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2024年10月現在

自営業で借金まみれ!事業継続と借金解決を両立する方法について

自営業 借金まみれ

自営業を営んでいると、運転資金として借金をしている人もいます。毎月無理なく返済できていて、残債が確実に減っているなら問題ありませんが、なかには事業の利益だけでは返済が追いつかず、借金を繰り返している人も珍しくありません。

このような状態であれば、「事業を継続させつつ借金問題を解決できないか」のように考えることでしょう。

自営業で借金まみれの状態で事業継続と借金解決を両立させる方法には、債務整理が挙げられます。債務整理は借金問題を解決させるための手続きであるため、借金まみれの現状を改善させつつ、事業を継続させられる可能性があります。

とはいえ、借金まみれの状況に陥っているなら、債務整理よりも先にまずは現状の把握が大切です。具体的には売上や経費などを整理したうえで、利用できる公的制度や税金の減額などを検討してみてください。

当記事では、自営業で借金まみれの状態で、事業継続と借金解決を両立する方法について解説していきます。債務整理についても詳しく解説するため、自営業で借金まみれの状態であれば参考にしてみてください。

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監修
力武法律事務所
力武伸一(弁護士)

借金まみれの自営業者がまずやるべきこと

自営業を営んでいる人のなかには、金融機関から運転資金を借りて事業をしながら返済している人は少なくありません。このように借金をしていても、順調に返済できていて残債が減っているなら何の問題もないでしょう。

しかし、事業の利益だけでは返済が追いつかず、借金返済のために新たな借金を繰り返し「借金まみれ」になっているなら、既に事業の継続が難しい状況に陥っているかもしれません。

まずは現状を整理し「このまま自営業を続けていくのか?廃業するのか?」を決断する必要があります。具体的には、下記を実践することを検討してみてください。

  • 売上・経費・生活費・返済を整理する
  • 利用できる公的制度がないかを調べる
  • 税金の猶予・減額・免除を受けられないかを調べる

次の項目から、自営業者が借金まみれになっていると気づいた時、まず初めにやるべきことについてお伝えしますので、参考にしてみてください。

売上・経費・生活費・返済を整理する

自営業を営んでいて、自分が借金まみれになっていると気づいたら、現状把握のために売上・経費・生活費・返済を整理することが大切です。

まずは自営業でいくら利益を上げているかを調べるために、経費や生活費などを引く前の「売上」がいくらあるか計算しましょう。

次に経費ですが、整理する際は同業者以外が見ても「何にいくら使っているか」が分かるように、できるだけ具体的な項目に分けておくことが重要です。

例:美容室を経営している場合

シャンプー・カラー剤 ●●円
内装工事費 ●●円
シャンプー台購入 ●●円

例:ライター業を営んでいる場合

交通費(ガソリン代) ●●円
紙・インク代 ●●円
電話取材時の通信費 ●●円

生活費には、事業に必要な経費以外の私生活で必要な費用が入ります。「何にいくら使っているか」が分かりやすいように、できるだけ細かい項目に分けておくとよいでしょう。

下記は経費をまとめる際の雛形として使えるため、実際に経費を整理する際に活用してみてください。

家賃・住宅ローン ●●円
食費 ●●円
光熱費 電気●●円
ガス●●円
水道●●円
通信費 携帯●●円
ネット代●●円

もし、経費と生活費で被っている部分があるなら、どちらかに含めれば問題ありません。

最後に今現在、金融機関へ月いくら返済しているのか計算しましょう。整理する際は、借入先の金融機関やローンの名称ごとに、残債や月返済額を計算してみてください。

ここまで説明した内容について、エクセルなどで表を作り直近3ヶ月程の金額を記載すると、事業や借金の現状についてかなり明確に把握できます。

売上から経費・生活費を引いてマイナスになるなら廃業を検討する

利益を計算した結果、売上が経費+生活費を下回りマイナスになっているなら、借金がなくなったとしても自営業を続けていくのが難しいケースがあります。そのような場合は、廃業して別の仕事で収入を得ながら生活することを考えることも大切です。

なお、廃業する場合、機材や在庫商品などを売却して残った借金を返済するのが一般的ですが、そのような資産を売却しても借金を完済できないケースは珍しくありません。

万が一、廃業しても借金返済が苦しい状態であれば、後述する「債務整理」を視野に入れつつ、弁護士や司法書士に相談することを検討してみましょう。債務整理を依頼すれば、借金問題の解決を見込めます。

利用できる公的制度がないかを調べる

公的制度のなかには、自営業者も支援対象としている制度もあります。そのような制度を利用すれば給付金などを支給できるため、自身の状況で利用できる公的制度がないかを確かめることも大切です。

自営業者が利用できる可能性がある公的制度には、下記が挙げられます。

※各制度名を龍飛・クリックすることで、参照元のページに飛べます。

なお、市区町村の役所の担当部署では、利用できる公的制度について紹介してもらえるのが一般的です。自営業者が対象になる公的制度がわからない場合、住んでいる地域の役所に相談してみるのもよいでしょう。

