士にお願いしたいのなら手続き費用はきちんと納めましょう。
任意整理の手続き費用がない場合は、弁護士事務所に相談してみましょう。
多くの事務所では、分割払いを認めています。弁護士も相談者様がお金を持っていないことは百も承知なのでこのような措置をとっています。
事務所の分割払いも厳しいという方は法テラスを活用しましょう。
法テラスとは国が弱者救済のためにつくった制度です。
収入が少ない方は相談料無料です。任意整理する場合でも費用はかかりますが、月々5、000円から1万円の範囲内でゆっくり返済していけるので安心です。
5.2回目の任意整理である
任意整理に回数制限はありませんが、2回目以降は債権者が任意整理を受け入れてくれなくなる可能性が高まります。
特に同じ金融業者ならまず認めてくれません。任意整理を認めるとしても1回目と同じような条件ですんなりと決まるわけではありませんのでご注意ください。
任意整理は債権者と債務者の話し合いで決まるものです。
ですので、2回目以降は条件が厳しくなるパターンが多いです。
任意整理は通常遅延損害金と将来利息がカットされますが、将来利息だけしか認められないといったことも起こりえます。
合議で決まるからこそ2回目以降の任意整理は厳しいのです。
どうしても条件が飲めない場合には、任意整理ではなく自己破産等も視野に入れて検討してください。
6.債務者が弁護士からの連絡に応じない
任意整理中は弁護士から債務者へ、手続きの進捗報告や支払確認などのために連絡が入ることがあります。
弁護士から連絡が来たら、必ず電話に出るか、すぐに出られない場合も折返し連絡しなければなりません。
もし弁護士の用件が任意整理を進めるうえで重要な内容だった場合、債務者と連絡が取れないせいで手続きがストップしてしまう恐れがあります。
何度も連絡しているにもかかわらず債務者と連絡が取れない場合、弁護士は依頼継続の意思がないと判断し、任意整理を途中で中断させることもあるのです。
7.債権者が和解交渉に応じない業者である
そもそも債権者が任意整理の和解交渉に応じないため、任意整理が失敗することもあります。
一般的に大手の消費者金融やクレジットカード会社に比べて、街金と呼ばれるあまり聞き慣れない消費者金融などは、任意整理に応じにくいです。
ただし一般的に任意整理に応じないとされている業者でも、弁護士によって和解実績がある場合とない場合があるので、一概にはいえません。
また同じ業者が交渉相手でも、最大の分割回数や利息カットの割合は交渉する弁護士によってバラつきがあります。
そのため最も良い和解条件で任意整理をしたいなら、できるだけ多くの弁護士へ相談し、直接話を聞いて実績を確認するのがおすすめです。
当サイトでも借金問題の解決に力を入れる弁護士を紹介しているので、ぜひ無料相談を利用して相談してみてください。
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8.債権者との間で和解条件がまとまらない
債権者が任意整理に応じてくれたとしても、和解条件がまとまらず失敗に終わるケースもあります。
- 債権者から想定より少ない分割回数での和解を迫られ、月々の返済額が上がってしまった。
- 債務者が利息カットに応じてくれず、将来利息込みでの分割返済になった。
- 債権者から任意整理に応じる代わりに頭金を支払うよう要求された。
特に「借入後すぐの任意整理」や、弁護士が債権調査をおこなった結果「債務者が申告した借金額より実際の借金額が大幅に高くなった」場合は、債務者の希望と異なる和解条件になることがあります。
債権調査・・・債権者に対する借金が正確にはどのくらいあるのかなどを調べる手続き。任意整理の和解交渉前におこなわれる。
この場合、債権者の要求どおりの条件なら和解できますが、条件どおり支払うのが難しい場合は、和解できず任意整理が失敗に終わることもあるのです。
任意整理に失敗するとどうなる?
