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国際結婚をした人の離婚の手続き方法は?国際離婚が多い原因や注意点も解説

国際結婚 離婚

国の統計によると、2022年に国際結婚をした夫婦が17,685組であるのに対し、離婚した夫婦は8,478組と、約半数が離婚をしています。

国際結婚をしたものの、価値観の相違や相手方の親族との関係性、子供の教育方針の違いなどにより離婚を考えている方も多いのではないでしょうか。

国際離婚の手続きは、日本人同士のものよりも複雑になる可能性が高いです。

特にどちらの国の法律が適用されるのかは重要であるため、下記のように日本か海外どちらの法律が適用されるのかを確認する必要があります。

夫婦2人の国籍や生活基盤が日本である場合、原則として日本の法律に則って離婚の手続きを進めることになります。

反対に、婚姻届を外国でも出していたり生活基盤が海外だったりする場合、海外の法律に則って離婚手続きを進めなけれなりません。

なお、海外の法律で離婚手続きを行う場合、以下の項目を押さえておきましょう。

項目 詳細
ビザ ・離婚してから6ヶ月で配偶者ビザが失効する
・離婚後も日本で生活する場合は在留資格の更新手続きが必要
親権 ・離婚後の親権が「共同親権」になるケースがある
・共同親権は離婚した父母の双方が親権を持つ制度
養育費 ・元配偶者が母国に帰ると支払われなくなる可能性がある
・離婚時に養育費としてまとまったお金を受け取るなどの対策が必要

本記事では、国際結婚をした人の離婚の手続き方法や、国際結婚の離婚率が高い原因について詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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南陽輔 弁護士
監修
南 陽輔(弁護士)

国際結婚の離婚ではどの国の法律が適用されるのかが重要

国際結婚の離婚において、どの国の法律が適用されるのかは非常に重要です。

日本の法律が適用されるケースと海外の法律が適用されるケースについて、以下の表にまとめました。

日本の法律が適用されるケース 海外の法律が適用されるケース
・2人とも日本国籍である
・離婚手続きを進める際の2人の居住地が日本である
・2人と最も密接な関係がある国が日本である
・婚姻届を日本のみで提出している
・結婚時に相手国でも婚姻を結んでいる
・現在は日本に住んでいるが、生活の基盤が外国にあった

それぞれのケースについて、次の項目から詳しく解説します。

日本の法律が適用されるケース

日本人と外国人の国際結婚であっても、日本国内で離婚する場合は基本的に日本の法律に則って手続きが進みます。

厳密には、以下のいずれかの条件を満たす場合は日本の法律下で離婚の手続きができます。

  • 2人とも日本国籍である
  • 離婚手続きを進める際の2人の居住地が日本である
  • 2人と最も密接な関係がある国が日本である
  • 婚姻届を日本のみで提出している

2人と最も密接な関係がある国とは、長期間にわたって暮らしていたり働いていたり、生活の基盤となっていた国のことです。

国境を超えた婚姻の効力については、法の適用に関する通則法によって以下のように定められています。


(婚姻の効力)
第二十五条  婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による。

(離婚)
第二十七条 第二十五条の規定は、離婚について準用する。ただし、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、離婚は、日本法による。
引用元 法の適用に関する通則法

