債務整理のデメリットやリスクは?回避・軽減する方法と併せて解説!

債務整理をしたいと思っているのですが、その後のリスクが心配でなかなか踏み切れません。財産をすべて失ったり、他人にバレたりするものなんでしょうか・・・?


いえ、実際にそこまでのデメリットを被ることはかなり稀だと考えられます。任意整理や個人再生であれば財産処分はされませんし、自己破産でも99万円までの現金や家具など生活に必要なものは残せます。
他人にバレるケースは官報経由だと思われますが、実際に見ている人はごく少数ですので、他人にバレることも稀だと考えていいかと思います。
そうなんですね!債務整理のデメリットについて勘違いしていた部分があったのですね。


はい、なんとなく全てを失うようなイメージを持っていた方もいるかと思いますが、実際にはそうではありません。債務整理は救済を目的とした制度であり、罰則ではないので安心してください。
ただし信用情報にキズがついたり、連帯保証人が付いている場合はその方に請求がいったりといったデメリットもありますので、正しく理解しておくことが大切です。
債務整理をすると「財産をすべて差押えられる」「家族に影響が出る」などと聞き、手続きを躊躇している人もいるのではないでしょうか。
確かに、債務整理にはブラックリストに載ったり、場合によっては高額な財産は差押えられるといったデメリットはありますが、財産をすべてなくしたり子供の将来に影響が出るといったことはありません。
この記事では、債務整理に伴うデメリットについてお伝えします。デメリットが心配で手続きに踏み切れなかった方はぜひ参考にしてください。

- 債務整理には、すべての方法に共通したリスクもあれば、種類別に特徴的なリスクもある。
- 債務整理をすると新たな借り入れができなくなる。信用情報機関に事故情報が登録されてしまうためで、いわゆる「ブラックリストに載る」といわれるもの。
- 勘違いされやすい債務整理の「間違ったリスク」を正しく理解して、生活再建のための適切な道筋を見極めよう。
- 債務整理に強い弁護士に相談すれば、個々の状況にあった債務整理のプランをアドバイスしてくれる。
債務整理のデメリットは主に4つ
債務整理には、自己破産・任意整理・個人再生といった種類がありますが、どの手続きを選んでも共通して被るデメリットがあります。それが以下の通りです。
- 信用情報機関に事故情報が登録される
- 保証人が返済を求められる
- 周囲の人間に知られる
- クレカで購入した物を返還しなければいけない場合がある
①信用情報機関にキズがつく(5〜10年ほど)
まず、債務整理をおこなうと信用情報機関に事故情報が登録されます。
金融機関との間で債務不履行(=返済できなかったこと)が生じた場合、信用情報機関にこの情報が提供され事故情報としての登録されます。いわゆる「ブラックリストに登録される」という状態です。
任意整理の場合は5年ほど、個人再生や自己破産の場合は5〜10年ほど事故情報が登録されます(この間に債務不履行がなければ事故情報は解除されます)。
手続の種類 | 起算日 | 全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 日本信用情報機構(JICC) | 株式会社シー・アイ・シー(CIC) |
---|---|---|---|---|
任意整理 | 和解が成立した日(最後の和解成立日を基準にする) | 5年 | 5年 | 5年 |
自己破産 | 免責許可が確定した日 | 10年 | 5年 | 5年 |
個人再生 | 個人再生手続きの開始が決定した日 | 10年 | 5年 | 5年 |
信用情報に事故情報が登録されることで受ける制限は以下の通りです。
- 新規借入やローン契約ができなくなる
- クレジットカードが使えなくなる
- 賃貸契約の審査で不利に働く可能性がある
- カードやローンで購入した物は返還を請求される可能性がある
新規借り入れやローン契約ができなくなる
信用情報にキズがつくと、通常は新規借入やローン契約はできなくなります。
身近なところで言えばカードローン、またスマホの分割払いもローンの一種です。
貸金業者や銀行の金融機関は、融資審査で信用情報機関を利用しており、事故情報が登録されている人に対しては原則貸付を行いません。
もし「ブラックOK」など謳う貸金業者に当たった場合は、闇金である可能性が高いため、手を出さないよう十分にご注意ください。

