学生がクレジットカードの請求額を払えないときのリスクは社会人と変わらない
たとえ学生であっても、18歳の誕生日を迎えた時点で成人となります。親の同意がなくても自分の意思で契約ができる大人としてみなされるため、クレジットカードの請求額を払えないときのリスクは社会人と変わらなくなります。
「学生だから社会人よりも滞納のリスクは少ないだろう」のように甘く考えて滞納を続けると、今の学校生活だけでなく今後の人生にも悪影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
学生がクレジットカードの請求額を払えないまま滞納していると、滞納期間によって下記のような流れで措置が進みます。
- 【延滞1日目〜】遅延損害金が発生する
- 【延滞数日後】クレジットカードが利用停止になる
- 【延滞1週間程度】カード会社から督促が行われる
- 【延滞2か月程度】クレジットカードが強制解約となる
- 【延滞2か月程度】いわゆる「ブラックリスト入り」となる
- 【延滞3か月程度】カード会社から残債を一括請求される
- 【延滞3か月程度】裁判に発展して財産を差し押さえられる
滞納している期間が長くなればなるほど、クレジットカードの未払いによるリスクは深刻化します。クレジットカードの請求額が払えない学生の人は、1日でも早く支払額を用意するようにしてみてください。
【延滞1日目〜】遅延損害金が発生する
クレジットカードの請求額を払えないと、支払いに遅れた日から遅延損害金が発生します。
遅延損害金とは、支払いに遅れた場合にカード会社などの債権者の損害を賠償するためのお金のことです。簡単に言えば、「クレジットカードの支払いに遅れたペナルティ」です。遅延損害金は、クレジットカードの支払日の翌日から滞納が解消されるまで、本来の請求額に上乗せする形で1日ごとに発生します。
クレジットカードの場合、設定されている遅延損害金の年利は14.6%が一般的です(ショッピング利用)。14.6%は、消費者契約法における遅延損害金の利率の上限であるためです。
【クレジットカードの損害遅延金計算式】
滞納金額×遅延損害金の年利(14.6%)÷年間日数(365日または366日)×遅延日数
支払いに遅れれば遅れるほど遅延損害金がかさむため、クレジットカードの支払額が雪だるま式に増えてしまうため注意が必要です。社会人と比較して収入を得るのが難しい学生だと、遅延損害金の負担はより大きなものとなるでしょう。
【延滞数日後】クレジットカードが利用停止になる
クレジットカードの請求額を払えない状況が数日続くと、そのカードが利用停止になるのが一般的です。
カード会社からすれば、現時点で支払いができない人がさらにカードを利用すると、その金額の返済もできなくなることを危惧することでしょう。これ以上の損失を避けるためにも、支払い遅延が続く人にはクレジットカードの利用を停止する措置を取るのが一般的です。
クレジットカードが利用停止になれば、普段の買い物だけでなく、カード払いに設定している支払いも遅れてしまう可能性があります。具体的には、公共料金や家賃、携帯電話、Wi-Fiなどが挙げられます。
基本的には延滞が解消されてから1週間以内には利用停止が解消されるため、クレジットカードの請求額が払えない状態は可能な限り早く解消するようにしましょう。
学生の立場だと、あまり深く考えずにクレジットカードの利用停止を笑い話にして消化しようと考える人もいるかもしれません。しかし利用停止状態を軽く考えて放置していると、後の督促、強制解約、ブラックリスト入り、残債一括請求、裁判など、社会人ですら負担が大きいさまざまな措置を取られることになります。
【延滞1週間程度】カード会社から督促が行われる
クレジットカードの請求額を払えない場合、いずれカード会社から督促が行われます。督促が行われるまでの期間はカード会社の判断によりますが、延滞が1週間程度続くと督促が行われるのが一般的です。
カード会社の督促とは、滞納している請求額を支払うよう、直接債務者に催促(催告)することです。
基本的にカード会社からの督促は、電話や郵送物で行われます。支払い金額や再支払日などが通知されるのが一般的であるため、督促が行われた時点でクレジットカードの未納分を支払うようにしましょう。
督促がおこなわれている時点で、カード会社はあなたに対して何かしらの措置を講じることを、具体的に検討し実施しようとしています。この督促すら無視すると、一気に重いペナルティを受けることになります。
【延滞2か月程度】クレジットカードが強制解約となる
クレジットカードの請求額が払えないと、そのカードが強制解約となるリスクがあります。「⚪︎日延滞すると強制解約になる」とは断言できませんが、一般的には延滞が2か月程度続くと強制解約になると言われています。
