旦那の子供じゃないのがばれたらどんなトラブルが発生する?
旦那の子供じゃないことがばれた場合、第一に考えられるトラブルが「離婚問題」です。
旦那の子供じゃないということは不倫をしていたこととほぼ同義であるため、旦那から離婚を突きつけられる可能性は高いでしょう。
また、配偶者以外の異性と肉体関係を持つことは、法律上の「不貞行為」に該当することから、旦那に慰謝料を請求される恐れもあります。
ここでは、旦那の子供じゃないのがばれたときに発生するトラブルについて、詳しく解説していきます。
旦那から離婚される可能性がある
旦那の子供ではないことがばれてしまうと、夫婦関係に大きな亀裂が入るのは避けられません。旦那の子供じゃないということは、別の男性と関係を持っていたことの証明でもあるため、旦那が離婚を強く求める可能性は非常に高いでしょう。
日本の法律では、配偶者以外との肉体関係を持つことは「不貞行為」とされ、法定離婚事由として認められるため、旦那が裁判を起こしてでも離婚を成立させようとすることも考えられます。
また、旦那が長年自分の子どもだと信じて育てていた場合、その衝撃や精神的なショックは計り知れません。仮に不貞行為が婚姻前だったとしても、托卵を隠していたこと自体が法定離婚事由の「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する可能性もあります。
法定離婚事由に該当する場合、裁判に発展すると離婚の判決が下される可能性が非常に高いです。もしも離婚することになったら、母親がシングルマザーとして一人で子供を育てていかなければならないでしょう。
旦那に慰謝料を支払わなければならない可能性がある
旦那の子供じゃないことがばれてしまうと、慰謝料を請求される可能性があります。
前述したとおり、婚姻期間中に配偶者以外の異性と肉体関係を持つことは、民法上の「不貞行為」に該当します。自らの意思で他の男性と関係を持ったのであれば、故意・過失によって相手の権利を侵害する「不法行為」に当たります。
慰謝料は、不法行為によって相手が被った精神的な損害を賠償するためのものです。別の男性との子供を出産しているということは、妻が不貞行為をしていたという何よりの証拠になるため、請求が認められる可能性は高いでしょう。
仮に別の男性と関係を持ったのが婚姻前だとしても、旦那の子供ではない可能性を隠していたこと自体が相手の権利を侵害したとみなされ、慰謝料請求が認められるケースもあります。
裁判における不貞行為の慰謝料相場は50万円〜300万円程度とされていますが、協議や調停によって慰謝料の金額を決める場合、お互いの合意があれば相場を考慮せず自由に決めても問題ありません。
しかし、提示された慰謝料があまりにも高額である場合はお互いの合意が取れず、訴訟を起こして慰謝料金額を決めることになります。
裁判における慰謝料金額は、離婚の有無や婚姻期間、不法行為の悪質性などによって異なります。不貞行為の期間が長い場合や意図的に夫を騙していた場合などは、慰謝料が高額になる可能性もあるでしょう。
また、不倫相手の男性にも慰謝料を請求されるようなことになると、トラブルがより深刻化する可能性も考えられます。
旦那から慰謝料請求された場合の対応
旦那の子供じゃないことがばれてしまい、慰謝料請求を受けたときは、支払いをする前にまず弁護士に相談してみましょう。もしも相手から請求された慰謝料額が不当に高い場合、交渉することで減額してもらえる可能性があるためです。
また、慰謝料の減額または支払いを拒否できる要素があるかどうかを確認することも大切です。たとえば旦那も不倫をしていた、モラハラやDVを受けていたなど、旦那側にも離婚原因がある場合、支払いを拒否できる可能性があります。
次の項目から、旦那から慰謝料請求された場合の対処法について詳しくみていきましょう。
言われた通りに支払わず、まずは弁護士に相談する
旦那の子供じゃないことがばれてしまい、慰謝料を請求されたとしても、すぐに言われた通りの金額を支払う必要はありません。
まずは弁護士に相談のうえ、請求内容が適正かどうかを確認しましょう。もしも慰謝料請求額が相場よりも高い場合、弁護士に交渉してもらうことで減額できる可能性があるためです。
一方、旦那が請求している慰謝料が支払い可能な範囲内である場合や、自分自身に非があることを認めており争う意思がない場合は、請求に応じるのも選択肢の一つです。
また、争いが長期化することで関係がさらに悪化したり、裁判になって精神的負担が増えたりすることを避けたい場合は、早期に慰謝料を支払った方が良いケースもあります。
旦那から慰謝料請求を受けた際には、弁護士の無料相談などを活用して金額が適正かどうかを確認のうえ、応じるか減額交渉するのかを判断しましょう。
減額または支払い自体を拒否できる要素がないか確認する
旦那から慰謝料請求を受けたものの、支払いが難しい場合は、減額または支払い自体を拒否できる要素がないかどうかを確認してみましょう。
一例として、以下のようなケースであれば、減額または支払い拒否が認められる可能性が高くなります。
- 不貞行為の以前から婚姻関係が破綻していた
- 離婚せず婚姻関係を継続する