急な病気などでどうしてもまとまった資金が必要になったときは、公的な借り入れ制度を利用しましょう。
例えば、行政がおこなっている「緊急小口資金の特例貸付制度」は無利子で10万円の貸付を受けられるものです。いざとなれば、こうした救済制度があることを覚えておきましょう。
クレジットカードが使えなくなる
信用情報にキズがつくと、現在持っているクレジットカードが使用できなくなり、カードの更新や新規発行もできなくなります。
これまでクレジットカードで支払っていたものも、現金や銀行振り込みなどに変更しておく必要があるでしょう。
代用案として、デビットカードやプリペイドカード、ETCパーソナルカード、家族カードを使うという方法があります。
これらのカードで決済できるネット通販サービスや実店舗も増えてきている印象のため、生活上感じる不便はかなり軽減できるはずです。
賃貸契約の審査で不利に働く可能性がある
信用情報にキズがつくと、マンションやアパートなどの賃貸借契約を結べない可能性も生じます。
賃貸借契約を結ぶには多くの場合、家賃保証会社との契約も求められます。この家賃保証会社がクレジットカード会社の系列である場合、信用情報機関の事故情報を見て審査で落とす場合があるのです。
物件によってはクレジットカード会社とは関係ない家賃保証会社を使えたり、保証人がいらなかったりするところもあります。債務整理をしても住める場所がなくなるわけではないので、その点は安心してください。
②保証人に請求される可能性がある
保証人に迷惑をかけたくないという人も多いでしょうが、債務整理をすることで保証人に連絡がいくことはほぼ回避できません。
とくに連帯保証人の場合は、本人に代わって借金の返済をする必要があるので、金銭的な迷惑もかけてしまいます。
連帯保証人には、債務整理の前に一言相談を入れるべき場合もあるでしょう。
保証人 | 連帯保証人 | |
---|---|---|
貸金業者から借金返済を請求された場合 | 「まず主債務者に請求してください」と主張できる | 借金を返済しなければならない |
資力があるのに主債務者が返済を拒否した場合 | 「主債務者の財産を強制執行してください」と主張できる | 借金を返済しなければならない |
保証人が複数いる場合 | 返済額を保証人の人数分で分けられる | 借金を全額返済しなければならない |
家族が連帯保証人の場合は債務整理をしても意味がないこともある
さらに、家族が連帯保証人になっている場合には、債務整理があまり意味をなさない可能性も考えられます。
例えば、夫の借金について妻が連帯保証人になっていた場合について考えてみましょう。
夫が借金を返済できずに自己破産しても、連帯保証人である妻に返済の請求がありますので、家族が連帯保証人の場合、同一家計で返済の主体者が変わるだけであり、経済的に有効とはいえません。

任意整理の場合は連帯保証人に関するリスクを回避できる可能性があります。任意整理は「任意整理をする債務」を、債務者自身で選べるからです。
連帯保証人の付された債務と、そうでない債務が混在しているのであれば、連帯保証人の付されていない債務のみ任意整理をすれば「連帯保証人に迷惑をかける」というリスクは回避できます。
③借金トラブルがあったことを周囲に知られる可能性がある
自己破産や個人再生をしたときは、国が刊行する官報に掲載されます。官報は一般に公表されており、掲載を差し止める方法はありません。
ただし、一般の方で官報を読んでいる人は非常に少ないと思われます。官報の主な役割は国や自治体の交付や告知ですが、日常的に読んでいるのは自治体の税担当者など限られた人たちです。
官報経由で周囲に知られるリスクは現実的には低いと考えていいでしょう。
また、任意整理についてはそもそも官報に記載されませんので心配する必要はありません。
官報以外で周囲に債務整理を知られるとすれば、家族や会社が連帯保証人になっている場合です。
先に解説したとおり、債務整理をすると連帯保証人に返済を請求されます。また、債権者が親族や会社であれば、債務整理を申し立てれば当然知られることになります。
④カードやローンで購入した物は返還を請求される可能性がある
債務整理をすると、クレジットカードやローンで購入した商品を返還しなければいけない場合があります。