基本的には督促の際に「これ以上延滞が続くと強制解約となる」のような通知がされます。今後同じカード会社系列のカードローンや銀行ローンだけでなく、そのほかのクレジットカードも使えなくなる可能性が高いです。クレジットカードの請求額を払えない場合、可能な限り滞納は早めに解消しましょう。
実際にドコモの「dカード」、楽天の「楽天カード」、丸井とエポスの「エポスカード」といった、一般的知名度の高いクレジットカードは、滞納を続けると強制解約になります。さらに強制解約になったときは、これらの系列会社のサービスの利用にも悪影響が出る可能性もあります。
【延滞2か月程度】いわゆる「ブラックリスト入り」となる
クレジットカードの請求額が払えない状況が続くと、いわゆる「ブラックリスト入り」の状態になる可能性があります。
そもそも、「ブラックリスト」というリストの存在は、クレジットカード会社が公表しているわけではなく、あくまで一般的に使用されている表現です。信用情報として事故情報が登録されている状態を一般的にはブラックリスト入りと表現されます。
信用情報とは、クレジットカードやローンなどの利用履歴のことです。クレジットカードを利用している場合、「いつ申し込んだ」「支払いは問題なく行われたか」といった情報が、信用情報として登録されています。
信用情報はクレジットカードやローンを扱う会社などが確認しており、「返済能力」を調査する目的で紹介されます。あなたの延滞の情報が信用情報として登録されている場合、あなたの返済能力を危惧されてしまい、クレジットカードやローンなどの審査に通りづらくなるのです。
ブラックリスト入りとなる基準は明確にありませんが、一般的には2か月程度の延滞とされています。
なお、延滞の履歴は信用情報として最長5年間登録されます。ブラックリスト入りになると、最長5年間はローンやクレジットカードなどの利用が難しくなるため、学校を卒業した後にも悪影響を及ぼしかねません。
【延滞3か月程度】カード会社から残債を一括請求される
クレジットカードの請求額が払えずに滞納が続くと、カード会社から残債を一括請求される可能性があります。一括請求までの期間は断言できませんが、一般的には3か月程度の延滞と言われています。
一括請求の金額には、遅れている分の利用金額と発生している遅延損害金も含まれています。たとえば、5万円の支払いを滞納しており、すでに5,000円の遅延損害金が発生している場合に一括請求となれば、55,000円を一括で支払わなければなりません。
「たった55,000円か」と軽く考えるのは危険です。そのたった55,000円の滞納のせいで、社会人になった後に各種ローンやクレジットカードが使えなくなるという非常に大きなリスクがあります。
【延滞3か月程度】裁判に発展して財産を差し押さえられる
クレジットカードの請求額が払えない場合、最終的には裁判に発展してしまいます。裁判に発展してしまえば、財産を差し押さえられてしまうことになりかねません。
差し押さえの対象になる財産の例には、下記が挙げられます。
- 自分名義の車やバイク
- アルバイトなどの給料
- 一定以上の預貯金
たとえば、学費としてとっておいてある奨学金を自分の銀行口座に入れている状態で差し押さえになれば、その金額が没収されるリスクもあります。また、自分名義の車やバイクも差し押さえ対象です。仮に卒業して就職してから差し押さえがおこなわれると、新卒社会人でいきなり給与を差し押さえられて企業に悪印象を持たれる可能性があります。
クレジットカードが払えないときに学校生活に影響が起こり得ること
クレジットカードの請求額が払えない学生のなかには、学校生活に影響が出ないかを気にしている人もいるかもしれません。
基本的に、クレジットカードの請求額が払えなくても、学校生活に直接的な影響が出ることはありません。しかし、学校生活を送るうえで、間接的に影響が出る可能性は否定できません。また、学生時代よりも卒業して社会人になったときの影響が大きい可能性が高いです。
ここからは、クレジットカードの請求額が払えないことで学校生活に影響が起こり得ること、影響が出ないことを解説していきます。
パソコンやスマートフォンなどを分割で購入できなくなる可能性がある
前述したように、クレジットカードの支払いに遅れると、その履歴が信用情報として登録されます。信用情報は分割払いによる契約時にも確認されるため、クレジットカードの請求額が払えない場合、今後分割払いによる購入が制限される可能性があるのです。
とくにブラックリスト入りの状態では、返済能力を危惧されやすいため、分割払いの契約がしづらくなります。
「学校の授業や就職活動でパソコンが必要」「古くなってきたからスマートフォンを買い替えたい」といった場合でも、一括での購入が強いられる可能性もあるため、注意が必要です。
一定期間クレジットカードの利用が制限される可能性がある
