クレジットカードが払えない状況にいる場合、「カード会社に分割交渉はできないか」と考えるかもしれません。
結論、クレジットカードが払えない場合、カード会社に分割交渉をすること自体は可能です。基本的にクレジットカード会社は契約者専用の問い合わせ窓口を用意しているため、その窓口に電話をすれば分割交渉を行えます。
ただし、実際に分割払いが認められるかどうかは、カード会社の判断によります。交渉をすれば必ず分割払いに変更できるというわけではないため、クレジットカードが払えない際に分割交渉をするのであれば、交渉を成功させるための対策を講じたうえでカード会社に連絡をするのが得策です。
また、分割交渉が失敗した場合には、請求された金額や方法でクレジットカードの支払いを行わなければなりません。支払いに遅れてしまうことには様々なリスクがあるため、分割交渉が失敗した時のことを見据えて、その時の対策まで考えておくのも重要です。
当記事では、クレジットカードが払えない場合の分割交渉をテーマに、交渉を成功させるための対策や失敗した際の対処法を解説していきます。
前提として、クレジットカードの請求額が確定している状態では、支払金額の変更は原則できません。カードの利用規約で定められているのが一般的ですが、すでに「一括払いで〇〇円を支払うように」のように請求が確定しているのであれば、その方法で支払いを行わなければならないからです。
そのため、クレジットカードを払えない場合、カード会社に交渉をすれば必ず分割が認められるわけではありません。
とはいえ、カード会社からすれば、支払いが遅れているうえに連絡が取れないケースよりも、分割交渉を認めたうえで支払いが行われるほうが損をするリスクは低いです。そのため、交渉をすればカード会社から分割払いを例外的に認めてもらえることも考えられます。
クレジットカードが払えない場合、あくまで「可能性がある」程度に考えたうえで、カード会社に分割交渉をするのも1つの手といえます。
なお、カード会社は支払いが難しい場合の相談窓口を用意しているのが一般的です。カード会社に分割交渉をする場合、「〇〇（利用しているクレジットカード名） 問い合わせ」のようにインターネットで調べておくとよいでしょう。
クレジットカードのなかには、支払いの時点では一括払いにしていたとしても、後から分割払いに変更できるカードもあります。そのようなカードであれば、請求額が確定する前にWEBやアプリから手続きをすれば分割払いに変更が可能です。
カード会社に分割交渉をせずとも分割払いに変更できる可能性もあるため、請求額が確定する前であれば、利用しているクレジットカードのアプリなどから分割払いに変更できないかを確認してみるのもよいでしょう。
前述したように、カード会社に交渉をすれば必ず分割払いを認めてもらえるとは限りません。少しでも可能性を高めるために、クレジットカードの分割交渉をする際には下記のような対策を講じておくとよいでしょう。
なお、分割払いへ変更できるかどうかはカード会社に決定権があるため、対策を講じれば必ず分割交渉が成功するとは言えません。分割交渉をする際には、あくまで可能性を高める対策であることを踏まえて、カード会社へ連絡するようにしましょう。
分割交渉に応じてもらうためには、支払いが難しいとわかった段階でできるだけ早く、クレジットカード会社に相談することが重要です。可能であれば、滞納する前にカード会社へ連絡することが理想と言えます。
滞納した後だとすでにクレジットカード会社からの信頼を失っていることも考えられ、交渉が難航することが予想されます。
まずは、返済の意志があるものの、現在の状況では支払いが難しいことを伝え、クレジットカード会社に対して誠意ある対応をしてください。
多くのクレジットカード会社には、支払方法について相談できる窓口が設置されています。自身が使っているクレジットカード会社の窓口へ連絡してみましょう。
| カード会社 | 相談窓口 |
|---|---|
| 楽天カード | 自動音声専用ダイヤル 0120-30-6910 |
| 三井住友カード | カードローンプラザ 0120-200-442 |
| エポスカード | コールセンター（東京） 03-3381-0101 |
| オリコカード | オリコカードセンター （関東・甲信越地区） 049-271-3330 |
クレジットカード会社としては、今後確実に支払ってもらえる人でなければ分割交渉を受け入れづらいと考えられます。
そのため、今後の収入や現在の支出などを根拠に、月々の支払額がどの程度であれば返済できるかを伝えることが重要です。給料明細や収支を記録した家計簿など、返済計画の根拠となるような書類を用意したうえで分割交渉をするとよいでしょう。