任意整理に失敗した場合、主に以下のようなリスクが発生します。
- その他の選択肢を考えなければいけなくなる
- 弁護士に辞任される
- 債権者から残債の一括請求を求められる
- 一括請求に応じられなければ、裁判や強制執行に移行する
1.その他債務整理手続きを考えなければいけなくなる
任意整理は債権者との交渉で帰結します。よって、交渉が決裂することも起こりえます。
いくら債務者側がお願いしても債権者側が認めてくれなければ任意整理は成立しません。腕利きの弁護士が交渉してもダメなときはダメなのです。
どうしても交渉が決裂してしまった場合は、他の債務整理を検討するしかありません。
任意整理以外の債務整理は個人再生と自己破産の2種類があります。
個人再生は借金を5分の1程度に減額でき、自己破産は借金をゼロにできます。
任意整理がダメな場合は、債務整理に詳しい弁護士に相談して、最善の方法を模索しましょう。
2.弁護士に辞任される
前述したように、任意整理に失敗する原因の多くは、以下の2つです。
- 債務者が「債権者への返済」や「任意整理の費用」を滞納する。
上記のような理由で任意整理が失敗した場合、一度契約した弁護士から辞任される可能性が高いです。
多くの弁護士は、以下のような事柄を「辞任事由」と定めています。
任意整理の途中で弁護士から辞任されてしまった場合、既に支払った費用の一部が返ってくる可能性があります。
ただし、任意整理の費用は主に着手金と報酬金に分かれており、着手金にあたる金額については返金されない可能性が高いです。
そのため、せっかく払った費用が無駄になってしまいます。
また今まで督促が止まっていた債権者から、一斉に通知や電話で督促を受ける恐れがあります。
それだけでなく残金を一括請求されたり、裁判を起こされ財産を差押えられる恐れもあるのです。
任意整理後に辞任された場合のリスクや対処法について、詳しくはこちらの記事で紹介しているので参考にしてください。
3.残債を一括請求される
任意整理の交渉が決裂すると残債を一括請求されることがあります。
連帯保証人がいる場合には、すぐに連帯保証人に一括請求が行きますのでご注意ください。
連帯保証人がいない場合には、債務者本人に請求が来ます。
このような状態に陥ったらもう任意整理で借金を処理することは不可能です。
すぐに弁護士に連絡のうえ、個人再生か自己破産を検討してください。
個人再生かいいか、自己破産がいいかは債務者の個人的状況によって異なりますので、弁護士にお尋ねください。
債務整理に長けた弁護士に最良の債務整理をご紹介いたします。
4.裁判や強制執行に移行する
任意整理が決裂すると債権者から残債の一括請求が来ますが、自己破産等の手続きをとらずに放置しておくと強制執行(差し押さえ)になってしまいます。
差し押さえは色々な方法で執行されますが、月収が44万円以下なら給料の4分の1が、月収が44万円を超えるなら33万円を超えた部分が対象になります。
また、銀行預金等も全て差し押さえ対象になります。他にも動産などの換金性の高いものは差し押さえになるので注意しましょう。
任意整理の交渉が決裂したのならすぐに次の策を検討してください。
弁護士に依頼している場合は、弁護士と相談のうえ、個人再生か自己破産手続きに即時入りましょう。
任意整理が不成立だったとしてもすぐに行動することが肝要です。
一番ダメなのはそのまま事態を放置しておくことです。
任意整理に失敗した時の解決方法
任意整理に失敗した場合、解決方法は主に以下の3つです。
- 自力で債権者と分割交渉する。
- 任意整理以外の債務整理に方針変更する。
- 別の弁護士へ任意整理を依頼して再和解する。
次の項目からそれぞれ詳しくお伝えします。
自力で債権者と分割交渉する
任意整理に失敗したら、すぐに債権者へ連絡して自力で分割交渉するのも一つの方法です。
「任意整理に失敗してから債権者と自己交渉しても、上手くいかないのでは」と思う人もいるでしょう。
しかし実際のところ任意整理に失敗した後、自力で債権者と交渉して分割返済に応じてもらえた事例もあります。
そもそも任意整理をする人は通常どおりの支払いすら困難なため、一括返済などとてもできない状況であることは容易に想像できます。
そのため、債権者も無理に一括返済を求めるより、少しずつでも確実に返済してくれた方がよいと考えて分割返済に応じてくれる場合が少なくないのです。
ただし、時間が経つと裁判を起こすなど強硬な手段に出る債権者も多いので、自己交渉での分割返済を目指すなら、できるだけ早く債権者へ連絡するとよいでしょう。
任意整理以外の債務整理に方針変更する
任意整理に失敗したら、他の債務整理手続きへの方針変更も検討してみましょう。
- 任意整理前の債権調査の結果、思ったより借金が高額なことが分かった。
- 和解交渉の結果、思ったより月々の返済額が高く、払っていける見込みがない。
上記のような場合は、任意整理では借金の負担軽減の効果が薄いと考えられます。
より借金の負担を軽減できる、自己破産や個人再生を検討するのがおすすめです。
ちなみに自己破産や個人再生へ方針変更したいと思ったら、まずは元々任意整理を依頼していた弁護士へ相談しましょう。
弁護士の方針によりますが、任意整理の費用として払った金額を別の債務整理の費用へスライドできる場合があります。
そうなれば、別の債務整理の費用と既に払った金額の差額分だけ支払えばよいので、任意整理の費用が無駄になることはありません。
ただし任意整理に失敗した原因が費用の滞納などで、既に依頼していた弁護士から辞任されている場合は、方針変更しても再度依頼するのは難しいケースが多いです。
その場合は、別の弁護士へ改めて債務整理の依頼をしましょう。
別の弁護士へ任意整理を依頼して再和解する