夫婦2人の国籍や居住地が日本であり、婚姻届を外国で提出していない場合は、原則として日本の法律が適用されると認識しておきましょう。

海外の法律が適用されるケース

国際結婚の離婚であっても基本的には日本の法律下で手続きが可能ですが、海外の法律の下で離婚手続きが必要となるケースもあります。

海外の法律が適用されるケースは以下のとおりです。

  • 結婚時に相手国でも婚姻を結んでいる
  • 現在は夫婦の一方が日本に住んでいるが、生活の基盤が外国にあった

結婚の際に日本だけでなく、相手の国でも婚姻を結んでいる場合、海外での離婚手続きが必要になる可能性が高いです。

また、夫婦2人の居住地が日本であっても、明らかに日本よりも密接な関係がある国がある場合は、そちらの国の法律が適用されます。

たとえば、離婚手続き時は日本に住んでいるが、国外に5年以上の長期間居住していた場合などが挙げられます。

海外の法律の下で離婚手続きをする可能性がある際は、あらかじめ弁護士に相談しておくと安心できるでしょう。

日本で国際結婚の離婚をする際の手続き方法

日本の法律が適用されるケースに当てはまる場合は、基本的に日本の法律の下で離婚の手続きを進めます。

日本での離婚には大まかに4つの種類があり、次のように段階を踏んで離婚成立を目指します。

名称 概要
①協議離婚 本人同士の話し合いで離婚を目指す方法
②調停離婚 裁判所で調停委員が仲介をしながら話し合いをして離婚を目指す方法
③審判離婚 調停で夫婦の合意が得られない場合に、裁判官が離婚の判断を下す方法
④裁判離婚 上記の方法でも離婚成立に至らなかった場合に、訴訟によって強制的に離婚の判断を下す方法

それぞれの手続き方法について、詳しく解説します。

①協議離婚

協議離婚は、本人同士の話し合いで離婚を目指す方法です。

協議離婚は日本で最も一般的な離婚方法で、令和2年の厚生労働省の統計によると、国際結婚をした夫婦のうち9割以上が協議によって離婚をしています。

参考:令和2年の厚生労働省の統計

協議離婚では、お互いの合意や納得が得られるように、以下のような離婚条件について話し合います。

  • 親権
  • 財産分与
  • 慰謝料
  • 面会交流
  • 離婚後の居住所など

お互いが合意できれば、離婚届を日本の役所に提出するだけで離婚が成立します。

なお、相手国でも婚姻届を出している場合には、海外でも離婚の手続きが必要となるので注意しましょう。

②調停離婚

調停離婚とは、家庭裁判所に申し立てをして、調停委員に間を取り持ってもらいながら夫婦で話し合って離婚を目指す方法です。

離婚の可否のほか、親権や財産分与、慰謝料などの離婚条件も調停による話し合いで決めることになります。

調停離婚では相手と直接顔を合わせることがないため、当人同士で話し合っても折り合いがつかない場合や、DVやモラハラがある場合などに検討しましょう。

なお、調停離婚には裁判のような強制力はなく、離婚を成立させるためには夫婦の合意が必要です。

相手の合意を得られなければ調停が不成立になってしまうため、自分に有利な条件ばかりを提示しないように注意しておきましょう。

③審判離婚

審判離婚とは、調停をしても夫婦間の同意が得られない際に、裁判官の判断によって離婚を決定する方法です。

審判離婚は他の離婚方法と比べてもレアなケースです。主に以下のような場面で審判離婚を選択する可能性があります。

  • 主要な条件には合意しているが、慰謝料の金額など些細な点について合意に至らず離婚が成立しない
  • 夫婦の一方が健康上の理由により調停に出席できない
  • 当事者の一方が外国籍で、協議や調停だと相手国の法律では離婚したとみなされない可能性がある