ただし、分割交渉の際に、無理な返済計画を伝えたり、収入に関して虚偽の内容を伝えたりすることは絶対にやめましょう。その場しのぎにはなるかもしれませんが、いずれ返済が行き詰まれば、クレジットカード会社からの信用を失うことになりかねません。
自分の首を絞める行為とも言えるため、クレジットカード会社に分割交渉をするのであれば、正しい情報を根拠にしたうえでの返済計画を伝えるようにしてください。
カード会社への交渉が成功して分割払いを認めてもらえた場合、下記の2種類の支払い方法が提案されると考えられます。
| 支払い方法 | 概要 |
|---|---|
| 分割払い | 一括で支払う予定だった金額を複数回に分けて支払う方法。3回〜24回程度が一般的。 |
| リボ払い | 毎月一定の金額を返済して、一括で支払う予定だった金額を完済する方法。分割払いよりも1回の支払い金額は少ない代わりに、完済までの期間が長くなりやすい。 |
基本的には、カード会社が指定する方法で分割払いを行うと予測されますが、場合によっては自身で支払い方法を選択できる可能性もあります。その場合、収入状況などに合わせて支払い方法を選ぶのが前提ですが、リボ払いに変更するかは慎重に判断しましょう。
リボ払いの場合、毎月の支払額は分割払いよりも少ないのが一般的ですが、その分完済できるまでの期間が長期化しやすいです。場合によっては、「返済を続けているのになかなか残高が減らない」という状況に陥る可能性もあります。
そのため、クレジットカードの支払い方法を選択できるのであれば、完済までの期間が明確である「分割払い」をまずは検討してみるようにしてください。
カード会社から分割を必ず認めてもらえる保証はないため、クレジットカードの交渉がうまくいかなかったケースも事前に考えておくのが大切です。
交渉がうまくいかなければ、請求額を一括で払えるように準備をしておかなければなりません。その際には、下記のような対策を講じてみてください。
ここからは、クレジットカードの分割交渉がうまくいかなかった場合の対処法をそれぞれ解説していきます。
クレジットカードが払えない場合、まず家族や知人に援助してもらえないかを検討してみてください。信用関係がある間柄であれば、クレジットカードの請求額を貸してもらえる可能性はあります。
ただし、いくら信頼関係のある間柄でも、お金の問題は関係を破綻させる可能性があることも把握しておくべきです。相談の際には、「援助が必要なほど困っている理由」「どの程度で返済していき、いつまでに完済するのか」といったことを明確に伝えることが大切です。
また、相手が家族や知人であっても、お金の貸し借りには変わりないため、相談の際には借用書を作成しておくこともよいでしょう。借用書なしでも返済義務は法的に認められますが、事前に作成したほうが相手に返済の意思があることを感じ取ってもらいやすいとも言えるためです。
クレジットカードの請求額を工面する方法として、不要品の売却が挙げられます。
とくに、ブランド品やパソコンなど、高額なものであればまとまったお金になる可能性もあります。不要品のなかに売れそうなものがあれば、売却を検討してみてもよいでしょう。
ただし、フリマアプリは取引がすぐに成立するかわかりませんし、成立したとしても現金が手元に届くまでに時間がかかる場合もあります。店頭買取であれば基本的に即日で買い取ってもらえるため、急ぎであれば店舗を活用するのがよいでしょう。
クレジットカードの請求額を工面する方法には、スキマ時間を活用してアルバイトをすることも挙げられます。バイトアプリを利用することで、「平日の19時〜21時だけなら時間がある」のような場合でもアルバイトができる可能性があります。
バイトアプリの例として、「タイミー」というバイトアプリでは、登録が完了していれば最短1時間から働ける案件も取り扱われており、当日中の入金も可能です。
平日は仕事で忙しい場合でもクレジットカードの請求額を用意する対策になるため、スキマ時間を活用してアルバイトをすることも視野に入れてみるとよいでしょう。
クレジットカードの支払いが難しい場合、公的機関に相談することも手です。公的機関に相談をすることで、支払いが難しい現状を改善するためのアドバイスがもらえるうえに、場合によっては公的制度の利用を勧めてもらえるケースもあります。
クレジットカードの支払いが難しい場合に相談できる公的機関には、下記が挙げられます。
| 公的機関 | 概要 |
|---|---|
| 日本クレジットカウンセリング協会（JCCO） | 弁護士や消費生活アドバイザーから問題を解決するためのアドバイスがもらえる。また、債務整理の1つである「任意整理」を無料で対応してもらえる可能性もある。 |
| 消費生活センター | 担当者から借金やクレジットカードの支払いが難しい場合のアドバイスがもらえる。 |