これは、クレジットカードやローンで商品を購入したものは支払いが終了するまで、購入者に完全な所有権はないとされるためです。「所有権留保」といって、支払いが滞ったときに、クレジット会社やローン会社が商品の返還を求める可能性があります。
つまり、分割払いが終了していない商品は債務整理をすることで、その商品をカード会社等に返還しなければいけないというリスクが生じるのです。商品の返還を受けたカード会社等は、これを売却するなどして債務の支払いに充てることになります。
ただし、商品の返還がかならず求められるわけでもありません。返還を受けたとしてもたいした金銭的価値のないものや、回収費用が膨大なものについて、わざわざ回収することはありません。
また、債務整理をおこなう際の交渉内容次第では、自動車のような価値の大きい物であっても、生活を維持する上で必要なため返さなくてもよくなるケースがあります。
債務整理の手続きを比較した場合のデメリットについて
次に、債務整理の主な手続きである「任意整理」「個人再生」「自己破産」を比較した場合のデメリットを解説します。
各手続きの概要は以下の通りです。
- 任意整理・・・債権者と個別に交渉し、債務の減額や返済の猶予をしてもらう。
- 自己破産・・・裁判所に申し立て、所有する財産のほとんどを返済にあてる代わりに残債を免責してもらう。
- 個人再生・・・裁判所に申し立て、債務を大幅に減額した上で再生計画(無理のない返済計画)をたてる。
任意整理のデメリット
任意整理は、裁判所が介入せずに当事者間で借金の取り扱いについて交渉するものです。
一見、債権者側との交渉次第でいくらでも有利な条件を引き出せそうですが、具体的には以下のデメリットが存在します。
- 借金の減額幅が小さい
- 任意整理に応じてくれない業者もいる
借金の減額幅が小さい
任意整理によって減額できるのは将来の利息部分です(遅延損害金なども対象にできる場合あり)。元本部分については再設定された返済スケジュールのもと、返済を続けなければいけません。
任意整理は「完全に借金から解放されるわけではない」という点がデメリットといえます。
利息がどれほどカットできるのかは、債権者との交渉次第です。15%だった利息が5%まで下がったというケースがあれば、利息の全額カットで合意できたというケースもあります。
強制力が無いため任意整理に応じてくれない業者もいる
任意整理は法的な強制力がないため、債権者に交渉を受け入れる義務はありません。そのため、問答無用で任意整理に応じない業者も少数ながら存在します。
また、住宅ローンなどで抵当権を設定している場合、債権者からすれば任意整理で利息分の減額を受け入れるより、差し押さえて担保を競売にかけたほうが回収額も高くなる場合があります。このようなときも、任意整理をするのは難しくなるでしょう。
ほかにも、任意整理に至るまでの返済期間が短い場合は交渉が難しくなります。「返済期間が短い」ということは「支払った利息も少ない」ことになり、業者としての利益が小さく、任意整理に応じたくないという気持ちが強くなるためです。
自己破産のデメリット
自己破産は裁判所に申し立てて、すべての債務を免責してもらう方法です。
しかし、自己破産をすると「借金をすべてなくす」という大きなメリットがある反面、自己破産後の生活に一定のリスクを強いられます。具体的には以下のものです。
- 一部財産の処分が行われる
- 職業や資格が一部制限される
- 旅行や出張など移動の制限がある
関連記事にて、自己破産のより詳細な解説をしています。
一部財産の処分が実行される
自己破産という制度を正確に表現すると、「財産を換価処分した上で、返済しきれない分を免責(返済責任を免除)する制度」です。
今後の生活に最低限必要だと考えられる財産(自由財産)以外は換価処分の対象となります。
処分される財産の代表的なものが、自動車や土地・建物です。ローンが残っている場合には担保権が当然実行されるとして、ローンが残っていない場合でも、通常は取り上げられてしまいます。
新たに住む場所や移動手段を検討する必要に迫られますので、これまでどおりの生活を送れないというリスクがあります。
ただし、現金については99万円までは処分対象となりません。ほかにも、衣食住や職業に欠かせない最低限の所有物、2ヶ月間の生活に必要な費用など、手元に残せる財産がいくつか定められています。