審判離婚は、調停離婚とは異なり夫婦双方の合意がとれなくても離婚ができる点が大きな特徴です。

調停委員の意見や、提出された証拠資料、夫婦双方の意見などを参考に、離婚が適切であると判断されれば離婚を成立させられます。

④裁判離婚

これまで紹介した方法でも離婚に至らない場合には、裁判離婚を選択することになります。

裁判離婚では、法廷において双方の主張・立証のもと、最終的に裁判所が離婚の決定を下します。

裁判離婚は法廷で争うため、法律で定められた離婚理由があるかどうかも重要になります。

そのため、離婚理由としてよくある「性格の不一致」「配偶者が家事をしない」などだけでは離婚が認められない可能性もあります。

離婚裁判を起こす際には、法定離婚事由に当てはまっているかどうかを確認の上、勝訴の見込みがあるかどうかを見極めなければなりません。

また、国際離婚における裁判では、お互いの国籍や居住地などによって適用される法律が変わるケースもあります。

協議や調停などでも離婚が成立せず裁判離婚に進む場合は、離婚問題に詳しい弁護士に相談しましょう。

国際結婚の離婚率は約50%

厚生労働省の統計によると、国際結婚の離婚率は約50%と高い割合を占めています。

2022年の婚姻件数および離婚件数をまとめた表がこちらです。

婚姻件数(2021年) 離婚件数(2021年) 離婚率
日本人同士の夫婦 487,245 170,621 35.0%
国際結婚の夫婦 17,685 8,478 47.9%

日本人同士の離婚率が35.0%であるのに対し、国際結婚の離婚率は47.9%にも上ります。

年度によって多少の誤差はありますが、どの年でも大きく割合に差が出ることはことはありません。

統計上のデータをみても、国際結婚の夫婦の方が日本人同士の夫婦よりも離婚率が高いという結果になっています。

参考:夫妻の国籍別にみた年次別婚姻件数・百分率

参考:夫妻の国籍別にみた年次別離婚件数及び百分率

国際結婚をした人の離婚率が高い原因

国際結婚の離婚においても、不倫やDV、性格の不一致など万国共通の原因も存在しますが、国際結婚特有の悩みで離婚する方も多くみられます。

特に国際結婚の離婚が多い原因としては、以下のようなものが考えられます。

  • 価値観・文化の違い
  • 義理の両親との関係性
  • 母国へ帰れないストレス
  • コミュニケーション不足

それぞれの原因について、解説していきます。

価値観・文化の違い

日本人同士であっても、価値観や馴染みのある文化の違いから離婚を選択する夫婦は少なくありません。

ただでさえ他人同士が共に暮らしていくことは大変ですが、外国人同士が結婚をする国際結婚では、価値観や文化の違いによる壁がより大きくなるといえます。

具体的には、国際結婚では以下のような点が障壁になりうるでしょう。

  • 食文化を背景にした食の好みの違い
  • 母国語の違いによる意思疎通のズレ
  • 仕事に対する姿勢
  • お金の使い方
  • 家族や子どもの扱い
  • 病気への対処法
  • 性生活への不満