※公的機関名をタップ・クリックすることで、その機関の公式サイトを確認できます。
いずれの公的機関も、クレジットカードの支払いが難しい場合に無料相談が可能です。電話から相談することも可能なため、「クレジットカードの支払いが難しい状態をどのように対応するべきか」という場合には活用してみてください。
カード会社に分割交渉を検討している場合、クレジットカードの支払いが難しい状況にあると考えられます。仮に分割交渉が成功しなかった場合、請求額が払えないからといって支払いを放置するのは絶対にやめましょう。
クレジットカードが払えない状態が続くことには、下記のようなリスクがあるためです。
クレジットカードの支払いが遅れれば遅れるほど、リスクは大きくなります。仮にカード会社との分割交渉がうまくいかなかった場合でも、可能な限り早めに支払いを済ませるようにしましょう。
クレジットカードの支払いを滞納すると、滞納が始まった当日から遅延損害金が発生します。
遅延損害金とは、簡単にいうとクレジットカード会社との契約どおりに支払わなかったことに対するペナルティ・罰則金のことです。
遅延損害金は滞納が解消される日まで1日ごとに発生し、クレジットカードの場合は利用金額に上乗せして請求されるのが一般的です。支払いに遅れれば遅れるほど、カード会社に支払う金額はどんどん大きくなります。
すでに支払いが難しい状況で、返済負担がさらに増すことになるため、できるだけ早く延滞を解消する必要があるでしょう。
クレジットカードの支払いに遅れると、電話や郵送といった方法でカード会社から督促が行われます。督促が行われるまでの期間はカード会社の判断にもよりますが、3日〜1週間程度の遅延があると督促が行われるといわれています。
督促は返済の意思があるかを確認する目的で行われ、利用者の支払いの意思が確認できるまでは督促が行われます。家族と同居している場合、クレジットカードの支払い遅延が知られてしまうリスクもあるため、可能な限り滞納は早く解消するようにしましょう。
クレジットカードの請求額を払えない状況が数日続くと、そのカードが利用停止になるのが一般的です。利用停止になるまでの期間はカード会社の判断次第ですが、数日〜1週間程度が目安だと言われています。
クレジットカードが利用停止になれば、普段の買い物だけでなく、家賃や公共料金、携帯電話といったカード払いに設定している支払いも遅れてしまう可能性があります。
基本的に支払い遅延が解消されてから1週間以内で利用停止が解消されるため、クレジットカードの請求額が払えない状態は可能な限り早く解消するようにしましょう。
クレジットカードの支払いに遅れると、いわゆる「ブラックリスト入り」の状態になる可能性があります。
そもそも「ブラックリスト」は、あくまで一般的に使用されている表現です。「信用情報として事故情報が登録されている状態」を一般的にブラックリスト入りと呼ばれています。
信用情報とは、クレジットカードやローンなどの利用履歴のことです。支払い遅延の情報も登録されており、その情報はクレジットカードやローンの審査時などで確認されます。
支払い遅延の情報が信用情報として登録されている場合、審査の担当者から支払い能力を疑われる可能性があります。支払い能力がないと判断されれば、いわゆる「ブラックリスト入り」となり、その情報が残っている間はクレジットカードなどの審査に通りづらくなってしまうのです。
ブラックリスト入りとなる基準は明確にありませんが、一般的には2か月程度の支払い遅延が目安といわれています。
クレジットカードの支払いに遅れている状態が続くと、いずれカード会社から残債を一括請求されます。一括請求がくるまでの期間はカード会社の判断によりますが、一般的には3か月程度が目安と言われています。
一括請求となれば、今まで利用した金額のうち未払いのものをすべて一括で払わなければなりません。
現状よりもさらに支払い負担が大きくなるため、クレジットカードの分割交渉がうまくいかずに支払い遅延が起きそうな場合、可能な限り早めに支払いを済ませることが大切です。
延滞が長期化し、クレジットカード会社が支払の見込みがないと判断すれば、最終的には訴訟に発展して財産を差し押さえられます。差し押さえとなるまでの期間はカード会社の判断にもよりますが、一般的には3か月以上の滞納が目安と言われています。
差し押さえの対象となるものは、所有している自宅や自動車、銀行口座、給与などが挙げられます。また、自宅や職場などにも裁判所から通知が届くケースもあり、それによって延滞の事実がバレるなど、差し押さえによる生活への影響は計り知れません。
クレジットカードが払えないうえに、カード会社との分割交渉が成功しないケースも考えられます。この場合、「どうにか支払額を用意しなければ」のように考えるかもしれませんが、手を出すべきではない方法もあるため注意してください。