前述しましたが、クレジットカードの支払いに遅れると、延滞が解消されるまでカードの利用が制限される可能性があります。その場合、友人との付き合いやサークル活動が制限されることも考えられるのです。
なお、クレジットカードの利用停止は、延滞が解消されてから数日程度で解消されるのが一般的です。支払いに遅れないのが前提ですが、クレジットカードの請求額が払えないのであれば、可能な限り早く支払額を用意するようにしましょう。
賃貸契約や住宅ローンの審査に通らない
信用情報はローンやクレジットカードだけでなく、引越しの際の賃貸契約でも確認されるケースがあります。その場合、信用情報としてクレジットカードの延滞履歴が登録されていると、毎月の家賃の支払いが遅れることを危惧される可能性もあり、家賃契約ができない可能性があるのです。
学校生活を送るうえで、引越しを検討している人もいるかもしれません。また、就職活動が終わり、来年度には就職を控えている人の中には、職場に近い物件への引越しを検討している人もいることでしょう。
そのような場合でも、賃貸契約ができずに希望した物件への引越しができないリスクもあるため、クレジットカードの請求額が払えない時には早めの対策が大切です。
またブラックリストに載っていると、賃貸契約だけでなく車を購入するときの自動車ローンも組めなくなります。通勤に車が必要なときやドライブを趣味にしたいときでも、一括支払いで購入しないとマイカーを持てない可能性があります。
クレジットカードが払えなくても学校生活に影響がないこと
クレジットカードの請求額が払えないからといって、直接的に学校生活に影響が出ることはありません。具体的には、基本的には下記へ影響が出ないと言えます。
- 就職活動
- 親への通知
- 奨学金の利用
- 友人や学校の人との関係性
ただし、学校生活に影響が出ないからといって、クレジットカードの延滞を放置するのは絶対に避けてください。ここまでで解説したように、クレジットカードの延滞にはさまざまなリスクがあり、今後の人生に悪影響を及ぼす可能性もあります。
就職活動に影響はない
クレジットカードの請求額が払えなくても、就職活動に影響が出ることは基本的にありません。支払いが遅れた事実は当事者のみに通知されるため、本人の同意を得ることなく第三者に知らせることはないためです。また、信用情報へ照会できるのは金融機関に限られることから、第三者である企業が滞納の事実を知るのは不可能だと言えるでしょう。
そのため、「カードの支払いに遅れているために内定が取り消された」といった事態には基本的になりません。
ただし、金融機関に就職する場合は、クレジットカードの支払い遅延が影響する可能性を否定することはできません。金融機関では融資や投資などお金に関わる業務が行われるため、お金の使い方がだらしない人を雇用することにはリスクがあります。
そのため、採用の前に信用情報を確認される可能性はあり、クレジットカードの支払い遅延があると悪影響を及ぼす可能性も否定できないのです。
とはいえ、いくら金融機関であっても、採用予定者の信用情報を就活時に調べることはないと考えて問題ありません。金融機関と言えども、正当な理由なく信用情報を調査するのは違法性が疑われるからです。金融機関が信用情報を照会できるケースは「賃金業の金融照会に関すること」であり、採用調査の一環として照会するのは、目的外使用としてコンプライアンス面・法律面で問題が出てきます。
参考:指定信用情報機関のCIC「個人情報取扱方針(個人情報の保護に関する法律およびJIS Q 15001に基づく公表事項)|個人情報取扱方針」
自分名義のクレジットカードであれば親に知られるリスクや親の弁済リスクは少ない
家族カードのように親名義のカードの場合は除きますが、自分で契約しているクレジットカードであれば、カード会社から親宛てに滞納が通知されることはありません。そのため、クレジットカードを滞納している事実を親に知られるリスクは低いと言えます。
ただし、クレジットカードの未払いが続くと郵送物による督促も行われるため、親と同居している場合は滞納していることを知られるリスクがあります。
また、支払い義務は契約者のみにあるため、クレジットカードの請求が払えなくても親に支払い義務が移ることもありません。自分名義でカード契約をしている以上、支払責任は自分のみにあります。
奨学金の利用に影響はない
クレジットカードの支払いを滞納したからといって、奨学金の支給が停止されることはありません。そのため、問題なく授業料を納めていれば、学校に通えなくなることもありません。
奨学金を支給する独立法人日本学生支援機構(JASSO)は、以下のように奨学金停止事例を規定しています。
警告
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・修得単位数の合計額が標準単位数の6割以下
・平均成績が下位4分の1以下