また、裁判所の判断によりますが財産を売却しても20万円に満たない場合は処分対象とならないこともあります。
職業や資格を制限される場合がある
自己破産の手続き開始によって、職業を制限される場合があります。
ジャンル | 職業制限を受ける仕事・役職の具体例 |
---|---|
士業系 | 弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、弁理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、宅地建物取扱士、通関士など |
公職系 | 人事院の人事官、教育委員会の教育委員、公正取引委員、公証人、人事院の人事官、都道府県の公安委員など |
団体役員系 | 商工会議所、日本銀行、信用金庫、金融商品取引業、労働派遣業など |
会社法上の役員 | 取締役、執行役員、監査役など |
その他の仕事 | 警備員、生命保険募集人、質屋経営者、旅行業務取扱いの登録者・管理者、建築業経営者、廃棄物処理業者、調教師、騎手、風俗業管理者など |
弁護士などの士業や公証人、法人役員、警備員、マンション管理業などが対象です。また、成年後見人や保佐人など、民法上の資格制限を受ける場合もあります。
ただし、職業が制限されるのは手続き開始からおおむね数ヶ月~半年程度ですので、その期間だけ我慢すればいいとも考えられます。
また、対象の職業で現在働いている方は、自己破産を理由に解雇されることは不当解雇にあたります。自己破産の職業制限を理由に退職する必要はありませんので、制限期間中の職場配置について会社と相談しましょう。
旅行や出張など移動の制限がある
破産手続きの間に限られたことですが、裁判所の許可がなければ旅行や出張にいけません。
仕事上必要な出張については許可を得られますが、必要性が認められないと不許可になります。移動の自由という憲法上認められた権利に対する制限ですので、大きなリスクであるといえるでしょう。
ただし、これも我慢しなければいけないのは数ヶ月だけのことです。破産手続きが終了すれば自由に移動できるので、一時的な制限といえるでしょう。
個人再生のデメリット
個人再生には、裁判所に申し立てることによって借金を減額し、再生計画という返済スケジュールのもと返済を続けるという方法です。
個人再生は分割での返済を続ける必要があるため、自己破産とは違った意味でのリスクを背負うことになります。
具体的には以下の内容です。
- 個人再生後も返済を続ける必要がある
- 債務額の制限と最低弁済額がある
- 手続きが複雑
個人再生についてリスク以外の詳細は、関連記事をチェックしましょう。
個人再生後も返済を続ける必要がある
個人再生は、あくまでも減額された借金を分割で返済することが前提とされた制度です。自己破産のように、手続き終了後に返済生活から完全に解放されるわけではありません。
さらに、手続き終了後の返済が前提ということは、返済を続けるだけの収入がなければ個人再生制度を活用できません。
つまり、個人再生はそもそも、利用するための要件ハードルが厳しく設定されているのです。
申し立てたとしても、収入などの面から認められない可能性があり、大きなリスクといえるでしょう。
手続費用が高額
個人再生は他の債務整理手続きと比べると高額な費用がかかります。
弁護士に支払う報酬は35万円程度〜がかかりますので、気軽に手続きをできるとは言い難い面があります。
債務額の制限と最低弁済額がある
個人再生を申請するには、債務額の制限と最低弁済額があります。債務額には「住宅ローンなど担保がある債務を除いて総額が5,000万円未満」という上限があり、債務額によって最低限返済しなければいけない弁済額が変わるのです。
個人再生には自営業者向けの「小規模個人再生」と、給与所得者向けの「給与所得者等再生」があります。小規模個人再生は下記の表から最低弁済額を判断し、給与所得者等再生は下記の表と過去2年間の可処分所得を比較し、高い方を最低弁済額とします。
債務総額(担保のないもの) | 最低弁済額 |
---|---|
100万円未満 | 債務総額 |
100万円~500万円以下 | 100万円 |
500万円超~1,500万円以下 | 債務総額の1/5 |
1,500万円超~3,000万円以下 | 300万円 |
3,000万円超~5,000万円以下 | 債務総額の1/10 |
手続きが複雑