ここからは、クレジットカードが払えない際に手を出すべきではない方法について、それぞれ解説していきます。
消費者金融や銀行などが提供しているカードローンは、クレジットカードが払えない場合に検討するべき方法とはいえません。カードローン自体が悪いわけではありませんが、いわゆる「自転車操業状態」に陥る可能性があるためです。
自転車操業とは、返済のために借金をして、それを繰り返すことです。確かにカードローンを利用すれば、クレジットカードの請求額を用意できるかもしれませんが、その場しのぎの行為でしかないため、いずれ返済に追われてしまうことになりかねません。
また、カードローンから借入をすると金利による利息も払わなければなりません。原則借りた金額よりも支払う金額のほうが多くなり、返済不能に陥る可能性もあるのです。
なお、自転車操業状態は自力で解決するのが難しく、弁護士や司法書士に債務整理を依頼して解決を図るケースも少なくはありません。自転車操業状態にならないためにも、クレジットカードが払えない時にはカードローンの利用は控えるのが得策です。
インターネットでは、お金を工面する方法として「クレジットカードの現金化」が取り上げられていることもありますが、カード会社が定める利用規約に違反する行為であるため手を出すべきではありません。
クレジットカードの現金化とは、クレジットカードのショッピング枠を利用して現金を得る方法のことです。現金化の行為が発覚した場合、カードの利用停止や強制解約となる可能性もあり、その場合には利用残高を一括請求されると推測できます。
「合法」「安心」などと紹介されていることもありますが、自身の首を絞める行為であるためクレジットカードの現金化を検討するのは避けてください。
クレジットカードの支払いが難しい場合、「早くお金を用意しなければ」などと考えて、闇金のような違法業者の利用を検討するかもしれません。しかし、クレジットカードが払えないからといって、闇金や個人間融資といった怪しい業者を利用するのは絶対に避けてください。
闇金や個人間融資を利用してしまうと、法外な金利による利息の請求や悪質な取り立て行為といった被害に遭うリスクがあります。さらに、自分だけでなく、会社や家族といった周囲の人に対しても取り立て被害が及ぶ危険性もあります。
最終的には弁護士に相談せざるを得ない状況にもなりえるため、怪しい業者からの借入は絶対に避けましょう。
クレジットカードが払えず、自力での分割交渉が難しい場合には、債務整理を視野に入れてみてください。
債務整理とは、「クレジットカードが払えない」といった問題を解決するための手続きのことです。一般的には弁護士や司法書士に依頼をして、クレジットカードや借金の問題を解決を図ります。
債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」の手続きがあり、それぞれ下記のように特徴があります。
| 手続き種類 | 概要 |
|---|---|
| 任意整理 | クレジットカード会社などの債権者と交渉をして、手数料や利息をカットしてもらうための手続き |
| 個人再生 | クレジットカードの利用金額や借金を減額するための手続き |
| 自己破産 | 借金やクレジットカードの利用金額のすべてを帳消しにするための手続き |
※手続きの名称をタップ・クリックすることで、債務整理の各手続きについて詳しく解説している記事を確認できます。
なかでも、任意整理は債権者に返済条件を見直すための交渉をする手続きです。弁護士や司法書士に代行してもらうのが一般的であるため、「自力では分割交渉がうまくいかなかった」という場合には利用を検討するのも手です。
ただし、債務整理にはデメリットがあるため、安易に利用を検討するのは危険です。たとえば、債務整理のデメリットには、「最長5年〜7年の間はブラックリスト入りになる」が挙げられ、今後の生活に悪影響を及ぼす可能性もあります。
また、手続きごとにもデメリットはあるため、債務整理を検討するのであれば、まずそれぞれの手続きの特徴やデメリットを十分に把握しておくのが重要です。
クレジットカードが払えない場合、カード会社と分割交渉すること自体は可能です。しかし、分割払いを認めるかどうかはカード会社の判断次第であるため、交渉が成功しないことも考えられます。
そもそも、請求額や支払方法が確定している状態では、分割払いに変更することは原則的に認められません。そのため、クレジットカードが払えない際に分割交渉をするのであれば、交渉が成功しなかった時のことも考えておくことが大切です。
とはいえ、交渉に応じてもらえるケースもあるため、分割交渉を成功させるための対策を講じたうえでカード会社に連絡するとよいでしょう。