・出席率8割以下
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停止
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・やむを得ない理由による成績不振
・停学などの処分
・学校内外の規律を乱す行為
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廃止
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・留年、卒業延期、退学、除籍、無期停学など
・修得単位数が標準単位数の5割以下
・出席率が5割以下など、学習意欲が著しく低いと判断された場合
・連続して「警告」に該当した
|
参考:JASSO「適格認定(学業等)」
上記に該当しなければ、クレジットカードの滞納によって奨学金支給が停止されることはないため、クレジットカードの請求額を払えないことが原因で学校に通えなくなることはありません。
学校の人に知られる危険性は低い
クレジットカードの支払いが遅れていても、本人の許可を得ずに第三者へその事実が伝えられることはありません。
そのため、教授や学校の友人などにクレジットカードの支払い遅延が知られるリスクは低いと言えます。
クレジットカードの請求額を払えないと分かったらまずはカード会社に連絡する
クレジットカードの請求額を払えないと分かった場合、カード会社に連絡して指示を仰ぐことを最優先にしてください。事前に相談することで支払日を調整してもらえる可能性があるうえに、支払いの意思があるとみなされれば一定期間督促が行われないことも考えられます。
逆に、事前に連絡をしないままクレジットカードの支払いを放置してしまうと、すぐに督促が行われる可能性もあります。
また、前述した学生がクレジットカードの請求額を払えないときのリスクは社会人と変わらないで解説した、滞納時のリスクが起きるまでの期間はあくまで目安であり、カード会社の判断によっては強制解約や一括請求が目安よりも早く行われることも否定できません。
滞納時のリスクを抑えるためにも、請求額を払えないのであれば可能な限り早くカード会社に連絡を入れるのが大切です。なお、問い合わせ窓口はカードの裏面に記載されているのが一般的です。
学生がクレジットカードの請求額を払えない時の対策
クレジットカードの請求額を払えない場合、可能な限り早く支払額を用意するのが大切です。また、お金を用意するのが難しい場合、支払額を調整して、今月の支払いを完了させる手もあります。
具体的には下記のような対策が挙げられるため、クレジットカードの請求額を払えない学生の人は、自分が取れそうな対策がないかを検討してみてください。
- スキマ時間だけでもアルバイトをする
- フリマアプリなどで不要品を売る
- クレジットカードの請求額を分割払いに変更する
- 親に事情を打ち明けて費用を立て替えてもらう
ここからは、学生がクレジットカードの請求額を払えないときの対策をそれぞれ解説していきます。
スキマ時間だけでもアルバイトをする
学生の場合、すでにアルバイトをしている人もいることでしょう。また、「学業を優先したい」といった理由から、そもそもアルバイトをしていない人もいるかもしれません。
このような場合も、スキマ時間だけを活用したアルバイトをすることも視野に入れてみてください。「講義と講義の間だけは時間が空いている」など、スキマ時間を活用して働くことで、クレジットカードの支払額を用意できる可能性があります。
たとえば、「タイミー」というバイトアプリでは、登録が完了していれば最短1時間から働ける案件も取り扱われており、当日中の入金も可能です。
このようなバイトアプリであれば、学業やサークル活動などで忙しい学生でもスキマ時間だけ働くことが可能です。
フリマアプリなどで不要品を売る
アルバイトをする時間がない場合、不要品を売却してクレジットカードの支払額を用意するのも一つの手です。フリマアプリを利用すれば、自宅にいながらでも不要品の売却に期待できます。
売却に期待できるものの例には下記が挙げられます。
- 楽器
- 使用していないパソコンやスマートフォン
- ブランドものの洋服やアクセサリー
- ゲーム用品
クレジットカードの請求額を分割払いに変更する
クレジットカードは分割払いに対応しているのが一般的です。アプリや契約者専用ページから手続きして一括払いから支払い可能な金額の分割払いに変更すれば、クレジットカードの支払いに遅れずに済みます。
たとえば、クレジットカードの支払額が5万円の場合、3か月の分割払いに変更することで、約16,000円を3回に分けて支払いが可能です。
ただし、分割払いに変更をすると、クレジットカード会社が定める手数料も上乗せで支払う必要があるため、一括払いよりも支払総額は多くなります。