それぞれ詳しく解説していきます。

食文化を背景にした食の好みの違い

食文化が異なる人同士が暮らしていくことは、大きなストレスとなる可能性が高いです。

日本では当たり前に食べているものでも、匂いや食感から海外の方にはなかなか受け入れ難いものもあります。

また、母国で好んで食べていたものがパートナーに受け入れてもらえないというパターンも考えられます。

食事は毎日行うものなので、食べたいものが食べられないというストレスは計り知れません。

食文化の違いによるストレスは、十分に離婚の原因になり得るものといえるでしょう。

母国語の違いによる意思疎通のズレ

国際結婚カップルでは、お互いの母国語が異なります。結婚する段階になっていれば、いずれかの母国語を使ってある程度のコミュニケーションはとれている可能性が高いです。

しかし、一緒に生活を続けていく中では、細かな感情表現などに言葉の壁を感じる瞬間は少なくないでしょう。

特に、喧嘩をしたときや、難しいテーマで話し合うときなどは、なかなか意思疎通がうまくいかない可能性があります。

自分が思っていたことと違うニュアンスで受け取られてしまい、悲しい思いをする方もいるでしょう。

相手の母国語を覚えようと努力をしても、なかなか身に付かずに限界を感じてしまう人も一定数存在します。

言葉の違いによりお互いにストレスが溜まることは、離婚の原因になり得ます。

仕事に対する姿勢

個人差はあるものの、国ごとの文化によって、仕事に対する姿勢や価値観は大きく異なるものです。

たとえば、北欧諸国ではワークライフバランスが非常に重視されています。

仕事だけでなく家族や趣味の時間を大切にすることによって、労働者の生産性と幸福度が向上すると考えられているためです。

それに対し、日本やアメリカなどではキャリアの成功が重視される傾向があり、長時間労働をする人もいます。

このように、仕事に対する姿勢や価値観は文化によって大きく異なります。

各国の文化を背景にした仕事への取り組み方の違いで揉めてしまい、離婚につながるケースも少なくありません。

お金の使い方

日本人と外国人では、お金に対する価値観も大きく異なる可能性があります。

結婚して家族を持つとなると、将来に向けて貯蓄をしておきたいと考える人も多いでしょう。

しかし、海外の方だと、自身の親族を養うのが当たり前と思っていて、稼いだお金の大部分を母国に送金してしまう人も存在します。

稼いだお金を夫婦や家族のために残したい方にとって、海外のお金に関する文化を理解できず苦しんでしまう可能性があります。

家計を共にする夫婦でお金の価値観が大きく異なると、将来設計が難しく、離婚を考えてしまう可能性があります。

家族や子どもの扱い

国際結婚では、家族や子どもの扱いでぶつかる可能性もあります。

特に国によって教育システムは大きく異なるため、子育て方針で揉めるケースは多いものです。

たとえばネパール人のように「親が子どもを育てる」ことを重視しておらず、子どもを兄弟や祖父母に預けることに抵抗がない風習を持っている人もいます。

日本人の多くは親が育児に深く携わることを重視しているため、上記のような風習を持つ外国人からすれば、理解が難しいことが推測されます。

また、海外から日本に移住してきた方の中には、日本の学校教育自体が受け入れられないという人もいるかもしれません。

反対に、日本人側が配偶者の国の教育方針を受け入れられず、衝突するというパターンも考えられます。

夫婦同士で子どもの教育方針が異なると、衝突や喧嘩が増えてしまい、離婚の原因にもなるでしょう。

病気への対処法

国ごとに病気への対処法や価値観も大きく異なります。

日本では軽い風邪や少しの怪我であっても病院にかかる人は少なくありません。

しかし、多少の病気や怪我であれば民間療法で治そうとする傾向がある国もあります。

医療システムや保険制度が国によって異なることが理由として挙げられます。

日本には古くから「風邪を引いたらネギを首に巻く」などの民間療法がありますが、お互いの国の民間療法を受け入れられないという可能性もあるでしょう。

また、病気にかかった子どもへの対処で揉めるケースも多くみられます。

性生活への不満

日本はセックスレス大国と呼ばれることもあるほど、夫婦の性交渉の頻度が低い傾向にあります。

そのため、海外の方だと平均的な日本人よりもセックスの頻度が高い場合も多いです。

また、欧米諸国に代表されるように、セックスそのものを大切にするだけでなく、日々のスキンシップを重要視する海外の方も多いでしょう。

日本人は海外の方ほど夫婦間の性交渉やスキンシップを重要視していない方も多いため、セックスの頻度が減ったことによって浮気を疑われるというケースもあります。

反対に、相手からの性交渉の要求が多く、嫌気が差すというケースも考えられます。

相手方の親族との関係性

結婚相手が異国の方である場合は、相手の親族との関係性で悩む方も少なくありません。

国によって親族との距離感は大きく異なるためです。具体的には、以下のような点が夫婦間の問題となりやすいです。

  • 頻繁に相手の親族が家を尋ねてくる
  • 相手の親族に子どもの教育方針を強要される
  • 親族内でのイベントや行事が多く準備が負担になる
  • 配偶者の親族への愛情が強すぎる