税金の猶予・減額・免除を受けられないかを調べる

場合によりますが、健康保険料や国民年金といった税金は猶予・減額・免除となるケースもあります。借金まみれの状態では、納税による支払いが負担になっていることもあるでしょう。

猶予や減額となれば支払い負担を抑えられるため、その分借金返済のペースを上げることも可能です。

市区町村の役所では、税金に関する相談が可能です。相談すれば必ず認められるわけではありませんが、税金の猶予などを認めてもらうための相談をすることも検討してみてください。

借金まみれでも自営業を続けるなら債務整理を検討する

借金まみれでも自営業を続けていくなら、借金返済のために新たな借金を繰り返すのはやめて、債務整理で借金の負担を軽減することを検討してみてください。債務整理によって無理なく返済できるレベルまで借金の負担を減らせれば、借金まみれの現状から抜け出せます。

債務整理とは、借金問題を解決するための手続きのことです。弁護士や司法書士に依頼をして手続きを進めるのが一般的で、インターネットでは「国が認めた借金減額措置」などと呼ばれることもあります。

債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」の手続き種類がありますが、自営業を続けたままでも手続きできる債務整理の方法は、以下の2つです。

  • 任意整理
  • 個人再生

どちらの方法が適しているかは、借入状況や資産状況などにより異なるので、次の項目から紹介する各方法の特徴を参考に検討してみてください。

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任意整理なら整理する債権者を選べる

任意整理とは、弁護士や司法書士が各債権者と交渉をして、返済条件を見直してもらうための手続きのことです。返済条件がどのように見直されるかは交渉次第ですが、今後支払うはずの利息をカット・減額し、元金を3年〜5年で分割返済するのが一般的です。

任意整理の最大の特徴は、整理の対象とする債権者を1社ごとに選べることです。

そのため、どうしても迷惑をかけたくない取引先が債権者に含まれてしまう場合、任意整理を選び取引先を対象から外すことで、迷惑をかけず手続きできます。

また、一部の借金に自宅や店舗などを担保として設定している場合は、担保を設定している借金を対象から外すことで、担保になっている建物などを手放さずに任意整理ができます。

ただし、任意整理の対象から外した借金については、今までどおり返済していく必要があるので、月々の返済額の合計を計算して無理なく返済できるかどうかを検討して起きましょう。

くわえて、任意整理は3年〜5年という長い期間をかけて返済する手続きなので、滞納せずに返済できるかどうかしっかりとシミュレーションすることも大切です。

任意整理後の返済シミュレーションには、無料の減額診断チェッカーが便利です。簡単な質問に答えるだけで、具体的な返済プランを診断してくれます。
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個人再生なら借金を大幅に減らせる

個人再生とは、住宅やローン完済済みの車など大きな資産を手元に残したまま、借金総額を概ね以下のように圧縮して3年~5年程度で分割返済する方法です。

借金総額 最低弁済額
100万円未満 借金総額
100万円以上~500万円以下 100万円
500万円超~1,500万円以下 借金総額の1/5
1,500万円超~3,000万円以下 300万円
3,000万円超~5,000万円以下 借金総額の1/10

利息しか減らせない任意整理とは違い、個人再生は元金も大幅に減らせるため、借金の負担を軽減する効果は高いといえます。

一方で、個人再生は裁判所を介しておこなう手続きであり、任意整理より手順が複雑で膨大な必要書類を集めなければなりません。

よって、個人再生は任意整理をしただけでは返済が苦しいままで、自営業を続けていくのが難しい場合に、次の手段として検討するとよいでしょう。

債務整理後も自営業をするには融資を受けずとも事業を継続できることが条件

債務整理後も自営業を続けるには、融資を受けずとも事業継続ができるのかが条件とも言えます。

債務整理をするとその情報が信用情報に登録され、いわゆる「ブラックリスト入り」の状態になります。

金融機関の融資の際には信用情報を確認するケースが多く、債務整理の履歴が載っている状態では融資を受けづらくなります。そのため、債務整理の履歴が抹消されるまでの間、つまり最長5年〜7年間は、融資を受けずとも自営業を続けられることが望ましいのです。

副業収入で返済額を補填することも一つの手

自営業を続けたまま任意整理や個人再生などの債務整理をする場合、返済期間中はどうしても資金繰りが苦しい状態になるかもしれません。

しかし、前述したとおり債務整理後はしばらく融資を受けづらくなるため、足りない分は副業をして補填することも検討してみてください。

会社員と違い、自営業者の場合は勤務先に副業を禁止される心配もありませんし、比較的時間の融通がきく人もいることでしょう。例えば、平日のみの仕事をしているなら、土日のみ勤務できる引越業者のアルバイトなどがあります。