個人再生は裁判所を申し立てるので、手続きや準備書類が非常に複雑です。申し立て書類や再生計画案の作成には労力を要します。手続き完了までにかかる時間も半年程度かかるので、債務者にとっては大きな負担になるでしょう。
裁判所に申し立てるのは自己破産と同じなのに、借金が全額なくなるわけではありません。
ただし、個人再生において財産の処分は必須ではないというメリットがあります。したがって,財産を処分せずに債務整理をすることも可能です。
債務整理において影響が大きいと勘違いされやすいリスク
ここまで説明したように、債務整理に一定のリスクがあるのは事実です。
これらのリスクを正しく理解した上で、債務整理に踏み出すかどうか、どのような方法を選択するのかを、適切に判断しなければいけません。
ここからは、債務整理のリスクとして「勘違いされやすいもの」について解説します。具体的には以下の6点です。
- 家族や子どもに影響が出る
- 会社をクビになる
- 家や財産を失う
- 戸籍に残る
- 弁護士費用が高い
これらはすべて間違いといえます。この誤解が原因で債務整理に踏み出せないのであれば、自ら生活再建の道を閉ざしてしまっていることに他なりません。
家族や子どもに影響が出る
債務整理は債務者自身が抱える金銭債務を対象とする制度です。
自己破産で不動産を手放すなどで影響が出ることもありますが、法的な意味で家族や子どもに悪影響はありません。
家族や子どもについて事故情報が登録されることもありませんので、クレジットカードなどもこれまで通り使用できます。
会社をクビになる
自己破産の項目でも少し触れましたが、債務整理を理由とする解雇は不当解雇にあたるため、クビにすることはできません。
就業規則や雇用契約書に「破産者は解雇する」とされていても無効になります。
そもそも、会社が連帯保証人などになっていない限り、債務整理の事実を会社に知られることはありません。自己破産による職業制限で業務に支障が出るとき以外、会社に伝える必要もないでしょう。
家や財産を失う
ここまでで説明した通り、債務整理をしたからといって必ず家や財産をすべて失うわけではありません。
自己破産の場合には財産も手放さざるを得ませんが、任意整理や個人再生を選択すればすべての財産を失うことは回避できます。
債務整理をすることで住む家を失ったり、路頭に迷ったりすることはありませんので安心してください。
戸籍に債務整理の情報が残る
よくある誤解ですが、債務整理の事実は戸籍には残りません。
自己破産を申し立てて免責が認められなかった場合には、本籍地である市町村で破産者名簿に登録されます。これは自治体が「だれが破産者か」を管理するためのものであり、非公開となっています。登録されたからといって、日常生活で不便に感じることはないでしょう。
戸籍の情報から、債務整理をした事実はわかりませんので安心してください。
弁護士費用が高い
「弁護士費用が高額だから債務整理をしない」という方もいますが、これも正しい認識とはいえません。
債務の状況やどの方法で債務整理をするかにもよりますが、「弁護士費用を払ってまで債務整理をするよりこのまま借金を返済した方が得」という状況はほとんどありません。
費用面での心配が大きいのであれば、いきなり債務整理を依頼するのではなく、まずは相談だけ聞いてもらい、見積もりを出してもらってはいかがでしょうか。
相談だけなら無料でおこなっている弁護士もいます。話を聞いてもらうだけでも、1人で悩むより、気持ちもきっと晴れるでしょう。
債務整理のデメリット回避は弁護士にアドバイスをもらおう
以上で説明したように、債務整理には一定のリスクがあるといえます。手続き方法ごとに異なったリスクがあり、単純にどれが一番優れているかとはいえません。
そのため、自分の経済状況や今後どのように生活を立てなおすかによって、どの手続き方法が最適か見極めることが大切です。
ただし、リスクを債務者自身で検証するにも限界があります。法律の素人である債務者だけの判断では、適切な選択肢を見落としてしまうかもしれません。
また、一人の考えだけに依存してしまっては、間違ったリスクの認識から債務整理に対して前向きになれず、借金返済の悪循環から脱出できない場合もあるでしょう。
弁護士に相談すれば、債務整理を検討するにあたって具体的にどんなリスクが起こり得るか、個々の状況から適切な手続き方法をアドバイスしてくれます。