また、安易に分割払いを利用すると、支払いの時期が複数重なってしまい、その分支払い負担も大きくなるリスクもあります。分割払いを利用する場合、毎月の支払い可能な金額の範囲内で計画的に利用するように注意してください。
上記で解説しているのは、あくまで「カード会社が提供している分割払いサービス」を利用することです。任意整理といった債務整理の一環で、滞納分の分割払いをお願いするケースとは異なります。
親に事情を打ち明けて費用を立て替えてもらう
クレジットカードの支払額が用意できない場合、親に協力してもらうことも検討してみてください。借用書を作成したり、返済期日を固定したりするなど、しっかりと返済体制を整えることで誠意を尽くす姿勢をみせましょう。
クレジットカード費用の立て替えは、本来親に頼むべきではありません。同じことが何度も続くと、返済に対する責任感が薄くなってしまう可能性があるためです。
とはいえ、親を頼りにできるのは、学生のうちとも言えます。今回だけという条件でお願いし、親に対する返済もしっかり続けていくことも検討してみてください。
クレジットカードの請求額を払えなくても安易にしてはいけないこと
クレジットカードの請求額を払えない場合、下記は安易にしないように注意してください。
- クレジットカードの滞納を放置する
- カードローンやキャッシングなどで支払額を借りる
- いわゆる「クレジットカードの現金化」をする
- 怪しいバイトに手を出す
- 怪しいインフルエンサーの儲け話に乗る
- 闇金融でお金を借りる
これらは、現状を悪化させてしまう可能性がある行為です。クレジットカードの請求額を払えない際には、アルバイトをしたり親に協力をしてもらったりといった行為で支払額を用意するようにしましょう。
クレジットカードの滞納を放置する
クレジットカードの請求額が払えないからといって、滞納を放置するのは厳禁です。放置を続けるうちに、事態はどんどん悪化してしまうからです。
請求を無視し続けると、カード会社から「悪質」とみなされる可能性があり、最悪の場合は早期で訴訟提起や差し押さえまで進んでしまうことも考えられます。カード会社は学生だからといって、返済できなくても大目に見てくれることはないと考えておきましょう。
カードローンやキャッシングなどで支払額を借りる
クレジットカードの請求額を払えない学生のなかには、「カードローンやキャッシングなどで支払額を借りればいいのでは」のように考える人もいるかもしれません。しかし、自転車操業状態に陥る可能性があるため、安易に支払額を借入するのは避けましょう。
自転車操業とは、返済のために借金をすることです。確かにクレジットカードの支払いを期日通りに行えるメリットはありますが、借金を抱えてしまうため、毎月の支払負担が重くなってしまいます。
また、カードローンなどから借入をしてクレジットカードの支払いを行うのは、問題を後回しにしているだけとも言えます。支払いが困難になっている根本的な問題を解決しなければ、再度クレジットカードの請求額を払えなくなる可能性もあるのです。
いわゆる「クレジットカードの現金化」をする
クレジットカードの現金化とは、クレジットカードのショッピング枠(買い物できる限度額)で購入したものを換金し、現金化する行為です。クレジットカードの現金化を持ちかける第三者からの依頼でショッピング枠による買い物をおこない、その後さまざまなトラブルに発展するケースが増加しています。
クレジットカードの現金化の例は次の通りです。
- 「30万円分の商品を購入したら20万円キャッシュバックします」と、30万円分の商品を購入して送る
- 業者が自社製品を40万円で買い取るようにもちかけ、手数料を差し引いた分だけキャッシュバックを得る
- 業者から現金や商品券を直接買い取る
確かに上記の方法なら、現金をすぐに得られる可能性があります。しかし、結局は利用したショッピング枠分の金額がクレジットカードの名義人に請求されるため、差し引かれた手数料分だけ債務が上乗せされるだけです。借金だけ増えて、状況が何一つ好転していません。
何より、クレジットカードの現金化を勧める業者や第三者は、自分の利益のためにあなたを騙そうと近づいてくる悪質な人物の可能性が高いです。クレジットカードの現金化の片棒を担がされることに加え、さまざまなトラブルや犯罪行為に巻き込まれるリスクがあります。就職活動にも影響が出てしまうかもしれません。
また、クレジットカードの現金化を目的とした利用は、カード会社の利用規約にて原則として禁止されています。クレジットカードの現金化によって規約違反になると、カードの強制解約、残債一括請求の措置を取られることもありえるでしょう。
怪しいバイトに手を出す
インターネット上では、「簡単に稼げる」などと謳って働き手を募集している広告もみられます。このなかには、いわゆる「闇バイト」「特殊詐欺」と呼ばれるものも潜んでいます。