- 請求額が相場よりも明らかに高い
- 旦那も不倫していた
- 旦那からDVやモラハラを受けていた
- 自分の収入や資産が少ない
- 謝罪して誠実に対応する
すでに夫婦関係が事実上崩壊しており、別居状態が長く続いていた場合などは、不貞行為による精神的苦痛が少ないと判断される可能性があります。また、旦那が離婚を選択せずに婚姻関係を維持する場合、離婚する場合に比べて慰謝料は低額になりやすいです。
慰謝料の請求額が相場よりも明らかに高額な場合は、過剰請求である可能性が高く、交渉次第で減額が認められるケースもあります。
旦那が不倫をしていたりモラハラやDVを受けていたりした際には、お互いに精神的苦痛を与えたことになり、慰謝料請求が相殺される可能性があります。ただし、裁判においては旦那の不法行為を証明するための証拠が必要になります。
慰謝料請求においては支払い能力も考慮されるため、収入が低く経済的に困難な状況である場合、支払額を減額できる可能性があります。ただし、財産分与や養育費と相殺になるケースもあるため、支払い能力がないからといって慰謝料が免除されることはありません。
なお、裁判においては有責配偶者(離婚原因を作った配偶者)が反省しているかどうかも、慰謝料額を決めるうえで考慮されます。そのため、旦那に謝罪をして誠実に対応することも大切なポイントです。
旦那の子供じゃないのがばれたら生活費や養育費はもらえない?
旦那の子供じゃないことがばれたら、生活費や養育費をもらえなくなってしまうのではないかと不安に感じている方も多いでしょう。
結論から述べると、旦那の子供じゃないことがばれた途端に、生活費や養育費をもらえなくなるということはありません。
もしも旦那の子供じゃないのがばれたことをきっかけに別居する場合でも、婚姻期間中は婚姻費用として旦那に生活費の請求が可能です。また、養育費についても、親婚関係を解消しない限りは受け取る権利があります。
ここでは、旦那の子供じゃないのがばれた際の生活費や養育費について詳しく解説します。
離婚するまで婚姻費用は受け取れる
婚姻関係が続いている限り、たとえ別居していたとしても、生活費として「婚姻費用」を請求する権利があります。
婚姻費用とは、夫婦と子供が生活を維持するために必要な費用のことです。収入の少ない側は、収入の多い側に対して婚姻費用を請求する権利があります。
妻の不貞行為や托卵が原因で別居をするとしても、旦那の方が収入が多いのであれば、婚姻費用の請求が可能です。もしも支払いを拒否された場合、家庭裁判所で「婚姻費用の分担請求調停」を申し立てることで法的に請求できます。
ただし、妻側は有責配偶者に当たるため、婚姻費用を請求しても一般的な相場より減額されたり、請求自体が認められなかったりするケースもあります。
有責配偶者とは、離婚や別居の原因を作った配偶者のことです。自ら婚姻関係が破綻する原因を作ったにもかかわらず婚姻費用を請求する行為は、権利濫用として認められない可能性があります。
もしも旦那が婚姻費用の支払いを拒否して調停が不成立となった場合、審判で裁判官の判決を受けることになりますが、その際に請求が却下されたという判例もあります。そのため、経済的に苦しい場合は旦那と婚姻費用について話し合ったうえで別居をするか、実家に援助を頼むなどの対策を取りましょう。
なお、婚姻費用の請求が認められない可能性があるのは有責配偶者が受け取る生活費の分だけであり、子供の養育費については基本的に請求が認められます。
また、婚姻費用を請求する権利があるのは「離婚が成立するまで」です。離婚が成立すれば、婚姻費用をもらうことはできないため、自分で生活費を確保する必要があります。
養育費は親子関係を解消しない限り支払義務がある
法律上、婚姻中に生まれた子供は夫の子として推定されるため、戸籍上で親子関係が成立している限り、養育費の支払い義務が発生します。
そのため、たとえDNA鑑定などで旦那と血縁関係がないことが判明しても、法的な手続きを経て親子関係を解消しない限り、養育費の請求は可能です。
親子関係を解消する法的な手続きとして、主に「嫡出否認の訴え」と「親子関係不存在確認の訴え」の2種類があります。
嫡出否認の訴えは、婚姻中または離婚後300日以内に生まれた子供との親子関係がないと主張するための手続きで、出産を知ってから3年以内に申し立てる必要があります。
親子関係不存在確認の訴えは、父と子の間に法律上の親子関係が存在しないことを確認するための手続きで、期限は設けられていません。
なお、上記の手続きについて詳しくは「法的手続きを取ると旦那との親子関係がなくなる可能性がある」で解説しているので、あわせて参考にしてください。
上記の法的手続きを取っていなくても、実子ではないことを理由に旦那から養育費の減額を求められる可能性はあります。しかし、養育費はあくまでも子供の権利であるため、血縁関係がないからという理由だけで減額は認められません。
旦那と子供の親子関係が維持される限りは、子供に対する扶養義務が生じるため、養育費を請求できます。子供のためにも養育費についてしっかりと話し合いましょう。
旦那の子供じゃないのがばれたら旦那と子供の親子関係はどうなる?