相手方の親族とは、基本的に相手国の母国語でコミュニケーションを取る必要があります。

そのため、語学の習得が追い付いていない場合、相手方の親族と頻繁に関わること自体が大きなストレスとなるでしょう。

また、一方が夫婦2人や家族との時間を大切にしたいと思っていても、多くの時間を相手方の親族と一緒に過ごさなくてはならないというケースもあります。

母国の親族や友人に会えないストレス

国際結婚によって相手国に移り住んだ人の多くは、母国へなかなか帰れないことによるストレスを感じるでしょう。

これまで長年親しんでいた親族や友人たちに会いづらいことは、精神的に辛いはずです。

移動費や滞在費などを考えれば、頻繁に母国に帰るわけにもいかないのが現実です。

ストレスが溜まると夫婦間の不満につながり、離婚の原因の一つになってしまいます。

国際結婚の離婚で押さえておくべきポイント

国際結婚の離婚後は、お互いが違う国で暮らすケースもあり、日本人同士の離婚よりも問題になる点が多いです。

国際結婚の離婚をトラブルなく進めるためには、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 相手国でも婚姻関係が成立しているか確認する
  • 子どもの親権や養育費について確認しておく
  • 離婚後の再婚は注意する
  • 離婚後6ヶ月で在留ビザが切れる
  • 慰謝料の請求は早めに行う
  • 財産分与は早めに行う
  • ハーグ条約について理解しておく