闇バイトとは、犯罪行為に加担することで報酬を得られるもののことです。警視庁の公式サイトに記載されているように、闇バイトに手を出すと、詐欺の受け子や出し子、強盗の実行犯などとして、犯罪者になってしまうリスクがあります。
クレジットカードの請求額が払えない状態で、「⚪︎万円稼げる」のような文言は魅力的に見えるかもしれません。しかし、犯罪に加担してしまえば、今までのように学校生活すら送れなくなる可能性があるため、怪しいバイトに手を出すのはやめましょう。
近年では、闇バイトによる事件が社会問題化しています。闇バイトに騙される学生および闇バイトに協力する学生も増加しており、警察庁も注意を呼びかけています。闇バイトによって学生生活がなくなるどころか犯罪者として懲役刑になったり、闇バイトの被害者を増やしたりなど何一つメリットがありません。
実際に大手求人サイトにも闇バイトが掲載されている事例もあるため、誤って応募しないよう求人情報および掲載者はしっかりと確認しましょう。
参考:NHK「“闇バイトはバイトではなく犯罪”京都府警が大学生に注意喚起」
参考:読売新聞オンライン「闇バイト、インディード・エンゲージ・ジモティーなど大手サイトに求人広告」
怪しいインフルエンサーの儲け話に乗る
闇バイトと同じく、インターネットやSNSにある怪しいインフルエンサーの儲け話に乗るのも非常に危険です。「〇〇を◯万円で購入すれば稼げる」「自分が言う仮想通貨に投資すれば資産が◯倍になる」と言葉巧みに誘導し、自分の商品や投資銘柄を購入させて自分だけ利益を得るケースが後を絶ちません。
より悪質なものとなれば、ポンジスキームによる詐欺的な集金、「インフルエンサーが紹介するアルバイト・キャンペーンで、消費者金融に登録させてお金だけだまし取る」といった案件が発生しています。クレジットカードの滞納を解消したいからといって、安易な儲け話に耳を傾けないようにしましょう。
参考:独立行政法人国民生活センター「うまくやれば儲かる?それって本当?」
参考:アイフル「金融犯罪の事例」
闇金融でお金を借りる
カードローンやキャッシングなどで支払額を借りるのならまだしも、なかには闇金融でお金を借りてクレジットカードの払えない分をまかなおうとする人も存在します。いくら滞納を解消したいからといって、闇金融でお金を借りることは絶対に避けましょう。
闇金融でお金を借りてしまうと、「債務者本人や家族・知人に危険が及ぶ」「犯罪組織・犯罪行為に巻き込まれる」「違法な取り立てが続く」といった、学生では対処しきれないトラブルに発展します。もし闇金融にかかわってしまったときは、すぐに警察へ通報し、闇金融に強い弁護士へ相談しましょう。
予防が大事!学生がクレジットカードの支払い滞納をしないための7つの対応策
クレジットカードの請求額が払えない問題は、今回の支払いを済ますだけでは解決しない可能性もあります。お金やクレジットカードの使い方を改善しなければ、今後もカードの請求額が払えない状況に陥るリスクもあります。
そのため、今後はクレジットカードの請求額を払えない状況にならないための対策を講じておくことも大切です。とくに大事なのは、「そもそもクレジットカードの滞納が起こらないよう予防すること」です。具体的には、以下の対応策を意識しておくのをおすすめします。
- 利用明細を逐一確認し収支を把握する
- 使いすぎたときにアラートが鳴るサービスを利用する
- クレジットカードの利用限度額を引き下げる
- 親のクレジットカードの家族カードを使うようにする
- 収入の範囲内で生活するように心がける
- 支出を減らすための工夫をする
- 安易にリボ払いや分割払いを利用しない
それぞれの詳細を解説します。
1.利用明細を逐一確認し収支を把握する
クレジットカードの使いすぎを回避するためには、利用明細を逐一確認して収支を常に把握しておきましょう。
クレジットカードを使いすぎてしまう原因は、現金を使っている感覚がないからです。「財布のお札・硬貨が物理的に減らない」「財布や口座残高に関係なく支払える」という利便性がクレジットカードのメリットである反面、お金を支払った感覚がなく軽い気持ちで決済してしまいます。また、ネットショッピングだと画面を操作するだけで購入が完了するため、衝動買いや自宅での買い物回数が増えてしまいます。
上記のような金銭感覚の麻痺を直すために、定期的に支出をチェックして「今月は使いすぎていないか」などを把握しておきましょう。クレジットカードの利用明細をリアルタイムでチェックするには、カード会社のマイページや公式アプリから利用にアクセスします。
2.使いすぎたときに通知が鳴るサービスを利用する
クレジットカードのサービスのなかには、クレジットカードの利用額が一定以上に達する、一度に一定以上の決済をおこなうといった条件下で、メールやプッシュ通知を受け取れるものがあります。