旦那の子供じゃないのがばれたとしても、法律上は旦那と子供は親子として扱われます。
ただし、旦那が法的手続きを取った場合は親婚関係が解消され、子供の戸籍の父欄から名前が削除される可能性があります。親子関係が正式に解消されると、子供に対する扶養義務が消滅するため、養育費の請求もできなくなります。
次の項目から、旦那の子供じゃないのがばれた際の親子関係について、詳しくみていきましょう。
法律上は旦那の子供として扱われる
法律上、婚姻中に生まれた子供は旦那の子と推定されるため、血縁上の父親が別の男性であっても、戸籍上は旦那の子として扱われます。
民法772条では、以下のようなケースで「夫の子として推定する」と定められています。
- 妻が婚姻中に懐胎した子
- 婚姻の解消もしくは取り消し(離婚)の日から300日以内に生まれた子
- 婚姻が成立した日から200日以内に生まれた子
婚姻期間中に妊娠した場合はもちろん、離婚後300日以内に生まれた子、または婚姻前に妊娠して婚姻成立後200日以内に生まれた子についても、夫の子として推定されます。
上記のような定めがあることから、旦那が「血縁関係がないから親子ではない」と主張しても、法律上は旦那の子供として扱われます。前述したとおり、親子関係が維持されている間は子供に対する扶養義務が生じるため、養育費の請求も可能です。
参照:民法|e-Gov 法令検索
法的手続きを取ると旦那との親子関係がなくなる可能性がある
旦那が子供との親子関係を解消するために法的手続きを取ると、親子関係がなくなってしまう可能性があります。親子関係を解消するための法的手続きは、主に以下の2種類があります。
手続きの種類 |
概要 |
嫡出否認の訴え |
法律上の父親が「自分の子ではない」と否定する手続き |
親子関係不存在確認の訴え |
そもそも親子関係がないことを確認する手続き |
上記の手続きを通じて親子関係が否定されると、戸籍上の父親が削除され、養育費の支払い義務もなくなります。それぞれの手続きの詳細について、次の項目からみていきましょう。
嫡出否認の訴え
嫡出否認の訴え(嫡出否認調停)とは、夫の子であると推定される子供について、「自分の子ではない」と親子関係を否定するための手続きです。
夫の子であると推定される子供とは、婚姻中に妊娠した子、婚姻成立から200日後以降に生まれた子、離婚後300日以内に生まれた子が該当します。
婚姻中または離婚後300日以内に子供の出生届を提出すると、旦那を父親として戸籍が作られます。戸籍が作られたあとに旦那が「自分の子ではない」と否定するためには、子供の出生を知った日から3年以内に嫡出否認の訴えを起こす必要があります。
なお、以前までは子供の出生を知った日から1年以内に訴えを起こす必要があったのですが、令和6年4月1日に施行された法改正により、期限が3年に伸ばされました。そのため、子供が3歳以内であれば、嫡出否認の訴えによって親子関係を否定される可能性があります。
嫡出否認の詳細な手続き内容は以下のとおりです。
項目 |
内容 |
申立人 |
父・母・子 |
相手方 |
父・母・子 |
申立先 |
相手方の住所地の家庭裁判所 |
申立てに必要な費用 |
収入印紙:1,200円分
連絡用の郵便切手:裁判所によって異なる
|
必要書類 |
・申立書およびその写し1通
・申立人の戸籍謄本
・子供の戸籍謄本 |
旦那の子供じゃないのがばれた場合、基本的に申立人は父親(旦那)、相手方は母親と子供になるでしょう。
なお、令和6年4月1日の法改正により、嫡出否認調停は母親と子供から申し立てることも可能になりました。諸事情があり、旦那の名前を子供の戸籍から削除したい場合などは、母親側から嫡出否認調停を申し立てることも検討してみてください。
親子関係不存在確認の訴え
親子関係不存在確認の訴え(親子関係不存在確認調停)とは、夫の子であることが推定されない子供について、戸籍上の親子関係がそもそも成立していないことを確認するための手続きです。