それぞれ詳しく解説していきます。

相手国でも婚姻関係が成立しているか確認する

国際結婚では「一方の国でのみ婚姻関係が成立している」というケースが多いです。

たとえば日本人が中国人と結婚した場合、中国国内で婚姻届を出していなければ、婚姻関係が成立しているのは日本だけということになります。

上記のようなケースであれば、基本的に相手国での離婚手続きは必要ありません。

一方、相手国でも婚姻届を出している場合、日本と外国の両方で離婚の手続きをする必要があります。

そのため、まずは相手国で婚姻関係が成立しているかどうかを確認しましょう。

子どもの親権や養育費について確認しておく

国際結婚で離婚をする際には、子どもの親権や養育費についてもしっかり確認しておく必要があります。

子どもの国籍が日本にある場合では、日本の法律に則って親権が決定します。

つまり、協議離婚であれば夫婦が話し合って親権を決定し、話し合いがまとまらなければ調停や裁判で親権を決定します。

しかし、子どもの国籍が海外にある場合では、子どもの本国法に則り親権が決まるため、離婚後の親権が「共同親権」となるケースもあります。

共同親権は、父と母の両方が子どもの親権を持つ制度のことです。

上記の内容は、法の適用に関する通則法第32条によって定められています。

また、離婚後に一方が母国へ帰る場合などは、養育費が払われなくなってしまう恐れもあります。

養育費の支払いについて取り決めるだけではなく、離婚時に養育費としてまとまったお金を受け取っておくなどの対策が必要です。

離婚後の再婚は注意する

国際結婚を離婚したあとに再婚する場合、日本人が日本国内で再婚するのであれば、相手国での離婚手続きが完了していなくても問題になりません。

日本では「女性は離婚してから100日間は再婚できない」と民法で定められていましたが、2024年4月1日の民法改正により再婚禁止期間も廃止されました。

つまり、日本国内で離婚の手続きさえ終わらせれば、すぐにでも再婚が可能です。

一方、外国籍の方で自国での離婚手続きが完了していない場合は、次のパートナーが見つかっても自国での離婚手続きを済ませるまでは再婚ができない可能性があります。

また、外国人との結婚と離婚を繰り返している場合は、配偶者ビザの審査に悪影響が出る恐れがあるため、注意が必要です。

離婚後6ヶ月で在留ビザが切れる

配偶者ビザで日本に移住している外国人でも、離婚したらすぐに帰国しなくてはいけないわけではありません。

しかし、配偶者ビザは離婚後6ヶ月が経過すると失効します。

離婚後も継続して日本で生活をする場合は、在留資格の更新手続きを迅速に行わなくてはいけません。

ビザの審査がおりない可能性もあるため、外国人配偶者にはその旨もしっかりと説明しておく必要があります。

慰謝料の請求は早めに行う

離婚の原因が不倫やDVなどによるもので、慰謝料を請求できると判断できた場合には少しでも早く請求しておきましょう。

慰謝料の請求が認められたとしても、相手が母国に帰ってしまった後では、回収が困難になる可能性が高いためです。

また、アメリカやヨーロッパのように不倫慰謝料の規定自体が存在しない国や、中国のように精神的苦痛に対する慰謝料という概念がない国もあります。

日本人の当たり前の感覚で慰謝料を請求しようとしても、交渉が難航する可能性が高いため、慰謝料請求の準備は早めに行っておかなくてはいけません。

財産分与は早めに行う

国際結婚の離婚であっても、日本の法律下で離婚手続きを行った場合は日本の法律に則って財産分与が行われます。

しかし、慰謝料の請求と同様に、相手が離婚後に母国に帰ってしまい回収が困難となる可能性があるため、財産分与は早めに行った方が良いでしょう。

なお、相手国の法律で離婚手続きを行った場合は、相手国の法律に則って財産分与が行われる可能性があります。

ハーグ条約について理解しておく

ハーグ条約とは、子どもの人権や生活を守るために国際的に採択された条約です。

ハーグ条約によって、国境を越えた子どもの不法な連れ去りや留置は禁止されています。

そのため国際離婚した夫婦の一方が、配偶者の了承を得ずに母国に連れていくという問題は起こりにくくなっています。

しかし、ハーグ条約にはメリットだけでなく、以下のようなデメリットもあります。

  • 外国人配偶者のDVや薬物乱用に耐えかねて子どもを自国へ連れ帰った場合でも、子どもの返還を要求される恐れがある
  • 親権を得たとしても、子どもの居住国が相手国の場合は日本に連れて帰れない

国際離婚において親権のトラブルはつきものです。

法律の専門家である弁護士に相談をして、子どもの将来にとって良い選択ができるように努めましょう。

参考:ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)