一度失敗してもあくまで任意整理での和解にこだわるのなら、別の弁護士へ依頼して再和解(再度の任意整理による和解)を目指しましょう。
「一度失敗したら、もう任意整理はできないのでは」と思う人もいるかもしれませんが、基本的に任意整理は一度しかできないという決まりはありません。
ただし2度目の任意整理を依頼する場合は、元々依頼していた弁護士とは別の弁護士へ依頼しなければなりません。
その理由は、任意整理に失敗した原因によって異なります。
- 債務者が「債権者への返済」や「任意整理の費用」を滞納する。
- 債務者が弁護士からの連絡に応じない。
上記の理由で任意整理に失敗した場合、元々依頼した弁護士から辞任されるケースがほとんどです。
通常、弁護士は一度辞任した債務者の依頼を再度受けることはありません。
そのため、一度辞任されてから再び任意整理を依頼したい場合は、改めて依頼する弁護士を探す必要があるのです。
- 債権者が和解交渉に応じない。
- 債権者との間で和解条件がまとまらない。
上記の理由で任意整理に失敗した場合は、同じ弁護士へ依頼する限り、何度任意整理をしても和解条件が変わることはありません。
依頼した弁護士の力では、あなたの納得のいく条件で和解することはできないということです。
改めて債務整理に強い弁護士などに相談し、自分の納得のいく条件で債権者と和解してくれる弁護士を探しましょう。
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相談無料ですので、ぜひ気軽に利用してみてくださいね。
任意整理に失敗しない弁護士の選び方
任意整理に失敗しないためには、依頼する弁護士の選び方が重要です。
自分が納得のいく条件で債権者と和解するためには、相談段階で弁護士をしっかりと見極め、信頼できる代理人を探しましょう。
そのうえで「債権者への返済や任意整理の費用を滞納しない」「弁護士からの連絡にきちんと応じる」といった点に注意すれば、必ず任意整理は成功します。
次の項目から「任意整理に失敗しない弁護士の選び方」について詳しくお伝えします。
弁護士を選ぶ基準は「交渉力」「弁護士費用」「人柄」
弁護士を選ぶ基準は、主に以下の3つです。
交渉力とはいわば、任意整理の実績です。
「◯◯万円まで減額したい」と債務者が依頼したら、希望に沿った金額まで減額できる交渉力があるかどうかが重要になります。
また弁護士費用もしっかりと確認しましょう。
きちんと費用を確認しておかないと「依頼後に思ったより費用がかかってしまった」という結果になりかねません。
さらに、担当の弁護士が親身に相談に乗ってくれるかどうかも重要なポイントです。
まとめ
任意整理に失敗してしまう原因は、主に以下の4つです。
- 債務者が「債権者への返済」や「任意整理の費用」を滞納する。
- 債務者が弁護士からの連絡に応じない。
- 債権者が和解交渉に応じない。
- 債権者との間で和解条件がまとまらない。
そのため任意整理に失敗したくない場合は、自分が納得のいく条件で債権者と和解できる弁護士を相談段階でしっかりと見極め、信頼できる代理人を探しましょう。
そのうえで「債権者への返済や任意整理の費用を滞納しない」「弁護士からの連絡にきちんと応じる」といった点に注意すれば、必ず任意整理は成功します。
弁護士を選ぶ場合は債務整理に強い弁護士を複数選んで、和解実績を比べるのがおすすめです。
ただしサイトに任意整理の和解実績まで載せている弁護士は少ないので、無料相談を利用して直接話を聞いてみるとよいでしょう。
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相談は無料なので、ぜひ気軽にご相談ください。
任意整理のよくある質問
弁護士へ依頼しても、任意整理に失敗することもあるのですか?
債務者が費用の支払いや債権者への返済が滞ったり、弁護士からの連絡に応じないと、契約途中で辞任(失敗)となることがあります。また、債権者が任意整理に応じない業者だったり、債権者と債務者の希望条件が合わないと、和解できず失敗に終わる場合もあります。
任意整理の依頼を検討していまう。弁護士の選ぶときの注意点はありますか?
依頼を検討している弁護士に依頼しようとしている債権者との和解実績がない場合、別の弁護士をあたった方がよいかもしれません。もしくは今までどおり債権者へ直接支払いを続ける、自己破産や個人再生など他の債務整理を検討するのも一つの手です。
任意整理に応じない業者もあると聞きましたが、具体的にどこの業者ですか?
大手の消費者金融やクレジットカード会社より、街金と呼ばれるあまり聞き慣れない名前の消費者金融などの方が、任意整理に応じてくれにくい傾向があります。実際に任意整理で和解可能かどうかは弁護士の実績によるので、無料相談などを利用して直接確認するのがよいでしょう。
一度任意整理した後に、再和解(再び任意整理)は可能ですか?
再和解すること自体は可能な場合が多いです。しかし一度目の和解より条件が厳しくなるケースが多いので注意してください。(利息がカットされない、返済期間が短くなるなど)
新型コロナウイルス感染症の影響で、任意整理後に支払いができなくなりそうです。任意整理に失敗しないためにはどうすればよいですか?
新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減り、支払いができなくなりそうなのであれば、国や自治体の公的支援を利用しましょう。それでも支払いが厳しい場合は、依頼している弁護士と今後の方針について改めて相談するとよいでしょう。
最短即日取立STOP!
一人で悩まずに士業にご相談を
- 北海道・東北
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