自分で設定した使いすぎのラインで通知が受け取れるようにすれば、クレジットカードを使いすぎる前にワンクッション冷静に考える時間を作れます。また衝動買いした後、通知によって次回から気をつけるきっかけになる点もメリットだと言えるでしょう。
クレジットカードの不正利用があったときも、通知のおかげで気づきやすいというメリットもあります。
3.クレジットカードの利用限度額を引き下げる
クレジットカードの利用限度額をあえて引き下げることで、必要以上に使いすぎることを物理的に防げます。利用限度額の引き下げには審査は必要ないため、電話などを通じて引き下げを申し込みましょう。
ただし引き下げた後に再度引き上げるときには、再度審査が必要になります。利用限度額が元の水準に戻る保証がないので注意しましょう。
4.親のクレジットカードの家族カードを使うようにする
自分でクレジットカードの管理をするのが不安なときは、親のクレジットカードの家族カードを使うようにするのも1つの手です。家族カードなら、メインカードの名義人である親が自分の支払い状況をいつでも確認できます。
使いすぎたときには親から一言入るようにすれば、その後のクレジットカードの利用を抑えるきっかけになるでしょう。ただし、親に支払い状況をチェックされるので嫌ならほかの方法がおすすめです。
5.収入の範囲内で生活するように心がける
クレジットカードの請求額が払えない学生のなかには、カードに依存してしまっている人もいるかもしれません。その場合、クレジットカードに頼らず、収入の範囲内で生活する感覚を覚えることが大切です。
クレジット決済や電子マネーが主流になりつつある現在では、家計簿アプリを連携して家計を一括管理することもできます。
収入の範囲で生活をし、なにか欲しい物があれば、お金が貯まってから買うことを徹底するようにしましょう。
6.支出を減らすための工夫をする
クレジットカードの請求額を払えない状態にならないためにも、今後は支出を減らすための工夫をすることも大切です。支出が減ればクレジットカードを利用する頻度も減るうえに、節約によって貯金できることも考えられます。
学生の場合、下記のような工夫で支出を減らすことを検討してみてください。
- 自炊をして外食を控える
- 携帯を格安SIMに変える
- 友人との付き合いやサークル活動を可能な限り控える
格安SIMへの変更は一度手続きをすれば、継続的な節約効果が見込めますが、自炊などは長期的なスパンでみた場合、結果的に支出を抑えられていると判明することが多いです。
7.安易にリボ払いや分割払いを利用しない
クレジットカードを利用している学生のなかには、リボ払いや分割払いを活用している人もいることでしょう。場合によっては、リボ払いや分割払いが原因で、クレジットカードの請求額を払えない人もいるかもしれません。
今後クレジットカードの請求額を払えない状態にならないためにも、安易にリボ払いや分割払いを利用するのは避けるべきです。
リボ払いや分割払いを利用すると、利用金額に加えて手数料を支払わなければなりません。そのため、リボ払いや分割払いを利用すればするほど、支払総額はかさんでしまいます。
また、リボ払いや分割払いは、利用金額を一括で支払う余裕がない時の助けになってくれますが、言い換えれば支払いを後回しにするサービスです。そのため、利用すればするほど、後の支払い負担を大きくしてしまうリスクもあるのです。
たとえば楽天カードで10万円・10回払(リボ払いは月々元金1万円)で分割払い・リボ払いを利用した場合のシミュレーションは次の通りです。
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分割払い |
リボ払い |
発生利息 |
6,800円 |
6,875円 |
月々の支払金額 |
10,680円 |
10,125円~11,250円 |
返済合計
(元金+利息) |
106,800円 |
106,875円 |
参考:楽天カード「分割払い返済シミュレーション」
参考:楽天カード「ショッピングリボ払い返済シミュレーション」
「一括で支払える範囲でクレジットカードを利用する」のような対策を講じつつ、今後はクレジットカードを利用するようにしてみてください。
どうしてもクレジットカードの請求額が払えないなら債務整理も視野に入れる
クレジットカードの請求額を払えない学生のなかには、どのような対策をとったとしても支払いが難しい状態の人もいるかもしれません。そのような場合、債務整理で支払いが苦しい現状を改善することも検討してみてください。
債務整理とは、借金やクレジットカードの利用金額を減額または免除するための手続きのことです。弁護士や司法書士に依頼して手続きを進めるのが一般的であり、「国が認めた救済措置」といわれることもあります。