国際離婚を避けるために重要なこと

国際離婚は手続きが煩雑になるだけでなく、子どもに与える影響や養育費・慰謝料請求の難しさなど、さまざまな問題があります。

可能であれば離婚をせずに、家族それぞれが豊かに暮らしていける選択肢を検討するべきといえます。

国際結婚後、離婚を避けるために重要なポイントは以下のとおりです。

  • お互いの文化の違いを尊重する
  • 相手の国のことを理解する努力を怠らない
  • コミュニケーションをしっかり取る

国際離婚を検討している人も、これから国際結婚をしようとしている人も、ぜひチェックしてみてください。

お互いの文化の違いを尊重する

国際結婚では、使う言葉も育った環境も異なる人同士が共に生活していくことになります。

文化的な背景が異なれば、考え方や価値観ですれ違う可能性も高くなります。

2人がぶつかってしまったときには、お互いが違う文化で育ってきたということを思い返して、互いを尊重するように心がけましょう。

たとえ同じ国で育った人同士であっても、完全に理解し合うことは難しいです。

お互いの違いを尊重しつつ、ある程度のところで妥協点を見つけられるように努めましょう。

相手の国のことを理解する努力を怠らない

海外で育った方と結婚した場合には、相手の国のことをできる限り知る努力が大切です。

先述したとおり、文化的な背景が違う国で育った人同士は考え方や価値観ですれ違いやすいものです。

パートナーの「どうしてそんなことをするの?」と思ってしまうような行動も、実は相手の国では当たり前とされていることである可能性があります。

結婚をして一緒に暮らすようになってから相手の思わぬ一面が見えてきたときも、「もしかして向こうの国では普通なのかも」と思い直してみましょう。

本人はもちろんのこと、周りの友人や知人に聞いてみたり、インターネットで調べたりして、相手の国のことを理解していけば結婚生活が上手くいく可能性が高くなります。

コミュニケーションをしっかり取る

国際結婚で離婚しないためには、相手と綿密にコミュニケーションを取ることが大切です。

日本人同士の結婚であっても、コミュニケーション不足によってすれ違いが生じて離婚に至るケースもあります。

国際結婚では、文化の違いによって価値観や考え方が異なることが多く、すれ違いが生じやすくなります。

だからこそ、お互いのことを理解し合うためにも日頃からさまざまな形でコミュニケーションを取るように心がければ、良い関係を築けるはずです。

言葉の壁を感じてうまく気持ちを伝えられない時もあるかもしれませんが、諦めずに少しずつ歩み寄るよう努めましょう。

国際結婚で離婚を検討している人におすすめの無料の相談先

国際結婚をしたあとに離婚を検討している方の中には、なかなか周囲に相談できず悩んでいる方も多いでしょう。

また、弁護士にいきなり相談するというのはハードルが高く感じる方もいるかもしれません。

そこで、国際離婚を検討している方におすすめの無料の相談先を紹介します。

  • NPO法人国際結婚協会
  • 弁護士会
  • 法テラス

どこも無料で相談が可能なので、国際結婚で離婚を検討している方は、ぜひ一度問い合わせをしてみてください。

NPO法人国際結婚協会

NPO法人国際結婚協会は、国際結婚や国際離婚に関する情報支援などを行っている非営利団体です。

国際結婚協会という名称ですが、離婚問題についても幅広く相談を受け付けてくれます。

ホームページでは、以下のようにさまざまな相談事例が紹介されています。

  • 国際離婚を検討しているため手続き方法が知りたい
  • 離婚後の財産分割はどのようにすればいいか
  • 相手国への結婚届出はどのようにすればいいか
  • 国際結婚後に相手が自国へ帰り、連絡がつかない

国際結婚協会への相談は公式サイトから依頼できます。

指定したメールアドレスに協会員から連絡が来るため、詳しく相談してみましょう。

離婚前や離婚調停中、または離婚後であっても相談ができるので、国際離婚でわからないことがある場合にはぜひ頼ってみてください。

弁護士会

弁護士会とは、弁護士と弁護士法人が集まった団体のことです。

都道府県ごとに設立されており、所属弁護士の活動を指導・監督しています。

弁護士は法律実務を扱う仕事ですが、その内容は多岐に渡るため、国際離婚に精通した弁護士を見つけるのはなかなか苦労するかもしれません。

弁護士会では、各専門分野に長けた弁護士を紹介する制度を設けている場合が多く、国際離婚に強い弁護士を紹介してもらえる可能性があります。

国際離婚について検討している方は、お住まいの地域の弁護士会に相談してみるといい弁護士が見つかるかもしれません。

まずは「都道府県名 弁護士会」で検索をしてみて、紹介制度がないかを確認してみましょう。

法テラス

法テラスとは、経済的に困窮している方でも弁護士や司法書士などの法律の専門家のサポートが受けられるように、国によって設立された公営法人です。

法テラスに相談をすれば、適切な相談窓口を紹介してくれたり、実際に離婚訴訟を依頼する弁護士を紹介してくれたりすることもあります。

また、収入や資産などの基準が一定以下であれば、弁護士費用の立て替えなども行ってくれます。

国際離婚で悩んでいるけどいきなり弁護士に相談するのは不安という方は、一度法テラスに問い合わせをしてみましょう。

法テラスの公式サイトから、メールもしくは電話で問い合わせが可能です。

まとめ

国際結婚の離婚であっても、夫婦の国籍や生活基盤が日本なのであれば、日本人同士の離婚と同じように協議のみで離婚が成立するケースも多いです。

ただし、相手国で婚姻届を提出している場合は、相手国でも離婚の手続きを行う必要があります。また、離婚後の親権や財産分与、養育費に関しても、相手国の法律を考慮しなければなりません。

国際離婚は手続きが煩雑になる可能性も高いため、まずは弁護士に相談し、どのような流れで離婚手続きを進めれば良いのかを確認しましょう。

経験豊富な弁護士が、あなたの悩みをきっと解決してくれるはずです。

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