夫の子であることが推定されない子供とは、婚姻から200日以内に生まれた子、別の男性との間に生まれた子、夫の子を妊娠することができない期間(別居中など)に生まれた子が該当します。
嫡出否認とは異なり、親子関係不存在確認には申し立ての期限が設けられていません。そのため、子供が生まれてから3年以上経ったあとでも、親子関係不存在確認調停を申し立てることが可能です。
親子関係不存在確認の詳細な手続き内容は以下のとおりです。
項目 |
内容 |
申立人 |
父・母・子・親子関係について直接身分上利害関係を有する第三者 |
相手方 |
父・母・子 |
申立先 |
相手方の住所地の家庭裁判所 |
申立てに必要な費用 |
収入印紙:1,200円分
連絡用の郵便切手:裁判所によって異なる |
必要書類 |
・申立書およびその写しを相手方の人数分
・子供の戸籍謄本
・親子関係がないと考えられる親の戸籍謄本 |
申立人は基本的に父親になると考えられますが、母や子供のほか、旦那の再婚相手や相続人、子供の実の父親などからも申し立てることが可能です。なお、利害関係人が申し立てをする場合、上記の書類に加えて利害関係を証明する資料も必要になります。
まとめ
旦那の子供じゃないことがばれたときは、旦那から離婚を突きつけられたり慰謝料を請求されたりなどのトラブルに発展する可能性があります。
不貞行為や托卵を隠す行為は民法上の法定離婚事由に該当するため、裁判に発展すると離婚や慰謝料の支払いを命じられる可能性が高いです。離婚することについて納得しており、請求された慰謝料も支払える範囲内の金額なのであれば、旦那からの要求に応じるのも一つの選択肢でしょう。
ただし、請求された慰謝料があまりにも高額だったり、旦那も不法行為をしていたりする場合、慰謝料の減額や支払い拒否をできる場合があります。そのため、まずは弁護士に相談し、慰謝料の減額や支払い拒否が可能かどうかを尋ねてみましょう。
弁護士に相談すれば、旦那との交渉を代行してもらえるうえ、調停や裁判に発展したときにも一貫して対応してもらえます。
旦那の子供じゃないのがばれてトラブルに発展しそうなときは、ぜひ弁護士に頼ることを検討してみてください。
よくある質問
本当に旦那の子じゃないのかわからないので、DNA鑑定を検討しています。DNA鑑定の概要を教えてください。
性行為の時期が重なっているなど、旦那の子供であると確信できない場合、DNA鑑定によって親子関係を科学的に確認できます。DNA鑑定では、父親と子どもの遺伝子を比較し、親子関係の有無を99%以上の精度で判定します。
DNA鑑定には、私的鑑定と法的鑑定の2種類があります。私的鑑定は個人での利用を目的としており、検査キットを郵送で受け取って検体採取を行い、返送するのみで完了です。
一方、法的鑑定は裁判や調停など法的手続きでの利用を目的としており、専門家の立会いや身分証明書の提出などが必要になります。法的鑑定には法的効力があり、親子関係の確認や否定の証拠として使用することが可能です。
それぞれの料金の違いは以下のとおりです。
- 私的鑑定:約2万円~5万円
- 法的鑑定:約8万円~10万円
結果が出るまでの期間は、いずれも1~2週間程度とされています。
個人での確認のみが目的なら私的鑑定、調停や裁判の場で鑑定結果を利用するなら法的鑑定を行いましょう。
無料相談・電話相談OK!
一人で悩まずに弁護士にご相談を
- 北海道・東北
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- 関東
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- 東海
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- 関西
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- 北陸・甲信越
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