また、自宅で空いた時間を利用してアルバイトするのであれば、データ入力やシール貼りなどの在宅でこなせる仕事も選択肢の一つです。

労働時間が短い仕事をしている場合は、1日3~4時間程度だけ勤務できるコンビニのアルバイトなどとの掛け持ちを検討してもよいでしょう。

債務整理にはさまざまなデメリットがある

債務整理には、借金まみれの状態でも問題解決を見込める大きなメリットがあります。しかし、その反面さまざまなデメリットもあるため、債務整理をする場合には慎重な判断が必要です。

債務整理のデメリットには、下記が挙げられます。

  • いわゆる「ブラックリスト入り」になり金融機関からの融資が受けづらくなる
  • 銀行からの借入を対象にすると口座が凍結される可能性がある
  • 収入が安定していなければ任意整理や個人再生ができない場合がある

特に、ブラックリスト入りになるデメリットは、債務整理をした後の資金繰りにも影響し得るものです。

弁護士や司法書士に依頼して債務整理をするのが一般的であるため、「自身の状況で債務整理をするべきか」「他に借金問題を解決する方法はないか」などを相談したうえで依頼をするかを検討するのがよいでしょう。

自営業を辞めて廃業せざるを得ない時は自己破産を検討する

現状売上が経費+生活費を下回り、今後も売上が伸びる見込みがないのなら、正直にいって今おこなっている事業自体が借金の原因となっている可能性が高いです。

その場合、廃業して残った借金を債務整理で解決することが、借金まみれの現状から抜け出すうえで有効な方法といえます。

前述したとおり、債務整理にはいくつか種類がありますが、廃業する場合は最も借金の負担が軽くなる自己破産を検討してみてください。

自己破産とは、20万以上の価値ある資産を手放す代わりに、借金の返済義務を全額免除してもらえる方法です。自己破産で解決できるのは個人事業主のみで、法人経営者の場合は法人破産となる可能性もあります。

法人破産の場合、手続費用が自己破産よりも高額になることが多いので、依頼前に弁護士・司法書士事務所によく確認することが大切です。

自己破産するなら先に次の就職先を確保しておく

もし、廃業して自己破産で借金をゼロにしたいと考えているなら、自己破産の手続きを開始する前に、次の就職先を確保しておきましょう。

自己破産をすれば借金はゼロになりますが、自己破産の手続費用を分割で支払わなければなりませんし、自己破産後に生活を立て直すためにも廃業後すぐ仕事に就く必要があるのです。

なかには「自己破産したら仕事に就けなくなるのでは」と考える人もいるかもしれませんが、自己破産によって制限を受ける職業は限られており、多くの場合問題なく就職できます。

気になる人は、以下の記事で自己破産の資格制限について詳しく解説しているので、参考にしてください。

まとめ

自営業者が借金まみれの現状から抜け出すには、まず売上・経費・生活費・返済を整理することが大切です。そのうえで、公的制度の利用や税金の減額などの対策を講じることも検討してみてください。

そして、債務整理で借金の負担を軽減し事業を継続するのか、廃業して自己破産で借金をゼロにするのか検討することも重要です。

会社員などと比べて、自営業者の借入状況や資産状況は複雑なことが多く、自力で整理するのが難しいなら弁護士・司法書士事務所へ一度相談するとよいでしょう。借金問題の専門家である弁護士や司法書士から、アドバイスをもらえます。

当サイトでは、全国対応&24時間無料相談できる弁護士・司法書士事務所を紹介しているので、ぜひ気軽に相談してください。

自営業者の借金でよくある質問

自営業を営んでいますが、借金が膨らんで返済できる見込みがありません。どうすればよいですか?

借金の金額などに応じて任意整理・個人再生・自己破産の中から最適な方法を選択するとよいでしょう。自力での判断が難しい場合は、法律事務所へ相談するのがおすすめです。

自営業を営んでいますが、借金が膨らみ借金まみれの状況です。自営業を辞めなければなりませんか?

まずは任意整理や個人再生で借金の負担を減らし、事業を継続できないか検討しましょう。もしそれらの方法でも借金返済が困難なら、自営業を辞め自己破産することも視野に入れるとよいでしょう。

自営業を営んでいますが、これ以上続けていくのは難しいので廃業を考えています。しかし多額の借金があるのですが、何かよい解決策はありませんか?

廃業を考えているなら、残った借金は自己破産でゼロにすることも可能です。自己破産を利用するための詳しい要件については、個々の状況により変わることもあるので、法律事務所へ直接相談するとよいでしょう。

自営業を営んでいますが、借金が膨らみ債務整理を考えています。債務整理をしたら今後融資は受けられなくなると聞きましたが本当ですか?

いわゆる「ブラックリスト入り」となります。あくまでも「債務整理後5~10年は融資が受けづらくなる」という状態になります。

自営業を営んでいますが、現状借金まみれで自己破産を考えています。しかし、自己破産したら新しい仕事に就けませんよね?

自己破産によって制限を受ける職業はごく一部です。資格制限のある仕事以外なら、問題なく就くことができます。

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更新日 : 2024年10月23日
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