債務整理後の制限には期限がある
債務整理をした後のリスクに関しては、どれも一定の期限があります。
信用情報機関の事故情報は5~10年で消滅しますし、自己破産における職業制限や移動制限は手続き開始から数ヶ月程度です。しばらくの間耐え忍べば、債務整理前となんら変わらない生活が戻ってきます。
債務整理をすると人生が終了するかのように思い詰める方もいますが、債務整理は人生の終了ではなく、人生を立てなおすための手段であると認識しましょう。
債務整理後に再び借金しないよう注意しよう
債務整理をすると、新たな借り入れができないことは先ほど解説したとおりです。裏を返せば物理的に借金ができなくなるため、債務者にとっては「自分が稼いだお金の範囲で生活を立てなおす」チャンスともいえます。
ただし、生活再建のため日々努力する債務者に対して、「ブラックリストでも借り入れできる」とうたい、借金経験者を再び餌食にしようとする悪質な消費者金融が存在します。
借り入れをすれば、一時的にはお金に余裕が生まれます。しかし、その後間違いなく借金返済の連鎖に苦しめられるでしょう。
債務整理をして、ようやく借金の呪縛から解放されたのですから、再び借金の罠にはまらないよう注意しましょう。もしも誘惑に負けそうなときは、病院のカウンセリングや、同じ借金問題で悩む人たちの自助グループ、公益法人などの無料相談を頼るのも1つの手段です。
外部の助けを得ることは、なんら恥ずかしいことではありません。
まとめ
債務整理をするにあたって、どの方法を利用するとしても、ある程度のリスクを受け入れなければいけません。ただし、リスクを正直に受け入れる必要はなく、リスクを軽減するための方策を練ることは許されています。
例えば、自己破産手続きには自宅を手放さなければいけないというリスクが潜んでいます。しかし、親族などに買い受けてもらうという対応策をとることで、自宅を手放さずにそのまま住み続けることも可能です。
債務整理に潜むリスクを正しく理解すれば、不必要に怖れることはありません。
そして、正しく理解したリスクの取捨選択をおこなった上で、適切な生活再建プロセスを歩んでいくには、専門家の助けが必須です。ぜひ債務整理に強い弁護士に相談してみてください。
債務整理のよくある質問
主に「新規でのローンや借入ができない」「クレジットカードが使えない」「連帯保証人になれない」といったことが挙げられます。
基本的に進学や就職、結婚などに親が債務整理したことが影響することはないでしょう。
ただし、親がブラックリストに入っている間は子供の奨学金の連帯保証人になれないといったデメリットはあります。
任意整理であれば、家族に知られずに債務整理できる可能性が高いです。
自己破産と個人再生は同居の家族に隠すのは難しいです。
主債務者(あなた)が債務整理をした場合、連帯保証人に請求がいきます。
連帯保証人に迷惑をかけたくない場合は、任意整理の検討をおすすめします。
債務整理に力を入れる弁護士に相談してみるとよいでしょう。
STEP債務整理「債務整理に力を入れるおすすめの弁護士を紹介」
基本的に、自己破産において差押えられる財産は破産者の物のみです。
しかし、名義が曖昧だったり、実質破産者の所有物だと判断されると差押えられる場合もあります。

債務整理にかかる費用と相場は?手続き別の着手金や報酬金を詳しく解説
借金の返済に追われ、債務整理を検討している人は多いと思います。 しかし、債務整理の費用に不安があり、なかなか債務整理に踏み出せないという人も多いのではないでしょうか。 確かに、債務整理には裁判所や弁護士の費用がかかります。 しかし、借金問題…

債務整理すべきタイミングは?10つの基準を紹介
借金の返済が苦しくても、なんとか返済できると思って債務整理をためらう方は意外と多くいます。 債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」などの方法がありますが、タイミングを誤るとその選択肢はどんどん狭まってしまいます。 債務整理は返済が…

債務整理はどのような流れで行われる?必要な書類、期間も合わせて解説
債務整理とは、国に認められた借金減額の手段です。 しかし、ただ申請をすればよいというものではなく、定められた手順に従って審査を受けたり必要書類の準備が必要です。 そのため、まずはそれぞれの債務整理手続きの流れについて理解し、かかる期間につい…