債務整理には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類の手続きがあり、それぞれ特徴が異なります。
手続き種類
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概要
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任意整理
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クレジットカード会社などの債権者と交渉をして、手数料や利息をカットしてもらうための手続き
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個人再生
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クレジットカードの利用金額や借金を減額するための手続き
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自己破産
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借金やクレジットカードの利用金額のすべてを帳消しにするための手続き
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※手続きの名称をタップ・クリックすることで、債務整理の各手続きについて詳しく解説している記事を確認できます。
いずれの手続きもクレジットカードの支払いが苦しい状況を改善するためのものです。しかし、債務整理には大きなデメリットもあるため、利用を検討しているのであれば慎重な判断が必要です。
とくに、債務整理から最長5年〜7年の間はいわゆる「ブラックリスト入り」の状態となるデメリットがあり、学校を卒業した後の生活にも悪影響を及ぼしかねません。
弁護士や司法書士の事務所では、無料相談を受け付けているところもたくさんあります。債務整理について相談できるため、取り返しのできない事態に発展する前に、早めに専門家に相談することも検討してみてください。
学生のクレジットカード滞納レベルなら任意整理が有効
どうしても学生で債務整理を求めるときは、自己破産や個人再生ではなく任意整理を前提に検討しましょう。任意整理なら、学生生活への影響を最小限に留められるからです。具体的には次の理由です。
- 裁判所での手続きがないので官報に載らず、周囲に知られることがない
- 自己破産や個人再生よりも手続きの労力やかかる時間が少ない
- 債務整理をする対象を選べるので、親を保証人とせずに返済できる可能性がある
とはいえ、そもそも学生のクレジットカードの、滞納なら数万円~数十万円レベルに留まることも多いでしょう。その場合は、クレジットカードの分割払いで支払いを後回しにしつつ、アルバイトやフリマアプリなどでお金を工面したほうが、債務整理のペナルティもなく問題解決がスムーズです。
任意整理を検討する前に、今一度「債務整理をしなくても解決できるのでは」という視点で状況を確認してみてください。
カードローンや奨学金がなどの多額の借金があるときは自己破産も視野
もしクレジットカードの滞納だけではなく、カードローンや奨学金など別の多額の借金があるときは、任意整理だけでは対応が難しい可能性があります。任意整理で対応しきれない借金がある場合は、自己破産や個人再生を検討しましょう。学生ローンや奨学金も、自己破産や個人再生の対象になります。
ただし、自己破産や個人再生はあくまで最終手段です。学生の時期にこれらの債務整理をしてしまうと、主にペナルティを背負ったまま新社会人を迎えなくてはなりません。就職にはほとんど影響しないものの、社会人になった後の付き合いや引っ越し、ローンなどで大きな制限がかかります。
自己破産や個人再生を検討する際は、必ず債務整理に強い弁護士へ一度相談し、自己破産・個人再生の判断が妥当であるか判断してもらいましょう。
まとめ
クレジットカードの請求額を払えない場合、さまざまなリスクがあります。たとえ1日であっても延滞した日から遅延損害金が発生し、放置をしてしまうと財産の差し押さえになる可能性もあります。
カードの延滞が学校生活に直接的な影響を与えることはありませんが、クレジットカードの請求額が払えない場合、まずはカード会社に連絡を入れたうえで早めの対策を講じるのが大切です。
なお、クレジットカードの請求額が払えないからといって、支払いのために借入をしたり、怪しいバイトに手を出したりするのは危険です。自力で請求額を用意するのが難しい場合には、気が引けるかもしれませんが親に相談することも検討してみてください。
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